はじめての入院

8月はじめからほとんど1カ月にわたって入院していました。その記録を忘れないように入れておきます。

2005年8月30日16:00| 記事内容分類:闘病記| by 松永英明
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mixiの「友人まで公開」に設定してある日記にメモ代わりに書いていたのを引用しつつ、補足入れます。

発症

 夜、寝ようと思ったら右側に激痛。起きあがると痛みは消える。横になって眠れない状況なので、mixiで情報を求めることにした。

2005年08月01日04:34

右脇に謎の激痛(;´Д`)
右の脇というか胴体上部に激痛
症状わかる人教えてください
横になっても痛みで跳ね起きそうになるがそれでまた痛みという感じ

痛みの中心は右胸の下あたり、肋骨の境界あたりかな
肝臓なのかな?
でも痛みが右胸上部と肩にも連動してる
(神経痛っぽい痛み)
肋骨の下は前から押さえても何ともない
もう少し上あたり 特に背中側

呼吸の仕方や姿勢で激痛が走る
座ってる方がましかも
とにかく少し休もうと思ったが休めない

外傷その他心当たりなし

多少の痛みなら耐えるんだが、この激痛の激しさは異常
死にそうとは言わんが死にそうと言う人がいてもおかしくないくらいの痛みかもしれん

#「病院に行け」という書き込みが予想されるが、そもそも何科に行けばいいんだ???

つーか座ってるとあまり何ともなかったりして、でもちょっとした弾みに胸上部が響いたりするんですけどね。今平然とブログ更新中www
とりあえず病院は真剣に行くことにしよう

 そこでいろいろ言われたのが「急性膵炎」「肋骨が疲労骨折」「気胸」「肋間神経痛」「肋軟骨剥離」「帯状疱疹」と見事にバラバラな病名だったので、何も考えずに病院に行くことにした。といっても、原因がわからないので総合病院に行くしかない。ただ、行こうと決めたのが午後だったので、大きな総合病院は外来を受け付けてない。というわけで、あまり大きくないこぢんまりとした総合病院に行くことにした。

 受付で症状を説明すると「ではとりあえず内科へ」と言われた。

 しばらく待って、先生に呼ばれる。症状を説明すると「もしかしたら肺かもしれないね」ということで、胸部のレントゲンを撮ることになった。息を吸って、止めて……といわれると痛みが走る。

 そのレントゲンを見て、先生が一言、「肺炎の可能性があるね」。右の肺の上部に影があるらしい。そして胸水がたまっている可能性もあるという。

 そこでCTスキャン、つまり体の断面写真をとることとなった。このときは横にならなければならず、激痛と闘ったわけだが、その結果、

「右肺の上部に肺炎、その影響で胸水がたまっており、胸膜炎を併発している」

ということがわかった。セキやタンも全然でないのでわからなかったが、肺炎だったのだ。横になると激痛になるというのは、たまっている胸水が背中に流れ込むために痛みが走っていたらしい。

 もちろん、即入院を勧められたのだが、仕事の引き継ぎもあるから、と引き延ばした。とりあえず3日まで朝晩通院して抗生物質を点滴。それで改善されないようなら入院ということになった。

ユナシン――入院決定

2005年08月02日10:22 2度目の点滴

昨日の夕方に続いて抗生物質の点滴
朝の分打ちに行ってきた
また夕方行く

そもそも点滴ってのが生まれて初めてだったんだが

メモ書きにこう書いてあった
生食 100ml
ユナシン 3g

ユナシンはペニシリン系抗生剤らしい。
フレミング先生萌え(´ー`)ノ

おくすり110番「トシル酸スルタミシリン(ユナシン錠、ユナシン細粒小児用 等)」によると、ユナシンはこう書いてある。

ペニシリン系の抗生物質です。グラム陽性菌を中心に、大腸菌やインフルエンザ菌(※)などグラム陰性菌の一部にも有効です。緑膿菌やセラチアには効果がありません。扁桃炎や咽頭炎、気管支炎、中耳炎など比較的軽い感染症に用いることが多いです。(※細菌のインフルエンザ菌と、インフルエンザ ウイルスとは種類が違います)

