「韓国人が漢字を発明した?」論争まとめ

「漢字を発明したのは韓国人」と主張する一部の韓国人がネットで中韓対立を生み出している。この話題については日本でも

などで取り上げられるようになった。

 そこで、この騒動について、人民網に掲載された中国語記事の翻訳、ならびにこの主張のもともとの起源を探ってみた。どうやら、アメリカ・メリーランド大学に在籍する韓国系の人物が2002年8月25日にニューズグループに投稿した記事が発端のようである。

※嫌韓的あるいは韓国を嘲笑するブログからのトラックバックならびにコメントであると管理人が判断したものは削除します。この記事は民族対立を煽るのではなく、淡々と事実を探る意図で掲載しています。

2006年11月23日16:32| 記事内容分類:中国時事ネタ, 言葉| by 松永英明
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おかしいよ!韓国人が漢字を発明した?

 教科書では「黄河文明の発祥」から「端午の節句」まで世界遺産に申請したと言い、中医学を「韓医」として世界遺産に申請し、さらに「金属活字印刷」の起源国であると称する韓国人の主張はどんどん激しくなってきた。そして、ついに韓国人は漢字にまでその触手を伸ばしてきた――

 最近、どういうわけか韓国人は「漢字は古代韓国人の発明だ」と公言している! 呆然とするしかないこの主張に対して、ネット上では論戦が広がり、中国人、韓国人、多くの西洋の中国語研究者がそこに加わっている。

いわゆる4点の「証拠」

 「韓国人が漢字を発明した」――この文字が目に入ったとき、ネットワーカーたちは飛び上がった。先日、ネットワーカーのmyhmyaが天涯論壇でこの韓国人の英文文章の翻訳を載せたところ、激烈な反応を引き起こしたのである。これは強烈な感情を招き、ネット上の文章はあちこちに転載されてあっという間に広まった。論点への反論もあれば意義の詮索もあり、ある人は激怒し、ある人は鼻で嗤い、ある人はおもしろがり、ある人は悲しみ、なかには「韓流」や韓国ドラマまで拒絶すると言い出した人もいる。

 ここに、中国語研究英文サイト(http://www.chinalanguage.com/)に発表された文章がある。この文章では、まず囲碁・サッカー・「サムスン」製品のことから書き起こし、このような結論に至る――「13億人を擁する一民族が8000万人の小民族を打ち負かすこともできない。やはり、韓国人が中国人に比べて優れた領域は極めて多いのである」。そしてさらに一つの論理を持ち出す。「もし囲碁が本当に中国の発明ならば、中国はどうしてあんなにひどい状態になりえただろうか?」

 それから、彼は述べる。「東夷人とは韓国人であり、大汶口文化(※訳注:大汶口文化とは山東省周辺に栄えた古代文化。B.C.4300~B.C.2500)の創造者である。したがって「漢字」の文字は高麗人が発明したかもしれない」。その論拠はこうである。まず、「殷朝の統治者は高麗人であった。(甲骨文字は)高麗人の生活様式や風俗を反映した基礎象形文字である」という。たとえば「家」の字の下半分は「豕(=豚)」を含んでいるが、「豚を屋内で飼うのは高麗人だけである」。次に「音楽と書き方を発明した伏羲は《東夷》国(今の山東省)の出身である。《東夷》の人は弓に優れていることで有名だが、これはまさに現在の韓国アーチェリーチームさながらである」。第三に「漢字を採用している国の中で、一つの漢字の読みが厳密に一つだけなのは韓国だけである」。第四に「中国の漢字は象形文字と表意文字であるが、韓国語は世界でも最も先進的な象形表意文字である」。

