外国人・多文化共生に関する自治体・民間の動き

出典: 閾ペディアことのは

外国人が多く集住する地方自治体や民間団体などにおいて、独自または連携して多文化共生のための取り組みを行なっている。

目次

やさしい日本語

1995年の阪神淡路大震災の後、「内なる国際化」への具体的対策として、弘前大学社会言語学研究室では「やさしい日本語」を提案した。初級レベルに相当する日本語能力試験3級程度(現N4)を想定した簡易表現によって、災害発生後、多国語に翻訳する手間を省いて迅速な情報提供を行なうことを目的としている。

やさしい日本語は2004年新潟県中越地震、2011年東日本大震災でも活用され、効果を上げた。

川崎市外国人市民代表者会議

1996年、川崎市は「ともに地域社会をつくる外国人市民に自分たちの問題を調査・審議する機会を保証し、市政への参加をすすめ、ともに理解しあい、ともに生きる地域社会の形成に役立てるため」、外国人市民代表者会議を設置した。条例によって設置された機関としては初。

構成員は日本語で話し合いのできる外国人のみで構成され(通訳同伴は可)、行政的な権利はないが、市長が提言を受けて回答する義務がある。これによって実現されたものとしては、多言語で広報や窓口相談を行なう「言語サービス」、外国人高齢者福祉手当増額の条例制定などがある。

外国人集住都市会議

2001年、外国人住民(特にニューカマーと呼ばれる南米日系人を中心とする)が多く住んでいる13の自治体が「外国人集住都市会議」を設立した。2011年現在、会員都市は28に増えている。

  • 2001年5月7日:浜松市で第1回会議開催。
    • 同10月:浜松市で「外国人集住都市公開首長会議」を開催。外国人住民との地域共生に向けた「浜松宣言及び提言」を採択した。
    • 同11月:「浜松宣言及び提言」を5省2庁に申し入れ。
  • 2002年:外国人集住都市東京会議で「14都市共同アピール」を行なう。
  • 2003年:外国人集住都市会議シンポジウムin豊田
  • 2004年:外国人集住都市会議in豊田、「豊田宣言及び部会報告」を採択。
  • 2005年:外国人集住都市会議よっかいち2005、「規制改革要望書」を提出。「未来を担う子どもたちのために」を2年間のテーマとする。
  • 2006年:外国人集住都市会議東京2006、「よっかいち宣言」を採択。
  • 2007年:外国人集住都市会議みのかも2007。「地域コミュニティ」、「外国人の就労」、「外国人児童生徒の教育」をテーマとする。
  • 2008年:外国人集住都市会議東京2008、「みのかも宣言」を採択。
  • 2009年:外国人集住都市会議おおた2009。「正しく伝えること、伝わること」、「大人の日本語学習の仕組みづくり」、「外国人市民と共に構築する地域コミュニティー」をテーマとする。
  • 2010年:外国人集住都市会議東京2010、「おおた宣言」の採択、外国人集住都市会議会員28都市間で「災害時相互応援協定」を締結。
  • 2011年:外国人集住都市会議いいだ2011。

外国人集住都市会議の会員都市

外国人集住都市会議発足当初の13都市は以下のとおり。

  • 【群馬県】太田市 | 大泉町
  • 【長野県】飯田市
  • 【静岡県】浜松市 | 磐田市 | 湖西市
  • 【愛知県】豊橋市 | 豊田市
  • 【三重県】四日市市 | 鈴鹿市
  • 【岐阜県】大垣市 | 美濃加茂市 | 可児市

2011年4月1日現在、28都市となっている。太字は座長経験都市。

  • 【群馬県】伊勢崎市 | 太田市 | 大泉町
  • 【長野県】上田市 | 飯田市
  • 【岐阜県】大垣市 | 美濃加茂市 | 可児市
  • 【静岡県】浜松市 | 富士市 | 磐田市 | 掛川市 | 袋井市 | 湖西市 | 菊川市
  • 【愛知県】豊橋市 | 豊田市 | 小牧市 | 知立市
  • 【三重県】津市 | 四日市市 | 鈴鹿市 | 亀山市 | 伊賀市
  • 【滋賀県】長浜市 | 甲賀市 | 湖南市
  • 【岡山県】総社市

日本経団連の外国人に関する提言

日本経済団体連合会(日本経団連)は、2004年に「外国人受け入れ問題に関する提言」を発表した。

ここでは「2006年から総人口が減少に転じる見込みになっているが、私たちは、その“埋め合わせ”のために、外国人の受け入れを進めていこうとは考えていない。」としたうえで、「本提言では、多様性のダイナミズムを活かし、国民一人ひとりの“付加価値創造力”を高めていく、そのプロセスに外国人がもつ力を活かすための総合的な受け入れ施策を提案する」としている。

具体的に「外国人を受け入れるための三原則」として以下の三点を挙げている。この原則を踏まえて、政府に対して「期限を定めて具体的に施策を展開しつつ、透明かつ安定的な外国人の受け入れシステムを確立すること」を求めている。

  1. 【質と量の両面におけるコントロール】外国人の受け入れは、その質と量の両面で、十分にコントロールされた、秩序あるものでなければならない。……今後の受け入れに当たっては、求められる職種・技能の要件や受け入れ人数、期間を明確にし、合理的な基準で客観的な判断を行っていくことが必要となる。
  2. 【外国人材に対する人権の尊重と差別の禁止】受け入れる外国人の人権や尊厳を損ねるものであってはならない。人間の尊厳に関わるような劣悪な労働条件や生活環境、あるいは賃金などをはじめとする差別が許されないことは当然のことである。……入国時だけではなく在留期間中においても、外国人の生活や就労の実態について、行政が必要に応じて把握、確認できるようにしておくことが必要である。
  3. 【受入国、送出し国双方にとってのメリットの確保】外国人の受け入れは、受け入れ企業や外国人にとって有益なものであることは当然として、さらに受け入れ国、送り出し国の双方にとってメリットのあるものでなければならない。

この提言では、企業経営における「異文化経営」(ダイバーシティ・マネジメント)を重視しているのも特徴である。

2007年、経団連は「外国人材受入問題に関する第二次提言」を発表し、EPAによる看護師・介護士の受入などを踏まえた提言を行なった。

多文化共生の推進に関する研究会

2005年、総務省に「多文化共生の推進に関する研究会」が発足、翌年以降、報告書を発表している。多文化共生の推進に向けた地方公共団体の取組を支援することを目的とし、外国人住民を主要な対象とした上で、できる限り外国人住民全般にも適用し得る施策展開に配慮するとしている。

2006年の同報告書では、地域における多文化共生を「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義している。


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