【絵文録ことのは.】HOME|過去ログ表紙 > [サイエンス系] > アメリカは2007年に滅亡する?無意味な数字合わせ予言の実態を暴く
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まる1カ月半も前の記事だが、飛鏡新聞: 「米国は2007年に滅亡する」コーラン研究家という記事を見つけた(それほど反響は呼ばなかったようだが)。そこで調べてみたところ、英語の報道と、それに対する検証記事を見つけたので、訳して紹介してみたい。
このイスラム学者によると、コーランの分析によって2007年にアメリカ合衆国が滅亡するという結論が得られたという。「聖書の暗号」とか「人麻呂の暗号」とかをうっかり信じてしまうような人なら、こういうのをタイトルだけ見て事実だと思い込んでしまいそうな気もするので、こういう記事をアップしておくことも必要だろうと考え、遅れた話題ながら取り上げることにした。なお、以下のコーランの訳文はすべて、岩波文庫の『コーラン 上』『コーラン 中』『コーラン 下』(井筒俊彦訳)を引用させていただいている。
パレスチナ人学者Ziad Silwadiの発表した研究によれば、コーラン分析によってアメリカ合衆国は2007年に存在しなくなるだろうということが明らかになったという。
世界数百万人の回教徒の注意を引きつけたこの研究は、コーランの様々な節の詳細な解釈に基づいている。そして、最近東南アジアを襲ったものよりも巨大な津波が合衆国を襲うであろうと予測している。
「津波は、2007年に合衆国がこうむるもののなかでは比較的ましなリハーサルにすぎない」「神聖なるコーランは、全能なるアラーの力について警告している。巨大な罪は、大西洋と太平洋における巨大な洪水を引き起すことになろう」と、この研究では結論づけられている。
SilwadiはハマスのリーダーKhad Mashaalの家のあるRamallahに近いSilwad村出身であるが、世界的に著名な学者ではない。自分の研究結果を発表することに決めたのは、「これから起ころうとしていることがあまりにも衝撃的で恐ろしいものであるから、責任を感じた」からだという。
世界経済は大いに米ドルに依存しており、それが合衆国崩壊によって大きな影響を受けることを恐れている、とSilwadiは語り、さらにこう付け加えた。
「アメリカがまったく存在しない世界よりは、超大国ではなくなって弱い国々を利用するようなことがないアメリカのある世界の方がずっといいだろう、ということはいえると思う」「もしこの大惨事が起こったならば、世界は確実に大きな損失をこうむるだろう。アメリカ社会は経済・産業・科学に大いに貢献しているからだ」
合衆国が罪を受けるのは、主にアメリカ先住民や黒人など人類に対する大きな罪によるものだということがコーランに示されている、とSilwadiは語る。
「1492年、クリストファー・コロンブスが見つけた新世界にヨーロッパ人が来るとすぐにいわゆるインディアンたちに宣戦布告し、土地の所有権を主張した」「それから、アフリカからアフリカ人たちをさらってアメリカに連れて行き、奴隷にしてはずかし始めた。何百万という黒人が合衆国に拉致され、前代未聞の苛酷な扱いをされた。旅行の間に病気になった人たちは船の外に放り投げられて、魚の餌となった」と書かれている。
Silwadiは、合衆国が第二次世界大戦で最初に核兵器を使った最初の国となり、人類に対する戦争犯罪と「民族浄化」を犯し続けていると指摘する。
「国際法はこのような犯罪に罰を課すものである。もし、これらの法が適用されないのであれば、天において遂行される。もし地上のだれも合衆国を罰することができないのであれば、アラーはそのようにすることができたし、今もできる。これらすべての行動は、コーランという偉大なる書物にアラーによって記されている」
Silwadiは、コーランの中で、極悪な罪を犯す人たちに対する罰について述べているいくつかの章が合衆国について書かれたものだという結論に達した。
たとえば、この研究では「蜘蛛」の章の第40節が引用される。「我らは彼ら一人一人その罪状に照らしてこらしめた。すなわち、砂利の狂風を吹きかけてやった者あり、霹靂に打たれてしまった者あり、地の底に陥没させてやった者あり、溺死させてやった者あり。別にアッラーが彼らを苛め給うたわけではない、要するに彼らがわれとわが身を苛めただけのこと」。
傲慢と過剰なプライドという同じ「罪」を共有しているファラオと合衆国のパラレルを用いて、Silwadiは、コーランでは少なくとも12回、ファラオが悪しき行為の報いとして罰せられたという事実を指摘している。
「物語り」の章では、合衆国が明らかに水没することをほのめかしているという。「これを聞いていたフィルアウン(たまりかね、「これ長老たち、このわしのほかにはお前がたの神はないはず。さ、ハーマーン、泥に火をつけてくれい。わしに高殿を造ってくれい。ムーサーの神のところまで昇ってみせるわ。どう考えてもあれは嘘つきにきまっておる」と言う。」こうして彼もその軍勢も、ただわけもなく国中に専横をきわめるばかり。己れがいまに我らのもとに連れ戻されるなどありよう道理もないと思い込んでいた。それで結局、彼もその軍勢も我らに掴まれ、海に抛り込まれてしまった。見よ、悪逆無道の者どもの最後はどのようなものか」(第38~40節)
合衆国の滅亡が近づいているという理論を補強するため、この学者はコーランで言及されている多くの数字と文字を分析した。「開扉」の章と「ユースフ(ヨセフ)」の章に出てくる言葉の注意深い読み取りと分析から、合衆国がわずか231年しか存在しないことが示されているという。