韓国の教授が漢字の“世界遺産申請”を提案

 china languageウェブサイトでの論争の中で、ネットワーカーたちはこの議論が意外なことに2002年にすでに始まっていたことに気づいた。ネットワーカーのBymikissは先日鳳凰網ブログでこう述べた。「《朝鮮日報》10月10日報道によると、韓国ソウル大学の歴史学教授・朴正秀は先日、記者に対して、その十年に及ぶ研究と考証の結果、朝鮮民族が最も古く漢字を発明し、その後朝鮮人は中原に異動して、漢字を中国にもたらし、現在の中国文化を形成したのだと考えるようになった、と述べた。そして、韓国政府に対して、至極当然なこととして大いに漢字を回復し、また国連に対して漢字を世界文化遺産として申請すべきだ、と提案しているのである!」 しかし、リンクされた「朝鮮日報」の中国語サイトでは、この情報は今のところ実証することができない。

 「4年前あるいはそれより前から、韓国人はこれを証明しようとし始めていたのに、我々は最近やっと知った。何が証明できたというのだ?」ネットワーカーたちは韓国人の文化心理に対して再考し始めている。

国民の反応

 「おかしい!」「恥知らず!」「凶暴!」「自虐!」「ふしだら!」というのが多くのネットワーカーがこの文章を見て抱く最初の反応である。その後、「論理がめちゃくちゃ、荒唐無稽だ!」「韓国人の理論には、人を納得させうるものがまったくない。全部とりとめがなく、筋が通らない。まるでデタラメだ」という人たちもいる。

韓国人が漢字を発明したというのはありえない

 china languageウェブサイト上では、この文章はすでに大きな論争を引き起こしている。韓国人は答えて言う。「中国人は卑屈さが原因で、自分たちがその言語を発明したと言っている。そういう中国人は、民族中心主義者だ」。さらにある人は言う。「孔子は中国人だが、老子はそうではない。韓国が道教の起源なのだ」。

 このような論調は、多くの反論を招いた。「だれだって、中国が世界で最も長く不断の歴史を持っていると知っている。中国文明は数多くの東南アジア・東アジア諸国に影響を与えてきた。日本や韓国もそうだ」「中国人がそれを発明したとき、まだ韓国人や日本人の区別もはっきりしていなかった。まだその民族さえなかったのだから、どうやって発明できるというのか」

中国人は民族の自信を高めるべきだ

 一人の西洋人中国語研究者の反論は、多くの中国人に考えさせた。「おごり高ぶりというものが韓国人の血に流れている。もし中国人が一つのことをなすなら、さらに偉大な民族となることができるだろう。中国人は自民族の自信を高め、韓国人や日本人が本来他民族の栄誉であるはずのものを持って行かないようにすべきだ……」このコメントはネットワーカーたちがどんどん転載していった。

 しかし、元の文章の訳者であるmyhmyaは逆に言う。「彼の文章から見て取れるのは、この人が中国の文化に対して一定の理解があるということだ(ただ、この人の理解しているものは、基本的に「群盲象をなでる」当て推量ではあるが)。我々国民は自分たちの文化についてどれくらい理解しているだろうか? このスレッドの目的は、わたしたちが自分たちの文化について考えるように呼びかけるところにある」

 中央民族大学教授・祁慶富は、中国の自らの伝統文化にはすでに亀裂が入っているため、中国人はまず自ら伝統文化に対する認識を深め、「わたしたちの文化の『魂』を取り戻す」必要があると考えている。

中医薬管理局:漢方薬の世界遺産申請は加速

 最近急速にブームとなっている「韓医学世界遺産申請事件」に対して、国家中医薬管理局国際合作司の沈志祥司長はこう語る。「わたしたちはすでに2003年に『中医薬世界遺産申請』の準備をしていました。今月末から11月はじめに世界遺産申請委員会の会議が開かれ、申請作業が加速されます」

 「これは誤解ですよ」。先日、記者が韓医学の「世界遺産申請」について韓国保険福祉部韓方政策組事務官の高太根に取材したとき、このように釈明した。「韓国が現在世界遺産申請しているのは、400年前の韓医学聖典『東医宝鑒』という一冊だけであって、韓医そのものを世界遺産申請しているわけじゃありません」

中国文化を奪う韓国の意図はどこにあるか?

