制服向上委員会の「フジロック狂言」始末

最近、反原発を前面に押し出すことでプロモーションしているアイドルグループ「制服向上委員会」が、7月20日、メンバー公式ツイッターと公式ブログで「フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により「ステージ上で脱原発の歌は歌えない」との事で、出演出来なくなってしまいました。」と発表。

ネット上ではこの情報をもとにフジロックや「大手企業」、あるいはロックそのものを批判する論調も見られたが、一方で「制服向上委員会の言うことは間に受けない派」(宗像明将さんなど)をはじめとして、そもそもの発言の信憑性を疑う声も上がっていた。

結局のところ、そもそも制服向上委員会がフジロックに出演する話そのものが疑わしいというのがオチであるようだが、その顛末をとりあえずまとめておく。

2011年7月21日12:35| 記事内容分類:日本時事ネタ| by 松永英明
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制服向上委員会&橋本美香発言

制服向上委員会の会長・橋本美香さんの問題のツイート。

橋本美香

フジロックに出演が決定していました。ですが、フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により「ステージ上で脱原発の歌は歌えない」との事で、出演出来なくなってしまいました。心待ちにして下さったみなさまごめんなさい。そして悔しい。橋本美香 http://t.co/7jQjl40 2011年7月20日 14:48

ちなみにその一つ前のツイートはこれである。出演するしないが当日になって決まるというのもどうかと思うが……。

本日のA.I.S.Aに制服向上委員会が出演する事になりました。緊急特番決定!「アイドルにも分かる原発事故」詳細はこちらです!ゲストにPANTAさんも☆ http://t.co/JvgjhBz 2011年7月20日 10:28

さて、問題のツイートでリンクされていたのは制服向上委員会公式ブログの記事である。

制服向上委員会

フジロックフェスティバル'11出演がなくなりました。

先日、フジロックフェスティバル'11に出演が決定したとお伝え致しました。
ですが、フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により
「ステージ上で脱原発の歌は歌えない」との事で、出演出来なくなってしまいました。
心待ちにして下さった皆様には、大変申し訳ございません。
尚、7月30日には「世界から原発なくそうコンサート」(大田区民センターホール)に出演決定、31日には原発反対パレードに参加予定となっています。

なお、この記事の日付が7/31という未来の日付になっているのは特に突っ込むべきところではない。同ブログでは他にも告知系の記事を未来の日付にしてトップに表示させているためと考えられる。また、7月31日の予定までが記されているので、それ以降に更新があったら後ろに下ろすためとみてよい。

芸能ニュースなどが報道

この「公式発表」を受けて、芸能ニュースが報道を行なっている。

RBB TODAYの記事は淡々と事実のみの記載だが、「圧力説の真偽から反対した企業を明らかにせよなど関心も高く、今後も波紋を呼びそうだ」という記載から、記者の関口賢さんはうのみにはしていないと受け取れる。

これにはネット上から制服向上委員会擁護の声が多数出た。そもそも、フジロックはエコ活動などに重心を置いたライブイベント。しかも今回は脱原発イベント『アトミック・ カフェ・フェスティバル』 がフジロックにて復活されることを発表したばかり。なのにスポンサーの意向で反原発ソングを歌うのはまかりならんとは...フジロックでは一体何が起きてるのか?

アトミック・カフェに出演予定の、加藤登紀子や斎藤和義、ソウル・フラワー・ユニオンらの動向にも注目が集まりそうだ。

ここで提示された疑問点は、実は制服向上委員会の発言そのものを根底から否定する決定的な内容である(記者もわざわざこれを入れるということは、「わかって」書いている可能性があると思う)。

フジロックが潔白な数々の理由

わたしはこの情報を知ってから「フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対」という部分がまず引っかかり、フジロックのスポンサーをチェックした。しかし、アウトドア系企業が多く、脱原発を敵視するような背景のありそうな企業が見つからない。