安全性の高い抗生物質ですが、まれにアレルギー症状を起こします。

肺炎・肺膿瘍、腹膜炎の場合:スルバクタムナトリウム・アンピシリンナトリウムとして、1日6g(力価)を2回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。

 今回の治療は基本的に「抗生物質を点滴して、肺炎の菌を叩く」のが中心。そこで、1日午後の診療後から始めて、3日午前まで点滴をまじめに朝晩受けに行った。そして3日午後、もう一度診断を受けたのである。

 レントゲンで撮影した結果――なんと胸水が増えてしまっていた。肺炎そのものは影がやや薄くなったというのに、これではだめである。翌4日から入院することとなり、とりあえず点滴を受けて帰った。

 実のところ、これだけの肺炎だったらだまって座って話を聞いたりできないはずらしいのだが、自分は何かが鈍感なのか、平然と話を聞いていたのだった。

 各方面に入院の連絡をし、入院準備をする。なにしろ、生まれたときに病院にいた以外はまさに「はじめての入院」なわけで、何をどうすればいいのかわからない。とりあえずネットで調べたりして、あとはノートパソコンを持ち込むことにした。

 病院内ではネットは一切使えず、携帯電話も電源を切っておかないとまずい状況なので、外部との連絡はほとんどとれない。ただ、玄関口まで行けば大丈夫なので、可能な場合はそこから連絡を取ることにした。

 一応の目安としては、1週間から2週間で退院できるだろうとのこと。とにかく言うことを聞いて治療に専念することにする。

胸水を抜く

 本人はいたって元気な様子で、ただ痛みだけがひどい。

 入院した4日の午後、背中から針を刺して胸水を抜くことになった。特に手術といった大がかりなことではなく、ベッドの上での作業である。局部麻酔の注射が痛かったが、その後に刺さった注射針は特に痛みがない。

 まず20ccほど検査用に抜かれ、それからはパイプをつないで瓶の中に胸水を垂らすような形である。チョロチョロとかすかに黄色がかった水が流れていくのが見える。

「先生、どのくらいたまってますかねえ」

「200ccから300ccくらいはたまってるんじゃない?」

 しばらくすると先生が言われた。

「400cc超えたよ……まだまだ勢いよく出るねえ」

 じっと見ていても大変なので、先生も看護婦さんもちょっとその場を離れる。その間、じっと座って胸水が流出するのを待つ。

「700cc超えたね。まだ出そうだねえ……。若いから全部抜いてしまっても大丈夫だけど、1000ccくらいで止めておいたほうがいいかもしれない……」

 というわけで様子を見ていたら、ちょうど1000ccくらいのあたりで胸水が出なくなってきた。息を吸い込むと少し流れるが、吐くと止まる。そのうち、流れなくなった。

 というわけで針を抜いておしまい。まさか1リットルも胸の中に入ってるとは思わなかった。

「そりゃあ、こんなに入ってたら痛いはずだよ。こんなにひどかったら、もっと苦しむはずなんだけどなあ」

 妙に元気な重病人だと思われている。抜いた胸水を見せてもらうと、ちょうど赤ワインを薄めたような感じの色で、多少黄色っぽい体液に微妙に血が混じってこういう色になるらしい。ただ、悪性のものではないようだ。もっと濁った色になったり、臭いこともあるという。

 これで完全に水が抜けたわけではなく、多少残っているのだが、それはもう抜けないらしい。とりあえず横になることができるようになったので、その夜からは楽になった。

マキシピーム――入院継続

 病院は9時消灯。はてなの近藤さんじゃないが、そんなに早く寝たら、夜中の3時ごろに目が覚めてしまう。仕方がないので2度寝するのだが、夏の朝5時ごろといったらすでに明るく、もう寝ていられない。

 朝6時すぎに灯がつく。朝の体温などを測って、8時から朝食。9時か10時ごろに朝の点滴。12時になったら昼食。そしてしばらくしてからまた体温を測り、17時ごろに夕方の点滴。18時には夕食。20時ごろに夜の体温測定があって、21時消灯。

 ひたすらこのサイクルの繰り返しで、空いた時間はとにかく暇なわけである。仕方がないのでPCの中に放り込んでおいた洋書のデータを訳していた。無理をしない程度に適当に訳しては休み、訳しては休み、という感じでやっていたら、逆に集中力が出てきてぐんぐん訳が進んでしまう。