どのようにしてその数字を得たのか? Silwadiは、合衆国の罪をほのめかしている章の数を調べることによって、1776という数字(合衆国独立の年)と231を得たのだという。その二つの数字を加えると2007となり、合衆国が消滅するであろうという年になる。
多くのイスラム教国で広まっている長期的研究において、Silwadiは、合衆国が非常に早く成長して実をつけるが根のない木にたとえられることが多い、と指摘している。
コーランにおいてこの比喩が使われているところを探したところ、Sliwadiは、コーランの最初から1776節目の「イブラーヒーム(アブラハム)」の章第26節で発見した。ここにはこう書かれている。「それからまた(こういう譬えもある)。悪い言葉は悪い樹木のごとく、地から引っこ抜かれて定めなし、と」。
パレスチナ人学者Ziad Silwadiは、合衆国が2007年に終焉を迎えるであろうと言う。「Silwadiは、合衆国が非常に早く成長して実をつけるが根のない木にたとえられることが多い、と指摘している」コーラン 十四「イブラーヒーム」26節で最初にこの比喩が用いられていることがわかった。「それからまた(こういう譬えもある)。悪い言葉は悪い樹木のごとく、地から引っこ抜かれて定めなし、と」。
Silwadiはコーラン14:26がアラブ版コーランで第1776番目の節であると指摘している。1776年は合衆国が英国から独立を宣言した年である。数霊術的な方法を使って、Silwadiは2番目の数を生み出した。それが231だ。Silwadiがどのように231の数を生み出したかについての詳細は、英国の報道機関では報道されていない――少なくとも私はしらない。Silwadiは231に1776を加えて西暦2007年という日付を得た。Silwadiは合衆国が2007年に破壊されるであろうと考えている。
Silwadiの作業を再現しようとすると、コーラン14:26は第1776番目の節ではなく、第1774番目の節である、という結果になる場合があるかもしれない。それは、特にオンライン上にあるようなたいていの英語訳では、アラブ版と違うナンバーが付けられているからである。例えば、第九章の英語版は127節あるが、アラブ版は129節である。
アブドゥル・ユースフ・アリの有名なコーラン(1934年)の印刷板はアラブ版の番号体系になっている。その解説(p.vii)で、ユースフ・アリはこの番号体系について「エジプトの王権のもとで出版された」コーランのエジプト版に由来すると指摘している。Silwadiは、コーランとエジプトの番号体系の双方ともに霊感によって書かれたものであると読者に信じさせようとしているわけだが、この番号体系はコーランから1000年以上も後に生まれたものなのだ。
Silwadiが計算するのにグレゴリオ暦を用いたのにはびっくりする。ユリウス・カエサルの時代から使われてきたユリウス暦を修正するため、1582年、教皇グレゴリウス8世はグレゴリオ暦を導入した。つまり、グレゴリオ暦が登場したのは、ムハンマド(マホメット)没後およそ952年というわけである。
ユリウス暦とグレゴリオ暦は閏を用いる太陽暦である。ムハンマドがグレゴリオ暦を知らなかったのはもちろんのこと、閏を禁じてもいる(コーラン009:036)。イスラム教徒に何らかの真理を伝えるためにアラーがグレゴリオ暦を使うようなことがあったら、びっくりしてしまう。
Silwadiがヒジュラ暦ではなくグレゴリオ暦を使わなければなかったのは、ヒジュラ暦だと欧米にとってうれしい節に当ってしまうからだ。例えば……
数霊術はまさに願望を反映するものだ。それぞれの心のゆがみに合わせてロールシャッハテストのインクのしみを読み取るように、人々は自分の欲するもの、望むものを何でも見てしまう。Silwadiは重要な日付に基づいて、どれだけの節でも合衆国に当てはめることができたはずだ。そして、コーランは圧倒的に否定的表現であるから、その結果はほとんど常に否定的なものになる。コーランは、嫌いな人間や国家に対して破滅や悲観的な節を当てはめようとする人に、決して失望させるようなことはない。
もしコーランの第1776番目の節が西暦1776年に対応するのであれば、第2007番目の節を西暦2007年に対応させるだけでいいはずである。では、Silwadiは合衆国が2007年に破滅することを示すのに、なぜ「231を足す」という数霊術の別の方法を持ち出さねばならなかったのだろうか? それは、コーランの第2007番の節(十六・蜜蜂 第106節)が、一時的あるいは永久にイスラム教から離れた人たちについて語っているからである。この節は合衆国には当てはまらない。ほとんどのアメリカ人はイスラム教徒であったことはないし、合衆国のイスラム教徒は声の大きな気難しい少数派でしかない。
以下、Silwadiが自分の方法でチェックすべきであった他の節と年の対応を示しておこう。
この評論においては、Silwadiの数霊術に関する功績は、気まぐれな錯覚であるということが明らかになった。
「聖書の暗号」もそうだし、この「コーランの暗号」もそうだが、一見詳細な対応があるように見えて、実はこじつけが多い(聖書の場合は、ヘブライ文字が母音を有さないという一事を考えれば、どうとでもこじつけられるものということが理解できよう)。ノストラダムスのようにもともと未来予言書として書かれているならともかく、もともとの目的が宗教的な目的の聖書やコーラン(仏典もある?)をいじくって年代を算出しようというのはもとより不可能である。頭脳ゲーム的お遊びであればとやかく言わないが。
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