よく調べてみれば、フジロックの公式サイトでのアナウンスどおり、7月14日にはすでに「最終ラインナップ決定」となっていた(FUJI ROCK FESTIVAL '11|フジロックフェスティバル '11 【最新ニュース】)。今回の問題発言の4日前に確定していた最終ラインナップ(FUJI ROCK FESTIVAL '11|フジロックフェスティバル '11 【ラインナップ】)にも制服向上委員会の名前はなく、それ以前にも制服向上委員会が出演するという話自体がなかったのである。

「先日、フジロックフェスティバル'11に出演が決定したとお伝え致しました」という公式ブログでの記載は、どこで誰に伝えたのかがはっきりしない。少なくとも公式サイトおよびブログにおいて検索しても、ネット上でそのように伝えられた形跡が見当たらない。mixiの制服向上委員会コミュニティはほとんど投稿がない状態だが、過去に「フジロック出演決定!」的な書き込みは見当たらない(ファンの方で、イベント等で確かに聞いたとかここで発表されていたという情報をお持ちの方はぜひご教示ください)。橋本美香さんのツイートでの「フジロックに出演が決定していました」という表現は、外部に伝えてはいなかったというニュアンスも感じ取れる。

★補記(14:30)ブログのコメント欄でのsiroさんの指摘より。

7/13のAISAというUST番組の中でメンバーがフジロック出演を告知したようです。

ブログに記載はありませんが、ネット上でも13日以降「出演決定おめでとう」などの記載が相次いでいました。(参考までに 下記エントリのコメント)http://blog.oricon.co.jp/ski-official/archive/4009/0

しかし、そんな大きな仕事が決まったのに、自分たちのHP、ブログには記載していないというのもおかしな話ですね。

したがってUstreamでの「告知」は存在したようだが、正式な発表は行なわれていなかったようだ。

数々の疑惑

そもそもキヨシローがいたフジロックがそんな転向をするものだろうか。夕刊フジの7月19日の記事にもこうある。

「大きなステージだから電力は使う。でも送電される電力ではそもそも足りず、ほとんどすべてが自家発電なんです」(日高代表)

 自家発電で二酸化炭素(CO2)を排出するため、フジ・ロックでは「自然との共生」をかかげ、植林や森林整備などに取り組んできた。今年は原発事故を受け、自然エネルギーへの転換を目指す反核・脱原発イベント「アトミック・カフェ」を開催。シンガー・ソングライターの加藤登紀子(67)や斉藤和義(45)らが登場予定で、日高代表は「原子力について考える場になれば...」と話す。

加藤登紀子や斉藤和義がよくて制服向上委員会がいけないという理由はまったくない。反核・脱原発イベントをフジロック内で開催するのに、制服向上委員会が「脱原発」を理由に降板させられるというのは、100%あり得ないといえる。

改めてFUJI ROCK FESTIVAL '11|フジロックフェスティバル '11 【オフィシャルサポーター】のページを見てみよう。当該ページはロゴのみでわかりにくいので、文字で列挙してみる。

  • オフィシャルメディア:tv asahi、フジテレビ、Inter FM、J-WAVE、FM802
  • オフィシャルサポーター:BEAMS(衣料品・雑貨)、Columbia(アウトドア用品)、Heineken(オランダビール)、HMV(レコード販売店)、POCALI SWEAT(スポーツドリンク)、TOWER RECORDS(レコード販売店)、象印マホービン(調理器具)、Nikon(カメラ)
  • 協賛:CHUMS(チャムス)、MERRELL(メレル)、OSHMANS(オッシュマンズ)、Timberland(ティンバーランド)……いずれもアウトドアブランド
  • サポートTV:SPACE SHOWER TV、MUSIC ON! TV、MTV、Sib.tv(シブヤテレビジョン)
  • サポートラジオ:AIR-G'(FM北海道)、Date FM(エフエム仙台)、FM PORT(にいがた県民FM)、FM-NIIGATA、TOKYO FM、ZIP-FM、α-STATION(エフエム京都)、FM COCOLO、LOVE FM

この中に「脱原発を理由として降板させる動機を有する大企業」が一つでも存在するだろうか。わたしにはまったくそうは思えない。むしろ、アウトドア企業が多く、原発推進との接点はまったく見られない。

