「激安オークション」の版間の差分

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* 2010年9月1日「インフォトップオークション」。運営は情報商材ASPのインフォトップ。
 
* 2010年9月1日「インフォトップオークション」。運営は情報商材ASPのインフォトップ。
  
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===ペニーオークション宣伝記事===
  
 
このころ、有名ニュースサイトなどで逆にペニーオークションを擁護・宣伝するかのような記事も見られた。
 
このころ、有名ニュースサイトなどで逆にペニーオークションを擁護・宣伝するかのような記事も見られた。

2012年1月28日 (土) 00:57時点における版

入札手数料オークション(bidding fee auction)」は、参加者が入札時に返金されない手数料を支払う必要があるオークション形式で、別名「ペニーオークション(penny auction)」「ライブオークション(live auction)」とも呼ばれ、日本では「激安オークション」「新感覚オークション」などと自称するサイトが多い。時間切れになったときに最後に入札していた参加者が商品を落札し、最終入札価格を支払うことになる。通常、それはその商品の一般的な小売価格よりも激安である、というようにうたわれていることが多い。

しかし、実際には落札できた場合でもそれまでの入札手数料が莫大にかかるため、合計するとそれほど安くない。場合によっては定価以上になることも多々ある。

さらに、入札に使われた手数料は落札できなくても返金されないため、落札できなかった場合には大きな損となりかねない。この点が通常の「落札できなくても損はしない」形式のオークションとはまったく異なる。このため、ギャンブルあるいは賭けと等しいともいえる。一方、オークション主催者側は、入札ごとに支払われることになる手数料と、最終落札価格の支払いとの双方を手に入れるため、入札が一定数あれば格安で落札者に渡しても決して損をすることはない。このため、サクラ入札が疑われる事例も多い。

結論としては、激安オークションは平均すれば負けることが確実なギャンブルである。

システム

典型的なパターンでは、参加者は、入札するたびに必要な手数料を支払う必要がある(事前に入札用ポイントを購入するという形式のサイトが多い)。オークションに入札すると、一定値で商品の落札価格が上がることになる。同時に、オークションの終了時間が延長される。このゲームは「瀬戸際戦術」ゲームである。入札が続けば落札価格は上がるわけだから、次第に見返りは少なくなっていくことになる。そして、見返りを少なくしてでも入札することに決めた最後の入札者がその見返りを手にすることになる。

オークションが終了した瞬間、オークション主催者は入札手数料としてすでに手にしていた金額にくわえて、最終的な商品価格を手に入れることになる。

このシステムで動いているウェブサイトは、多くの場合「ペニーオークション」と呼ばれている。カメラ、ノートPC、MP3プレーヤーなどの家電商品が販売されることが多い。日本で最も典型的なペニーオークションである「激安オク」では、1回の入札あたり75円の入札手数料(=1コイン)を支払い、入札ごとに15円ずつ落札価格が上昇する(商品によっては5円または1円ずつ上昇)。そして、オークション終了時間が20秒追加される。商品はドロップシッピング形式で発送されることが多い。落札できなかった人は単に購入できないだけでなく入札した回数分の手数料を支払わねばならず、一方、落札できた人も最終落札価格と入札手数料を合計すると、場合によっては市販価格を上回ることがある。

このモデルを分析した多くの記事では、最終的に批判的な結論となっている[1][2][3]

プログラマーのアンディー・ガルシアとウォーウィック大学経済学部卒のルパート・エルダーが実際にこの「ゲーム」に挑戦したところ、試みを断念するまでの間にすべてのオークションで落札できなかったことが「The Times」で報じられた[4]

歴史

発祥

最古のペニーオークションサイトは、2005年9月に開設された「Telebid」である。運営会社はドイツ・ミュンヘンに本社を置くEntertainment Shopping株式会社。2007年12月には英国、2008年5月に米国、2008年9月にオーストラリアへ進出。2008年末にはサイト名を「Swoopo」に改称した。さらに2009年6月にはカナダにも展開している。2010年現在、支社はロンドンとシリコンバレー(カリフォルニア州マウンテンビュー)に置かれている。

