「漢城ではなく首爾と書け」ソウル市長の発表に中国人・華僑は当惑

 1月19日、ソウル市長がソウルの中国語表記「漢城(ハンチョン=中/ハンソン=韓)」を「首爾(首爾)(ショウル)」に変更するよう求めると発表した。

 これについて、中国側の反応は冷ややかなようである。中には韓国の民族主義を指摘する声もあり、一筋縄ではいきそうにない。中国のニュースや掲示板などでの代表的な反応を集めてみた。

2005年2月17日04:23| 記事内容分類:中国時事ネタ, 地理・地誌, 言葉| by 松永英明
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韓国首都の中国語訳名は最終的に漢城を首爾に改称することに決定

2005年01月19日13:51

 韓国“聯合通信社”の報道によれば、韓国首都の現在の中国語名「漢城」は韓国語の実際の発音と非常にかけ離れているため、韓国政府はすでに専門家委員会を設立し、首都漢城の中国語表記についての研究を進め、最終的に「首爾」の二字を使うことが確実となった。

 韓国メディアの指摘によれば、中国語の慣習として、外国地名の中国語表記は一般的に原語の発音と似たものとなっている。たとえばアメリカの首都ワシントンの中国語表記は華盛頓、英国首都ロンドンは倫敦などだ。しかし、韓国の漢城という中国語表記と韓国語名の発音はかけ離れている。

 韓国首都の新しい中国語名称「首爾(ショウル)」は韓国語の発音基本的に一致しているが、また簡潔で明快な二音節語であり、その意味も首都の名称として使用するのにふさわしい。その中でも「首」の意味は首、一流といった意味があり、韓国の首都が世界でも一流の都市であると説明している。「爾」の字は漢語文化圏では外国地名の中で極めて常用されている文字である。

 韓国メディアによれば、韓国首都の中国語名称を変更するために、韓国は去年1月に専門家で組織された「漢城中国語標識改善委員会」を設立、韓国首都の新しい中国語名称案を策定し、漢城の中国語名称について韓国で公開募集し始めた。何重ものふるいを通過して、韓国の専門家委員会は「首爾」または「首午爾」の二案を使うことを決定し、広範に権威の意見を収集した末、18日に最終的に「首爾」を韓国首都の新しい中国語名として採用することを決定した。

 韓国によれば、漢城の新しい中国語名称の正式確定に従って、韓国はインターネット上の中国語場や発行している各種中国語書籍など宣伝史料の中で関連する「漢城」の部分を「首爾」に変更し、同時に中国政府に対して今後の文献資料の中で韓国首都については新しい中国語名省を使用するよう正式に要請する。その他、韓国は国内外の世論とメディアによって積極的に宣伝を展開し、世間の人に受け入れられるように努力するという。

 韓国漢城市市長・李明博はこう述べた。「中韓が国交を結んでから、韓国政府はずっと漢城の中国語名称についての件を進めてきた。それがようやく最終結論が出たのである。

漢城という名称は発音において韓国語の実際の名称とかけ離れているが、首爾に改称した後は韓国首都は都市名の扱いにおいて世界と同等になるわけである」(春風)

漢城が「首爾」に改名 韓国は中国に改名要求 外務省は検討中

2005年01月20日13:36

来源:法制晩報

 韓国漢城市市長・李明博は1月19日に漢城市政府が開いた記者会見で、漢城市の中国語名省を「首爾」に改め、「漢城」という言葉は使わないようにと発表した。

 李明博はこう述べた。「圧倒的多数の国家は“SEOUL”という英文表記と似た発音を使っている。中国語の中でも華盛頓、倫敦、莫斯科(モスクワ)は地名のもとの発音からきた表記に基づいている。それなのに漢城の中国語名称のみ古代名称の漢城をずっと使っている。韓中両国の往来と交流が日増しに頻繁になる中、名称によってもたらされた混乱は増えつつある。漢城市は一年以上意見を求め、中国語名称として新しく「首爾」を「漢城」に変わって用いることと決定した。「首爾」は漢城の韓国語発音に最も近く、また外国地名によく使われる漢字を採用しているので、中国人もこの新しい名称になじみやすいだろう。漢城市は今後市政府の中国語ウェブサイト、あらゆる中国語発行物、各種標識上に新しい中国語名称を採用し、同時に韓国各種機関・団体・企業にも新名称を採用するよう求めていく。空港・交通・旅行標識・教科書などの出版物上でも新名称を使用する。