このなかで物理的に圧力をかけることがあると思われるのは、せいぜい象印マホービンの圧力炊飯ジャーの中くらいだ。上記リストに東芝EMIが含まれていたならともかく、脱原発つぶしの圧力をかける必要のある企業は一つもない。

また、「制服向上委員会みたいなアイドルグループがそもそもロックフェスに呼ばれないだろ」というような指摘もネット上では見られたことを補足しておく。

結論:制服向上委員会の炎上覚悟のデママーケティング

したがって、わたしは「フジロックが大手スポンサーの意向により、脱原発ソングを歌うグループを排除した」という制服向上委員会の公式発言には、真実は一つも含まれていないと判断する。

制服向上委員会は、公式サイトにおいて虚偽のデマを流すことにより、フジロックおよびそのスポンサー企業、さらには他の参加アーティストに対する名誉毀損・信用毀損行為を行なったと言っても過言ではない。

おそらく、先日の「反原発運動に参加しているので降板させられた」という山本太郎氏発言を念頭に置き、自作自演の被害者デマを流すことで注目を集めようとしたのではないかとも推測される。そうではなく、もし橋本美香会長や制服向上委員会の事務所が本気で「脱原発が原因で圧力がかかった」と勘違いしていたのだとしたら、そういう不正確な情報を公式として流したことについての大きな責任がある。なぜなら、たとえ仮に意図的ではなかったとしても、企業の信用を毀損したという結果は明らかに生み出しているからである。

そして、この情報をもとにフジロックを批判した人は深く反省していただきたいと思う。

(7/22 10:30追加)時系列タイムライン

  • 6月16日:フジロックで、NGO VILLAGEおよびGYPSY AVALONステージを利用して、1982年にスタートしたエネルギーシフトをめざす反核・脱原発イベント「アトミック・カフェ・フェスティバル」が復活することが決定。自然エネルギーを重視する社会への転換を応援するとともに、ソウル・フラワー・アコースティック・パルチザン、加藤登紀子、MANNISH BOYS(斉藤和義×中村達也)によるパフォーマンスも実施されると発表。
  • 7月13日:All Idol Songs Awards(初台TheDOORS、18:30開演)に制服向上委員会が出演。この模様はUstreamでも流れた。ここでフジロック出演が決まったことを告知した。ただし、この重大決定について制向委の公式サイト・公式ブログ・公式ツイッター等ではまったく告知されなかった。

杏奈「告知なんですが、7月31日にFUJI ROCK FESTIVALに出演することになりました。アイドルなのにロックのイベントに出ます」(A.I.S.A制服向上委員会 7月13日(Ustream視聴)|☆制服アイドル応援日記☆

  • 7月14日:日付が変わってすぐの時間帯にフジロック最終ラインナップ発表(ナタリー等でも報じられている)。制服向上委員会の名前は一切掲載なし。ここまでの発表の中で、フジロック側から「制服向上委員会」の名前が出たことは一度もない。
  • 7月15日:制服向上委員会「ダッ!ダッ!脱・原発の歌(英詞付バージョン)」が公式サイト内にアップされる(サイトの更新がされているのに、フジロック出演に関する告知はなされなかった)
  • 7月20日14時48分:橋本美香会長の「出演出来なくなってしまいました」ツイート。そこからリンクされているブログ記事は日付が未来のものであるが、このツイートの前に公開されたものと思われる。また、公式サイトトップページ内にもブログ記事と同じく「圧力によってフジロックに出演できなくなった」のアナウンス。

本文でも述べたとおりだが、この時系列から浮かび上がる疑問点を列挙しよう。

  • フジロックへの出演を「告知」した翌日(実際はわずか数時間後)に発表されたフジロック「最終ラインナップ」に含まれていない。
  • 頻繁に情報更新されており、13日から20日までの間にも実際にサイト更新があったにもかかわらず、公式サイト・公式ブログ・公式ツイッターのいずれでも最終決定しているはずのフジロック出演が「告知」されていない。
  • 「告知」から約1週間後に「脱原発を理由とした圧力によって」出演できなくなったというアナウンスが掲載されている。

つまり、制服向上委員会は、フジロックという大イベントへの参加について、ファンの前での口頭での告知だけしか行なっておらず、通常のサイト上での文字による告知は一切しなかった。にもかかわらずです、「圧力がかかって出られなくなった」ということを、最終ラインナップに含まれていないことが判明してから約1週間もたってから公式サイトやブログやツイッターで拡散した。これはいささかおかしいとは思いませんか?

