二〇〇七年十月十七日

エビで鯛を釣るような話 [土佐日記]

 八日、なほ、河上りになづみて、鳥飼の御牧といふほとりに泊る。今宵、舟君、例の病おこりていたく悩む。
 ある人、あざらかなる物持て来たり。米して返ごとす。男どもひそかに言ふなり。「飯粒してもつ釣る」とや。かうやうのこと、所々にあり。今日節忌すれば、魚不用。

 8日。まだ川を上るのに苦労して、鳥飼の御牧というあたりに泊まりました。今晩は船の主人がいつもの病気でずいぶん苦しんでいました。
 ある人が新鮮な魚を持ってきました。お返しはお米ね。男の人たちはこっそりこんなこと言ってましたよ。「飯粒でムツを釣ったね」って。こういうことはあちこちであります。でも、今日は精進の日なので魚は無駄。

※鳥飼=大阪府摂津市鳥飼

by 紀貫之&松永英明 二〇〇七年十月十七日
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