韓国は中国に対してもこの要求を提出する」と。

 19日、漢城市の中国語ウェブサイト上の大部分の「漢城」の字はすでに「首爾」に改められていた。

中国外交部(外務省):現在研究・検討中

 中国外交部スポークスマン事務室が午前、本紙記者に伝えたところによると、現在外交部は研究中で、具体的な状況はまた後日伝えるとのことであった。文/本紙記者:譚克華

中国地図出版社:改名はすべて外交部の通知待ち

 漢城が「首爾」に改名する件について、中国地図出版社・徐副編集長は記者に対してこう語った。、中国出版の地図が外国の国名と首都の呼称を変更するときには中国外交部に伺いを立てねばならず、外交部の回答後ようやく改名できる。しかし、外国の小さな地名の呼称を変更する場合には、一般的に外交部その他の関連部門の同意を求める必要はない。徐副編集長によれば、外交部の返答後に地図出版社が重版するときには図と呼称を変更することになるが、現在市場に出回っている地図を回収する必要はないとのことである。文/本紙記者:譚克華 実習生:郭紫純

首都空港:改編するかどうかは上次第

 首都空港の関係者が今日午前、記者に伝えたところによると、漢城を首爾に変更するかどうかの根拠は、民航総局が統一発表する全体要求によって決まるものであり、現在、民航通知はまだ来ていない。現在、韓国漢城に向かう便の名前を変える予定はない。文/実習生:郭紫純


漢城改名の背後には深刻な文化的根源がある

2005年1月21日2:26

 1月19日、韓国漢城市市長の李明博は記者会見を行ない、漢城市の中国語名称を「首爾」に変更し、「漢城」の語は今後使わないことを宣言した。李明博の解説によれば、圧倒的多数の国家は“Seoul”という英文表記と似た発音を元にした呼称をしており、韓中両国の往来と交流が日増しに頻繁になっているなか、漢城という名称がもたらす混乱は次第に多くなってきている。

 漢城市は一年以上意見を求め、新しい中国語名称として漢城に代わって首爾を採用することとした。

 韓国はなぜ本国の首都「漢城」の中国語名称を変更したのか?韓国漢城市市長李明博などの韓国政府関係者の説明は比較的無理がある。たとえ「漢城」の中国語名称を「首爾」に変えたとしても、翻訳や慣習的使用において混乱が生じるという問題がある。まして、中国語の中の外国地名もすべてが発音を根拠として翻訳されたものではない。英国の牛津(オックスフォード)・剣橋(ケンブリッジ)などは完全に音訳ではないし、アメリカの塩湖城(ソルトレーク・シティ)、アーカンソー州の小石城(リトルロック)などはすべて意訳である。

 「漢城」という呼称は韓国古代の歴史王朝の用法をそのまま用いたものである。1394年、李成桂は開京から漢陽に遷都し、正式に漢城(ハンスン)と命名した。この名称は中国語の中ですでに600年余り使われている。第二次大戦終結後、韓国は漢城を韓国語の「首都(Sieur)」とし、英語では音訳してSeoulとしたが、韓国の書面上の漢字は依然として漢城と書かれていた。そのため、韓国の今回の首都の中国語名称変更は、表面的に解釈するのはそれほど簡単ではなく、深刻な原因とその他の複雑な考察が必要であるといえる。

 19世紀末の民族主義の発展にともない、韓国国内には正しく自民族文化の正確な認識と中国文化が韓国民族文化に与えた影響についての客観的評価ができなくなり、それいよって中国語文化の影響を離れようとする動きがあった。韓国は第二次大戦後、民族主義の思潮がいっそう発展し、法律の規定によって韓国の表音文字をもっぱら使うこととした。

