小田急・下北沢の新駅舎計画説明会レポート

9月2日夜、下北沢の駅舎計画の説明会が開かれるということを当日のツイートで知り、その時間は参加できる状況だったので行ってきた。

今回の説明会は東京都と小田急電鉄が開いたもの(世田谷区の主催ではない)。その中で現時点での駅舎計画案が示されたので、ここでメモをもとに私的に報告する。

下北沢駅鳥瞰パース

(※9/4、あとちの会からの質問部分を修正。あくまでも当日の個人的メモに基づく記録です。間違い・修正・追記の要望があれば対応いたしますのでご連絡ください)

2010年9月 3日13:55| 記事内容分類:都市計画・建築学| by 松永英明
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説明会概要

2010年9月2日 19時~20時 世田谷区東大原小学校体育館にて

主な説明・回答者

  • 東京都建設局道路建設部鉄道関連事業課:加藤氏
  • 世田谷区交通政策課:小山氏
  • 小田急電鉄複々線建設課:八下田氏、清水氏

主催者側による説明

「小田急線連続立体交差事業は、駅舎計画の建築工事準備の段階に入った。そのため、世田谷区環境保全条例・風景づくり条例にもとづく説明会を行なう」との趣旨説明。「一日も早く踏切をなくすよう努力している」との説明も入る。

その後、パワーポイント作成スライドを使った説明。スライドの全貌はこちら→ シモキタな日々 : 下北沢駅舎説明会スライド

  1. 立体交差事業全体の説明
  2. 下北沢駅の駅舎計画についての説明
  3. 世田谷区環境基本条例に基づく説明
  4. 世田谷区風景づくり条例に基づく説明

という流れであったが、立体交差事業(代々木上原駅から梅ヶ丘駅の間を地下化・複々線化することで、開かずの踏切を解消し、運輸機能を高める)については従来から話されているとおりの繰り返しなので省略。

下北沢駅スライド

今回は、小田急下北沢駅の現時点での駅舎計画についての解説となる。特に重視されたのは以下のようなポイントだという。

  • 「安全な駅づくり」(地下鉄火災や大地震時の安全確保のために2カ所以上の出入り口を作ったり、避難誘導をマニュアル化する。防犯対策の強化」
  • 「使いやすい駅づくり」(アクセスに配慮した改札口、東西通路の設置)
  • 「人に優しい駅づくり」(ユニバーサルデザイン、バリアフリー、多目的トイレ、売店・ベンチなどの設置)
  • 「環境に優しい駅づくり」(敷地内・コンコースの緑化、環境配慮施策)

駅舎の整備スケジュールについても簡単に説明があった。

  • シモチカナビ14号、駅街ニュース創刊号で平成21年10月に意見募集。206通490件が寄せられた。
  • 駅街ニュース2号(平成22年1月)で寄せられた意見を公開
  • シモチカナビ17号(7月)で駅舎整備計画を発表
  • そして今回の説明会
  • 年度末には着手

駅舎の計画についてはやや駆け足での説明。このパワーポイント資料を印刷したものは北沢区民センターや下北沢駅のシモチカナビで配布される予定で、それを有志がネットにアップすると思われるので(後述)、詳細はその資料を見ていただくのがよいだろう。

下北沢駅新宿側改札イメージ

なお、駅舎の地上部の高さは、低くなっている南側から見れば9.9メートル、北側からで6.8メートルとのこと。低く抑えられていることは強調されていた。

世田谷区環境基本条例による説明。緑化計画として「光や風を感じさせるやわらかいみどり」が目標とされ、立体・重層感を与える植栽計画が立てられているようである。駅舎デザインに生えるよう、また周辺の緑とのつながりも重視されるという。

樹種の選定として、「四季を感じられる」「持続的に成長が可能」「土地利用に配慮」という条件が課せられた。新宿側改札はヒュウガミズキ。小田原側(代田側)改札には、シンボルツリー的にシラカシ。北側にはエゴノキ、アラカシ、キンモクセイ、ツツジなど。

建築確認の申請に必要な世田谷区風景づくり条例による説明。下北沢駅は1日13万人以上が利用する交通の要衝であり、世田谷区三大拠点地域の一つの入り口となっていることを踏まえて計画した。

新宿側・小田原側の二つの改札は、ガラスを主体にしたデザイン。一方、南北の壁面は隣接の建物があるので、窓などの開口部は少ない。全体に要望の多かった白色系でまとめた。新宿側のデザインはスクリーンに見立てたもの。吹き抜けも作って明るくしている。新しいシモキタのランドマークになることを目指している。