 韓国は歴史・文化の領域で、中国に対してしきりに挑戦している。韓国人に問題があるのか? それとも我々中国人が問題を生み出したのか? 韓国人の挑戦は、中国文化に対する国民の深い考察を呼ぶものとなっている。

端午:「世界遺産申請」の争いは韓国の勝利に終わる

 2005年10月に韓国が申請した江陵端午祭はユニセフが正式に「人類伝説無形遺産著作」に確定した。中韓の端午の節句に関する華々しい「世界遺産申請」の争いは韓国の勝利に終わり、中国人はその経緯を再考せねばならなくなった。

中医学:中医を韓医に改めるも学者は「考証」できず

 韓国は、端午の節句の申告に成功した後、また中医を改めて韓医として世界遺産に申請しようとしていると伝えられた。韓国で長年生活しているあるネットワーカーの指摘によれば、韓国人はそもそも韓医と中医にどんな関係があるかも知らず、韓医は神話中の医聖が伝えたものだと思っている、という。韓国の「医聖」とは実は百草を試した神農氏のことであるが、最近の韓国学者の「考証」によれば、神農氏は高麗人であり、さらにとんでもないことに後世の李時珍も高麗人だというのである。これによって、韓国人が韓医・鍼灸・『本草綱目』まですべて自らの文化遺産と解釈することが容易になった。

活字印刷術:韓国は印刷術の「起源国」と自称

 少し前に韓国はドイツで「韓国が印刷術の起源国」展覧会を開いた。この展示では、1377年『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節』が「人類史上最古の金属活字本」と標榜されている。

 北宋の時代に畢昇が活字印刷術を発明したのだが、韓国の学者によれば、畢昇はアイデアだけは持っていたが実用されなかったと考えている。中国側の専門家は『夢渓筆談』などの文献を引用して強力に反論し、韓国側の歴史を本来のものにするよう求めている。

祭孔大典:孔子も韓国人になってしまうのか?

 国民がまだ「祭孔」について議論しているあいだに、韓国人はすでに「祭孔大典」を「世界遺産」に申請する準備をしていた。そして、孔子を徹底的に韓国人にしてしまおうとしているのである。韓国人は孔子が韓国人であるということをこのように論証している。朝鮮半島に最も早く建立された政権は、商国(殷)の貴族である箕子によるもの(箕子朝鮮)である。箕子は商の紂王の親戚で、周の武王が紂王を討伐した後、箕子は5000人の商朝人を率いて朝鮮半島へ逃げ、朝鮮に政権を作り上げた。商朝の大部分の人は西周に留まり、宋・衛などの多くの封国にいた。孔子は宋国貴族の末裔であるから、当然ながら韓国祖宗である箕子の後代にあたる。

 「ますます証拠が増え、われらの隣国であるこの国は、計画的に我々の文化遺産を奪って自分の偉大さを証明しようとしている。中医学から孔子に至るまで、端午の節句から活字印刷に至るまで。これは危険信号だ」と多くのネットワーカーたちは中国文化の保護に対して切実な呼びかけをしている。

(編集責任者:奕君)

「韓国人が中国語を発明した」説は2002年8月25日に登場

さて、上記記事が参照している掲示板記事www.chineselanguage.org :: View topic - Korean invented chinese languageには、このように書かれている(以下、英文を和訳)。

Peter Posted: Sun Sep 29, 2002 3:41 am

以下、ニュースグループ soc.culture.china からの引用。これは僕が見た中で最も長い議論スレッドで、今までにおよそ400の反応がある。

……とあるのだが、このもともとの投稿を検索してみたところ、一番古い投稿は2002年8月末、Sukgeun Jungという人物によるものらしい。chineselanguageへの転載はこのバージョンのようである。

Google グループ: soc.culture.korean

Koreans invented and developed Chinese chracters.