 ところが、それと反して、治療はなかなか進まなかった。日々改善には向かっているはずなのだが、周囲の人たちが次々退院していく中、取り残されていくのだった。

 1週間をすぎた12日金曜日。熱が37度台から下がらず(ただし自分としては熱があるという感じさえなく、平然としていた)、レントゲンでも影に変化がない。最初の薬・ユナシンには限界があったようだ。

 肺炎というといろいろな種類の細菌が繁殖している。そして、それぞれの抗生物質は、どの菌に効いてどの菌に効かないという範囲がそれぞれ違っている。どうやら、ユナシンでは退治しきれない菌が残っているようなのだ。

 そこで、金曜日夜から、点滴される薬が変更された。今度の薬は「マキシピーム」である。

A Bristol-Myers Squibb Company

注射用セフェム系抗生物質「マキシピーム」は、黄色ブドウ球菌を含むグラム陽性菌から緑膿菌を含む陰性菌まで、強力で幅広い抗菌スペクトルを持っています。さらに他剤耐性菌にも強い抗菌力を示し、緑膿菌の耐性を誘導しにくいという特性があります。各種感染症に関しては78.6%と高い有効率を示しました。 日本のブリストルマイヤーズ研究所で発見され、その後米国をはじめ世界に広められた、いわば「日本から世界に紹介された世界のセファロスポリン製剤」です。

2005年08月14日18:23 入院継続中

37度台の熱が下がらず、レントゲンでも影に変化がないので、金曜夜から抗生剤がマキシに変更された

昨日の夜、右胸の大きな痛みが一つボコッとなくなったので、効果があったのかも。でも熱が下がらない……

2005年08月15日11:01 好転

さっき回診あり
聴診器診断によると胸上部の炎症は消えた模様

胸下部は微妙に水と炎症が残ってるみたい

今朝36度台に熱が下がったけど、これで下がり続けてくれれば退院できる
早ければ水曜中かな

クラリシッド

 マキシピームに変わってから、確かに肺炎は小さくなった。それまで右を下にして横になると痛みがあったのが、このころから寝返りが打てるようになったのだ。しかし、肺炎はすべて消えてはいなかった。また、熱も実際には37度台をうろうろとしていた。熱をはかるたびにがっかりの結果である。

2005年08月17日10:30 ガーン(;o;)

まだ退院できない!!!(;_;)

まだ肺炎が消えきってないので、今度は飲み薬の抗生剤も併用するらしい

 飲み薬もやはり抗生物質で、名前はクラリシッド(200mg)という。「おくすり110番」によれば、

マクロライド系の代表的な抗生物質です。グラム陽性菌にわりとよく効きます。百日咳菌など一部のグラム陰性菌や、嫌気性菌にも有効です。ただ、効き目の悪い耐性菌も増えています。

この系統の特徴として、細菌以外のマイコプラズマやクラミジアにも有効ということがあげられます。子供のマイコプラズマ肺炎には、たいていこの系統が使われます。

 朝晩食後に飲む。つまり、朝晩、点滴と飲み薬の2種類の抗生物質で叩きまくるわけである。

 結果的に、クラリシッドを飲み始めてから、熱はぐんぐん下がってきて、36度台で安定するようになった。薬を変えるたびに、何らかの効果は確かに出ている。しかし、決め手がないのである。

 8月28日には女子十二楽坊ファンクラブの「ファンの集い」イベントがあって、それにスタッフ側として手伝わなければならない。長くてもお盆明けくらいまでには出られれば何とかなる、というところだったのだが、結局、ずるずると入院が続いていた。

オメガシン

2005年08月22日10:58 退院ならず

熱は下がってきたが胸上部の影が消えてないので、今日夕方から点滴の種類を変えてみるとのこと

ただし熱が下がったままなら今週中には外来に切り替えるとのこと

2005年08月22日18:09 最終兵器の名前は

今日夕方の分からの点滴は抗生剤のオメガシン

 オメガといったらギリシア語アルファベット最後の文字であるから、そろそろとどめを刺してほしいところである。RPG敵キャラの名前っぽいところが微妙に気になったりするが。omegasinによれば、「カルバペネム系抗生物質製剤」ということだ。

