縦書きアタマと横書きアタマ

ブログ本が2冊、しかも縦書きで出ている。

ウェブログ超入門! 1日5分の口コミプロモーションブログ

 この2冊はどちらも「ブログの設置の方法」よりも「運用の仕方」に重点を置いているのが特徴。拙著『ウェブログ超入門!』の方は、とにかく初心者向けに、トラックバックのマナーとか考え方とか、どういう記事をどういう風に書いたらいいかとか、引用の決まりとか、あとはメディアとの関係とか、知識経済ヴァージョン2とか、クリエイティブ・コモンズとかに触れている。

 一方、長野さん、maskinさんの『1日5分の口コミプロモーションブログ』は、内容はかなり似ているのだが、もう少しIT関係者向けの印象が強い。活用法について書いた部分では、ビジネスでどう使うかという方向を向いている。ネット中級以上の人向け、あるいは、会社でブログについてプロモーションするときの資料として使えるのではないかと思う。

 さて、この縦書きについて「ブログ神」こと平田さんがコメントを書かれている。今回はこのことについて書いてみたい。

2004年6月15日20:56| 記事内容分類:執筆・書き方・文章| by 松永英明
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 平田さんの1日5分の口コミプロモーションブログ [dh's memoranda]にはこう書かれている。

 本をいただいておいて何なのですが、縦書きは非常に読みにくいです。アルファベットのサイト名などは悲しいことになっています。字間と行間とフォントのバランスもあれですが、強調したいところが丁寧に太い文字になっているところが読みにくいです。

 読んだところ、確かに平田さんのおっしゃるとおり、フォントとレイアウト、つまりDTPについてはあまり上手なところを使っていないような気がする。

 ただ、もう一つ思うのは、文章そのものに「縦書きアタマ」と「横書きアタマ」があるんじゃないか、ということだ。

 長野さんもmaskinさんも、どちらかというともともと横書きの文章が合っているんじゃないかと思う。パソコンのテクニカルな記述に近いというか。

 しかし、自分の場合は、どうしても縦書きの文体が主になってしまうようなのだ。

 たとえば、この間一応の原稿を入れた共著『はてなの本』(翔泳社)。もともと横書きの本である(はてなダイアリーの使い方を解説する本なのだから当然と言えば当然)。ところが、近藤社長インタビュー記事の原稿を入れたあたりで、編集の毛利さんから「これ縦書きにして、本は両面表紙にしませんか」という話が出てきたのだ。

 さらに、はてなダイアリー(&はてなグループ)の使いこなし術についての原稿を入れたところ、「これも縦書きにしましょう」ということになったのである。ということは、私の文章は潜在的に「縦書きに合った文体だった」ということになる。

 考えてみれば変な話ではある。私の執筆環境は、UTF-8文字コードがデフォルトで使えて軽快、という条件を満たす唯一のエディター「EmEditor」だ。これはどちらかといえば、ライター向けというよりはプログラマー向けに開発されているように思われるソフトである。もっと「文筆家」を気取るなら、一太郎なりテキストエディタQX(初心者からプロの開発者まで使用可能なエディタ。縦書き可能)なりを使えばいいのだろうが、EmEditorで書いているということは、旧来のアナログ的な書き手よりもはるかに「PC化」された環境と言えよう。

 ところが、実際に書き上がった文章は縦書き向きになってしまうわけだ。考えてみれば、ジェームズ・アレン本とか書いているときには、画面上は横書きだけれども、完全に「脳内」では縦書きに変換されているような気もする。私の経歴では縦書き本が大半を占めるので(最近ネット関係の雑誌やムックにも書いたりしているのは、ある意味、新境地開拓)、自然とそういう風に思考が働いているのだろうか。多分、ここで書いている文章も、一応は横書き表示されているが、縦書きの方がしっくりくるかもしれない。

 逆に、長野さんとmaskinさんの(この本の)文章はもともと横書きに向いているような気もする。それは、単に組み方の問題ではなく、――うまく言えないが、画面上の横書き表示そのまま素直にアタマの中に収まっている文章というか。

 で、それはどちらがいいとか悪いではない。それぞれの場面に合わせた向きがあるだろうということだ。というか、話題がいくらコミュニティについての説明とは言え、テクニカル本で縦書き向きの文章を無意識に書いてしまう私の方がおかしいのである。

 鈴木芳樹さんの「ホームページとウェブログ」(はてなダイアリー - pele-mele)より引用。

松永英明(id:matsunagaさん)『ウェブログ超入門!』(日本実業出版社)[amazon]がアマゾンから届く。まだぱらぱらとめくっただけなのだが、技術的な側面を重視していた(せざるを得なかった)従来の『ホームページ入門』とは異なり、ブラウザから簡単に更新できるのが特色であるブログの入門書では、「何を書くか」や「いかにコミュニケーションするか」が前景化されるのだな、といった印象。これはつまり人文系の素養を活かしたコンピュータ書を作りやすい土壌が整いつつあるわけで、歓迎すべき変化だと思う。何よりも、オレが喰いっぱぐれずに済む。

 ここで書いてきた「縦書きアタマ」というのは、「人文系の素養」と非常に近い言葉なのかもしれない。

 最初は技術者・IT企業・学生・ライターのおもちゃ(※)だったものが、次第に「素人」のものになり、そして「いかに使えばいいか」という議論が出てくる……この流れは、今のブログブーム以前、95年ごろから始まったインターネットブームとまったく同じ流れをたどっているように思う。

※おもちゃ、というのは、ブログツールをカスタマイズすることそのものを楽しむという意味で使っている。人文系ユーザーは、自分の使いたい目的に使えるツールは何か、という考えを働かせる。このあたり、思考回路のベクトルが逆向きなのだと思う。念を押しておくが、それはどちらがいい悪いとか優劣の問題ではなく、単に「違う」とか「好みの問題」とか「経験の違い」としか言いようのないものである。それは、この間の記事「ウェブログ・カスタマイズはどこまでやるか」でも書いたとおりだ。

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2004年6月15日20:56| 記事内容分類:執筆・書き方・文章| by 松永英明
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松永さん
こんにちは 河村と申します。
ブログ人のサイトを運営しているものですが、その中のコーナー「ブログ人に聞け」のコンテンツの中で、簡単ですが『ウェブログ超入門!』をご紹介させて頂きました。
とてもよくまとまった、当を得た解説、大変参考になりました。ありがとうございました。
(ちょっと残念だったのは、ブログ人のサービスインがP13に載らなかったこと ;)、まだまだ弱小サービスで、頑張らねば...と、チームで話しているところです。それでは。

松永さん
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