また、高さを10メートル以下に抑えて周囲との調和を図り、プライバシーを確保する設計にもしている。

質疑応答

以上が小田急・都(・世田谷区)側からの説明であった。以下、参加者からの質問。一人で複数の質問をする人が多かった。私も質問した項目がある。

1. トイレの数

質問。トイレの数が少ないのではないか。

回答:小田急。計画案では、現状の倍以上のトイレを用意している。それぞれにバリアフリーのトイレを用意している。

2. ホームドア

質問。ホームドアをつけるのが趨勢になっていると思われるが、それは計画していないのか。

回答:小田急。今回の構造では「将来ホームドアをつけられる形」にしている。小田急でもホームドアの必要性は認識しており、検討中である。

3. どこが変更されたか。

質問。以前の意見募集をしたときに示された内容とほとんど変わらないように思われる。募集した区民の意見をどのように取り入れて、どこを変更したのか。

回答:都。昨年10月来、駅街ニュースなどで募集した。大きな変更点は2点。第1点は新宿駅側改札のデザインで、もともとは北側のみへの開口部であったが、利便性を求める声に配慮して三方向に開口部をつけた。第2点は小田原側(代田側)改札口が設けられていること。今の改札は新宿側改札口に当たる。今の動線を尊重しつつ、小田原側にも改札を設けた。

下北沢駅植栽計画図

※追記。この変更点(改善点)については、あとちの会などが提案した内容が盛り込まれている。「あとちの会」からは駅舎コンペなども希望したが叶わず、パブコメが募集された段階で修正案を提示した。修正案は、避難路以外はかなり採用されているとのこと。下記リンクなども参照。

4. 通路がない

質問。地下化してあいた地上の有効活用が必要だ。この案では一階通路はなく(改札・駅コンコースになる)、東西通路が二階にしかない。バリアフリーなどを考えても、地上の通路が必要ではないか。

回答:小田急。駅の構造として、本格的な地下駅となる。韓国の地下鉄大火災なども考慮。敷地の中で東西に通路をつくるのが難しいと判断した。南側には既存の通路もある(※ホテルレフアの前の道)。小田急の敷地内に通路となると、ビルで囲まれているので治安上の問題もある。そこで二階部分に通路を作った。車いす等については、全体がバリアフリー構造になるので、それで対応できる。

5. 井の頭線との接続

質問。今は井の頭線と共通の改札になっている。新駅舎案では、共通改札になるのか、それとも乗り換え改札ができるのか。個人的には共通の改札で二路線利用できることに利便性を感じている。

回答:小田急。京王電鉄とは現在協議中であり、乗り換えがどうなるかについては未定。

6. ガラスの問題

質問。以前寄せられた意見の中にもあったが、地震の際など、ガラス張りであるためにかえって防災上問題はないか。また、このような無機質なデザインになった理由は?

回答:小田急。屋根の多くを、網入りの波板ガラスにしている。メインの改札口の方は合わせガラス、フィルムが入っていて丈夫なガラスになっている。通常、ガラスが割れるのはフレームが揺れるのが原因で、それにガラスの動きが追随できずに割れてしまう。それがしっかり対応できる設計となっている。万が一割れたとしても網が入っていたり、フィルムが入っていたりするので、リスクが少ない。安全上、問題はない。

デザインについては、下北沢の街は活気がある。そのお客様をガラスに映し出すスクリーンという意味合い。また、明るい駅舎を目指している。

7. K区議の質問1

質問A. 地上にオープンスペースを作るべきだ。世田谷区のコンサルタントが調査したとき、南側に6メートルの通路を作るべきだと報告していた。しかし、今回の案では駅の上を通路でつなぐ形になっている。なぜそういう通路ができなかったのか。

質問B. 駅舎の長さが130メートルになっている。以前の説明の段階では、交差する40メートルくらいの部分の駅舎図しかなかったのに、なぜ長くなったのか。駅舎には商業施設が入るようになっているが、地上は少なくしてオープンスペースを敷地内に作るべきではないか。こんなに大きな駅舎は必要ない。

質問C. 説明会についてどれくらい広報したのか。区議である自分も知らなかった。初めての説明会について広報すべきではなかったか。この地区の玄関なら、なおさら区民全体が説明会に参加できるようにすべきではなかったか。

回答B:小田急。駅舎については、駅の機能から大きさを決めている。地下の深いところから安全・安心にホームから改札へ移動してもらう、通っていただく通路が必要になる。また、駅務室の防災も必要。改札内のコンコースが無味乾燥であってはならない。そういったことを踏まえて機能的にレイアウトして決まったもの。

回答A:小田急。地上部通路は小田急内部では無理で、ホテルの前に通路として使える道路がある。防災上の通路としてはこちらも考えられる。

回答C:都。説明会については、環境条例に基づいて、周囲の650世帯に周知していた。情報ステーション、シモチカナビでも周知を図っている(ナビでは8月24日告知)。

8. エスカレーターの動線

質問。エスカレーター11機、二階に南北通路などがあるが、実際に乗り換えの時にどうなるのか、動線がどうなのかがよくわからない。

回答:小田急。地下の深い方が急行ホーム、上に緩行線ホーム。急行から地上コンコースへの直通エスカレーターが2機、その他は緩行線ホームを経由。エレベーターでもコンコースに出られる。さらに、京王線と交差しているあたりに昇降設備を作ってつなぐ。現在の乗り換えは上下の高さの差はないものの非常に複雑な構造だが、今回の案では一階コンコースに上がってしまえば非常にシンプルな動線となっている。また、外からは二方向の改札が用意されており、メイン改札に加えて代田側改札も作る計画となった。

