十六日、風波止まねば、なほ同じ所に泊れり。ただ「海に波なくしていつしか御崎といふ所渡らん」とのみなん思ふ。風波、とにに止むべくもあらず。ある人の、この波立つを見て詠める歌、
「霜だにも置かぬ方ぞといふなれど
波の中には雪ぞ降りける」
さて舟に乗りし日より今日までに二十日余り五日になりにけり。
十六日、風波がやまないので、やはり同じ所に泊まりました。ただ「海に波がなくなって、いつか(室戸)御崎というところを通り過ぎたい」とだけ思います。風波はすぐにやみそうにはありません。ある人が、この波が立つのを見て詠んだ歌は、
「霜さえも下りない地方というけれど
波の中には雪が降ってるように見えるぞ」
さて、舟に乗った日から今日まで、二十五日にもなってしまってます。
●室津:高知県室戸市の室津港。
「霜だにも置かぬ方ぞといふなれど
波の中には雪ぞ降りける」←室戸だったら
現代でさえ雪降るんじゃないの?