差出人: Sukgeun Jung

日付: 2002年8月25日(日) 午後1:02

そして、この人物が同じ投稿を(多少バージョンアップを加えながら)何度もsoc.culture.koreanやsoc.culture.japanなどのニューズグループに投稿し続けている。それがやがて中国人にも知られるようになり、ついに論争を呼ぶようになってしまったようだ。

このSukgeun Jung氏はskjung@wam.umd.eduというメールアドレスから見るところ、メリーランド大学に所属していたようである(このメールアドレスは2003年6月まで使われていた)。その環境科学センターの「Chesapeake Biological Laboratory - Spring 2006 brown bag luncheons」ページにも名前が見える。おそらく、言語学の専門家ではないようだが、他の投稿をざっと眺めたところ、環境問題や女性問題、そして韓国の民族問題について非常に強い関心を抱いている人のように思われる。

中国のウェブサイトでは、2006年7月13日にこの話題を取り上げた韩国学者说: "汉字是韩国人发明的" - 文学城: 热点论坛 web.wenxuecity.comの掲示板投稿あたりから広まっていたものと思われる。この投稿者hpu1234氏の投稿一覧(查询hpu1234)を見ると、どうやら韓国ネタをよく扱っている人のようである。この後、人民網の記事が10月25日に掲載され、一気に燃え上がったらしい。

ただ、人民網の記事には少々不明な点もある。まず、鳳凰網のブログにBymykissという人が書いたという文章が見つからない。鳳凰網で検索してもBymykissというユーザーが見あたらないのである。また、chineselanguageへの掲示板投稿には、サムスンがどうこうといった冒頭部分は見あたらない。もしかしたらすでに削除されたのかもしれないが、それは途中で誰かが追記したものではないかと思われる。

というわけで、以下、Sukgeun Jung氏の2002年9月3日改訂版を英語から日本語に翻訳して載せておく。出典はGoogle グループ: soc.culture.korean2002年9月3日(火) 午前12:07投稿「Koreans indeed invented and developed Hanja (Chinese character)」、改訂版に追記された部分を下線で示す。

実は韓国人が漢字(ハンジャ)を発明・発展させた

いわゆる漢字(韓国語でハンジャ)はおそらく韓国人によって発明・発展してきた、と私は主張する。極めて多数の中国人もそれを基本的な筆記システムとして使っているけれども。私はいかなる民族集団もその人口によって起源を曖昧にしてよいものではないと信じている。私はいくつかの証拠を示そう。