バズクロス

 オメガシンは3回ほど打ったところで、注射した周囲にかゆみが出てきたので中止。24日は朝晩の点滴が休みになった。

2005年08月25日10:25 (;_;)

退院ならず

オメガシンでカユミがでてきたので中止

肺炎の影消えず

さらに入院継続

新しい点滴はバズクロス
ギザワロスじゃないお

28日は外出許可もらう

 口調がしょこたんなのは見逃してもらうとして、新しい点滴はバズクロスである。これは強力な呪文のような名前だ。パズクロス注の説明によると、

注射用に開発されたニューキノロン製剤です。

広い抗菌スペクトルを有し、短時間作用時でも強い殺菌効果と優れたPAEを示します。

とのことである。

外出

2005年08月28日10:18 外出許可もらった

楽坊イベントスタッフ側参加のため外出許可もらった

朝の点滴済み

しかし体力なくなってるよ
歩くのがつらい

 約1カ月近い入院生活。体力が弱るとは聞いていたが、まさかこんなに力が入らないとは思わなかった。5分歩くだけで息が上がってしまう。数カ月前に山手線一周歩いた人間とは思えない状態である。足に力が入らない。ふくらはぎがもうだめだ。病院から家、家から駅まで歩いた時点で、もうふらふらである。

 何とか恵比寿駅に到着したが、ベンチに座ってしばらく休ませてもらった。体内の力は安静によって高まっているのだろうが、筋力などは本当に弱ってしまうものらしい。

 もっとも、その後ゆっくり歩いたりしているうちに、動くのは可能になってきた。かなり座っていられる役目をもらったので大丈夫で、夕方にはまあ普通に歩けるようにはなっていた。

 それより何より、とにかくファンクラブとしての初のイベントが無事成功を収めたのが嬉しかった。夜は門限があるのでさっさと帰って点滴を打ったが、疲れすぎて目が冴えて眠れないような状態。夜中から朝までは熟睡した。

退院

 と外出許可をもらった翌29日、血液検査とレントゲン検査があった。

 レントゲン検査の結果、肺炎はまだ消えていないのだが、炎症反応が消えたという。今まで炎症反応が2~3(正常値は0.5以下)だったのが、29日の検査でいきなり0.5に下がっていたというのだ。バズクロスが効いたに違いない。ただし、「女子十二楽坊の癒し&エナジー効果」が強力に効いたのだということで話を進めてしまおう。

 結局、この炎症反応が下がったことが決め手となって、その日のうちに退院できるようになったのである。拍子抜けするような感じでもあった。

 退院後は、飲み薬クラビット錠100gを1日3回。「おくすり110番」によると、

ニューキノロンと呼ばれる抗菌薬です。旧来の抗菌薬に比べ抗菌力が強く、いろいろな細菌に有効です。病巣への移行がよいのも特徴です。飲み薬では治療の難しかった難治性の感染症にもよい効果を示します。副作用も少ないほうです。

 ということで、バズクロスと同じニューキノロン系の抗菌薬だということである。

 現在、完治ではないものの、在宅治療として退院できたので一安心。いろいろご心配してくださった皆さん、ありがとうございました。

薬のまとめ

  • ユナシン(点滴)ペニシリン系 8/1~12
  • マキシピーム(点滴)セフェム系 8/12~22
  • クラリシッド(錠剤)マクロライド系 8/17~29
  • オメガシン(点滴)ニューキノロン製剤 8/22~23×
  • バズクロス(点滴)ニューキノロン製剤 8/25~29
  • クラビット(錠剤)ニューキノロン製剤 8/29~
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2005年8月30日16:00| 記事内容分類:闘病記| by 松永英明
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入院なさっていたとは知りませんでした。
しばらくはあまり無理なさらずにお体大事にしてくださいね。

更新がストップしてらしたのでいささか心配しておりました
どうぞお大事に…

炎症反応→CRPの方が正確かも(炎症反応という検査値があるわけではないから)。まあCRPは炎症の指標だから意味はわかるけど。てっきり大陸で変な病気もらってきたのかと思ってたけど治ってよかったよかった。

このブログ記事について

このページは、松永英明が2005年8月30日 16:00に書いたブログ記事です。
同じジャンルの記事は、闘病記をご参照ください。

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