1970年から韓国の小学校・中学校の教科書の中の漢字は消え、完全に表音文字を使うようになった。

 韓国経済の飛躍にともなって、この種の極端な民族主義の雰囲気はさらに発展し、1988年ソウルオリンピック開会の前に、韓国政府はすべての看板の漢字表記を取り除く命令を下し、韓国の民族文化を強調しようとした。

 しかし、1999年2月になって、金大中大統領はようやく漢字使用制限を一部解除する命令を下した。しかし、このような解禁措置に対して韓国国内には激しい反対勢力があった。彼らはこのような措置が漢字の氾濫を招き、韓国文字がなくなることを懸念している。

 そのため、この意味においては、韓国が「漢城」という中国語名を改称したのは、この国の民族主義が新しい形勢のもとで継続し発展していることを示しているのである。

 また、「漢城」は中国人が数百年前から今まで慣れ親しんだ名称である。それは韓国古代の祖先によるものであるが、現代の韓国人は自分たちの名称と思わず、中国の漢代を連想してしまうようだ。漢代について、一部の韓国人は正確な歴史認識が欠けており、漢武帝が朝鮮に設立した四郡を朝鮮半島に対する侵略だと考えている。

 このため、一部の韓国人はこの名称にはよくない心情を持ち、わざわざ訳名を変えようとしたのだ。

 したがって、このような意味においては、韓国政府が今回改名についてなした解釈は表面的なものである。これは国際慣例と国際的な交流の便という理由に加えて深層心理の心情があり、韓国に対する漢字文化の影響を取り除こうとする試みなのである。

 これに対して、わたしたちは穏和で理解を示す態度をとるべきだろう。朝鮮民族は歴史上、日本の侵略の奴隷的酷使の苦しみを深く受けており、強力に朝鮮民族の文化を発揚して自身の民族文化の優勢な地位を高め、外来文化の影響を脱する努力をするのは理解可能かもしれないが、それをそのまま差し引いていいというわけではない。

 また、一方で、韓国自身は自己の民族文化を保持発揚すると同時に、外来文化、特に広大で深く精妙な中国文化に対しては捨て去る態度を取り、善悪を問わずすべて拒絶している。実のところ、広大で深く精妙な中華文化が朝鮮民族文化を生み出し、発展させ、巨大な貢献を行なってきた。

 具体的に今回の改名問題に対応する上で、韓国は自国の首都の中国語訳名を変更する権利を持っているが、中国その他の中国語圏の国家はその新訳名を受け入れるも受け入れないも独自に決定する権利を持っている。受け入れようと受け入れまいと、これは中国その他の中国語国家の有する権利であるから、韓国はそれを尊重すべきである。中国などのこれらの国家にとって、これは訳し方の問題だけではなく、歴史的慣習、経済費用など多くの面での問題を含んでいるのである。

□周永生(外交学院教授)

漢語分裂という側面から漢城を首爾に改称する問題を解決する

从汉语分裂的角度来解决汉城改首尔的问题

人民網 網友之声 2005-01-28 18:02:07投稿

 漢語と漢字の問題に関して、このカキコでは一つの新しい視点を提示しよう。それは、漢語と漢字の分裂現象から漢城の命名問題を解決するものである。

 ご存じのとおり、漢語と漢字は分裂している。この分裂は、漢字が様々な地域での改革を経て異なる形で変わっていったことによる。中国の境界内でも、台湾の中国語と漢字は大陸のものと異なっている。香港の中国語と漢字も大陸のものと異なっている。

 当然ながら、日本人も漢字を使っているが、日本人の漢字の使い方は大陸と違っている。韓国ももちろん漢字を使っている。少なくとも韓国人の名前について、韓国は漢字を使っている。

