mixiの大発展の裏にある「携帯ユーザー」を見逃すな

 FPNの記事はネタにしやすい(論点が明確な)ものが多いのでまた取り上げるが、「株式会社mixiは成功するか-その光と影-」でmixiの強みと弱点が考察されている。その中で、強みについてはこう書かれている。

Mixiの女性の好みに徹したデザインやどこよりも早く簡易ブログを内部に取り込んだ点、GREEが対面中心に展開するのに対してmixiはネットを重視した点などがライバルに差をつけた理由と考えられます。

 非常に的確――なのだが、重要なキーワードが抜けている。同じようなことを言っているようでいながら、実はちょっと違ったキーワードが必要だ。それは「携帯ユーザー」を取り込んだということである。

2006年1月30日22:32| 記事内容分類:ウェブ文化圏, ウェブ社会| by 松永英明
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mixi豆乳組オフ

 なぜか毎月定例となってしまったmixi豆乳組コミュニティのオフ会であるが、ここに参加する人たちはかなり平均的なmixiユーザーを代表しているように思われる。

 一つのグループは、ウェブをバリバリに使いこなしている人たちだ。初期のmixiユーザーは、ブログ開発企業界隈やはてなダイアリーから流れ込んできた「ヘビーなネットユーザー」が多かった。豆乳組でも、ねとらじをやっている人たちがいたりする。

 それから、それほどではないがネットを使っている人たちが登場する。2ちゃんねるをいつもROMしているとか、まあ普通にウェブ使ってます、友達に誘われたので入りましたという層。

 そして第3のグループとして、「普段は携帯しか使わないし、mixiにも携帯でしかアクセスしない」という人たちがいる。ノートPC+フリースポット無線LAN(喫茶issaはフリースポット対応なのだ)でmixiに接続している人がいると、「えー、PCだとそんな画面になってるんですかぁ!」と驚きの声を上げる人たちがいるのである。もちろん皆さんの予想通り、そういう人たちは女性が中心だが、ウェブを知らないでmixiを使っている「ケータイ文化圏」の人たちが完全にmixiに取りこまれており、それはmixiの大発展を支える大きな要因だったのではないかと思う。

ケータイ文化圏

 今月の初め、リンクの作法やトラックバックについて「文化圏」という言葉で分析する記事を公開したが、おおむね好評のようだった。すでに考え方の違う人たちがウェブを取り巻く社会の中に存在していること、そしてその集団をまたがって交流がなされるとき、カルチャーショックが生まれること、といった前提で考えると、今のウェブの状況がよくわかる。

 しかし、ウェブに存在する「文化圏」はまだまだ設定可能である。たとえば「日記サイト文化圏」「テキストサイト文化圏」「ブログ文化圏」「ニュースサイト文化圏」なども考えられるし(それぞれネタの取り上げ方や表現技法が違っているが、同じ文化圏内では共通項が多い)、「2ちゃんねる文化圏」「ふたば文化圏」「自アン文化圏」「あめぞう文化圏」「あやしいわーるど文化圏」「スラッシュドット文化圏」あるいは2ちゃんねるの中でも「vipper文化圏」というように、何でもかんでも文化圏つけてるだけとちゃうんかというツッコミはともかくとして、それぞれを文化圏としてとらえることは可能なように思われる。

 そして、今述べたような文化圏を一つのグループとして「ウェブ文化圏」とするならば、あと二つの大きな勢力があるように思われる。その一つは小中学生を中心とした「ぱど文化圏」(ページを閲覧したら挨拶必須、キリ番報告をしない奴は信じられない)、それからもう一つの「ケータイ文化圏」である。

 こういうことを言うとオッサンじみてくるから嫌なのだが、今の若い女性は、PCのキーボードは打てないくせに、携帯だと片手の親指一つでチャットしてしまう。彼女たちと対抗しようと思うと、こちらはキーボード、あちらは携帯でないと追いつかない。それから、同一キャリアの場合、いわゆるギャル文字までいかなくても、文末や文中のあちこちに絵文字を入れまくる。

 「きっこの日記」の横山希美子さんも、最初は携帯からサイトをつくり、管理していたが、やがてPCに移行してきたクチである。つまり、ケータイ文化圏から日記サイト文化圏への移民であった(まだブログ文化圏には来ていないように思うので、アルファ「ブロガー」に当てはまるかどうかは微妙だと思う)。

mixiはウェブとケータイの融合に成功した

 自分自身は外出時にはmixiモバイルで携帯からアクセスし、自宅ではPCからmixiにアクセスする。もちろん、機能的にも見た目的にもかなり違うし、操作性をいえばPCの方が遙かに上だろう(とはいえ、携帯に慣れている人は逆の評価を下すかもしれない)。

