「はてな」はウェブ上のシステム手帳になりえる。そして「はてな記法」の秘める可能性について。

 伊藤直也さんの「はてながこだわるWebサービス提供の本音」( CNET Japan)は、表現そのものは技術者向けの専門的なものになっていたが、興味深く読んだ。勝手に要約すると、これからのウェブサービスに必要なのは、自分たちの開発したシステムを外部からも活用できるようにし、その結果、そのサービスのサイトが他のサービスのプラットホームとして使われるようになることではないか、というようなことになるのだと思う。とにかく使わせた者勝ち。

 このあたりと絡んで、「naoyaのはてなダイアリー - 隠さなくていいものは隠したってしょうがない」といった記事に絡んでいって、「たとえその情報が開示されたとしてもそう簡単に真似できるものではなかったり、真似したからといってうまくいくものでもない」というフレーズが出てくる。そして、デファクト・スタンダードになるようなものは、情報公開しても耐えられるし、むしろ使ってもらって利益を還元してもらえる、という考え方が根底にあることがわかる。

 この発想には共感を覚える。そして、「はてな記法」の秘める潜在能力についてちょっと書いてみたいと思う。今回のエントリーは見出しごとに独立したまとまりのないエントリーになってしまったがご了承を。

2005年6月12日23:19| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ| by 松永英明
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隠さなくていいものは隠したってしょうがない

 いいフレーズなのでもう一度引用させてもらうと、「たとえその情報が開示されたとしてもそう簡単に真似できるものではなかったり、真似したからといってうまくいくものでもない」。そうそう、それそれ。

 実は最近、ウェブサイト構築についていろいろ聞かれることがあって、たとえばSEOとかSEMとかSMOとかの話をガンガンやったりしている。はっきりいってSEO業者だったらえらい金をとるような情報を平然とただでしゃべりまくっている。そういや、アメリカのSEO業者はコンサルで数百万とるって言ってたな。それくらいの値打ちのある情報なんだろうけど、けちらずにしゃべる。

 なぜなら、言ったところでそのとおりやる人たちはほとんどいないからだ。まあ、いきなり理解できないってのもあるだろうけど、それ以上に「今までのやり方」にこだわったり、あるいは、アクセスアップを望んでいながらなぜか「そこまでやる必要があるのか」ということになってしまったり。やりゃあいいものをなぜか敬遠するということが多いのだ。

 もちろん、言ったとおりにやってもらえればアクセス向上するわけなので、たとえば完全に任されたり、積極的に導入してもらえるなら、その結果が目に見えて出てくるので、それだけでも嬉しいし、楽しい(そういうことだから金欠なんだという突っ込みはしないように。笑)。

 ネットで金を稼ぎたいという人に、アフィリエイトやせどりの話をする。あるいは「これをやったら絶対アフィリエイトでいい感じに攻めれるんだけど」というネタも(自分ではやってる余裕がないので)結構しゃべってたりする。それが実現してうまくいったら嬉しいのだが、なかなか実現しないのが逆に残念なくらいだったりする。情報は「出せる限り出す」のがおもしろいし、そこから発展するものも多いように思う。((あまり関係ないが、情報を与える人のところに情報が集まるというのは一つの真実であるが、一方、たとえばライターとしていうならば、守秘義務のある情報を聞いたとしても、絶対に漏らしてはいけない。ここを勘違いして「知っていることは何でもべらべらしゃべる」ならウケると思っている人がいるが、そういう人は信頼を失う。だから、「出せる情報は出し惜しみしない」という表現が一番ぴったりくるように感じる。))

 もっとも、本の企画などの場合は、どこまで情報を開示するか、どこまで隠すか、結構さじ加減の難しいところがある。本の企画ならすぐにマネされる可能性があるので、出し渋りたくなることも多い。

はてなはウェブ上のシステム手帳になり得る

 さて、話はまるで別のことになる。はてなが提供しているウェブサービス群のことだ。

 現在、はてなにはいくつかのサービスが提供されていて、それがなかなか便利である。

 はてなダイアリー、はてなグループ、はてなフォトライフ、はてなブックマークはメモ帳・雑記帳・写真帳をウェブに移してきたものといえよう。

 はてなアンテナ、はてなRSSは他のサイト・記事の更新チェック。

 人力検索はちょっと置いておくとして(いや、置いておかなくてもいいのだが)、情報を集め、情報を整理して、記録しておくというツールとして、はてなは非常に優れたサービスのセットを提供してくれていると思う。「ウェブサイト構築」という規模までいかないレベルで、メモ帳、アイデア帳、知識・データの保存庫的な使い方が気軽にできるという「情報整理ツール」=はてな、という感じだろうか。((ブックマーク単独なら、blogmapの))

