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「blogの魅力を探る」記事に絡めて

 1週間前の記事に今ごろ気づいたので投稿。
Broadband Watch
清水理史の「イニシャルB」
第74回:これからの情報発信の本命になるか? blogの魅力を探る[2003/10/14]

 気になる部分もあるが、ブログの将来の見通しについては納得できる部分も多い。ということでコメント……と思って書いたら長文になってしまった。興味のある方だけ続きをどうぞ。


2003年10月23日01:12|記事内容分類:ウェブログ|by 松永英明
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 気になるのは以下の記述。

blogの正体がわかりにくいのは、その使い方が完全に自由だからだ。利用者、もしくは利用者が扱う情報によって、そのサイトはさまざまな形態になり得る。前述したように日記として使うこともできるし、個人所有のニュースサイトとして利用することもできる。また、掲示板のようにも使えるし、そこで議論を交わすこともできる。

 共通しているのはblogというシステムを使っている点だけ。あとは使い方次第というのがblogなのだ。

 前半部分はいい。ブログには定型がない、というのはそのとおり。だから定義しにくいというのも正しい。

 だが、ブログは「システム」なのだろうか?

>blogには「コメント」や「トラックバック(Trackback)」、「Ping」といった機能が用意されており、これらを使うことで、記事を元にしたコミュニケーションやblogサイト間のつながりが生まれる。
そういった機能は「典型的/一般的なウェブログツールに用意されている機能」であり、多くのブログに備わっている機能であるが、それはブログに必須ではない。必須ではないものを「既存のサイトとblogの違い」として説明するのは適切ではないだろう。

 ブログとは、ネット上での表現形態を指す言葉である。清水氏の解説する「ブログ」は、なるほどMovable TypeやMyProfileで作られた「ブログ」にはよく当てはまる記述だ。しかし、これらのツールが出現する以前の英語圏のウェブログとは何だったか。そこには、コメントを各記事ごとに入れるというルールもない。トラックバックも、PINGもない。ルールは「新着記事が上に挿入され、リンクとコメントが中心のサイト」ということだった。つまり、「ブログ? ああ、日本で言えば個人ニュースサイトみたいなものだね」ということになる。
 そして、日本でもニュースサイト、テキストサイト、日記サイトといった表現形態の境界が厳密ではなかったところへ、「ブログ」というジャンルが輸入され、そして今、MovableTypeやBlosxomといった「ブログツール」が黒船のように来襲し、「ブログ」が注目されつつあるという状況である。

 西洋ではブログという表現形態が社会現象となり、それを支援するツールとしてMTやblosxomやbloggerやその他諸々が登場したが、日本では類似の表現形態が独自に発展してきた。そこによく似た概念とともに、目新しい機能を組み合わせた強力なツールが上陸してきた。我々は今、その「黒船(ブログツール)来航」にあわてふためいている状況である。

 日本のインターネットの個人表現の歴史では、ツール(CGI)の基本は掲示板にあった、と乱暴にまとめてみたい。しかもそれはゲストブック型が基本である。ぁゃιぃわーるど(mini-BBS、くずはすくりぷと)やT-Cup掲示板で使われているように、「新しい投稿が上に積み重なっていく」(という点だけ取ればブログ的な)掲示板がまずある。日記スクリプトや、ニュースサイト用スクリプトも、この掲示板スクリプトの改造という発想で作られているものが多いように思う。
 掲示板は、その後、大幅な改造による「あめぞう型」の革命的な出現を迎えた。この亜流が2ちゃんねる掲示板だが、日本のコミュニティにおいて広く受け入れられていく。しかし、このタイプのコミュニケーションツールは、世界から見れば極めて特殊な例である。
 一方で、日本には独自の「他サイトの更新情報抜き出しツール」が登場していた。朝日奈アンテナ、WDB、なつみかんなどが、更新時刻を収集するものである。また「あめぞう2000ヘッドライン」では、更新時刻のみならず、最新記事部分のHTMLそのものを抜き取ることとなった(これらの後継が「はてなアンテナ」である)。これらのアンテナやヘッドラインサイトは現在、ブログにつきもののRSSを読み取って作られた更新情報サイトやRSSリーダー・ソフトと同様のことを、別の技術を使って実現していたといえる。