Telebid / Swoopoは当初よりペニーオークションサイトとしての仕組みを備えていたが、2009年8月には"Swoop-it-now"機能を導入。これは、落札できなくてもSwoopoから商品を購入することで手数料がバックされる(商品価格に含まれる)という仕組みである。

日本上陸

日本で最初にペニーオークションサイトが開設されたのは、2009年7月10日開設の格安オークションサイト「ヤスオク」である(Yahoo!オークションすなわちヤフオクに類似する名称である)。当初の運営会社は株式会社ヤスオク(東京都渋谷区代々木)。2010年2月16日、香港の九龍旺角登打士街56に本拠を置くInnovative Auction Limited社に譲渡され、同4月1日に「激安オク」と改称した。

Swoopoクローンと呼ばれる類似システム構築スクリプト等が販売されていることから多数の類似ペニーオークションサイトが乱立したが、中には出会い系サイトや懸賞サイトと同じ業者が運営しているものも多かった。その中で大手企業の中にもペニーオークションに手を出すところが現われている。

  • 2009年10月「カイドキ」。モバイル版としては日本国内初。運営は株式会社シーエー・モバイル(サイバーエージェントグループ)。
  • 2010年6月14日「GEO(ゲオ)オークション」。運営は株式会社ぽすれん(株式会社ゲオの子会社)。
  • 2010年8月3日「DMM.comポイントオークション」。運営は株式会社デジタルメディアマート(DMM)。
  • 2010年9月1日「インフォトップオークション」。運営は情報商材ASPのインフォトップ。

ペニーオークション宣伝記事

このころ、有名ニュースサイトなどで逆にペニーオークションを擁護・宣伝するかのような記事も見られた。

2009年10月からガジェット通信が5回にわたって「ヤスオク」紹介記事を掲載していたが、これらの一連の記事がステルスマーケティング的なものではないかと指摘されている[5]

また、日刊サイゾーでも、PRとは明記しているもののペニーオークション宣伝記事を掲載してきた。ペニーオークションが問題化した2011年1月以降にも掲載を続けている。

批判の高まり

当初よりペニーオークションの問題点は指摘されていたものの、上記のように宣伝の方が目立ち、問題点が広く周知される状況ではなかった。

しかし、2011年1月、アメーバブログ(アメブロ)にて多数の芸能人がペニーオークションサイトで格安で手に入れたという記事を掲載していることが暴かれた。これらはいずれも宣伝として書かれたものと推測され、(1)実際には落札が困難であるにも関わらず詐欺的なシステムの宣伝を(2)宣伝としてではないブログ記事として行なった(ステルスマーケティング)という点において批判が集中した。そのため、一部の芸能人は間もなく記事を取り下げるという事態に至った。

また、これと時を同じくして国民生活センターも注意喚起を行ない、NHKを始めとするマスメディアでも報道された。

 インターネット上で、新品の電化製品やブランド品等が非常に格安で出品される、いわゆる“ペニーオークション”に関する相談が最近増加している。一般のインターネットオークションであれば、入札には費用がかからず落札者だけが商品代金を支払うところを、“ペニーオークション”の場合は、落札しなくとも入札するたびに手数料を支払わねばならないといった点に大きな特徴がある。
 全国の消費生活センターには、破格の安さで出品されているのにつられ、このオークションの仕組みを理解せずに利用しての相談が、主に寄せられている。そこで、“ペニーオークション”におけるトラブルを紹介し、消費者に注意を呼びかける。

これらの状況の中、日本初のペニーオークションである「激安オク」の運営終了がアナウンスされた。ただし、その理由は明記されていない。

2011年1月26日 激安オクからの重要なお知らせ 【重要】サービス終了のお知らせ
いつも激安オクをご利用いただき、ありがとうございます。
「激安オク」は、オープン以来、ご好評をいただいておりましたが、諸般の事情により 2011年2月28日をもってサービス提供を終了することとなりました。

