中国の日本観光ガイド『日本での遊び方』

外国人は日本をどう見ているか。それを知るには、観光ガイドというのは面白い視点ではないか、と橋本大也さんが書いている。

Passion For The Future: 日本はどう報じられているか(2004年09月28日)

ところでニュースや新聞報道以外では、実は観光ガイドというのは大きな影響力を持っているのではないだろうか。日本にわざわざ出向く人たちは潜在的な日本の布教者であるはずだ。

以前、米国の本屋で日本の観光ガイド本を購入したことがある。

帰りの飛行機で日本は米国でどのように紹介されているのか、興味深く読んだ。至って真面目な本で、日本のサービス業従事者の就業意識に触れ、「チップの小銭を渡すのは失礼に当たるが、よく考えると良い文化だ」という自文化の見直しなどもあるのだが、奇妙な記述も混ざっていた。

各国の日本観光ガイド本の中身の比較、もう少し調べて見ると面白いかもしれないと思った。

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今回、上海書城で2冊ほど、中国人向けの日本観光ガイドを入手したので、その内容を紹介してみたい。

2004年10月 8日19:52| 記事内容分類:中国時事ネタ| by 松永英明
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1冊は『日本就要這様玩(日本ではこうやって遊ぼう)』(詹欽陽 一番 編著)である。

実況放送の形式で旅行日程を紹介。外国異郷にあっても迷路に陥る心配はまるでなし。

全角度からスポットを網羅、日本の大きな街から小さな街まで。

めくるめく桜花の城 超完美旅游計画

というわけで、VCD2枚組までついた懇切丁寧な日本旅行ガイド。この通りに行けば、成田から入って東京・横浜・熱海・箱根・大阪・箕面温泉ときて関空から帰国できるという仕組みになっている(温泉が入っているのが面白い)。巻頭言にはこうある。

日本と言えば、白い雪をいただいた富士山、人の多い東京街道、飛ぶように駆けていく新幹線弾丸列車、和服を着て舞う芸子が頭に浮かぶだろう。しかしこれは日本の光景のごく一部に過ぎず、本当の日本旅行と同列に論ずることはできない。日本は悠久の歴史を有し、数多くの風光明媚な自然観光地があるだけでなく、発展レベルは世界でもトップクラスである。現在、日本はファッション、電機、アニメなど、アジアの流行の最先端となっている。東京は日本の首都であるが、世界で最も繁華な都市の一つでもある。ここでは、400年の歴史文化の蓄積を知り、寿司・天麩羅など独特な日本料理を食べ、世界で一流のブランド商品を買うことができ、世界で最もクールなテーマパークで遊ぶことができる。つまり、食べる・飲む・遊ぶ・楽しむのすべてが備わっており、人々の心を動かさずにはいられないのである。

Step 1「東京に行くまで」

今回、東行の旅の最初のポイントは日本の首都であり、日本で最も繁華な都市――東京である。新東京国際空港は非常に規模が大きく、空港は複雑であるため、旅行者の皆さんは本章の内容を参考にして、順序よく東京に入っていただきたい。

  • 出国手続き編
  • 機上編
  • ターミナルを下りる
  • 入国審査・入管審査

Step 2「新宿御苑」

現在の日本は現代化の雰囲気を示すだけでなく、悠久の島国文化もとどめている。今回の行程ではまず皆さんに東京都庁ビルに昇っていただき、それから新宿御苑を遊覧し、明治神宮を参観して、日本古今の文化が自然に積み重なっていることを感じていただきたい。

  • 東京都庁
  • 新宿御苑
  • 原宿(明治神宮・表参道・代々木公園・竹下通り)
  • 渋谷

付属のVCDはこの内容に完全に沿っており、どの駅のどの入り口から乗って、何に乗ってどこにいくかということまで完全に実況放送してくれている。カメラワークは素人臭いけどね。以下、すべて同じ。

Step 3「ディズニーランド」

東京には、遊び人が行きたくてたまらない場所が無数にある。その中でももっとも心奪われる夢のようなディズニーランドがある。この中の七大地区はそれぞれ何度も行きたくなるようなところだ。

  • 東京ディズニーランド
  • IKSPIARI

Step 4「後楽園」

ディズニーランドで遊んだ後、まだ遊び足りない人は後楽園、Kittyランドに行くといい。ここでは刺激的なジェットコースターで遊んだり、可愛いHello Kittyと仲良くなったりできる。

  • 後楽園
  • Kittyランド

Step 5「地震科学館」

島国日本は特殊な地理位置にあり、地震が起こる確率が非常に高い。日本人は地震を日常茶飯事だと思っており、同時に地震に対しては最も深く研究している。地震科学館は日本の地震科学研究の多くの成果を集中的に展示している。

  • 地震科学館
  • 上野動物園
  • 秋葉原電気街

Step 6「日比谷公園」

北京に来たら故宮に行くのが必須であり、上海に行ったら東方明珠を鑑賞するのが当たり前というのと同じように、日比谷公園、東京タワーは東京旅行で必須の観光地である。旅行の間、日本皇族の愛する豪華な景色を堪能し、東京タワーでは東京ラブストーリーを間近に感じることができるだろう。

