「自作」と一致するもの

「ステマ」が成立する理由と、ステマに振り回されない考え方

「ステマ」(ステルスマーケティング)という言葉がネットの一部で話題になっている。宣伝とはわからないように宣伝行為を行なうことであり、ネットでは特に「利害関係のない第三者のクチコミであるかのように偽って、宣伝行為を行なうクチコミサイト上の書き込みやブログ記事」がステマとして批判されている。

ステマが批判されるのは「やらせ」や「サクラ」の延長上にあると見なされるからだろう。そして、わたしもステマを倫理的および戦略的に否定する。

しかし、一方で、なぜステマというものが成り立つのか(あるいはなぜステマだとばれると批判されるのか)、という根本的な部分があまり考察されていないように思う。この点を突き詰めれれば、仮にステマが使われたとしてもそれに振り回されないで済むようになるだろう。

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文学フリマでのサークルスペース・ディスプレイ・デザイン

文学フリマは非常にシンプルなイベントである。文学というタイトルではあるが、実際には広く「文章系同人」のイベントととらえるのがよいだろう。いわば文フリ会場は「ロゴススフィア」といえる。

あるいは紙の本の愛好者の集まりでもある。そこで表紙デザインを含めたレイアウト、装丁といったものも「表現」の一環として捉えられている。あえてシンプルにして文字の力を強調する人もいるし、一方でフルカラーの凝った表紙を作ろうとする人もいる。わたしも以前は一色刷だったが、前回・今回はフルカラー表紙にし、今回はついにイラストを描いてもらった。

そんななかで、わたしはおそらく少数派だと思うのだが、与えられた長机の上の空間、すなわちサークルスペースのディスプレイ・デザインについても非常に凝りたくなってしまうのである。本をよりよく見てもらうためにはどうしたらよいか。手に取るためには目に入らなければならない。

おそらくわたしが文フリに参加しているのは、書き手でもあり、編集者でもあり、デザイナーでもあるだけでなく、棚の見せ方に工夫を凝らす書店員としての意識もあるのだと思う。

以下、今回のレイアウトに至る経緯である。

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第十三回文学フリマ参加報告と分析と入手品(【オ-01】ことのは) #bunfree

2011年11月3日に東京流通センターで開催された第十三回文学フリマ。「十周年記念」開催でもあった。会場が変わったこともあって文フリの新しい歴史の転換点となる回であったと思うが、その感想などをまとめておきたい。

まず最初に。当ブースへお立ち寄りいただいた皆さま、お買い上げくださった皆さまにお礼申し上げます。ちょっと興味を持ってもらえたというだけでも嬉しいものです。ましてや買っていただけたらなおさら。当方の冊子(新刊・既刊問わず)感想を書いていただけたらトラックバックやツイッターで教えていただければ嬉しいです。

※他の方の感想などは2011年11月3日(木祝)「第十三回文学フリマ」開催 - 文学フリマ事務局通信にトラックバックされています。

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制服向上委員会の「フジロック狂言」始末

最近、反原発を前面に押し出すことでプロモーションしているアイドルグループ「制服向上委員会」が、7月20日、メンバー公式ツイッターと公式ブログで「フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により「ステージ上で脱原発の歌は歌えない」との事で、出演出来なくなってしまいました。」と発表。

ネット上ではこの情報をもとにフジロックや「大手企業」、あるいはロックそのものを批判する論調も見られたが、一方で「制服向上委員会の言うことは間に受けない派」(宗像明将さんなど)をはじめとして、そもそもの発言の信憑性を疑う声も上がっていた。

結局のところ、そもそも制服向上委員会がフジロックに出演する話そのものが疑わしいというのがオチであるようだが、その顛末をとりあえずまとめておく。

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第十二回文学フリマ・スタンプラリー(無料/非公式)のご案内 #bunfree

2011年6月12日の日曜日に大田区産業プラザPiOにて開催される文学フリマで、スタンプラリーを実施することになりました。

その詳細についてご説明します。ぜひふるってご参加ください。

スタンプラリー台紙表紙

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第十二回文学フリマ非公式スタンプラリー企画案

2011年6月12日に開催される文学フリマにて、スタンプラリー企画を実施したいと考えています。文学フリマ事務局とは関係ない独自の企画です。

ご賛同いただける場合はメールにてご連絡ください。詳細は以下のとおり。

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ヴィレッジヴァンガードさん、期待を裏切らないで!

