巨大SNSと小規模SNS(mixiとOpenPNE)

 実はこれは去年の3月に公開しようと思っていた内容である。

 自分でmixiのようなSNSを設置できるOpenPNEの初心者講座があるというので参加したところ、OpenPNEの理念が非常に面白いと感じた。それは、「大規模SNSではできないことを小規模SNSでやってほしい」という開発者の意図であった。

 SNSは大きいのと小さいのとどちらがいいか、という話ではなく、それぞれの特徴に合わせた使い分けがあれば有効に機能するはずである。ではどのように使い分けるか。

2007年1月 6日14:09| 記事内容分類:ウェブ社会| by 松永英明
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手嶋屋さんの話を自己流にまとめてみる

 自分で小規模SNSを設置できるようなオープンソースのスクリプトがあればいいなぁ、という話は「ドットコム会議/オープンソースのソーシャル・ネットワーク [絵文録ことのは]2004/06/29」で書いたことがある。

 その後、いろいろと調べていたが、OpenPNEはかなりいい候補だった。ただ、外国人も同時に利用できるといいなあと思っていたので、UTF-8対応になってくれないかなぁと思っていたところ、2006年はじめ、OpenPNEがUTF-8対応になったと聞いて、もうこれしかないと思ったわけである。

 さて、この初心者セミナーでは、OpenPNEによる小規模SNSをどのように運営していくかということ、言い換えれば「どのようなテーマのSNSを作るか」ということを考えることになった。

 手嶋屋さんの話を私が理解した形でまとめると、それは「大規模なSNSではできないことを、小さなコミュニティとしてやっていく」ことである。

 たとえば、mixiでは自分の入っているコミュニティがすべて明らかになってしまう。そうすると、たとえば知人に知られたくない趣味のコミュニティにはなかなか入りづらい。たとえば、「熟年離婚危機」コミュニティに入ろうとした熟年の人がいれば、知人に「あいつの家はやばいらしい」ということにもなりかねない。複数アカウントというのはルール違反なので解決方法に含めないとすると、自分と切り離した形でコミュニティに参加することは難しいということになる。

(熟年離婚というテーマは、当日の参加者の方が提案したものであり、一部の年代では切実な課題であるようだ)

 そこで、新たに「熟年離婚」についてのSNSをOpenPNEを使って立ち上げたらどうだろうか、というのが小規模SNSのメリットということになる。会社の同僚・上司・部下や趣味の仲間などとは完全に切り離された状態で、単に熟年離婚に関心のある一個人として参加することができる。

 このように「自分の公開プロフィールと結びつけたくない話題」に参加するための手段として使えるというのが、小規模SNSの一つの役割である。

mixiは「大人数」だからこそ生きている

 一方で大規模SNSの意義を考えると、それはまさに「人数が多い」という言葉で説明できるように思う。

 かつてSNSがスタートし始めたころ、つまり2004年はじめ、招待されてorkutとmixiとGreeとキヌガサに入った。しかし、この中で今もアクセスしているのはmixiだけである。orkutは外国ベースということで何となく使いにくく、それこそ「マイミク数だけを競う」ようなユーザーが襲来したこともあって(orkutだからマイミクとは言わないが)、ログインするのをやめてしまった。キヌガサは何となく盛り上がりそびれたような気がする。

 mixiとGreeの雰囲気の違いは当初から言われていたと思うが、Greeは何となくビジネスライクな志向が強かった。ビジネス用途で、いわば名刺代わりに使う発想が強かったと思う。たとえば出身校を明記していく機能が強化されていたのも、履歴書のような感覚である。一方、mixiはもう少し柔らかく、趣味や共通の関心によるつながりが強かったように思う。もちろん、Greeにも趣味のコミュニティはあり、mixiにも仕事関係のコミュニティはあるが、全体の雰囲気として、サイトデザインや配色も含めて、ビジネスライクなGreeと、一般的コミュニティのmixiという雰囲気の違いが明確になっていった。