 今のポータルサイトはYahoo!、Google、Excite、goo、Livedoorなどをイメージするに、「検索」と、天気予報など各種の情報提供、そしてコミュニケーションが中心だ。いわば、今までのポータルサイトは新聞・雑誌なのだ。それに対して、はてなは公開されたメモ帳/雑記帳というイメージがある((一般のブログサービスは、ウェブサイト内のコラムコーナー作成というイメージが強いかもしれない。レポートや報告書のレベルというか。もちろん、書き飛ばしに近いものも多いわけだが、はてなの場合はブックマークなどの存在によって、さらに気兼ねなくメモっておけるサイトとなりつつあるような気がする))。((この流れでいうと、mixiなどのSNSは情報満載の名刺フォルダーになるのかもしれない))

 と、まあこういう勝手なイメージで言うならば、このはてなのサービスはおそらく、「自分が過去に気軽にメモった情報を、あとから整理・利用する」という部分が強化されることによって、最強の「情報・思考・アイデアを整理することもできるツールセット」となりえるような気もする。つまり、今のタグやカテゴリの再編集や、自分の利用している全サービスの横断検索といった部分が出てくればさらに強くなるだろうと思う。あとは、「はてなスケジュール」とか「はてな名刺」((SNSに似ているかもしれないが、「名刺を渡した相手にだけ見える情報」と「誰にでも見えていい情報」を名刺作成者が自由に設定できて、受けた側は独自にメモを追記できるプロフィール作成ツールってのがあったらおもしろいかもしれない。FOAFの拡張的に。))とかが出てくれば、はてなは「ウェブ上のシステム手帳」となり得るのではないかと思う(手元のシステム手帳との違いは、公開の有無だ)。

はてな記法は最高に書きやすい

 さて、以上はサービスあるいはツールとしての観点から言ったわけだが、わたしがはてなで一番注目しているのは、何といっても「はてな記法」なのだ。

 はてなダイアリーでは、たとえば行頭に*を付ければ、その行は見出しになる。-で始めればリスト、+だったら数字リスト、>>と<<で挟んだ部分は引用だ。半角カッコ二つで((注釈))となるのも便利。

 いちいちタグで書くよりもかなり手間が省けて書きやすいというのは、最大の魅力である。もちろん、<h3>見出し</h3>と書いてもいいのだが、*見出し なら一瞬で済んでしまう。この利便さは比較しがたいほど大きい。引用のたびに<blockquote><p>引用</p></blockquote>と毎回書くのは面倒だが、>>と<<で挟めばOK、というならさくさく書ける。この心理的障壁のなさは非常に大きい。

 もちろん、この「はてな記法」はwikiの記法を参考にして作られたものだが、微妙に違っている。そして、その違いの部分で、非常に使いやすく工夫されているのである。

 『はてなの本』の近藤さんインタビューにこういう一節がある。((手元にある原稿データからのコピペなので書籍と違うところがあるかもしれないが、未確認。あと、みんなでつなげよう!ブログの輪「良いサービスを作ることがサービスの発展に」も参考になる。))

 例えば、見出しに時間を入れさせてくれっていう話がありました。そうすると、日記を書く人の気持ちにならないと駄目でしょ。それまで見出しは「*……」って書くことになっていたわけです。その動作の中に、時間を記録したいっていう心理をどうやって組み入れれば一番自然になるだろうか……。それで、「今見出しを書いているんだ」と思って「*」を書いている動作の中に、時間の要素が入り込むのがいいだろう、と思ったんです。

 そのときの入力モードは半角なので、たぶん半角で一気に書けた方がいいだろう。使っている文字はアスタリスクなので、なるべくそれに近いものがいいだろう。だけど、「time」とか「timestamp」とかいうふうに長かったら、たぶんだれもやらないだろう。……というふうに、ほんとに時間をかけて考えるんですね。

 携帯から更新するときはどうだとか、いろんなシチュエーションも全部考えて、それでやっと生まれた「*t*」というのは、ほかにはなかった記法です。

 今このサイトで使っているMovableTypeというブログツールはよくできているが、デフォルトで使えるテキストの書き方は2種類。自動で改行を入れてくれるモードか、すべてタグを記述する(つまり、HTMLのソースをそのまま書く)というものである。自動改行モードであれば、とりあえず掲示板に投稿するような感覚での記事なら簡単に書ける。

 で、MovableType用のプラグインとして、mt-sukeroku-plus.plというものがある。これを導入すると、YukiWiki風記法、PukiWiki風記法、そしてはてな風記法の3種類が使えるのである。

 このブログも最初は「自動改行モード」で書いていた。そして、数回PukiWiki風記法を試した後、今はほとんどすべてはてな風記法で書いている。というより、はてな風記法が使えないブログツールはあまり使いたくないくらいだ。ブログツールsbを使おうと踏み切ったのも、はてな風記法プラグインがあるのを確認したのが最後の決め手だった((実際にはかなり違っているので、改造したくてたまらない。sbのはてな風記法プラグインは、アマゾンへのリンクなどの自分があまり使わない部分が充実していて、見出しに対応していないなど実際に必要とする部分が弱い。))

