「民主党=青、共和党=赤」の色分けは4年前に始まったばかり

 アメリカ大統領選挙で、民主党=ケリーが勝利した州は青く、共和党=ブッシュが勝利した州は赤く塗られている図をよく目にするようになった。ところが、民主党のシンボルカラーが青だとか、共和党が赤だとかいう風に決まっているわけではない。

 実は、この色分けはわずか4年前、2000年に始まったものだという。それ以前は逆に民主党=赤、共和党=青という時代もあった。そして、これはどうやらマスメディアでの「暗黙の了解」のようなものらしいのである。

 先日のワシントン・ポストのコラム記事にそのあたりの事情を書いているものがあったので、翻訳してみた。

2004年11月13日00:21| 記事内容分類:世界史, 世界時事ネタ| by 松永英明
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ゾウは赤く、ロバは青い――色は甘い、だから州を色分けする

 今晩、あまりにも接近戦の選挙の結果がポツポツ出始めたが、投票者たちはどの候補がリードしているかどうかだけでなく、自分が「赤」か「青」のアメリカのどちらに住んでいるのかを見ることにもなった。

 テレビネットワークの選挙地図は、ブッシュ大統領が勝った州では赤に、ジョン・ケリーが勝った州では青に塗り分けられている。今夜の話は、赤と青で語られることだろう。ダン・ピーター・トム(※有名コラムニストたち)はどの州が赤くなるか、どの州が青くなるか、そして究極の色分けに基づいて、どちらが選挙を制するかを論じることだろう。

 もちろん、赤と青は、テレビの画面で表わすのに対照的な色が便利だというだけの理由で使われているわけではない。それは社会政治学の世界観のための速記法となっているのである。「赤い州」は共和党多数派というだけでなく、完全に地理的なもの(合衆国の中央部の長方形の領域)、図像学(カウボーイハットをかぶったブッシュ)、一連の型にはまった文化(保守的教会とNASCAR=全国自動車レース協会)を示す。「青い州」は沿岸地域、都市、ラッテ(ミルク)飲みに関するものを示す。赤い州は――ステレオタイプをもう少し民間レベルに落とすならば――少々田舎臭く、青い州はロックンロール的である。

 どうしてこういうふうに決まったのだろうか? 大陸国家の複雑な政治的・文化的現実をツートンカラーのパレットに減色して州の色を塗り分けたのは、どんな宇宙的装飾家なのだろうか?

 その答えはちょっと曖昧だ――確実なことを言うにはちょっと待たなければならないかもしれない――しかし、これは2000年の選挙で、NBCのグラフィックス部門とデイヴィッド・レターマンが決定的な役割を演じたようである。

 4年前、ブッシュがアル・ゴアに勝利したということに異議が唱えられる前には、自由主義と保守主義の色についての合意はなかった。実際、この区分は、伝統的なヨーロッパの連想を反映して逆になることもしばしばだった(赤は共産主義の色というだけではなく、英国労働党の色でもある)。

 1976年、NBCはジェラルド・フォード(共和党)の勝った州を青、ジミー・カーター(民主党)の勝った州を赤として区別した。1980年の選挙の夜、ABCニュースはロナルド・レーガン(共和党)がホワイトハウスへの道を開いた州を地図上に青い光で示し、カーター(民主党)の州を赤にした。「タイム」誌は1988年から2000年までのすべての選挙についての選挙図解で、赤を民主党、青を共和党に割り当てていた。「ワシントンポスト」の2000年の選挙での図解は、共和党が青、民主党が赤だった。

 「赤い州」と「青い州」という言い方が始まったのは、1980年以降の新聞・雑誌・テレビニュース原稿のデータベース検索によれば、2000年選挙の約1週間前のNBCの「Today」ショーだった。Matt Lauer とTim Russertは、表示された州の配置について論じた。この地図と色分けは、数日前、NBCの姉妹ケーブル・ネットワークであるMSNBCに登場していた。「それで、[ブッシュが]残る61選挙区を赤い州にするためには、あなただったらどうしますか?」 とRussertは尋ねている。

 昨日の取材で、Russertは赤い州・青い州の区別を作ったという主張をしなかった。「わたしがそれを最初に思いついたわけではない、というのは確かです。しかし、その言い出しっぺはホワイトボードだと思います」と、Russertは功績を現地投票追跡者に譲ったのである。

 2000年選挙は36日間の再計算という大失敗になったが、評論家はそれぞれの色についての合意に達した。新聞はこのレースを、赤VS青という大いに抽象的な言葉で論じるようになった。選挙から一週間後にLettermanが、「ジョージ・W・ブッシュを赤い州の大統領とし、アル・ゴアを青い州の長とする」という妥協案を提案したとき、この合意が固まったのかもしれない。

 これは基本的な二つの疑問に答えているわけではない。なぜ赤なのか? なぜ青なのか?

 ジョージ・ワシントン大学のメディア・社会問題学教授ステファン・ヘスは、アメリカ国旗と明白な関係があると指摘する。また、これらの色はテレビの画面でよく見えるとも言う。

 そのほかの組み合わせではうまくいかないだろう。青とグレーが試されたこともあるが、それがどういう結果になったかはご存知のとおり。国を「黒」州と「白」州に分けるのが間違っている理由は言うまでもない。そして、もぐら色と鴨色とか、暗褐色と藤色というような中間色を選ぶならくっきりと見えないだろう。

 陰謀論者共和党員の中には、赤で塗られることに憤慨している人もいる。この色分けは、ネガティブな特徴(燃え立つような、血なまぐさい、熱い、顔を赤らめる)と結びつけられる傾向があるからだ。しかし、赤は愛とも結びつけられるのである。一方、青は平和で穏やか、空と水の色だが、同時に寒さと憂鬱の色でもある。

 本当の問題は、色から連想される表面的な諷刺にあるのかもしれない。結局、2000年にわずか366票差でゴアが勝利を収めたニューメキシコ州を「青」い州と述べるのは正確なのだろうか? 二人の主要候補のいずれも今年は選挙活動をしようとしなかったほどの青い州であるカリフォルニア州では、有権者は近年、人種的優遇と二カ国語教育を無効にする発議権を承認し、共和党に賛成して民主党の知事を追い出した。歴史的な赤い州のオハイオ州では、ケリーは僅差の勝利を手に入れるかもしれないほど接近しているが、同時に、ゲイの結婚を禁止する憲法修正案を通過させようとしている。

 今年の夏の民主党全国大会では、上院議員候補Barack Obamaが応援者たちにこのように話しかけて、赤・青区分そのものの無意味さを雄弁に語った。「青い州でもリトルリーグをコーチするし、赤い州にもゲイの友人がいる。青い州においても敬虔に神に祈り、赤い州でも図書館の周りで連邦捜査官ががきまわるのを好まない」

 赤? 青? バラとすみれならそれでいいだろうが、政治と文化には多くの色合いがあり、その多くはぶつかっているのである。

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