あぁ、それから最後にもう一つだけよろしいでしょうか? 念を押しておきますが、「スポンサーのスポンサーが東電」というような弱いつながりは単なる相関図陰謀論であって、考慮するに値しません。なぜなら、そんな力があるとすればフジロックの脱原発イベントや脱原発派の他のアーティスト(あるいは脱原発イベントそのもの)も同様に圧力がかかって当然ですからね。加藤登紀子や斉藤和義や坂本教授はよくてPANTA/制向委はダメというのであれば、「脱原発」が理由ではないということになります。

というわけで、公式アナウンスを楽しみにしています。

(7/22 18:00追記)制服向上委員会の「お詫び」

22日午後、制服向上委員会からのお詫びがブログ上で発表された。

フジロック関係者並びに支持される多くの方へ

この度は弊社所属「制服向上委員会」の"フジロック飛入出演"から"出演中止"におけるコメントにて、関係者へのご迷惑とファンの方へ不快感を与えた事について、深くお詫び申し上げます。
又、出演に際しご尽力頂いた関係者へは感謝すると共に、意思の疎通を図り、いつの日か実現される事を期待しております。

平成23年7月22日
アイドルジャパンレコード(株)
(代表)高橋

この文面についてはいくつかの点が指摘できる。

  • いつの間にか「飛入出演」であったというディテールが追加されている。
  • 出演に向けての働きかけがあったことは確かだろうが、出演が確定したかどうか、またそれがどういう経緯で「中止」に至ったのかは明確ではない。
  • 全体的に、事実関係をきちんと示す意図をもった「お詫び」ではなく、「ご迷惑/不快感を与えた」ことについてのお詫びである。

この件に関して、関係者のオフレコ発言などから判断する限り、「フジロックでの出演が決まったならば確実にフジロック公式ページに必ず載っていた」ということは絶対確実であると断じてよさそうである。

すなわち、出演が確定ではなかったのにそれを先走って告知してしまい、出演がダメになった時点で「圧力があった」という余計な一言を付け加えてしまった、ということがうかがわれるのである。

私はフジロックの成功を心から祈っている。

(7/24追記)

1)私は(十全とは言えないまでも)関係者への取材を行なってこの記事を書いておりますが、その取材対象者については現時点で記せません。しかし「取材もせずに憶測だけ」という批判は当たりませんのでご了承ください。

なお、私は今回の件に関していかなる勢力にも属しておりませんし、東電やフジテレビから何らかの利益供与があったかのような事実は一切ありません。なお、私自身は(特に積極的な活動は何もしていませんが)漸次脱原発していくべきだという考えを持っております。

2)制服向上委員会側とフジロック側の協議の末、制服向上委員会の公式サイトのみに「お詫び」が載る結果となった。その後、橋本美香会長が一切の「お詫び」なく「批判されたことへの批判」ツイートを繰り返していること自体、その「協議」をないがしろにするものである。

そもそも、今回の件は、音楽業界の中の礼儀というか仁義というかルールというかマナーというか、そういったものを制服向上委員会が踏みにじったことが問題となっている。

第一点は「出演に向けての交渉が行なわれていたとはいえ、正式に決まっていないものを、『出演交渉中です』ではなく『出演します』と告知したこと」。これは大きなミスであるから、制服向上委員会はこの点を明確に述べて謝罪する必要がある。繰り返しになるが、制服向上委員会が飛入りにしろ何にしろ、出演が「確定」した事実は存在せず、そのことは制服向上委員会側も認める厳然たる事実である。ただ、悪意のない、単純な勘違いや連絡不行き届きからのミスであった可能性は十分にあると思う。

