「サイト」単位と「記事」単位の情報の流れ、アルファミームの発見(付:はてな各サービスの使い分け)

ブログの登場で、今までの「ウェブサイト」を主体とした情報の流れとは別に「記事」を単位とした情報の流れが明確になり、またそれに対応したサービスも登場している。しかし、ネット内には今もまだ「サイト」単位を中心とした情報の流れしか理解していない人たちもいる。一方、「サイト」単位と「記事」単位をうまく使い分けている人もいる。

今回は表を使って、この2種類のレベル(レイヤー)の情報の流れについて考えてみた。また、はてなが提供しているいろいろなサービスの使い分けについて、「サイト」と「記事」という単位をもとに考えれば悩むことはない、ということも述べている。
2005年6月 1日22:00| 記事内容分類:ウェブ社会| by 松永英明
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■ブログで強まった「記事」単位の情報流通

かなり前のことだが、「[[ネットコミュニティのつながり方[図解] [絵文録ことのは]2003/11/19:http://www.kotono8.com/2003/11/19netcommunity.html]]」という記事で漠然と触れたことがある。このときは各種サイトの種別やサービスについてのつながり方を中心にまとめてみたもので、サイト・日付・記事・キーワードという4段階の分類を立ててみたものだった(今はちょっと修正したくなる部分もあるがとりあえず放置)。

今回は話をわかりやすくするために、「サイト」と「記事」の単位に絞ってみる。そして、ブログの登場で「記事単位のつながり」という部分が強化された、と考えてみることにする。

今年に入ったあたりからソーシャル・ブックマーク([[del.icio.us:http://del.icio.us/]]、[[MM/Memo:http://1470.net/mm/]]、[[はてなブックマーク:http://b.hatena.ne.jp/]])が注目を集め、自分でも使ってみて、やはり「記事」単位での情報の流れを明確に認識しないと、ウェブ上の情報の流れが完全には理解できないのではないか、と思うようになった。

で「サイト」と「記事」ということでちょっと書いてみようかと思っていたところに、5月29日、伊藤直也さんが「[[naoyaのはてなダイアリー - RSSだけのブログ? / 重要なのは Permalink と RSS:http://d.hatena.ne.jp/naoya/20050529/1117360416]]」を公開、先を越されたと悔しい思いをした(笑)。しかし、アルファギークの分析は快刀乱麻を断つように明快である。

ブログによって広まった一番重要な要素は、やはり Permalink の概念です。1つの記事に1つの決まったURLが割り当てられる。記事を、特定の話題についての"ひとまとまりの情報"というリソースとみたてて、そこに恒久的な URI をひとつ割り当てる。

あるURLを記述しても、その先にある情報の粒度がばらばらだったこれまでのウェブから、Permalink を用いれば、目的の情報をURLとしてあらわせるという、最小単位が記事単位に変わったウェブ。

そう、パーマリンク=固定リンクの登場で、一つひとつの記事を独立したものとして扱うことができるようになった。それが技術的な支援を受けて、情報の流れを変えつつある。

■「サイト」と「記事」単位を比較してみる

基本単位サイト全体一つひとつの記事(エントリー)
代表的スタイルウェブサイトブログ
新聞社サイトなら○○新聞サイト各記事
ショップサイトなら店舗サイト各商品紹介
リンク先サイト単位記事単位
相互連結サイト間相互リンク記事間トラックバック
読者欄サイト内掲示板記事ごとのコメント欄
更新情報収集アンテナでサイトごとにRSSリーダーで記事ごとに
リンクの一覧サイトリンク集
アンテナ
ブログリンク集
ソーシャルブックマーク
ブログニュース(excite、livedoor)
ブログ新着記事一覧
ランキングReadMe Japan
日記才人
ブログランキング等
blogdex、ばるぼらあんてな
blogmap
はてな「注目URL」「人気エントリー」
検索ディレクトリ検索ページ検索
ブログ記事検索
ピックアップおもしろいサイトを見つけたよブログ界の出来事
個人ニュースサイト
ブログ内分類日記型
淡々と記録するよ
コラム型
長文型
人気の元開設者のキャラ
サイトコンセプト
個々の記事のインパクト