相次ぐ閉鎖と大手企業の全撤退

この状況を受けて、2011年1月末から中小のペニーオークションの撤退が相次いだ。

特に目立つのは、上記で記した大手企業3社の完全撤退である。株式会社ゲオの子会社であるぽすれん「GEOオークション」は2011年2月1日に運営移管を行なって「GET!オークション」に改名したが、これも7月7日にサービス終了した。サイバーエージェントグループの「カイドキ」は4月11日、インフォトップの「インフォトップオークション」は5月31日に終了している。9月15日に「DMMポイントオークション」がサービス終了したことで、大手企業はペニーオークションから完全撤退した形となった。

現在も運営されているペニーオークションサイトは存在するが、一時期のような勢いは失っているようである。以下の年表は正式なサービス終了の告知が行なわれたペニーオークションの閉鎖時期の一覧である(サービス終了もしくは返金サービスの終了日)。このほか、終了日不明もしくは自然消滅的に消えたサイトが多数ある。

2010年
  • 10月23日:「ピースオークション」
  • 10月28日:「がっちりイタダキ!オークション」
  • 10月25日:「アバオク」
  • 11月4日:「さげおく」「ソフオク」「神竜オークション」
  • 11月5日:「ポチオク」
  • 11月6日:「はなオク」
  • 11月8日:「55penny.com」
  • 11月16日:「めちゃ×2イケてるッ!オークション「めちゃオク」」
  • 11月25日:「ハピオク」
  • 11月30日:「ペニオク」
  • 12月10日:「イエヤス」
  • 12月28日:「アカオク(AKAOKU)」
2011年
  • 1月1日:「スイッチオークション」
  • 1月9日:「オクテン」
  • 1月13日:ウェブ同窓会サイト「ゆびとま」を運営するゆびとまHD株式会社が「安オクJAPAN」をオープン(4月27日閉鎖)
  • 1月14日:「2-Bay」
  • 1月23日:ペニオクで確実に落札できる方法!!!!! - 今日も得る物なし
  • 1月24日:[ns]なぜ芸能人はペニーオークションで落札できるのか?2011ウェブ虚業御三家の一「ペニーオークション」は一刻も早く規制を![絵文録ことのは]、その他ペニオク関連報道がなされる。
  • 1月31日:「Pオク!」「買い得」「速オク」「ビッドラッシュ」「プレオク」「デジオク」「みんなのオークション」「デパオク」「カッチャオ」「VALUE AUCTION」「55オークション」
  • 2月1日:株式会社ぽすれん「GEOオークション」がサービスを株式会社セブンエイトへ運営移管、「GET!オークション」に改名(7月7日閉鎖)
  • 2月2日:「criisオークション」
  • 2月4日:「EZペニー」「バナナオークション」
  • 2月5日:「プリオク」「ワンオク」
  • 2月10日:「ミラクルオークション」「スーパーオークションモビー」
  • 2月11日:「EZオークション」
  • 2月13日:「ウハオク」
  • 2月21日:「エンオク」
  • 2月22日:「バリオク」
  • 2月24日:「でらオク」
  • 2月25日:「バオバブ」「オークションなぅ。」
  • 2月28日:日本初のペニーオークション「激安オク」がサービス終了。ほかにも「ビッダーマン」「入れ札」「勝ちオク」「最安オク」「楽札」「激安ドン」「AXISS AUCTION」「UNIGET」が終了。
  • 3月31日:「ゼロオク」
  • 4月1日:消費者庁が「不当に安く落札価格を見せかけている」としてペニーオークションサイトのDMM.com・凄オク・ゼロオクの3社に関する措置命令等を発表
  • 4月11日:サイバーエージェントグループの「カイドキ」がサービス終了
  • 4月27日:「安オクJAPAN」
  • 5月31日:「インフォトップオークション」がサービス終了
  • 7月7日:「GEOオークション」の後継「GET!オークション」がサービス終了
  • 9月15日:「DMM.comポイントオークション」サービス終了。これにより大手企業によるペニーオークションサイトはすべて消滅した。