第二点は、(圧力があったにしろなかったにしろ)フジロックにケンカを売るのか、媚びるのかの態度が曖昧であることだ。出演について「いつの日か実現される事を期待しております」と高橋氏が謝罪文で述べているのは、フジロックとケンカしたくないからだろう。

しかし、「圧力はあった」と言い続けたり、橋本会長のようなロックファン批判ツイートを繰り返すということは、「フジロックは、スポンサーが出演アーティストに圧力をかけて降板させることを許すイベントだ」と主張していることになるのである。その意図がなくても、そうなのである。そして「フジロックで降板させられない自称脱原発アーティストは原発推進派スポンサーにもお目こぼししてもらえる存在で、制服向上委員会こそが原発推進派スポンサーの逆鱗に触れるホンモノの脱原発アーティストなのだ」と主張していることになる。それは、フジロックに参加しているすべてのアーティストをdisっているのと同義なのである。加藤登紀子も斉藤和義も坂本教授も、原発推進派スポンサーが降板させない、エセ脱原発だ、と批判していることになるのである。

また、圧力があったと言いながら企業名を名指ししないことで、フジテレビを筆頭とする個々の企業がブラックまたはグレー視される事態がすでに発生している。このブログ記事について憶測だけだと主張する人たちが「フジテレビの監査役が元東電社長」ということを指摘してくるのだが、「監査役が元東電社長のフジテレビなら圧力をかけかねない」という主張そのものが憶測である(確かな証拠が提示されれば私も受け入れるが)。それは、フジロック協賛企業のすべてに疑惑をかけているということにもなる。

つまり、「圧力があった」ということを主張し続けることは、すなわちフジロックおよび参加アーティストすべて、そしてスポンサーすべてを「敵視」しているのである。もし、本気で敵視するのなら、それはそれで腹の据わった態度だと思う。具体的にどの企業が圧力をかけ、それをフジロック側が受け入れた、ということを明確な証拠とともに公表されるのであれば、わたしはむしろ制服向上委員会に拍手を送っていただろう。 だが、そうではない。フジロックとの協議を受け入れての「お詫び」を制服向上委員会側のみが発表することになった。今後の出演を希望しているにもかかわらず「圧力があった」発言、ツイートにおける反省なき批判のみの発言というのは、フジロックサイドに完全にケンカを売り続けている。その中途半端な態度が混乱を深めている。

「フジロック開幕直前のこの時期に橋本会長が「優秀なロックファンなら」などの言動でロックファンをdisるツイートを繰り返して騒ぎを収束させようとしない」こと自体がこの件をこじらせ続けていると指摘したい。それは広報上、下手なことをやっているという指摘である。ちょっと誰かアドバイスしてやれよ、というのが私の本音だ。少なくともわたしが仕事等で関わったことのある音楽系事務所はどれも、公式発表の一言一句からその好評のタイミングに至るまで細心の注意を払っていたが、それから見ると今回の対応は「迂闊」としか言いようがない。

私ならこうする。もしケンカしたくないのなら「確定していない出演の告知を告知したことをお詫びし、出演告知・出演中止告知の文面に不適切な内容がありましたので、すべて撤回とさせていただきます」と発表して、この件についてはそれ以外一切ノーコメントとする。思うところがあっても(現時点では)ぐだぐだ言わない。

もしケンカするのなら、すべての事情を具体名を挙げてつまびらかにし、「出演中止を求めたスポンサーはどこか」「それはどういう理由だと述べられたか(脱原発が理由だと明確に述べられたのかどうか)」「どういう経緯でその出演中止要請が確定したのか」をすべて証拠や証言を添えて明確に示す。

