第十一回文学フリマ参加記録

2010年12月5日に開催された第十一回文学フリマ参加記録。いろいろ次につなげる反省点もあり、非常に有意義な機会だった。

事前の報告は第十一回文学フリマ「エ-35」ことのは(@kotono8)出品リストを参照のこと。他の参加者の感想等は2010年12月5日(日)「第十一回文学フリマ」開催 - 文学フリマ事務局通信のトラックバック欄参照。

2010年12月28日01:06| 記事内容分類:創作活動, 編集・出版, 電子書籍| by 松永英明
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売り手としての感想

ブースの見せ方/レイアウトも「表現」

私にとって文学フリマのブースでいかにアピールするかというのは、これ自体が「表現」の一環である。そして、私は文章を書く人ではあるが、それをどのように見せるか(=レイアウト/デザイン)も重要な「表現」の要素だと考えている。単に同じ文字列を使っていても、その見せ方には大きな差が出てくる。

文フリ11a

前回の経験から引き続いて、「VILLAGE VANGUARD風の手書きPOP」と「立体的配置」を基本プランとしてレイアウトをする用意をした。ただ、立体的配置についてはもう一工夫可能だと思っている。

文フリ11d

好評を博した「三菱東京UFJ銀行に合流した全銀行系統図年表」

「三菱東京UFJ銀行に合流した全銀行系統図年表」は事前のツイッターでの反響も大きかった。売り切れこそしなかったものの当ブース比過去最大の売り上げとなった。「兄が銀行員」「経済学史を学んでいる」というようにこれが身近な方々から、「こういう樹形図とか図表とか見るだけで萌える」という私の同類の方々まで、多くの方に興味を持っていただけたのは幸いである。

文フリ11c

A2サイズだからこそ表現できるものがある。印刷用にはepsデータを入稿しているので、それをPDF化すれば確かにiPadなどで見ることは可能である。しかし、電子書籍の場合、全体像を見るときは細部がつぶれて見えず、細部を拡大すると全体像が見えなくなる。木を見るか森を見るかを選べるのが電子書籍だが、木と森を同時に見られる「一覧性」は、大判の紙でしか実現できない。紙の本をそのまま電子化することは「自炊」に見られるように流行しているが、紙と電子ではそれぞれに合った表現がある、ということを訴えたくて、あえてこの大きな紙作品を作ったというのもある。

次回は続編として「三井住友銀行に合流した全銀行系統図年表」や解説小冊子を用意したい。

事物起源探求第2号「日本」の起源

価格が高めであることもあって部数としてはそれほど伸びていないが、「事物起源探求」第2号も多く手にとっていただけた。嬉しいことに「創刊号が面白かったので」ということで今回もお買い上げいただいた例もあり、まさに書き手冥利に尽きる。

今回は一つのテーマでのまとまった冊子となったが、次回は創刊号と同じく雑多な内容を集めたものにしようかとも考えている。

文フリ11e

ゲニウス・ロキ手提げ紙袋

特に後半戦、あれば便利な「手提げ紙袋」。本を抱えている方にはおすすめして、それなりに興味を持っていただけた。しかし、これだけブースが多い中、紙袋を用意しているのは(私が参考にした)TOLTAさんとうちくらいのものではないかと思われる。手提げ紙袋は意外と制作費がかかってしまうのが原因だろうか。うちはたまたま安い印刷屋さんを見つけたから実現できたわけだが……。まだまだ在庫はあるので次回も売ります。

文フリ11b

電子書籍をKindle 3で売る

Kindleは電子書籍を「読む」デバイスではあるが、Kindle 3になってウェブブラウザがwebkitエンジンベースとなって格段に強化されたため、電子書籍を「売る」ことができた。