  1. 甲骨文字あるいは韓国語で「bok-sa」と呼ばれるもともとの象形文字は、確かに殷王朝(商国、BC1600~BC1046)期に発明されたが、発明者は明らかではない。この点について、中韓両国の歴史学者には論争はない。最近、有力な証拠があって、殷朝の統治者は朝鮮人であり、中国の歴史家もそれを認めている。さらに、漢字(ハンジャ)の原型は、商国の東部(大汶口文化と龍山文化)に見つかっているのであり、西部(仰韶文化)ではない。龍山文化は仰韶文化よりもはるかに進んでいる。もし現代中国歴史家が言うように仰韶文化が中国と言えるのであれば、龍山は朝鮮といえる。なぜか?
    考古学的証拠によれば、青銅器文明は龍山から商王朝に輸入されたといえる。歴史的記録からいっても、ほとんどの東アジア史研究者が重視する司馬遷の『史記』で、蚩尤(桓檀古記に記録された朝鮮王)を以下のように記している(脚注4参照)。
    「蚩尤には81人の兄弟がいた。獣の身体で人の言葉を語り、青銅の頭と鉄の額を持ち、毎日砂を食べていた」
    蚩尤は青銅を使って兵器を作り、異なる言葉を語っていたことを史記は示している。通常、中国史書に書かれた韓国人への反応は両極端だ(脅えながら蔑んでいる)。蚩尤についての記述は典型的なものだ。しかし、中国の歴史家自身が朝鮮から青銅がもたらされたとほのめかす記述をしているのである。
    大汶口と龍山の文化を山東省で発展させた人々は「東夷」と呼ばれる。朝鮮人が中国人から「東夷」と呼ばれる。「夷」は大きな弓を意味し、商王朝の大きな特徴であった(脚注1参照)。
    大汶口の考古学的証拠と、史記に記された朝鮮人の祖先による青銅器兵器に基づけば、商王朝が漢字と青銅器文化を東(山東省)から受け継いだのは確かであり、そこは朝鮮人の祖先が住んでいたのである。
  2. 漢字を受け入れた国々の中で、韓国だけが正確の1音節を1文字にあてはめている。中国語も日本語も1つまたは複数の音節を1文字にあてはめている。そのよい例が数を数える音だ。韓国人だけが一つの数字に対して1音節だけを用いている。したがって、韓国人は複雑な数も素早く発音するのが簡単なのだ。
    また別の例として、「白」の発音が韓国では「baek」(1音節)だが、中国語では「bai」(2音節)である。「頭」は韓国では「doo」だが中国語では「tou」である。一方、「山」は韓国語でも中国語でも「shan」である。
    なぜ韓国人は一文字に1音節なのに、中国人は1つまたは複数の音節なのだろうか? これは確かに中国語の発音体系が韓国語の類似物として生まれたことを示している。
    韓国人が漢字を表音文字として使おうとしたのは7世紀以前のようである。郷札(ヒャンチャル)と吏読(イドゥ)は、漢字に基づいて作られた朝鮮の表音文字体系で、1443年、世順王がハングルを発明する以前のものである。古代朝鮮の詩「薯童謠」と「彗星歌」は西暦579~632年(新羅の真平王)の時期に吏読で書かれ、漢字の発音体系というだけではなく、吏読自体が西暦600年以前の新羅ですでに確立していたことを示している。新羅がその前世紀に漢字を使っていたという事実を考えれば、発音体系は百済と高麗でもすでに確立していた。
  3. いくつかの基本的な象形文字は韓国人の生活スタイルや風俗を反映している。
    たとえば、「家」(韓国語でga)は、下部に豚を示す文字(豕)が入っている。家の中には人が住むのであり、豚が住むのではない。なぜ家を示すのに豚を当てはめたのだろうか? 韓国人だけが家の中で豚を飼うのである。
    別の例としては、太陽を示す「日」がある。この文字は四角形の中に点がある。必要ではないと思われる点がなぜ含まれているのだろうか? この点は金烏(黄金のカラス)を示している。韓国人だけが、太陽と金烏を結びつける伝説を有している。
    さらなる例として、姓氏を表す字(韓国語でssi)がある(※「姓」?「氏」?)。中国では、この字は姓しか意味しないが、韓国では姓と種の両方を指す。「ssi」は韓国では最も普通の言葉であり、家系図と比べられる(つまり、種はその姓氏の系譜をたどってたどり着く先祖を示す普通の象徴なのである)。
  4. 韓国の歴史書には筆記法の起源が書かれているが、それは韓国の支石墓に書かれたものである。
    Chun-bu-gyungと呼ばれる韓国の歴史書は、現在の漢字と韓国アルファベット(ハングル)双方の起源を記している。漢字は象形文字+表意文字であるが、ハングルは世界で最も先進的な表音文字+表意文字である。甲骨文字は象形文字であるが、伏羲(韓国語でBokhwi)が発明した易経の八卦は一種の表意文字である。Chun-bu-gyungによれば、漢字とハングルの双方の原型となった文字は「Nok-doo-mun」(最も古い記法)である。現在、韓国人だけが「Yout」というゲームをしているが、これは「Nok-doo-mun」に非常に似ている。Youtゲームの原理は易経と同じである。さらに、韓国と満州では、様々な原始的文字が刻まれた多くの古代石(ドルメン)が存在している(その写真は

http://myhome.shinbiro.com/~kbyon/culture/rokdo.htmにある)。

これら4つの事実に基づいて、漢字は朝鮮人によって発明され、発展してきた、と強く主張する。中国と韓国の数字の発音体系の違いこそ、それが韓国起源であることを明確に示しているのである。