 こういう「はてな記法中毒者」は結構いるみたいで、「無印吉澤 - はてな記法ジャンキー」なんて話もある。

 で、今のところ、はてな風の記法が可能なツールはMovableTypeとtDiary、で不完全ながらsbの3つだけしか確認していない。

 使ってみればわかるが、はてな記法は非常に優れている((唯一の問題は、改行するとすべて段落扱いになってしまって、<br />にはならないことだ。一回改行でbr、2回改行で<p>扱いになる書き方はすでに定着しているので、これに対応した「はてな記法BR」と選択できるようになっているとさらにユーザーが増えると思う。))。そして、「はてな記法」がウェブ上に広がり、記法におけるスタンダードになったとき、はてなは大きな影響力を持つようになると思う。

 で、そのための方法だが、とりあえず今世の中に公開されている様々なブログ・日記ツール用のプラグインとして、はてな記法プラグインを作りまくって公開してみたらどうだろうか((自分で作ろうと思ったがそこまでのスキルはないので言ってみたという要素もある。わらい))。sbで、blosxomで、nucleusで、hnsで、a-blogで、XOOPSで、YukiWiki・PukiWiki・TikiWiki・WikiMedia等で、はてな記法が完璧な形で使えるようにしてしまうのである((とりあえず思いつくままに列挙してみただけで、本当にできるかどうかは未確認。ただ、自前設置のブログスクリプトの場合、はてな記法だとタグの分データが軽量化できるメリットもあるので、ぜひ導入したいというユーザーは潜在的に多いのではないかと思う。あるいは、はてな記法で書いておいて各ブログサービス用表記に変換できるブックマークレットorエディターとかができれば、一応、どのサービスでもはてな記法で書けるということになる。))。逆webサービスという感じになるかもしれないが。

 そんなことをしたら、はてなユーザーがダイアリーを使わずに自分のブログに移行してしまうかもしれない、なんてケチなことは考えない方がいいし、はてなの人たちはそんなこと考えないだろうとも思う。実際には、わたしのようにダイアリーを使いつつ、「はてな以外でもはてな記法を使う」というジャンキーを増やすことになると思う。そのうち、「はてな記法」が使えるということが新興ブログサービスの売りになっていくようになったらおもしろいだろう。

 サービス形態やツールのレベルではなく、「記法」という表現方式のレベルで、はてなは大きな財産を持っている((実装部分できちんとしたHTMLを吐き出すようにしてあれば、W3C原理主義の人からも「リストのときにliを使わず「・」で代用するのはいけない」とかいうようなレベルの突っ込みを受けずに済む。わらい。))。これをあちこちで使わせることに成功したら、はてなは大きなアドバンテージを獲得するのではないかと思うのである。

ブログツールの次はこれがほしい

 で、最後の話ははてなから離れる。

 現在、自分はブログツールを「ウェブサイトをブラウザから更新するためのツール」として使っている((メディアはメッセージでありマッサージであるという観点からいえば、ブログツールを使う=ブロガーであり、簡単に更新・変更できるがゆえの記事の書きやすさは内容や表現にも表われてくる。たとえば、ページ作成の手間が省けて本文に専念できるなら、長文や連載でも気兼ねなくできる、とか。しかし、ブログというメディアがあるからジャーナリズムが変わるとかいった期待は特にない。ジャーナリストが有効活用すればおもしろいことになるメディアだとは思うが。したがって、ブログ終焉論などにはズレを感じる。))。特に、MovableTypeで実際にHTMLファイルを出力してくれるというところは便利だ。

 しかし、ブログツールは土台に「時系列順」あるいは「更新情報優先」という発想がある。だから、データベース的なサイトを構築するためには、かなりテンプレートをいじる必要があるが、これはかなり面倒だったりする。

 そうではなくてサイトそのものを構築する、となるとCMSツールということになるわけだが、現在のCMSは動的生成でポータル機能充実というところに向かっていて、ちょっと自分の目的とはずれるところもあったりする。

 いってみればDreamWeaverの代わりになるような、ウェブサイト(HTMLファイル)出力可能なCMSツールがあればいいのにな、と思っている。新規ページを作って、カテゴリ別に放り込んで(サブカテゴリ、各カテゴリごとのデザイン変更可能)、そのファイル順・カテゴリの並び順を指定できて、カテゴリ内での前後のファイルへの移動リンクができて、一応「新規更新アーカイブ」がWhats New的に作れる(簡易ブログ機能、RSSも同時出力)。各ページでは、データ作成日と最終更新日が出せる。

 各ページへのコメント、トラックバックはなくてもいいが、あればいい感じ。

 つまり、MovableTyepが時系列順にデータを管理するのが基本になっているのを、カテゴリーとデータソート順に管理し、HTMLファイルを出力できるウェブサイト構築ツールができれば、ということだ。((動的生成のCMSはいくらでもあるのだが、実際にHTMLファイルが存在する静的生成では少し違う。そして、既存のCMSは動的生成が基本で「静的も」できる、という発想のものが多いように思う。))

 言ってみればappleple CGI Gardenのa-column+a-updateの進化型という感じだろうか。

 というわけで、本当にまとまりのないエントリーだが、ここから何か着想されて、何か便利なものが生まれたら嬉しく思います。

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2005年6月12日23:19| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ| by 松永英明
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