博打・ギャンブルとしての実態

ペニーオークションは必ずしも詐欺ではないが、以下の要素を考え合わせるとギャンブル性が非常に高い博打と考えるのが妥当である。

  • 落札できなければ手数料がすべて損失となる。
  • 落札するためには通常、多数の入札が必要となり、入札手数料がかさむ。
  • 落札でき、落札価格が通常価格より格安であったとしても、実際には入札手数料と合わせれば決して割安とは言えない場合が多い。
  • すべての入札者の入札手数料と落札価格を合計すると、商品の通常価格をはるかに上回る場合が大半である。

しかも、ペニーオークションの多くは損失を出さないための「サクラ入札」が疑われている。入札者が少なすぎればオークション主催者側が損失を出すことになるが、極端な場合、一般利用者には(なかなか)落札させない自動システムを作ることで詐欺同然の主催者総取りサイトを構築することが可能である。

そのため、2010年現在ではペニーオークションに誘導するspamメールが続出しており、従来の詐欺目的出会い系サイトやそれと抱き合わせの懸賞サイトとセットになっている例も多々見られる。

一方、大手によるペニーオークションサイト(カイドキ、GEOオークション、DMM.comポイントオークション等)では、Swoopoの"Swoop-it-now"機能に似たシステム、すなわち落札できなかった場合の手数料に応じて割り引き購入ができるシステムを導入して安心感を高めようとしている。

ただし、それも手数料すべてがバックされるわけではない。まったく商品も手に入らず丸損ということは避けられるとしても、いずれも厳しい条件が設定されている。

カイドキでは、商品を落札出来なかった場合、落札から24時間以内であれば、入札に使用したコイン数×75円を参考価格から割引いて商品を購入できる「今すぐ買う」機能があるが、すべての商品が対象ではなく、また対象商品でも「上限割引率」が設定されている。

GEOオークションでは「当社販売価格から差し引くことができる還元額(Gコイン消費数×75円)は当社販売価格と同額を上限とし、当社販売価格を超える部分の還元額についての換金・返金は一切致しません」と明記されており、結果的に定価を超える価格で購入する場合がありえる。

DMM.comポイントオークションでは、1入札70ポイント(70円)がかかるのに対し、落札できなかった場合の「割引購入」では「DMM販売価格より入札回数×50円を差引いた価格」で購入できるとうたわれている(販売価格より入札回数×50円の金額が上回っている場合は、1円での購入が可能)。いずれにしても、最低で入札回数×20円は帰ってこない計算であり、入札額が販売価格を上回る場合もありえる。

結論的には、ペニーオークションは決して格安ではないということになる。したがって、激安・格安・新感覚といったうたい文句に惑わされず、あくまでも博打(落札できなくてもゲームとして楽しめる)と割り切れる場合にのみ参加するべきである。

「みらおく」閉鎖の弁

乱立した多くのペニーオークションサイトが閉鎖に追い込まれている。運営側としても、いくらサクラを使って落札を阻止しても、集客に成功しない限りは利益が上がらないというデメリットが大きいようである。

その中で、良心的な運営であるという評判のあった「みらくる☆おーくしょん」(ミラオク)は、以下のような理由を掲げて「閉店」している。

  • 現行のビジネスモデルでは問題点が多すぎるため(不透明感を払拭できない、落札できなかった方は入札手数料が払い損になる等)
  • 現行のビジネスモデルでは長期的な事業継続が困難であると判断したため
  • 他社様が同名サービスを開始され混乱を避けるため

現在、「同名サービス」としてはミラクル!オークション(http://miraoku.jp/ 運営:ミラクルマート)とミラクル☆オークション(http://www.miracle.sc/ 運営:株式会社アクティブ)の2サイトが運営されているが、いずれも「みらくる☆おーくしょん」とは関係ない。

参照

なお、このページはBidding fee auction - Wikipediaを翻訳した上で大幅に加筆修正編集を加えたものである。