脚注はあまりにも長いので省略。

Sukgeun Jung氏の主張への反論

Sukgeun Jung氏の主張が我田引水の内容であることは言うまでもない。また、事実関係も間違いばかりである。上記chineselanguageのスレッドには、いくつかの反論が載っているので、いくつか訳しておく。

Thomas Chan氏

特に第2点は間違っている。

明らかに投稿者は韓国語しか知らず、他の東アジア言語については何も知らない。

中国語、韓国語、ベトナム語は一文字あたり1音節であり、日本語だけが一文字に複数音節を割り当てているが、それも(漢語からの借用語ではない)やまとことばだけなのである。

(数の数え方について)ここは投稿者がいかに中国語について知らないかの好例である。中国語では1文字1音節である。

韓国語の1音節の数詞は実際には中国語から借用したものである。韓国人に1から10まで数えるように言ってみるといい――韓国語の数の読み方を使い、それは複数音節のものもある。明らかに投稿者は自分の主張に合った情報をゆがめている――もし単音節の数がそんなに便利なら、どうして韓国人が複数音節のある朝鮮土着の数の数え方を使ったりするだろうか?

(baiやtouを2音節と言っていることについて)ここでは、投稿者は中国語を数語だけしか知らないように思える。それに、二重母音や二声を二つの別の音節だと誤解している。

(中国語の発音が韓国語からの派生ということについて)完全に間違っている。韓国人にいくつかの動詞を漢字で書くように言ってみるといい。漢字で書くことができないはずだ。動詞の大半は土着語であって、多音節語であるから、ハングルでしか書くことができないのである。

(漢字は朝鮮からもたらされたということについて)奇妙なことに投稿者はこの第二点が最重要と考えているようだが、その論拠は薄弱で、すぐに誤りであるとわかるものばかりである。他の三点についても同様である。

PPK氏

1. 甲骨文字は商王国の領域でしか発見されていない。中国人がこれを発見したのは1954年西安地区である。そして、商国人が朝鮮人であるという証拠がどこにあるのかわからない。そういう可能性がありえることには同意するが、それならなぜそう言えるのか知りたい。朝鮮人は1444年に独自の筆記法を生み出すまで、ずっと漢字を使っていた。

2. 中国語は一文字一音節である。朝鮮語は日本語と同様、モンゴルのウラルアルタイ語族に属する。単音節語は中国語から借用しただけである。「白」の発音は借用した発音である。日本語で「はく」「しら」「しろい」と言うが、おそらく「はく」は中国語からの借用であり、「しろい」が中国語の影響を受ける以前の独自のアルタイ語起源の発音である。ほかにも多くの例がある。韓国語の中国からの借用語の発音は、宋王朝の時代に山東省地区の中国語発音から借りてきたものといわれており、それは現在の福建と潮州の方言に似て聞こえる。これらの地方では「白」は「baeh」と発音する。現代中国語の「bai」の発音はおそらく1400年ごろ以降のものである。

3. 古代中国人も他の古代人も、家の中に家畜を飼っていた。中国人の伝説にも太陽の中のカラスの話があり、朝鮮人はおそらくそれを中国から借りてきたのである。中国の伝説では、空に10の太陽があり、それぞれが毎日一つずつ上がって世界を照らしていた。ある日、太陽がそろって出現することに決めたので大地を焦がすことになり、後羿が魔法の弓矢で九つの太陽を射落とした。そして落ちた太陽は三本足のカラスとなった。太陽は中国古代語で金烏と書かれることもある。

古代中国には姓と部族名がどちらもあり、それは「姓」と「氏」と呼ばれている。姓は古代の母系部族を示すものである。氏はその部族の首長となった者からとられたものである。古代西洋文明では「A B, Cの息子」という名前の呼び方があったが、中国語でも「A B、姓はA、氏はC」という言い方があったのだ。現代中国ではもはや氏は使われていない。