 問題は、このPC版とケータイ版の違いではない。PC版しか知らない人、ケータイ版しか知らない人たちが、まったく違和感なく、同じようにコミュニケーションできているという事実が重要なのだ。

 PCしか使わない人は、誰もがみんな同じ画面を見ているように思うかもしれない。ケータイしか使わない人は、やはり誰もがみんな同じ画面を見ているように思うかもしれない。使っているものがまったく違うのに、実際のコミュニケーションにおいてはそれが障害となっていないというのが、mixiと他のソーシャル・ネットワーキング・システムとの最大の違いであるように思う。

 インターネットをやっている人は、ともすればケータイ文化圏の存在を忘れがちである。しかし、ケータイしか使わない、PCなんてわかんない、インターネットってi-modeで見れるでしょ?といったケータイ文化圏は、ウェブとはまったく別のマーケットとして存在しているのである(そりゃあある程度はかぶってますが)。異質な文化圏であるがゆえに、その存在さえもよくわからない。あるいは何となく感じていても、理解できない。正直言って、私自身もまだケータイ文化圏にはつい最近足を踏み入れたばかりで、よくわからないことばかりだ。

 だが、ウェブの中だけでユーザーを拡大しようとした他のSNSと違って、mixiはウェブ+ケータイという二つの文化圏ユーザーをともに獲得した。インターネット・ユーザーが増えているといっても、職場でメールを打つのが精一杯というレベルの人が実は大半を占めるのに対して、10代~20代女性を中心とするケータイユーザーはすさまじく「使いこなしている」。彼女たちなりにmixiを使って、新しい人間関係を生み出し、友達を誘うという行動がごく自然なものとして働くのである。

 だから、ケータイ文化圏・ケータイコンテンツ市場ってのはすごく魅力的だと思うのだ。でも、その前にその文化圏を理解しないといけない。ウェブの思考方法は一度捨ててかからないといけないだろう。電通も博報堂もいまだウェブマーケティングを理解せず、ましてやケータイマーケティングを理解していない今こそ、大きなチャンスだったりするんだよね。

 ちなみに、ヤプログやドリコムあたりが率先して導入してきた「絵文字機能」は、明らかに携帯ユーザーのニーズを反映しようとしたものだと思われる。

微妙な追記というか修正

(2/1)実際にはmixiは登録その他でPCが必須なので、PCが「まったく」使えない人は参加できない。

しかし、PCが「ほとんど壊滅的に」使えない人はかなり多いようであるし、PCの使い方にも習熟していない人も一定の勢力を有している。したがって、本文全体の趣旨としては大きく変わるものではない。

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2006年1月30日22:32| 記事内容分類:ウェブ文化圏, ウェブ社会| by 松永英明
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なーるーほーどー、きっこさんのブログの違和感が少し分かりました>ケータイ文化圏から日記サイト文化圏への移民
仕事の合間に見聞きした情報をケータイで更新する、とか確かにそんな雰囲気だなあ。
 
あと、記事と逆に携帯のみを狙ったSNSっていくつかありますけど、移民がひと段落した今ではああいうのは逆に流行らない印象がありますねえ。PCユーザが大幅に増えた今、ケータイ文化の人口と日記サイト(PC)文化の人口はどうなってるんだろうなあ。
 
あと、海外だと『dodgeball.com』みたいな、むしろ携帯主体で、集まるためのSNSってのもあって面白いっす。日本にもこういうサービスはあるだろうけど、SNSとして認識されるかは微妙だなあ。
  ⇒ http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/05/13/7581.html

豆乳の現場は何度か見ましたがこの表現は少々極端ではないでしょうか。mixiは携帯だけでは使えませんから。
携帯ユーザを主な対象とした"PNE"(2004年8月1日開始)も携帯にメールが来るのが鬱陶しいと言われ、早々にコケました。

『YES! PROJECT』の影響もあるみたいですよ。
それで GREE を利用しなくなった人もいますから。

なにかこれってギブソンものに出て来る山崎とかゆう実証社会学者の研究みたいで嬉しいね。僕の記憶違いは相当なものだから見当ちがいかもー

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