ネット世論・ネットのトレンドを生み出すアルファブロガー

 FPN - ニュースコミュニティ- 日本のアルファーブロガーを探せ2004という企画が始まっている。アルファブロガーとは、ブログ界の世論に大きな影響力を与える少数のパワーブロガーのことのようである。

 今回はブロゴスフィア(ブログ界)において影響力を持つ日本のアルファブロガーについて考えてみたい。

2004年12月23日14:12| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ| by 松永英明
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アルファブロガーの定義について

 上記「日本のアルファブロガーを探せ2004」では、アルファブロガーの定義が「毎日20,000もの影響力のある読者に読まれている」ブロガーとされているが、出典となったNewsweekの記事によると少しニュアンスが違うようである。今回の記事の最後に全文を翻訳してみたが、それに基づいて定義し直してると、こうなるだろう。

 あるブロガーが、ブログ界(ブロゴスフィア)における興味深い話題や興味深い人物を取り上げると、それは無名の状態から一気にブログ界のメジャーな話題に躍り出る。そのような大きな影響力を持った少数のブロガーをアルファブロガーと呼んでいるようである。ネット内世論を左右できるとか、トレンドを動かす力のあるブロガー、あるいは新人発掘の「エンジェル」的ブロガーといえるだろう。

日本のアルファブロガーを探すのは難しい

 日本ではかつて「ちゆ効果」「変人窟効果」といった言葉があって、「バーチャルネットアイドル・ちゆ12歳」や「変人窟」といった個人ニュースサイトからリンクされると一気にアクセスが急増するという現象があった(変人窟は現役ですが)。そして、多くのサイトがそこで取り上げられた話題について言及するようになる。

 今もその現象は存在している。一日数万アクセスを平然ともたらす個人ニュースサイト「カトゆー家断絶」や「動画ファイルナビゲーター(※アダルトリンク注意)」の効果は厳然として存在している。レベッカ・ブラッド的なブログの定義では、個人ニュースサイトも立派なブログということになるので、これらをアルファブロガーと呼んでもまったく差し支えないだろう。

 話題を提起機能を持ったサイトとしては、影響力の大きさも考慮すると「ARTIFACT ―人工事実―」「アキバBlog(秋葉原ブログ)」などが挙げられると思う(かなり適当に思いつきで挙げているので、あまり突っ込まないでほしいが)。

 しかし、「週刊!木村剛」と「切込隊長BLOG(ブログ)~俺様キングダム」の話題性は十分だが、トレンドを決定するという方向性とはちょっと違っているように思う。どちらかといえばブロガー自身が話題となる人たちであって、「今、ブログ界ではこれに注目!」みたいな影響力となるとニュアンスが違うように思う(その点、「今、切込隊長×木村剛が熱い!」というような取り上げ方をしてブロガー/ブログ読者たちの視点を集めさせるARTIFACTはアルファブロガー的に感じる)。

 「これが面白いよ」と言えば何万人というブロガーがそこに殺到して記事化するブロガー、それがアルファブロガーなのだろうか。

 もちろん、限定されたジャンル内でのリーディングブロガーは、各ジャンルごとに存在している。出会い系ブログ界では「出逢い系ヲタの過激な恋愛記」を抜きに語ることはできない(出会い系のみならず、有名ブロガーネタにおいても)。しかし、残念ながら栗先生が話題に取り上げるとそれがブログ界全体に波及するという規模には及んでいないのが事実だろう。楽天広場アフィリエイター界ではカリスマ的存在の「アフィリエイト・プログラムでママさんアフィリエイターを目指そう!」、一部オタク系サイトでは参照率の高い「「ー`)<淡々と更新し続けるぞ雑記。ωもみゅもみゅ」も、ブログ界全体への影響力といえば難しい。

 「X51.ORG」や「ABC(アメリカン・バカコメディ)振興会」は他のブログで取り上げられることの多い影響力の大きなブログサイトだが、海外の特殊なニュースの紹介がメインであるという点で「アルファブロガー」の定義とはずれてくる。あくまでもこれはネタのソースとして扱われているからだ。