電書部のご協力により、今回は「電書売店」システムを使わせてもらうことができた。これはブラウザでアクセスして操作すれば事前に登録した電書を販売できる仕組み。Kindle 3は3G回線が無料で使える上、eInkの特性としてバッテリーの消耗も少ないため、こういう出先で扱うにはかえって向いている。メールアドレスの入力などがちょっと不便ではあるが、慣れればどうということはない(実のところ、同時に用意されていたノートパソコンは接続設定がうまくいかず、まったく使えないまま終わってしまった)。

今回は「電子書籍デバイスで電子書籍を売る」という貴重な体験をさせていただいたのである。

さて、今回は自分自身の電書を2冊販売したが、新刊ではなく改訂版だったりしたため、部数的にはそう伸びていない。

ただ、今回は冴島奈緒さんの電子写真集などとのコラボレーションが実現した。その経緯はさておくとして、電子書籍というキーワードでこういうつながりが広がっていくのは楽しい。

文フリ11f

その他の寄稿

.review 002では論考2本掲載(「アーティストのプロモーション戦略論2――女子十二楽坊はなぜ失速したか」「オタク系聖地巡礼のゲニウス・ロキ」)。『奇刊クリルタイ5.0』ではロングインタビューを受けていた。

クリルタイは、制作陣としては内容に自信があったのに売れ行きが伸びなかったことをしきりに反省していたのだが、内容がよくても売れるとは限らない(逆もまた然り)。事前のプロモーションの改善で結果はまったく変わってくると思うので、次回は早めの準備で対応できるのではないかと思う(まあそれが簡単にできれば問題はないのだが……)。

読者としての感想

さて、今回は1時間ほど会場をぶらつかせていただいた。購入点数は前回より減ったが(買いそびれや売り切れも多かった)、客としても楽しい会場であった。

自分もやりたかったのに先を越されてくやしかったのが、「本めぐりスタンプラリー」である。スタンプラリーという文字を見るだけで目の色が変わる私としては、もはやこれは参加せずにはいられない。

文フリ11スタンプ

次回は私もスタンプラリー提供側として参加したい。いや、スタンプラリーが2種類・3種類、同じ会場で展開されていてもいいと思うのだ。できるだけ多く回ることでいろいろと発見できるものもあるだろう。スタンプのためだけに立ち寄って何か興味のあるものが見つかるかもしれない。

紙の本の購入物一覧

文フリ11購入a

(写真左上より。贈呈されたものも含むが文フリ出品物のみ)

  • Kulturtrieb-G Vol.1(学習院大学表象文化研究会/クルトゥーアトリープ):鈴木真吾さん編集。文化批評誌といいつつ本気で遊んでいるのが楽しい。
  • 未来回路2.0(未来回路製作所):骨太の論考が多い。もう少し長く読みたいものも。
  • MAJiRES(マジレス!):肩の力の抜けたサブカル的論が楽しい。
  • bnkrR Vol.1(bnkr編集部):いつもの創作練習が楽しい。
  • BOOTLEG:本文内容は文句なしの映画評だが、それはさておき、本文レイアウトがどうしても「エロ雑誌の一色刷サブカルページ」的に見えてしまうのはどうしたらいいのか。
  • .review vol.2:論考二点寄稿しました。他の論考も興味深いもの揃い。ただ、CDでというのは費用はかからないし電子派の人にはいいのだが、いかんせん「ぱっと開いてみる」わけにはいかないのが難点かも。
  • 萌える台湾読本2010/この台湾ミステリーがすごい!(萌えるアジア):シンディ・ワン追っかけ日記が収録されているというだけで何も考えずに購入。今後コラボしたい。
  • アイドル領域 Vol.2/Vol.2.5(ムスメラウンジ):Vol.1に続いて購入。読み応えのあるアイドル論。
  • えどまん(1)(旗防田丈):江戸時代に漫才師たちが激突!という設定勝ちの小説。
  • 蝶夢抄(境でらしね):文学フリマらしい短編集。
  • 書評王の島4(トヨザキ社長):1~3も面白かったので迷わず購入。サインももらった。今後の書評の書き方の参考にしたい。
  • 艮の金神/おにおに(霊界物語ファンクラブ):出口王仁三郎の有名な大著をサウンドドラマ化している。王仁三郎が現代に生きていたらこういう悪のりを率先してやったはずだ。
  • The SAVOY サボイ第0号:特集「牛久大仏」。ふざけっぷりが楽しい。
  • ことのはアウトプット第二号(早稲田大学文芸創作会ことのは):「ことのは」つながりでご挨拶したついでに今回も購入。
  • お困り日誌(倉田タカシ):EnterprizeZine(翔泳社)のエッセイ「お困り日誌」からのセレクション。無料。これはおもしろい。
  • 「嫌いなジャンル」本(創作サークルGIFT):スタンプラリーで立ち寄って購入。自分の嫌いなジャンルをあえて書いてみたらしい。「で、好きになりました?」「いえ、やっぱり嫌いです」。世の中そういうものだ。
  • 物語群(西瓜鯨油社/牟礼鯨):鯨さんの短編集。文学の王道だと思う。