VILLAGE VANGUARD(ヴィレッジヴァンガード)という変な本屋さんがあって、本だけじゃなくいろいろと変なものを置いてあり、芸術的ともいえる絶妙なPOPコメントも相まって、わたしは一度立ち寄ってしまうと時間を食われてしまう。あのカオス状態がヴィレヴァンの味といえる。

しかし、そのヴィレヴァン全店から「エロ・グロ系のグッズやコミック」が排除されるという情報が流れてきた。ツイッターの店舗公式アカウントやmixiコミュニティ等での店員のコメントによれば、イオン某店に入っている店舗に対して「お客様」からクレームがあり、本部で検討した結果、「全店舗」において排除ということになったという。

最後まで抵抗した店長もいるらしく、またその方針に寂しさを感じているという店員のツイートも見られるのが救いではあるが、しかし、そういう「悪書」なんかも含めて「店員が自分で買いたいような本やCDや雑貨をお勧めする」のがヴィレヴァンの持ち味ではなかったか。今回の決定は、その持ち味を自らかなぐり捨てるものであるとしか感じられない。

ヴィレヴァンの一ファンとして、わたしは今回の決定を寂しく、悲しいことだと考える。そして、ヴィレヴァンさえも踏んばれなかったら、異物排除思想に基づく「清潔なファシズム」の進行をどこが止められるというのか?

VILLAGE VANGUARD この画像は、わたしが文学フリマ用に自作した「ヴィレヴァンもどきPOP用紙」に手書きしたものである。

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2010年電子書籍「元年」を振り返って考える「これからの電子書籍に必要なこと」

思い返せば私がKindle 2を初めて手にしたのがおよそ1年前、昨年のクリスマスであった。それから約一年、自分でも電子書籍を作ってみたり、売ってみたり、さらにKindle 3の衝撃を受けたりする中で感じたことがいくつかある。

本格的な電子書籍の大きなうねりが起こった今年を振り返って、これからの電子書籍に必要だと私が考えることを書いてみたい。

論旨のポイントは「電子書籍でレイアウトを無視してはいけない」「電子書籍はデバイスの特性を考える必要がある」「Kindleのように電子書籍デバイス単体で本が買えることが必要不可欠」である。

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ウィキリークスの本当の「恐怖」――情報の受け手のリテラシーが問われるとき

前回の記事(ウィキリークス・アサンジ氏の「強姦」容疑は「コンドームなしセックス」が口実[絵文録ことのは]2010/12/08)に引き続き、ウィキリークス(Wikileaks)についての私の考えをまとめてみたい。

ウィキリークスの登場で、これまで機密であったものが機密でなくなる、といった部分は二次的な要素であると思う。問題は、ウィキリークスを「英雄」視あるいは逆に「極悪人」扱いするという点にある。つまり、わたしたち情報の「受け手」の側のリテラシーが極めて重要になるということだ。

たとえば「ウィキリークスの情報流出に各省庁戦々恐々」というニュースに対して「じゃあ漏洩しているのは本当の情報なんだ」という反応が見られた。これはリテラシー的には極めてまずい態度である。「各国政府がウィキリークスを圧力によってつぶそうとしている」は「ウィキリークスに載っている情報は真実」とイコールではない。しかし、それが混同される危険性がある。

わたしたちがウィキリークス(あるいは公安調査庁/公安警察情報流出や尖閣ビデオ問題)に対してどのようにとらえるか。特に「暴露する側は常に正しく正義、暴露される側が何を言ってもそれは言い訳」(あるいはその逆)というような受け取り方は決して正しい態度とは言えないことを、当たり前のことではあるがしっかりと押さえておきたい。

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第九回文学フリマ参加報告(S-3) #bunfree

2009年12月6日に開催された第九回文学フリマに参加してきました。2006年の第五回に参加してからまる3年ぶり2回目の出品となります。

前回はただ本を作って展示しに行くといったニュアンスが強かったのですが、今回はいくつかの企画にも加わったり、会場を回ってみたりする時間も取ってみたりして、イベント自体を楽しむ方向で参加してみました。

結果としては、販売数は大してありませんが、売った分以上に購入してしまったり、お隣ブースの方と仲良くなったりして、終わった直後に「次回はもっとやるぞ」という思いが湧いてきたのでした。これはよいイベントですね。

というわけで、文学フリマの準備から、購入したモノリスト一覧まで。

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