 このように考えてくると、日本の代表的アルファブロガーの条件に最もよく当てはまるのは、「やじうまWatch」のめたるまん氏ではないかという気がする。

ブロゴスフィアにおける情報の流れ

 ニューズウィークの記事では、「ティッピング・ポイント」メカニズムと「ブログ空間の暗黙の構造と力学」という論文が挙げられている。いかに無名のデータが突然メジャーなものになるか、という仕組みについての内容であり、非常に興味を覚えた。

 というわけで、以下、ニューズウィークのアルファブロガー記事の翻訳を載せておく。

アルファブロガー

 技術会議に対する影響力を強める「Aリスター」の高度に発展したコミュニティとの遭遇。インターネット時代にいかに巨大な力が働いているかを示す。

By Steven Levy

Newsweek 12月20日号

 数カ月前には誰も「podcasting」なんて聞いたこともなかった。そんな言葉は存在していなかったからだ。この夏、ハイテクマニアになったアダム・カリーというMTVビデオジョッキーがインターネットベースのラジオショーをやることを望み、ウェブログ経由でそれを配信した。(ウェブログ、あるいはブログとは、電子日誌を自分で発行できる個人ウェブサイトで、著者の関心にヒットした他のサイトなどにリンクすることが多い) 仲間のブロガーの助けを借りて、デジタルオーディオ素材を直接iPodデジタル音楽プレイヤーに配信できる特別なソフトを作ったのだ。このオーディオ配信に「登録」すれば、自動的に自分のアレがこの「podcast」で一杯になるのである。

 podcastingと同じくらい面白いものなら、ブロゴスフィア(ブログ界)、すなわち数十万ウェブログの相互に連結したタペストリーに受け入れられるのは間違いない。ブログ界の特別な側面として、少数の人物によって世論が形成されている。評判、新鮮さ、魅力を持った一定の「アルファブロガー」たちは、巨大な、影響力を持つ読者を抱えている。

 技術を追いかけるブロガーたちは、特に進化したコミュニティから成っている。アルファたち、あるいは自称「Aリスター」たちは他のブロガーとリンクし合うのが普通で、それによってコメントの一つが展開され、コメントされるという効果を生み出している。podcastingの場合、ブログからのざわめきが集まって耳をつんざくほどになった。この話題はあっという間にパソコンオタク界で盛り上がり、間もなくニューヨークタイムズやビジネスウィークにも登場した。

 ここでわかるのは、新しい力が働いているということだ――その力は上司のために働くのでもなく、編集者の手の加わっていない散文を書く人たちによって先導されている。そして、さらに巨大なハイテクコミュニティに井戸端会議ネタをもたらすのである。その力はハイテクのクールなもの探しだけではなく、オタクスタイル (オープンソースはナイスで。厄介なコピー保護はクソ)にも及ぶ。そして、この現象が重要なのは、インターネットメディアの分散型の世界で世論が形成される方法に対して、重大な意味を含んでいるということだ。

 Aリストに挙げられる技術ブロガーについて考えてみよう。誰にも雇われていない。誰にも任命されていない。自分のウェブログを始めるには、安価なソフトウェアツールと、何か言うことがあればいい。ウェブの組織化されていないおしゃべりの中から、最も鋭い声が飛び出すだけのことである。わずか1年のうちにハーバードでブログコミュニティを組織化した初期の提唱者デイブ・ワイナーのような人たちは確かに存在しており、ブロゴスフィアでの評判は高い。しかし、もっと親しまれている人たちがいる。長らく尊敬されてきた技術観察者にしてLinuxジャーナル編集者であるドク・シールズは、読者数の多いブログでバーチャルブランドにのし上がっている。あるいは、ダン・ギルモアの「We the Media(メディアである我々)」という本はブログ宣言となっている。