下北沢駅断面図

9. 駅舎と建物の間の隙間

質問。あとちの会。緑化計画などが示されて、どんな駅になるのか初めてイメージできた。多くの人が気にしている駅。こういう情報はシモチカナビなどで積極的に発表してほしい。わかりやすい説明は多くの人を対象にすべきである。む しろ、隠すように発表することで疑心暗義が生まれる。もっと広く広報したほうがいいのではないか。

あとちの会としては、避難路の提案もさせていただいたがそれができないのは残念。なお、成城学園駅では駅舎の中を素通りできる通路がない。その通路ができなかったところに隙間があり、雑草やゴミの散乱が見受けられた。 下北沢でも建物と駅舎の間がそういう空間にならないか。駅と隣接建物の間がどうなるのか心配だ。

回答:司会者。広報すべきだという意見については参考にさせていただく。

回答:小田急。避難路については、駅舎のすぐ横にホテルがあり、その南側に通路がある。また、東西をつなぐ通路は駅内で二階部分にある。これは改札の外なので通れる。このほか、南北二本の跨線橋がある。駅舎と外の建物の間については、一部は緑化計画があり、その他も立ち入りできない空間になるので、問題はないと思われる。

下北沢駅予定図 (※この図は配布された資料とGoogleマップを仮に重ね合わせてみたもの。あくまでもおおざっぱな重ね合わせであって正確なものではないことをご了承ください)

10. K区議の質問2

質問D. 区議にも連絡がなかったことを、世田谷区から回答いただきたい。

質問E. 以前の説明とは全然サイズが違うのはなぜか。

質問F. 商業施設が入る計画がない時点で立ち退きを求められた商店主たちがいる。今回、商業施設のエリアができたが、立ち退いた方々が優先的に入れるのか。

回答D:世田谷区。規定により定められた範囲の周知とする。

(それ以外の質問への回答は打ち切られ、少々荒れる)

11. 資料の公開

(以上で質疑応答が打ち切りになり、他の質問については配付資料の連絡先へ問い合わせてほしい、と司会者が告げた段階で)質問。今回のパワーポイント資料はホームページでは公開されないか。

回答:都。印刷したものを北沢支所6階に置く。スライド全部を印刷する。ステーションにも置く。ホームページには上げられない。加工に手間などがかかるので。

12. K区議の質問3

(会場の一部より抗議の声があり、商業エリアについて説明)

回答:小田急。商業施設エリアが2階部分に予定されている。どういう商業施設を入れるのか、どういう業態にしていくのかについては、今後考えていき、どんどん固めていく。その業種・業態のコンセプトに合致しているものであれば入っていただく。立ち退き対象の店舗を優先的に、とは考えていない。

個人的な感想

基本コンセプトはあまり変わっていないようではあるが、代田側にも改札ができること、緑化計画が明確化されたことなどから、以前の案よりは好感を持てるものになってきた印象を受けた。

ただ、京王井の頭線との接続が「いまだ協議中」(京王は蚊帳の外?)であるとか、1階に改札・コンコースができるために2階通路でしかつながらないという構造であるとか、そういった面で検討すべき点はまだまだ多いように思われる。

「演劇などの街を意識して、駅舎デザインはスクリーンをイメージ」というのは、こじつけっぽい気もするが、そこまでこじつけてくれるなら私としては目をつぶってもいい気持ちにもなる(それが落としどころというものだ)。あと、駅周辺はともかく、駅舎そのものは10メートル以内に抑えられた(駅ビルにはならない)のも好感。

残念なのはやはり告知が徹底していないこと。条例で定められた直接関係する650戸にしか知らせないというのはあまりにも少ない。北沢・代沢・代田の全域の住民とその範囲内に店舗・事務所を持つ事業者には、説明会の存在くらいは知らせておいて当然だろう。そして、今の案なら(課題は残っているにしても)駅舎自体はそれほど大きな反発を受けるレベルではないと思う(最大の問題は駅前ロータリーや26メートル幅道路を、充分に栄えている街のど真ん中に作ることであって、駅そのものは争点の中心ではない)。

私自身もこの説明会の存在を当日ツイッターで知り、たまたまあいていたから参加できたが、告知が足りないように感じた。シモチカナビも新しいのが出ていれば必ずチェックしているが、今回の説明会は見落としていた。堂々と案を出してもらいたいと思う。

そして最も残念だったのは、一部、かなり感情的なものに近い「対立」的な部分があったこと。司会者が一部の質問への回答を省略し、それに対して怒号に近い抗議があったというのは、双方にとって残念な状況だと思う。おかげで「立ち退きした商店主を優先的に駅舎の商業スペースに入れるつもりはない」ということを都・区側が隠そうとしたかのような印象を与える結果になってしまった。「今後も何か抜き打ちで変更されるんじゃないか」というような疑惑を抱かせるような態度は、決して得策ではないと思う。

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※随時リンク追加します。

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2010年9月 3日13:55| 記事内容分類:都市計画・建築学| by 松永英明
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