 中華人民共和国の簡体字改革以前には「汉城」は「漢城」と書いており、台湾省では今もこう書いている。多くの事情があって、字が異なり、言葉も異なるようになった。

 たとえば、日本人が現在使っている漢字と、漢字で構成された語は、大陸と同じように見えるものの、意味がまるで違う。海外の華人も華人新聞を扱っているが、その華人たちは中国籍ではないため、当然国内政府が関与する権限はない。彼らの漢字と国内のものもまた違っており、国内の指導は彼らの頭上には及ばないのである。

 台湾のいくつかの中国語の単語は、大陸のものとすでにかなり異なっている。たとえば大陸ではレーザーを「激光」というが、台湾では「镭射」という。大陸ではフロッピーディスクを「磁盘」というが、台湾では「磁碟」という。

 このため、どのように漢字・漢語を統一するかという問題は、すでに中華人民共和国政府の権限を越えたものとなっている。たとえば日本人の漢字の使い方、漢字の書き方を中国と同じようにしろと説得することなどできない。当然、韓国人が漢字の使い方、漢語の使い方を中国と同じにしろと説得することはできない。

 このようであるのだから、いっそのこと現状を認めてはどうか。つまり、このようにするわけだ。韓国人が使う漢語漢字漢字句では、韓国の首都を「首爾」と呼ぶことと規定し、大陸で使う漢語漢字漢字句では韓国の首都を「汉城」と呼び、台湾省あたりでは「漢城」と呼ぶ。このように多元化するわけである。

 中国政府は、国内で韓国語学生を育成するときに韓国で使われている漢語漢字句を覚えたいというのであれば、その首都を首爾と呼ばせ、中韓対照辞典には中国では漢城と呼び韓国では首爾と呼ぶと答えればいいのである。このようにすれば何の悪影響もないだろう。

 もし韓国政府が中国政府に問いただすとしても、中国政府の役人は堂々と漢語漢字句の分裂現象には打つ手がなく、権限範囲を超えているのだと言えばいい。中国の境界内の大陸だけでなく、台湾省や香港特別行政区を加え、海外華人団体を加え、さらに日本・韓国を加えれば、どうやって漢語漢字漢字句の統一用法が可能となるだろうか? あるいは、日本・韓国それぞれの地方にある漢字・漢字句の用法は統一できるのか? これは難しいことだと思う。

 国内でも現在各種翻訳がいろいろある状況にまだまだ手が回っていないというのに、韓国の事情にかまっていられるヒマがあるだろうか? たとえばタイタニック号は「铁达尼号」と「泰坦尼克号」がある。中国サッカーチーム主任コーチも、「哈恩」とか「阿里汗」とか呼ばれている。あのアメリカ大統領ブッシュも「布什」といったり「布希」といったり「布殊」といったりしている。英国の元首相メージャーも「梅杰」だったり、香港テレビでは「马场安」という。実はこれは私が理解するまで時間がかかってしまった。そのため、翻訳分野ではめちゃくちゃになっている。

 中華人民共和国政府は韓国政府に対して、まず国内で長い時間をかけて各種の不規則的な中国語を掃討できてから、韓国の要求を考慮しよう、と答えてもいいくらいだ。国内は漢語漢字分野において「内戦」状態に置かれている。外国の事情を扱うヒマがどこにあるのだろうか?

漢城VS首爾

 韓国は最近、首都Seoulの政府中国語訳名を漢城と呼ばず、「首爾(ソウル)」に改名すると発表した。これは政府から中国語首都名称の表現方法を統一するもので、歴史上前例のない破天荒な初めての試みだ。

 欧米諸国は彼らの元首や首都の名称の漢訳についてまるで重視していない。彼らの大使館が正式な政府名を示しているとしても、中国語マスコミのとっている態度としては、多数派それを受け取らず、好き勝手にやっている。倫敦(ロンドン)、巴黎(巴里)、華盛頓(ワシントン)などのどんな首都もすべて中国人自身が選んだ漢訳であり、それに難癖を付けられたことはない。国家元首の名前の訳にも騒ぎ立てるようなことはない。前世紀60年代にアメリカで選出された大統領について、香港アメリカ領事館は中国語訳として「甘乃迪(ケネディ)」と発表したが、アメリカの中国語新聞は一般的に「肯尼地」と表記し、台北では「堅尼地」とした。あまり友好的でない香港の新聞では「啃泥的(=泥かじり)」とやるなど、多種多様だった。中国語の影響を受けた東アジアの国々では、多数の都市に政府中国語訳名がある。ベトナムのハノイ(河内)、日本の東京、大阪などはすべて受け入れられている。