どっちつかずはあり得ない。ましてや、中途半端な状態で批判者を批判するとか、第三者の批判者への個人攻撃に走るというのは、最もやってはならない方法である。

3)私自身は音楽はジャンル問わず、好きなものは好きである。ロックであるかどうか、あるいは何がホンモノのロックかというジャンル議論には与しない。ジャンルによって音楽に高尚とか低劣とかあるとも思わない。ただ、個々の楽曲の出来不出来とか、個々の楽曲の内容の深みとか、個々のアーティストの上手下手はあると思う。ロックなアイドル(キョンキョンとか)やアイドルなロック(聖飢魔Ⅱとか)を私は否定しない。わたしが一番好きな(たぶんロックの範疇に入る)ロック歌手は川村かおりである。

4)私は以前から頭脳警察のCDをよく聴いている。熱心なファンとは言えないが、CDを買って繰り返し聴く程度にはファンである。制服向上委員会は名前だけ知ってた程度である。

5)ブログタイトルの「フジロック狂言始末」というのは、あえて古風な言葉遣いを選んでいることからおわかりいただけるとおり、「フジロックにまつわる滑稽な一幕の出来事の一部始終」という以上の意味を持ちません。

6)山本太郎氏の件では、山本氏が降板されたという番組名を明言しなかったため、関係のない番組が取りざたされ、その番組がわざわざ否定しなければならない事態に陥った。そういう流れに持っていくことは、誰にとっても不幸なことだ。繰り返しになるが、今回も「この会社は原発推進派」(だから可能性がある)という憶測が飛び交っている。その憶測においては、実際に圧力をかけたかどうかの「取材」は行なわれていない。あくまでも憶測である。もし「関与」を主張するなら、実際に「降板圧力をかけた」ことの証明が必要だ。逆に「なかった」ことの証明は悪魔の証明となりえる。

7)こういう追記をし続けなければならないことは、私自身を含め、誰にとっても不幸なことだと思う。

(7/27追記)

制向委シンパ5、6人によるツイッター上での粘着が次第に個人への人格攻撃へと移行し、私の言っていないこと(公式RTしただけの他人のツイート)について「ライターの松永英明さんがテレビ朝日の持ち株比率は0.5%くらいと、また適当な事を書いていた」とツイートしたり、「ブラックジャーナリスト」とか「誰から発注受けて記事かいてるんだか」というような印象操作による誹謗中傷が始まっている。世田谷区長選で保坂展人氏に投票したわたしを東電の手先扱いとは、憶測による個人攻撃にもほどがある。他の報道サイトには言及せず、叩きやすいフリーランスの個人を集中的に名誉毀損・誹謗中傷してつぶそうという戦略には断固として抗議する。

そのような状況の中、続報をリンクしないのがなにやら情報隠蔽であるかのように書き立てられるので、リンクを追加しておく。

こちらから主催のスマッシュさんに出演をお願いして、飛び入りという形で出演のお話が進んでいたのは事実です。出演できるようにスマッシュさん側に動いていただきましたが、ある事情により出演中止という事態になったのも確かです。

と高橋氏が述べている。出演が確定するには至らなかったこと、スポンサー企業からの圧力については現時点でノーコメントであり、圧力をかけたというスポンサー名ならびに降板の理由が本当に脱原発であったのかどうかについては触れられていない。

高橋さんは、制服向上委員会側からのオファーで出演交渉をしたところ、「31日の夕方のステージなら可能性がある」と返事があり、出演時間についての調整に入っていたと話す。しかし、13日のUSTREAM番組「A.I.S.A」で出演を発表した翌日、「突然NGの連絡が入り、がくぜんとし」たという。NGの理由は明らかにされていない。

結局調整がつかなかったわけだ。音楽業界の当然の慣行として、出演時間なども確定して、主催者側・出演者側ともに「発表のタイミングはいつで」という合意がとれて初めて「出演確定」である。出演時間が確定していないような段階で発表すること自体が重大なルール違反であり、フライング発表自体が出演取り消しの理由にもなりうる。そして、NGの理由は「圧力」ではなく「現時点でノーコメント」なのである。