■ブログの中の「サイト」と「記事」

ブログの登場で「記事」を基本単位とした情報の流れが明確になったわけだが、しかし、だからといって「ブログは記事単位の情報しかない」とか「サイトの時代は終わった。これからは記事だ」とか、そういうわけではない。むしろ、ブログの中にも「サイト」レベルの要素と「記事」レベルの要素がある。どちらがいい悪いという話ではなくて、2種類のやや性格の異なる単位があるから、そのメディア特性をしっかり理解して活用しましょうね、という話をしたくてこんな長文を書いているのだ、ということはわかっておいてほしい。

たとえば「ブロガー」という言葉は「サイト」的発想である。書き手に注目するのはまさにサイト単位での見方である。「あの人が書いているから読む」というのは(有名人ブロガーにしろ、アルファギークにしろ、何にしろ)「サイト」レベルの読み方である。

一方、トラックバックやリンクやコメントでつながった一つのテーマについての記事群をたどっていくのが「記事」レベルの読み方である。特に「同じ話題の記事をたどりやすい」という性質がブログでは従来よりも強化されている。

もっとも、日記系ブログは「サイト」的要素が強いように思う。自分の場合、このメインブログ「絵文録ことのは」は個別記事をしっかり書き込む一方、はてなダイアリーの方は一応見出しは立てているものの、単なる雑記だ。もちろん、はてなダイアリーで「記事」の独自性を高めるように書くことも可能だが(現在はそれに対応したブログモードが用意されている)、自分の場合は日記的に使っている。こんな場合は記事の独立性が低いし、ちょっとしたメモ書きをとりたてられても困ることがある。というのは、前後の記述とのつながりの中で読んでもらう必要があったりするからだ。だから、日記的なものはあまり「記事」的な要素は強くない。「食べたものを淡々と記録するよ」が面白かったのも、個々の記事というより、連日の画像アップというサイト全体のコンセプトがよかったからだ。

そもそも、ある人の日記を読むかどうかというのは書き手に左右される部分も大きいわけで、それはすなわち「サイト」向きともいえる。

■「アルファミーム」

他のブロガーに影響力があるといわれる「アルファブロガー」に対して、他のブログ記事に影響力がある「記事」レベルに対応するものは何だろうか? ちょっと造語してみたい。

日本ではあまり定着していないが、「ミーム」という言葉が英語圏のブログ界には存在している。ミームというのは、「流行のネタ」とか「みんなの好きな話題」ととらえるといいかもしれない。[[ブログ用語集(政治的):http://www.kotono8.com/weblog/000132_Samizdata.html]]には「自己複製する独自の概念」とある。

そこで、「ブログ界の出来事」や栗先生やしばさんが「今、ブログ界ではこういう話題が盛り上がってるよ!みんなも早く乗っからないと!」みたいに書いている「盛り上がってる話題」を、アルファブロガーに合わせて「アルファミーム」と呼んでみたい。((今検索してみたら、alphameme.comというブログがあった。あと、アルファベットに合わせて自己紹介みたいな記事。この意味では使われていなかった。))

「アルファミーム」は、誰が言い出したということは(あまり)関係ない。「記事のテーマとしての魅力を持ち、さらに多くの人が言及したくなる話題」をアルファミームの定義としておこう。最近で言えば「ブログの終焉論」とか「実名・匿名」議論などがそれに該当するだろう。もちろん、アルファブロガーはアルファミームを生み出したり、ブログ界から発掘してきて紹介する役目を果たすこともあるが、記事レベルから見れば、アルファミームにアルファブロガー「も」飛びついた、という場合だってあるだろう。

■「記事」が見えていないトラックバックspam

宣伝しようとして、あちこちのブログの「最新記事」にトラックバックを送ってspam認定される人たちがたまにいる。彼らは「お知らせ機能に使ったっていいじゃないか」というのだが、「では、なぜ内容的に関係ない、たまたま最新だった記事に送ってくるのか」と抗議されたとき、「ほかに送信できる先がなかったから」というのである。

しかし、この人たちは「サイト」単位の発想に基づいてトラックバックを使っている。そして、関連する「サイト」の関連しない「記事」に対して送ったトラックバックがなぜいけないのか理解できないのは、「記事」単位が見えていないからにほかならない。

一方、ブロガーたちは、関連しない「サイト」であっても関連する「記事」からのトラックバックなら歓迎する。サイトが何であるかということは(まあアダルト系とかだといやだろうけど)あまり気にしない傾向にあるのではないか。