 「Seoul」にはもともと韓国の政府中国語訳名がなく「漢城」は歴史的な呼び方で、中国語メディアが慣用的に使ってきたが、誰も異議を唱えてこなかった。今、韓国が政府中国語名称を「首爾(ショウル)」に変えたが、みんな慣れないものである。「首爾」という名前は少し変で、読みづらいので流行しないのではないだろうか。みんなやはり旧名の「漢城」と呼びそうだ。

漢城を“首爾”に変えるのはわかりにくく合点がいかない

2005年02月04日14:16 中国新聞網

 1月19日、韓国首都漢城市市長・李明博は記者会見において、漢城市の正式中国語名章を「首爾」とし、今後「漢城」と呼ばないようにと発表した。

 なぜ漢城と呼んではいけないのか? 漢字文化圏の人に対して、600年間使った呼称を突然ぬぐい去れと言うのは、まさにわかりにくく合点がいかないことである。

 まず、韓国首都の位置は変更されておらず、ましてや遷都計画もすでに否決された。第二に、韓国語で称するSeoulはそのままなのに、改変はただ中国と世界の華人だけに「漢城」という呼称をもう使うなと言っているわけである。言い換えれば、これは華人に対する一方的な通告だ。

 李明博市長は三大理由を列挙し、韓国首都をなぜ「漢城」と呼ぶべきではないかを説明している。第一に、世界の圧倒的多数の国家はSeoulという英文表記の発音によって韓国首都を呼んでおり、中国人だけが古代名称の「漢城」と呼んでいる。第二に、ソウルは改名してすでに100年の歴史を有しているが、中国人は漢城と呼び続けており、国際慣例に合わない。第三に、韓中の往来は日増しに頻繁なものとなっているが、Seoulと漢城の発音が違っていて意味も同じではない。そのため「大きな混乱」をもたらしている。たとえば、韓国の二つの大学は、一つはSeoul大学、もう一つは漢城大学である。中国人はどちらも漢城大学と呼ぶので、これが交流における混乱をもたらしている。

対「漢」アレルギー?

 漢城当局は去年1月に成立した「Seoul漢語新表記委員会」で、半年以内に「発音が近く、意味がよい」まったく新しい中国語名を選出するという計画を立てていた。それが、6月に初選考結果を発表した後、新名称は梨のつぶてで、今年一月になってようやく「首爾」を漢城の代わりに正式発表したのである。

 李明博市長は「首爾(ショウル)の発音は韓国語Seoulの実際の発音に近く、意味もまた「第一城市」であって、中国人はこの新しい名称にすぐに慣れるものと信じている」という。

 韓国の地名を韓国人から決定してきたのはきわめて公平なことである。ましてや首都についてはなおさらで、これは完全に韓国人の「お家の事情」である。外国人は口出しをすることも許されず、必ず尊重しなければならない。しかし、中韓関係、特に韓国の独特な民族性を熟知している人は、決してこのように単純に解釈しない。

 まず、漢城市は首都であるが、市長は民選である。市長は中央政府を代表して「漢城は中国語で漢城と称してはならない」と発表することができるのだろうか?

