《金正日訪中は天安艦撃沈への米韓軍事報復からの「避難の旅」》中国語原文を全訳

「金正日は韓国の報復恐れてわが国に避難」―中国で噂広がる 2010/05/12(水) 13:43:56 [サーチナ]という記事が報道された。

 中国のインターネットで8日から、北朝鮮の最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)労働党総書記が3日から7日にかけて訪中したことを、「韓国の軍艦を攻撃したことが明らかになったので、報復を恐れて避難した」と主張する文章が、次々に転載されている。

今回、その原文を全訳して公開する。

2010年5月12日15:18| 記事内容分類:中国時事ネタ| by 松永英明
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3月26日の韓国海軍哨戒艦「天安」の爆発沈没事件は北朝鮮によるものと疑われており、事実が確定した場合には韓国軍は何らかの懲罰を行なう意図を示している。これから避難するために金正日が訪中したのだ、とこの文章は述べている。

サーチナの解説では、

 中国では、北朝鮮を刺激する内容の文章発表や報道を抑える場合があるが、今回は同文章が次々に転載されたことから、特に規制されていないと考えられる。

と書かれている。今回見つけた原文は直接的には西陸網(xilu.com)の軍事掲示板に転載されたものだが、発祥がどこかまでは突き止めていない。ただ、転載された文章そのものは同一のものと思われる。なお、以下の翻訳は書かれている内容を反映しただけであり、訳者である私の意見・見解とは一切関係がないことをお断りしておく。

金正日訪中は「避難の旅」だ

金正日访中是"避难之旅"网友评论西陆网

  • 出所:西陸東方軍事
  • 作者:広東兄弟
  • 時間:2010年05月12日 07:53:31

韓国の「天安艦撃沈」事件の首謀者がまだ浮上していないというのに、金正日は今月三日、中国に正式訪問を行なった。これは朝鮮が錯覚させるような時間・錯覚させるような人物状況下において中国を訪問したのだといえる。

金正日はずっと宮殿奥深くに閉じこもっており、首都の城門を出ることはほとんどなかった。今回の訪問についてアナリストたちは「尋麦之旅(食糧を求めての旅)」と考えている。しかし、筆者は、金正日の訪中は経済・貿易上の援助を求めると偽って、米韓の軍事報復を避ける口実だというのが本当のところで、中国を利用して口実を作りたいだけではないかと考えている。

朝鮮は現在、米韓から軍事的に厳重な視察下にある。『朝鮮日報』の報道によれば、韓国は天安艦沈没事件について北韓(※北朝鮮)の仕業であると考えている。それ以前、韓国軍将校と前駐韓アメリカ軍司令ベルは「もし天安艦沈没事件が北韓の仕業であると明らかになった場合は、強硬な封鎖政策を採る必要がある」と述べていた。韓国軍側の消息筋は、軍事制裁を優先的に考慮することもできると述べている。韓国国防部長官・金泰栄も五月二日、「どのような形式であっても、厳重な処罰を進めなければならない」と述べた。

つまり、米韓が朝鮮に対して寛大な態度で対処することはありえない。密かに画策していることもありえるし、思いがけない事故から、朝鮮に報復的「懲罰」を行なおうとも考えている。

このような背景の下、金正日はじっと座っていることはできず、自ら乗り出して中国に庇護を求めてきたのだ。当然、彼の出国は目立つので、国際的には故意に「まず経済、それから昔のことを語り合う」というイメージを作り出した。日本の「産経新聞」が言うように、金正日の今回の訪中の主要な意図は、国内外で孤立している背景のもと、中国のこの「後ろ盾」を誇示することにある。

もし金正日の訪問がうまくいったとしても、米韓は中朝がどのような同盟協議を達成したかはわからないだろう。もちろん、金正日も何か協議を達成しようと考えているわけではなく、ただ米韓に朝鮮と中国には一種の暗黙の契約があるかのようなイメージを与えたいだけなのである。これは一種の疑兵の詐計であって、いわゆる「無謀之謀(計画もないのにあるかのように見せかける)」である。これによって、米韓は朝鮮に対して安易に軍事的冒険行動をとることができないようにしようというものである。第二次世界大戦中、フランスとソ連が頻繁に外交を行ない、ヒトラーの軍事行動をためらわせたのと同じである。

私は、このポイントが金正日の訪問の主な目的であり、その次がようやく経済であって、国内貨幣改革(デノミ)後にあらわれた食糧および物資の欠乏という困難を解決しようとしているのだと思う。

朝鮮は中国の伝統的な同盟者ではあるが、往々にして厄介ごとを増やしてきた。国家に一旦ことがあればすぐに中国に頼り、国家が無事なときには中国を捨てて顧みない。核開発で世界を騒がせていたときには中国のことなど考えず、中国が最も兄弟の援助を必要としていたときには中国のことなど顧みない。中国初の五輪招致でも彼らは恩に報いることがなかった。今、朝鮮は日米の武力による脅威にさらされていたときと同様にすぐに中国に頼ってきた。まさに『紅楼夢』の劉ばあさんのように、何事もなければ大観園に来ないようなものだ。このたとえには意味がある。金正日の今回の旅行は、朝鮮版『紅楼夢』芝居を行なっているようなものなのだ。

外交の原則は、互恵互利・互敬互重であると私たちは認識している。今回の金正日訪中について、中国は彼に大きな収穫を与えることができる。しかし、朝鮮は中国に対してこの土産への返報として「小菜園子」を開放すべきだ。たとえば羅先港開発権だとか新義州開発プロジェクトなどを開放し、朝鮮は中朝両国の経済協力を進める誠意があることを示すべきなのだ。このとき、さらに深く突っ込んで両国の軍事協力と交流も行なわれるようになるだろう。こうすれば共に富を得、協同安保の目的が達せられるのである。

中国は朝鮮のために長い間ずっと、日米韓の朝鮮に対する逆流への突っ張りとなってきた。アナリストたちは「中国が最も関心を持っている問題は、朝鮮半島の安定の維持である」という。この言葉はウソではない。中国は朝鮮半島に土砂が舞うのを見たくはないし、さらに戦車が行き交い、部隊が鬨の声を上げるのも見たくはないのだ。

(2010年5月8日草稿)

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