 そこで伸びるのはどうしたって「一般的」な方である。

 さて、mixiのユーザー数が順調に伸びて行くに従って、私はある一つの特徴に気がついた。それは、mixiは人数が多いがゆえに、「こんな趣味の持ち主はほとんどいないだろう」と思えるような仲間を見つけることが可能だということだ。

 たとえば仮に「台湾の実力派アイドルグループS.H.E.のメンバーの一人で、『花ざかりの君たちへ』を原作とした台湾ドラマ『花様少年少女』の主役を演じたEllaのファン」が、日本人の中の20万人に一人の確率でしか存在しないとしても、mixiユーザーが500万人いれば、「Ellaファンコミュニティ」には25人が登録する可能性がある。そして、25人も参加者がいれば、そのコミュニティは充分に機能する。

 自分が作った「豆乳組」コミュニティも、まさかこんなものに参加するユーザーはほとんどいないだろうと高をくくっていたら、今や参加者が4000人を突破している。そして豆乳ドリンクメニューのある喫茶店店長が参加し、そこでオフを開くようになるなど、考えられないことだった。

 つまり、母集団が大きいからこそ、小さな趣味のサークルが成り立つわけである。すでに流行り終わった言葉を使えば、「ロングテール」的な小規模サークルが拾い上げられる可能性があるということになる。

大規模と小規模の性質の違い

 大規模ソーシャルネットワーキングでは、小規模なサークルも成り立つ。それは言い換えれば、自分の必要とするコミュニティは、mixi一つあればまかなえるということにもなる。特殊な趣味の特殊なSNSに行かなくても、とりあえずカバーできてしまう。

 自分などは面倒なので、いくつもSNSに入って、それぞれをチェックする気にならない。大規模SNSだとmixiだけ、それもトップページを開いたら自動ログインである。類似サービスを並行していくつも使おうという人はそう多くないはずだ。

 だから、mixi一つあれば大体のことは済ませられる、というのは楽でいい。そうしてmixiの使用頻度が上がっていったりもする。

 一方で、mixi内の1コミュニティとしての活動では機能不足だという場合も出てくるだろう。そうなれば、そのコミュニティを独立したSNSにしてしまえばいい。また、もともとmixi内部から集めたのではなく、別のルートで集まった人たちが主体の場合、わざわざmixiを使ってもらうよりは、独自SNSでその人たち向けにカスタマイズすればいいだろう。

 私の場合は、「もの語り」と「美少女新世紀「ラベンダー・エクスプレス」SNS」と「OpenPNE.jp ~OpenPNE公式SNS~」に入っているが、それぞれさらに細分化された話題でコミュニティが作られている。

 「マチともの語り」の連絡用に作られた「もの語り」SNSは、もともとmixiとは異なったネットコミュニティが母体なので、わざわざmixiに組み込むよりは独自運営の方が合っているわけである。

 また、美少女新世紀の方は、いわゆるアイドル発掘SNSであるが、デビュー前のアイドル志願者に関するコミュニティをmixiで乱立させても収集がつかなくなるので、独立できるだけのコンテンツを擁するテーマの場合は、こういう小規模SNSでうまくいくと思う。

 また、冒頭に書いたように、自分のmixiでのプロフィールに関連づけられたくない趣味などがある人は、別の小規模SNSに別途入ることになるだろう。

 したがって、私のいつものパターンで「善悪」ではなく「違い」をまとめるなら、こういう使い分けなのかなと思う。

  • 大規模SNS
    • 不特定多数の中から共通の趣味・嗜好・関心の持ち主を捜す
    • 自分のプロフィールの一部として所属コミュニティ一覧を活用する
    • 交友関係を公開できる友人とはジャンルを問わずにつながる
  • 小規模SNS
    • 共通の趣味・嗜好・関心を持つ特定少数のメンバーで集まる
    • 自分のプロフィールとは関係なく、単独で成立する
    • このテーマに限定された交友関係を示す

 したがって、mixiには問題があるからといって、じゃあ小規模SNSを乱立させれば解決されるのか、といえば、決してそういうことはない。小規模SNSはmixiの代替とはならない。mixiの問題はmixi内部で解決する必要がある。ただ、今はmixiに集中しすぎている機能の一部を分散させることは可能だろう。

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