 第二に、中国人は外国の地名・国名を訳すにあたって、音訳も意訳も可能である。たとえばドイツの慕尼黒(ミュンヘン)、アメリカの旧金山(サンフランシスコ)・檀香山(ホノルル)、イギリスの剣橋(ケンブリッジ)・牛津(オックスフォード)などは歴史的背景があって、すでに定着している。いずれにしても、中国人がどのように中国語表現するかについて規定するのは、文化内政に干渉する嫌らしさがある。

 第三に、「漢城」という名称は中国人がつけたものではなく、朝鮮王朝の開国皇帝・李成桂が決めたものだ。歴史によれば、李成桂は1394年、開京(現・開城)から漢陽に遷都し、正式名称を「漢城」とした。

 朝鮮半島は中国文化を吸収し始めてから中国の漢字を使い、すでに2000年以上になる。朝鮮王朝第四代国王世宗は1443年に朝鮮式の表音の角張った文字――「朝鮮諺文」(韓文ともいう)を作り出し、戦後には全面的に漢字を排除する諺文主義が興り、その言語文化政策はいままで左右に揺れ動いてきた。漢城は漢城にあらず、というのは、「漢」という字に対してアレルギー反応を示した表現ではないのかと疑いを抱いてしまう。しかし、「漢城」を取り消してもまだ「漢江」はその中心地を日夜流れている。これは理屈に合っていないのではないか?

 歴史から分析して、「漢城」の毎回の改名は、それぞれ韓国人の民族心理状態と直接・間接的な関連があるという人もいる。1394年、李氏王朝がここに首都を定めて漢城と改名したとき、読み方は朝鮮式の「Hansung(ハンスン)」だった。1910年、朝鮮半島が日本植民地になったとき、日本はこれを「京城」と改名し、読み方は日本式の「けいじょう」となった。1945年、朝鮮半島は解放され、大韓民国はまた漢城を首都とした。それは「首府」という言葉で称したが、漢字を使わず、韓文だけを用いて書くことになった。こうしてSeoulは朝鮮半島で唯一漢字表記のない都市となったのである。

ソウル当局の決定を尊重するならば

 かつて、世界の華人は韓国首都を漢城と称していた。一つには長い歴史の中で一般化した慣習であり、二つには韓国政府の印刷発行した中国語史料でも正式名称を「漢城」としていたからだ。いわゆる「百年前にはもう漢城と呼んでいなかった」というのは明らかに事実に違っている。それでも当然、わたしたちは漢城当局の決定を尊重すべきであり、今後は漢城を首爾と呼ぶべきであろう。

 しかし、首爾とは新しく作られた中国語訳名だ。朝鮮の文化・歴史から半島の環境の現実に至るまで、地名・人名はやはり漢字を土台に命名されたものである。たとえ南北朝鮮が日常生活で漢字を継続的に使っていないとしても、金正日・盧武鉉・朴正煕などすべてもともと漢字名なのだ。Seoulの元になる漢字は何なのか? どうしてこのことを避けて語らず、「漢城」という「誤った」呼び方をしてきた責任を中国と世界の華人に押しつけるのか? これは筆者がいくら考えても分からない疑問の一つだ。

 それに、「首府」の韓国語の発音はもともとSieurであり、音訳して英文表記でSeoulとなったわけだが、音訳方式は一種類に限るものではなく、激烈な論争があったのである。李明博市長は「首爾は英訳のSeoulをさらに翻訳したものである」というが、問題はまた一つの極論に陥っているようだ。というのも英訳をあまりにも偏重し、韓国語のもとの風味をおろそかにしてしまっているからである。李明博市長の英訳標準論によるならば、極論すれば、「韓国」の中国語表記も「高麗」と書くべきだということになる。標準英訳はKoreaだからだ。

(シンガポール聨合早報からの抜粋。作者:黄彬華)

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コメント(2)

日本のカタカナレベルなら「レーガン」「リーガン」という例がありましたっけ。
しかしながら、大数詞と10のべき乗との関係が英米間以上の混乱状況になっている言語世界に要求しても詮無いことのように思いますけどねぇ。

漢城の朝鮮語読みHanseongは「ハンスン」より「ハンソン」に近いでしょう。
Hansungという綴りは誤解を生むもとです。
またSeoulは英語である以前に朝鮮語名なので韓国がKoreaと呼ばれていることは問題が別でしょう。
中国語名「首爾」は定着しましたが、ソウルの隣の城南市などで合併が進み、新しい市の名前で「漢城」が1位。ソウルの隣で「漢城市」が復活しそうな状況で、どうなりますか。
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