がっかりしたのはわかるが、「完全確定前に告知したこと」「降板理由についてフジロックおよび参加アーティストをdisる内容であったこと」「お詫びを出した後も〈優秀なロックファンなら〉などと批判的なロックファンをdisる発言を橋本会長がツイッター上で続けていること」は決定的なミスである。そして「未確定情報の告知」についてはお詫びが出たと言えるが、後の2点についてはケンカを売り続けている状態といえる。

なお、上記にて橋本美香「会長」のことを「橋本美香委員長」と書いていたので、誤記についてはおわびし、全面的に誤字訂正しておく。もっとも、これをもって「この人は制服向上委員会のこと知らないで記事を書いた」と印象づけようとする制向委シンパが現われているが、そんなマニアックなコアファンではないだけのことをあたかも「あいつはこの件の事情を何も知らないんだ……」という方向へ誘導しようとする姑息な印象操作にはうんざりする。彼らシンパは制向委の印象を引きずり下ろし続けている。

ちなみに私は制服向上委員会の個々のメンバーには上記の「責任」があるとは考えていない。高橋氏および橋本会長の(告知を含めた)広報手法に誤りがあるという指摘である。

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2011年7月21日12:35| 記事内容分類:日本時事ネタ| by 松永英明
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制服向上委員会がフジロック出演取りやめ、脱原発ソングが原因とブログで明かす(RBB TODAY)  フジロックフェスティバル(7月29〜31日)に出演予... 続きを読む

コメント(9)

別にファンではないのですが、今回の一件が引っかかっていたので
調べてみたところ、7/13のAISAというUST番組の中でメンバーが
フジロック出演を告知したようです。
ブログに記載はありませんが、ネット上でも13日以降「出演決定
おめでとう」などの記載が相次いでいました。
(参考までに 下記エントリのコメント)
http://blog.oricon.co.jp/ski-official/archive/4009/0

しかし、そんな大きな仕事が決まったのに、自分たちのHP、ブログ
には記載していないというのもおかしな話ですね。

山本氏にも狂言疑惑がありますが、反原発マーケティングは今後も
増えそうですね。

「先日、フジロックフェスティバル'11に出演が決定したとお伝え致しました」
と書いているのに、そもそもフジロック「出演決定」のお知らせがSKi公式HPに
痕跡すらないのはおかしいと思っていました。そしたらUST番組とは・・・
そういうのは「お伝え」したと言いませんw

以下は個人的推測です。
フジロックでは「NGO VILLAGE TALK」というトーク・イヴェントが朝一に行われます。
出演者は発表されていません。コレに呼ばれていたのではないかと。
30日(土)のテーマが【エネルギーシフト!電気は自分で選びたい!】ですし。
ところがSKi側が「歌いたい」→フジ「トークだけだからダメ」→Ski「歌えないなら
降りる」という経緯だったのではないでしょうか?

繰り返しますが個人的推測なので真に受けないでください。

フジテレビジョンの監査役である南直哉氏は、東京電力の勝俣現会長が社長に就任する前の社長だったことをご存じでしょうか?
ちなみに社長退任理由は原発検査データ偽造事件の引責辞任です。バリバリの原発推進派です。
それをご存じのうえで『この中に「脱原発を理由として降板させる動機を有する大企業」が一つでも存在するだろうか。』と疑問をなげかけていらっしゃるでしょうか?

え~と、もしかしたら意図的にそう書かれたのかもしれませんが、「東芝EMI」ことEMI Music Entertainmentは東芝がすでに保有株を売却済みですので東芝の関連会社ではありません。
それはそうと、「制服向上委員会」とかはずいぶんと不謹慎な話題で炎上マーケティングを行ったと言えそうですねぇ。

フジテレビジョンが東電を引責辞任した元社長を監査役と言う重職に喜んで招き入れたことから、会社組織として東電にすり寄りたい体質であることは考えるまでもないでしょう。
もちろん、私のほうも「南が降板させた」と断言するつもりはありません。
しかし、南の東電の大事な後輩を名指しで非難する合いの手が入る曲に関して、フジテレビジョンが南に配慮しなかったと断定は難しいでしょう。

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