 書く技能、強い好奇心、先見の明ある直感力、多くの労力をかけた作業によって、混沌としたコミュニティから頭角を現わす人たちもいる。Aリスターたちが新入りの作品に注目し、そこにリンクしたとき、この現象が起きる。この場合、あっというまに名声がもたらされる。Robert Scobleも、その記事が最初にアルファに取り上げられたときには無名でしかなかったが「2週間後にはスティーヴ・ヴォズニアックのスーパーボウル・パーティーに招待されてしまいました」という。

「小さな話題についてニッチな影響を与える重要人物もいますが、Aリストというのも確かにありますね」と語るのは、ブロゴスフィアを追跡している企業TechnoratiのCEO、Dave Sifryだ。Siftyはラテをがぶ飲みし、スターバックス無線接続(Wi-Fi)を使いながら、矢を放って世論を形成する黒幕となるオタク番付をまとめ続けている。技術会議においては、ノートパソコンが接続できるようにするため壁に向かって群がっている人たちの姿を見ることができる。そうすることによってどこにいても見えない観客との会話を保っており、一日2万人もの来訪者があるのだ。こうして公開されたものについて誰も対価を支払わないが、podcastの例で示したように世論が形成されていく。「ブロゴスフィアは、ティッピング・ポイント機構です」とシールズは語る。これはマルコム・グラッドウェルの論文『ティッピング・ポイントThe Tipping Point)』に書かれた概念で、考えやトレンドが無名な状態から突然普遍的なものになりえるという仕組みのことである。よい考えは、ブロゴスフィアの「echo chamber(音響室)」によって拡大されていく。これは、ブロガーのオリジナルの発想である必要はない。実際、HP情報工学研究所の科学者が「ブログ空間の暗黙の構造と力学(Implicit Structure and the Dynamics of Blogspace)」という論文で書いたように、アイデアはブロゴスフィアでウィルスのように動く。アルファブロガーたちは悪疫を撒き散らす保菌者のように、コンセプトを広める。

 上位層に割って入るためには、頻繁にブログを更新することによって、群衆の気まぐれなレーダーの目にとまるようにしなければならない。他のブログへの膨大なリンクを張り、プロフィールを充実させ、内部リンクの機会を増やさなければならない。そして、書いていることについては強い意見を持っていなければならない――情熱がよいブログに必要だ。こうすることはとにかく時間を食う。Scobleは毎日ウェブログを書くのに2時間を費やし、さらに新しいアイデアや気の利いたソフト新作を調べるために3時間、他のブログを読む。「頭のいい新人とか、新しいクールなWindowsアプリを発掘する最初の人になりたいんですよ」――それでもブログで名声を得られる保証はない。

 そして、アルファブロガーたちはお返しに何を得ているのか? 財産でないのは確かだ。サイト上にGoogle広告を載せるプログラム(AdSense)に参加すれば数百ドルを手に入れることも可能だが、Aリスターのほとんどは気にしていない。シールズは言う。「もしお金儲けのためにブログをやるというのなら、それは間違った動機だ。ビジネスプランが何なのか、裏口で尋ねたりするのか?」その一方で、よい仕事を得たとか、儲かるコンサルタントをしているとか、公演でスピーチしたとか、技術カンファレンスの終了後のレセプションで言葉に耳を傾けてくれる人々から素敵なものを見つけた、と報告しているアルファブロガーたちもいる。

 しかし、アルファがエスタブリッシュメントになるとは思えない。そうなる前に、洗練されていないブログを書く烏合の衆たちがAリスターたちに恥をかかせて無所属の世界に引き戻す――あるいはそれに取って代わることだろう。Scobleは「どこからともなく発見されます。突然、1日4000人の読者が訪れるようになるんです」と語る。podcastingの次に来るものを見つけるのは、誰だろうか?

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あほなこといってるんじゃないよ、あほ。
まてよ、あほだからあほなこというのは当然か、あほ。
ほな、さいなら。

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