  • 日比谷公園
  • 皇居周辺(二重橋、皇居東御苑)
  • 東京タワー
  • 素晴らしい夜

Step 7「浅草寺」

国内と同じく、日本の仏教文化も古く、長い。仏教信徒は全国にいる。浅草寺は日本仏教信徒の帰依の中心である。この寺の歴史は古く、数多くの古い建築は独自の特色を備えており、毎年無数の旅客が引き寄せられている。

  • 江戸東京博物館
  • 浅草寺
  • 隅田川
  • 台場

Step 8「ワイルドブルーヨコハマ」

ワイルドブルーヨコハマ(蛮荒楽園)は一年中夏のような室内海岸楽園であり、ここでは南国海島の光景を楽しむことができる。ワイルドブルーヨコハマの後、有名な「中華街」に行けば、外国で故郷の人に会うような感覚を得られる。

  • ワイルドブルーヨコハマ
  • 中華街

Step 9「熱海の旅」

四面を海に囲まれた日本は海と不可分であり、海洋を利用し、海洋を開発する研究によって日本経済は発展してきたのである。趣のある海島楽園があり、ここは日本の「海文化」といえる。

  • 八景島海島楽園
  • 熱海
  • 伊豆山熱海美景
  • 素晴らしい夜

Step 10「箱根の旅」

通常、日本にやってきた団体客は、みな箱根温泉の旅が予定に組み込まれている。これは、箱根は山の景色が素晴らしく、風景が美しく、温泉がよく、古跡も多く見られる観光・遊楽のスポットだからである。同時に、富士山の美景も見ることができる。白雪に覆われた富士山は国民の日本に対する第一印象となるのである。

  • 箱根探索(強羅美景・早雲山)

Step 11「東京ショッピング」

日本の物価は非常に高いが、精緻な手工と優良な技術によるものであり、また美しいパッケージも加わっている。東京に来た人は、みなこの地でよいショッピングをせずにはいられない。

  • 新宿ショッピング
  • 原宿ショッピング
  • 渋谷ショッピング
  • 銀座ショッピング
  • 合羽橋ショッピング
  • 秋葉原電気街
  • 上野ショッピング
  • 御茶ノ水

Step 12「大阪を目指す」

今日、我々は世界でも有名な東海道新幹線に乗ってまず大阪へ行き、豊臣秀吉将軍の建造した大阪城公園へ行き、東京都文化の違いを感じる。

  • 東京から大阪へ
  • 大阪城公園
  • 天王寺公園
  • 快楽門楽園(フェスティバルゲート)
  • 空中庭園展望台

Step 13「大阪で遊ぶ」

全世界で最大の水族館がどこにあるか知っていますか?それは大阪の海遊館。ここには本当に環太平洋火山帯と沿岸の自然環境と生物があり、地上にありながら海中の神秘世界を知ることができる。

  • 海遊館
  • サンタマリア号
  • 大観覧車

Step 14「宇宙時空」

東京タワーと並ぶ宇宙ビルは大阪港地区の標識となるビルであり、西日本最大の建築である。ビルの頂では大阪の風景を鳥瞰することができる。

  • 宇宙ビル(大阪世界貿易センタービル コスモタワー)
  • 海洋時空館(なにわの海の時空館)

Step 15「ユニバーサル・スタジオ」

環球影城(ユニバーサル・スタジオ)は映画をテーマとした遊園地であり、世界各国の建築の精華を紹介しており、万国の建築群を見ることができる。規模は大きくないが、映画ファンならば足を運ぶしかないだろう。

  • ユニバーサル・スタジオ

Step 14「箕面温泉」

日本に来て泡の出る温泉はまだなかったが、行ってみたいものだ。箕面温泉は大阪の郊外にある温泉観光地で、ここで泡風呂と観光をすれば気分も軽やかになるだろう。

  • 箕面温泉
  • 箕面温泉公園

Step 17「大阪ショッピング」

大阪でのショッピングについて、当地の人はみな言う。「北に梅田、南に難波」。以下は筆者が収集した大阪ショッピング情報であり、皆さんがショッピングするお役に立てればと思う。

  • 梅田地区
  • 心斎橋・船場
  • 日本橋

Step 18「帰国」

日本の旅を終えて、旅行者は関西空港から国内に帰ることができる。ここでは帰国の詳細を紹介しよう。

  • 関西空港
  • 安全に家に帰る

Step 19「付録」

  • パスポート事務
  • 当地情報

というわけで、日本人でもこんな旅行はしないぞ、という豪華な日本旅行ガイドであった。はっきり言って普通の中国人なら破産しかねない。現地ロケを敢行しているだけあって大きな勘違いなどは特にないが、中国上流階級向けの観光ガイドと思われる。

価格はVCD二枚組付き32.00元(日本円にして約420円くらい)。ちょっと高めの本である。

(もう一冊は次のエントリーにて)

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2004年10月 8日19:52| 記事内容分類:中国時事ネタ| by 松永英明
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九寨溝や峨眉山や四姑娘山や長江三峡などは世界でも有名です。

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