4. 中国伝説では、伏羲は八卦を発明しただけである。漢字を発明したのは蒼頡だ(それはエジプト文字に似ていたともいわれる)。だから台湾に蒼頡(changjie)という入力システムがあるのだ。半人半蛇だったという伏羲の伝説は、おそらくその部族のトーテムが蛇だったからであり、黄帝が熊とか、満州が鳥というのと同様である。

そのほかにもツッコミどころは多いのだが、個人的には「先祖の栄光を振りかざさないと自分に自信が持てない」ような精神状態というのは、(日本人だろうと韓国人だろうと中国人だろうと)不幸なのではないかと思う。

おまけ。

www.chineselanguage.org :: View topic - Korean invented chinese languageより、never0420さんの投稿を和訳。

中国語は韓国人によって作られたってことには完全に同意します。以上の投稿すべてによれば、これが結論です。韓国人の祖先が中国から来たのだから、中国人の祖先は韓国人の祖先でもあります。中国人が漢字を発明した=韓国人が漢字を発明した。だから……韓国人は中国人でもあり、韓国は中国の一部でもあるのです!!!

ところで、韓国人が発明したものといえば、印刷、漢字、野球、車、核兵器、PC、LCD、DVD、冷蔵庫、ソニー、トヨタ、ホンダ、あとあれとかこれとか……

地球上のありとあらゆる人々も、もともと韓国から来たのかなあ。

ここに、韓国人が6日間かけてこの世界を作ったという物語があります。

創世記

初めに、韓国人は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、強風が水の面を動いていた。韓国人は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。韓国人は光を見て、良しとされた。韓国人は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。

韓国人は言われた。「水の中に大空あれ。水と水を分けよ。」韓国人は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。韓国人は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。

韓国人は言われた。「天の下の水は一つ所に集まれ。乾いた所が現れよ。」そのようになった。韓国人は乾いた所を地と呼び、水の集まった所を海と呼ばれた。韓国人はこれを見て、良しとされた。韓国人は言われた。「地は草を芽生えさせよ。種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける果樹を、地に芽生えさせよ。」そのようになった。地は草を芽生えさせ、それぞれの種を持つ草と、それぞれの種を持つ実をつける木を芽生えさせた。韓国人はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。第三の日である。

韓国人は言われた。「天の大空に光る物があって、昼と夜を分け、季節のしるし、日や年のしるしとなれ。天の大空に光る物があって、地を照らせ。」そのようになった。韓国人は二つの大きな光る物と星を造り、大きな方に昼を治めさせ、小さな方に夜を治めさせられた。韓国人はそれらを天の大空に置いて、地を照らさせ、昼と夜を治めさせ、光と闇を分けさせられた。韓国人はこれを見て、良しとされた。夕べがあり、朝があった。第四の日である。

韓国人は言われた。「生き物が水の中に群がれ。鳥は地の上、天の大空の面を飛べ。」韓国人は水に群がるもの、すなわち大きな怪物、うごめく生き物をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。韓国人はこれを見て、良しとされた。韓国人はそれらのものを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、海の水に満ちよ。鳥は地の上に増えよ。」夕べがあり、朝があった。第五の日である。

韓国人は言われた。「地は、それぞれの生き物を産み出せ。家畜、這うもの、地の獣をそれぞれに産み出せ。」そのようになった。韓国人はそれぞれの地の獣、それぞれの家畜、それぞれの土を這うものを造られた。韓国人はこれを見て、良しとされた。韓国人は言われた。「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」韓国人は御自分にかたどって人を創造された。韓国人にかたどって創造された。男と女に創造された。韓国人は彼らを祝福して言われた。「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物をすべて支配せよ。」韓国人は言われた。「見よ、全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたたちの食べ物となる。地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう。」そのようになった。韓国人はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。夕べがあり、朝があった。第六の日である。