 したがって、ブログ上陸以前にも、「ニュースサイト」やその更新を助けるスクリプトもあ存在していたし、「更新情報取得」機能もすでに存在していた。記事投稿者は限定、そこへのコメントはだれでもつけられる、というシステムであれば、「街の灯」は日本の「グループウェブログ」のさきがけである、と私は主張したい(特定の記者が話題をふる2ちゃんねるの「ニュース速報+」もそれに近いかもしれない――Slashdotは広くブログと認識されている)。つまり、ブログに必要な要素は日本にもすでにあったのだ。トラックバックを除いて(しかし、これはブログ界においても必須の機能というわけではない。ブログ界に大きな変革をもたらした機能であることは確かだが)。

 どういうわけかインターネット史に入ってしまったが、要するに、ブログとはまったく新しい概念ではないが、日本人のネットコミュニティから見れば目新しい、という厄介な存在だということである(だから、ややこしいという点では清水さんと意見は同じである)。

(例が思い出せないのだが、もともと日本発のものなのに、外国から逆輸入されて初めて騒がれるようなモノ……そんな感覚もある)

 掲示板を掲示板システムと呼ぶのは違和感が少ないが、日記や個人ニュースサイトを「システム」と呼ぶのは少しためらわれる。むしろ表現方法というべきだろう。その意味で、ブログはシステム、というのは違和感がある。


さて、清水氏の文章で、ブログの将来について危惧する部分は同感である。
では、このような特徴を備えたblogが、なぜ国内では普及しないのだろうか? この答えは単純だろう。blogのシステムが、個人ユーザーにとって手軽に使えるものではないからだ。もちろん、記事を発行する手順は簡単だ。掲示板に書き込むような感覚で手軽に記事は発行できる。
 問題なのは、サイトを立ち上げるまでのプロセスだ。……(中略)……この作業は非常に煩雑だ。……(中略)……現状のままでは、blogの魅力である記事の発行というところまで、たどり着けるユーザーは数少ないことだろう。このような手間がなくならない限り、blogが普及するのは難しいかもしれない。
 設置するまでの敷居が高い。これはまさに現実である。自分もMovableTypeでこのブログを設置するまでに、Blosxom、tDiary、hnsなど各種の「ブログツール」を設置してみようと思ったが、サーバーの条件などにより試行錯誤を繰り返した。それは、今まで設置したことがある掲示板や日記関係のスクリプトとは桁違いの「敷居の高さ」だった。
 結局、設置後の管理画面が充実していたのと、利用者が多い=カスタマイズ情報が多いこと、今のサーバーではrubyが使えなかったことからMTに落ち着いたのだが、少し条件が違えば旧来のCGIを使ったかもしれない。
 それはともかく、ブログ(系)ツールは設置の条件が厳しい。blosxomは設置は簡単だがカスタマイズが大変である。この敷居の高さを取り除く「レンタルブログ」サービスが広まるか否かがポイントだろう。
 確かに「はてなダイアリー」はブログに非常に近い。だが、ああいう「村」的コミュニティがひっついてくるとなると、ためらう人も多いだろう。かつてのT-Cup掲示板のように「最初から各個人のサイトの付属としての意味しか持たない」、つまり独特のコミュニティを有さないで使えるブログホスティングサービスが登場したとき、初めて日本に「ブログの普及・定着」がありえると思う。

 大丈夫、T-Cupや2ちゃんねるがあっても、自分で掲示板を設置したい人は自前で設置する。どんなに大きなブログホスティングサービスが出てきても、自前で設置したブログの需要は絶えることがないと思う。



2003年10月23日01:12|記事内容分類:ウェブログ|by 松永英明
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