文フリ11購入b

  • トルタの国語 冒険の書(TOLTA):ここまで手をかけたものを作ってみたい。
  • 合本 日本のBL古典/日本のいろもの古典(秘本衆道会 衆道士ペドフェチ):セクシー古文系の古典エロ文学集。こういうネタは私も好きで、平賀源内「痿陰隠逸伝」とか宮武外骨「猥褻風俗史」とかを訳してウィキに載せているくらいだ。なのでタイトル見た瞬間に購入。
  • 火の群れ116号(穂積生萩):『折口信夫全集』に未収録の講演「万葉集の理想」が掲載されているというので購入。貴重な資料。
  • みんなの性教育(悪ふざけがすぎました):タイトルとサークル名の勝利。
  • 奇刊クリルタイ5.0:ロングインタビューを受けました。特集「インターネットと人」。テーマも中身も悪くないのだが、もう少しキャッチーなサブタイトルでもよかったのかも。

電子書籍(電書)購入物一覧

(電書部のシステムによる購入物。厳密には.review 002も電書ではある)

  • 電書部売店
    • 電書部技術班/シーズン2
    • 電書校正録 -70 万字ができるまで -
  • ショップ米光
    • 電書雑誌よねみつ2011年全予約
  • トラウマ児童文学レビュー集売店
    • トラウマ児童文学レビュー集 懐かしい傷
    • ライトノベル化する児童文学
    • 聖地巡礼 アニメ・マンガ1ヶ所めぐり 『崖の上のポニョ』広島県福山市鞆の浦編
  • ついのべ電書部
    • 内藤みか自選ツイッター小説集(英訳つき)
    • 目で読むラジオ〜おやすみの前に〜
    • 222 ツイッター小説自選集
  • 松恋屋
    • サバービアとミステリ 郊外/都市/犯罪の文学
    • "この町の誰かが"翻訳ミステリファンだと信じて
    • チミの犠牲はムダにしない! 〈完全版〉

文学フリマに期待すること

文学フリマへの参加は、通算4回・連続3回となるが、とにかく楽しい。本を作ることも楽しいし、それを売るのも楽しいし、買うのも楽しいし、いろいろ交流ができるのも楽しい。もっとも、自分の場合は文学というよりは批評・評論枠での参加なので純粋に創作系(小説・詩歌系)とはだいぶ雰囲気が異なるかもしれない。だが、広い意味で「文芸」の枠には入りそうな何か(文章で表現する行為)をしていることには間違いないので、今後もぜひ参加させていただきたいと思っている。

そして、電子書籍の方が向いているもの、紙の方が向いているもの、その違いを考え、実験していきたい。

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2010年12月28日01:06| 記事内容分類:創作活動, 編集・出版, 電子書籍| by 松永英明
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