その点、最近多い「googleとかでキーワード検索して、そのキーワードが含まれる記事にトラックバック」というspam野郎は、これに比べれば、まだ多少は記事単位の発想があるといえる。もちろん、キーワードが含まれるからといって関連記事かどうかくらいはちゃんと読んで判断しろとは思うが。

■「ブログランキング」は「サイト」的発想

あくまでも個人的に、と断っておくが、ブログランキングサイトは嫌いだ。特に「面白いと思ったらクリックしてください」とか書いてあるだけでそのサイトの価値は40点マイナスというくらいに毛嫌いしている。まあブログランキングサイトの中の悪質ないくつかがトラックバックspamとか送ってきたというのも心証を悪くしているし、まあいろいろと嫌いな理由はあるのだが、それはひとまず置いておくとして。

ブログランキングサイトにも、大きく2種類ある。

一つは「クリック回数」型。[[人気blogランキング:http://blog.with2.net/]]、[[+週刊ブログランキングくつろぐ+:http://kutsulog.net/]]、[[元祖ブログランキング:http://blog.rank10.net/]]など、大半はそういうスタイルだ。これらのランキングサイトからのアクセス数(OUT)と、ブログからのクリック回数(IN)でランキングを決めている。~
この中でINの方は[[日記才人:http://www.nikki-site.com/]]の「投票ランキング」とそっくりである。日記才人ではボタンになっていて、「読み終わったらクリック」とか、ちょっとランキングアップに気合いの入ったサイトだと、ボタンを押すとなぞかけの答えが出るように仕組んであるとか、まあいろいろと工夫が凝らされていた。今のブログランキング参加ブログの記事は、テキストリンクをいかにクリックさせるかということに血眼になっているようである。~
また、OUTの方も、日記才人の「アクセスランキング」すなわち日記才人経由でどれだけのアクセスがあったかというデータと同じ発想である。

ブログランキングのもう一つのタイプ、それは「ブログに貼ったバナーの表示回数によってアクセスしたユーザー数を計測」するというもので、[[ブログランキング ドット ネット:http://blogranking.net/]]がそのタイプ。~
こちらはまさに[[ReadMe!Japan:http://readmej.com/]]とまったく同じコンセプトといえよう。((こちらにはあまり嫌悪感を感じないなあ。多分、アクセス乞食が嫌なんだな。))

つまり、現在のブログランキングというのは、テキストサイト・日記サイトを牽引していたReadMe!Japanや日記才人とまったく同じ流れの上にあって(日記才人の手動更新報告がPINGになるだけ)、しかも「サイト単位でのランキング」という発想もそのまま引き継いでいるということである。

それから、BlogPeopleやMyblogListといった「更新情報を教えてくれるブログリンク集(サイドバー埋め込み用)」のサイトでは、BlogPeople表示回数ランキングなんかもあるが(これはReadMe!型か)、むしろ「被登録数」に視点が置かれている。他の人のリンク集に入れてもらえればポイントアップということで、これはブログ時代的であるが、やはり「サイト」レベルのサービスである。

一方で「記事」単位のランキングというのはあまりない。~
ただし、アクセス数やクリック数ではなく、「どれだけ多くリンクされたか」という観点で見るのなら、ちゃんと存在している。

  • ばるぼらあんてな、その後継……集計元は「孫ニュースサイト」というサイト単位であるが、それらのサイトからの被リンク数の集計。
  • blogmap、「はてなダイアリー 注目URL」……エントリー全体からの被エントリーURLのランキング。
  • ソーシャル・ブックマークのランキング……ブックマークに登録されたURLの多い順。

これらのランキングは、ランキングされるページの作者自体が登録するのではなく、自然なブログエントリー作成の過程で、あるいはブックマークにおいて注目された記事を集計しているものなので、まったく嫌な気はしない。

■SEOと「サイト/記事」

ページランクを上げる。相互リンクでアクセスを誘導する。これは「サイト」的発想。

個々の商品ページへの検索による訪問者を重視し、一つひとつのページが玄関と考えてページデザインをする。各ページの内容に合った広告を表示するGoogle AdSense。これは「記事」的発想。

アフィリエイトにも2種類ある。ECショップのトップページへのバナークリックしか用意されていない――これは「サイト」的。個々の商品、個別の商品へのリンクがある――これは「記事」的。包括的な「ショップの評判」だけなら、アマゾンはあそこまで伸びなかっただろう。個々の記事にマッチした個別商品リンクがあったからこそ、それぞれの商品についての口コミマーケティング、あるいはSMO効果が得られたのだ(⇒[[これからのオンラインビジネスのキーワードは、ブログとRSSを使ったSMO(社会的マーケティング最適化):http://www.kotono8.com/2005/03/18smo.html]]参照)