天地万物は完成された。第七の日に、韓国人は御自分の仕事を完成され、第七の日に、韓国人は御自分の仕事を離れ、安息なさった。この日に韓国人はすべての創造の仕事を離れ、安息なさったので、第七の日を韓国人は祝福し、聖別された。これが天地創造の由来である。

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2006年11月23日16:32| 記事内容分類:中国時事ネタ, 言葉| by 松永英明
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自国で文化もってないと遂には他国の文化を自分のものといえる国民が誕生するらしいhttp://www.kotono8.com/2006/11/23hanzi... 続きを読む

コメント(10)

「韓国人が漢字を発明した」などというのは論評する価値もないお伽話だと思っていたら、中国側は意外と真面目に
議論に応じているようで少々驚きですね。
言った韓国側もこのような議論の白熱にほくそ笑んでいるのでなはいでしょうか。
もし日本人が「チンギス・ハーンは源義経だった」とか言ってモンゴルで議論沸騰したら日本人は半分勝ったぐらいに
思うでしょう。
まぁ中国がこんな荒唐無稽な話を軽く無視する事に失敗したのは「端午の節句」の衝撃が残っていたからなんでしょうね。
それと中国での中世・古代史教育が日本では考えられないほど軽視されてきたというのもありますね。
敵を知り己を知れば百戦危うからずというのは中国人の金言ですが、まずは自分の歴史をもっと良く知らない事には中国も
まだまだ韓国には苦しめられるでしょう。

テコンドーは空手の起源。剣道や柔道も韓国起源。(実際は空手からテコンドが発祥している)
韓国の他国文化遺産略奪は笑い事ではありません。
かの国民の異常性が世界中に明らかになると思えばいいことなのかも。

「後羿」とするよりは「后羿」とした方がいいと思います。簡体字では書体が合流してしまいますけども。
http://homepage3.nifty.com/kyousen/china/3k5t/connection/3k5t_gei.html

悪魔の証明を利用したやり口は未だ健在か
漢字は韓国の発祥ではない 断定するには資料がいる
韓国じゃ探せば漢字韓国起源を表すような資料がポンポンと出てくる(捏造してるから幾らでも出てくるな)し、理知的・論理的な反論してもキリが無いわ

分別のある韓国人の友人とこの手の話を議論したことがありますが、有史以来大国の脅威にさらされ、文化的には中国と日本の大きな影響下にあった韓国にとって、民族のアイデンティティーを探すことは一種の強迫観念のようなものだそうです。だから、彼ら自身が作った人工言語ハングルは民族の誇りであり、アフリカでキリスト教を布教している韓国人宣教師は「誇りを持って」原住民にハングルを教えていると言っていました。その話を聞いて、僕と一緒に聞いていたスイス人の友人はこう思いました。「なぜ英語を教えない!」

Handan Chronicle: 韓国の歴史は1万年。シュメール文明は韓国起源
http://www.youtube.com/watch?v=fuTLAhPV-UM&feature=related

呵呵,韩国人,在中国人眼里就像个不懂事的小孩子,小屁孩,呵呵。个人认为中日韩应该团结起来~

SB,跟这种东西没啥好说的,直接人道毁灭最好。
团结团结,团个头。
韩国就根本不应该存在在这个世界上。
中国、日本、アジア、地球のためにも韓国人を絶滅するべきだ

「もし囲碁が本当に中国の発明ならば、中国はどうしてあんなにひどい状態になりえただろうか?」
「もし漢字が本当に韓国(笑)の発明ならば、韓国(笑)はどうして漢字で自身の名前すら書けない状態になりえただろうか?」
清々しい程のダブルスタンダードですねぇ。

世界遺産の価値を落とすような認定をする 団体のメンバーの無知さというか 東洋に対してのいい加減さを 笑っているだけでいいのか
特許じゃあるまいし 先に登録したほうがその文化を所有するなんてのは?????????
そのうち 世界3台文明発祥の地にも かかわっていたという説が出るのではなかろうか

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このページは、松永英明が2006年11月23日 16:32に書いたブログ記事です。
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