サイトへの流れ、記事への流れ。この二つをコントロールせずして、ブログ時代のオンラインマーケティングは語れないだろう。

■はてな各サービスの使い分け

最近は「はてな」がいろいろなサービスを次々と展開しているが、中には「アンテナとRSSリーダーとブックマークって同じようなものじゃないの?」という人もいるようだ。まあそれでもいいのだが、自分の場合はそれぞれの機能を生かしたいと思っている。

\更新チェックお気に入り保存
サイト単位アンテナ(ダイアリーのサイドバーに手動で)
記事単位RSSリーダーブックマーク

こうやって書けば、使い分けは明確だ。

まずRSSリーダーから。これは、読みたくなる記事が載っていそうなサイトを選んで登録することになる。しかし、全部読むわけではない。見出しを見て面白そうなものをつまみ食いするために登録するわけである。~
しかし、RSSリーダーには登録しづらいブログも多い。例えばhttp://www.instapundit.com/はRSSも配信しているけれども、記事タイトルはない。本文も短い。こういうのはサイトを直接見に行った方がよほど早いわけである。更新回数もやたら多いし。あるいは日記系のブログは継続して見ていくのが面白かったり、とりたてて個々の記事単位で見るわけではなかったりする(たとえば毎日カレーとか)。そういう場合はアンテナに登録することになる。

アンテナはサイト単位での更新チェック。更新されていればこのサイトは見たい、という観点から選んである。それと、RSSリーダーでは取得できないサイトはこちらのみ。要するに、アンテナは「更新されてれば見に行きたくなるサイト」、RSSリーダーは「興味のある記事があれば見に行きたくなるサイト」を登録することになる。

で、はてなブックマークは、自分の中では「個人ニュースサイト構築ツール」という認識である。短い一行コメントが付けられて、分類もできて、ついでに他の人の人気度やコメントも読めてしまう、超高機能個人ニュースサイトツールだ。もしここにカトゆーさんなど大手ニュースサイトが移行してきたら、「お気にいり」に入れてその中からピックアップする「孫ブックマーク」が大量発生するに違いない(笑)、というか自分も他の人のブックマークから面白そうなのをクリッピングしてるので、まさに孫ニュースというか孫ブックマーク状態。今度からvia(ネタ元)をちゃんと入れることにしよう。((はてなブックマークのコメント欄にはURLは入らない。で、今思いついたワザだが、巡回しているニュースサイト(例えば「カトゆー家断絶」)をまずブックマークに入れ、サイト名の略称をタグとして入れる(例:[カトゆー])。今後、そのサイトから拾ってきたネタには、さっきのと同じタグを入れておく。こうすれば、間接的にではあるがネタ元サイトにもたどり着けるのでいいかもしれない。))

こういうわけで、似て非なる3つのサービス、使い道はそれぞれ違ってくるわけである。

ついでにいうと、あまり更新されないサイトも含めたお気に入りリンク集を作るサービスがはてなにはない、ということもわかる。このタイプのスクリプトを自前で設置するならば[[Yomi-Search:http://yomi.pekori.to/yomi-search.shtml]]がある意味最高形態だと思っているが、こういうのをはてなが提供するかといえば、やらないような気もする。ある意味時代に逆行するようなサービスだし。((自分自身、ジャンル分けができて、その中のサイトの表示順を自分でいじれるようなサイトリンク集スクリプトというのがすごくほしかった時期がある。でも、今は「あれば便利」だけど「ないと不便」というわけでもなくて、ブラウザのお気に入りに入っていれば充分という気もする。))
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2005年6月 1日22:00| 記事内容分類:ウェブ社会| by 松永英明
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コメント(1)

はてなの各サービスの使い分けに悩んでいたので大変参考になりました。
私の場合は「Bookまーく」というサービスも併用しているので、使い分けのマトリクスは以下のようになります。

     静的    動的
サイト  Bookまーく    はてなアンテナ
記事  はてなブックマーク はてなRSS

はてなアンテナとRSSの使い分けができていなかったので、これなら使いこなせそうです。

このブログ記事について

このページは、松永英明が2005年6月 1日 22:00に書いたブログ記事です。
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