「世界」と一致するもの

ツイッターの日本語ハッシュタグはなぜ大喜利化するのか(序説)

ツイッターではこれまで、#のあとに半角英数をつけると「ハッシュタグ」として認識され、それをクリックすると同じ話題のツイートが一覧できるようになっていた。たとえばPerfumeの話題なら #prfm というようにある程度決まっている。また、「仮面ライダーOOO」がうっかり#oooを使おうとしたらそれ以前からOpenOffice.orgで使われていたので変更したというような小事件もあった。

2011年7月13日、日本語ハッシュタグが使えるようになった(Twitterブログ: #日本語ハッシュタグ)。ハッシュタグの前後には空白または句読点を入れれば、日本語で書いた「#地震」がハッシュタグとして認識される。

ところが、おそらく誰も想定していなかった事態だろうが、それ以来、日本語ハッシュタグが大喜利ネタになるという現象がみられた。人によってはタイムラインが日本語ハッシュタグ大喜利に埋め尽くされている場合もあるようだ。「#名作のタイトルに団地妻をつけるとロマンポルノになる」など、ついつい大喜利に参加したくなるネタが続出している。

では、なぜ日本語ハッシュタグは大喜利化するのか。それを言語的な観点から考察してみた。ただし、まだ研究のとっかかりであるため、「序説」とした。

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【書評】鈴木妄想『新大久保とK-POP』★★★★★

鈴木妄想著『新大久保とK-POP』(毎日コミュニケーションズ/マイコミ新書)を編集部から献本いただいた。非常に興味深い内容で、最後まで一気に読み切った。

本書はタイトルどおりK-POPから入って、新しいタイプのコリアンタウン化している新大久保を題材に扱っている。私自身がライフワーク的なテーマとして関わっている「アジアンポップス」と「場所論」と「多文化共生」が存分に盛り込まれていることもあって、まさにこういう本を待っていましたという内容である。

ここ数日の「フジテレビ韓流ゴリ押し」問題とも絡み合うという意味ではタイムリーとも言えるが、それ以上に新大久保・K-POPを論ずるときに欠かせない一冊として長く参照されることになるはずである。ちょうど森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』がアキバ論で必須の文献となっているように。

以下、自分の興味に引き寄せての感想である。

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日本市場へ売り込むK-POP&韓流、売り込まないC-POP&華流

「フジテレビの韓流推し」が話題になっているが、逆の視点から見てみたい。それは「売り込む側の論理」である。

わたしは以前から中華圏(台湾・香港・大陸)の音楽、いわゆるC-POPのファンである。日本でも知名度の高いビビアン・スーも好きだが、GLAYとも共演した実力派ロックバンド五月天(MAYDAY)、女性ロック歌手としては日本含むアジア全域のトップクラスと断じたい張惠妹(Amei、音楽劇トゥーランドット主演)、トップアイドルユニットとしては台湾のS.H.Eと香港のTwins、さらに王心凌(シンディ・ワン)やガールズバンド櫻桃幫(Cherry Boom)、そして日本で活躍するalan(レッドクリフの主題歌で有名)などを聴いている。

といっても日本では、上記に挙げた中ではビビアン・スーとalan以外は知らないという人が大半だろう。だが、中華圏でこれらの名前を知らない音楽ファンはいない。日本で中華圏の歌手の名前が出てくるとしたら、テレサ・テンと欧陽菲菲と王菲くらいで、崔健やケリー・チャンまで知っている人はかなり詳しい部類に入ってしまう。韓流に対して「華流」という言葉も一応あるのだが、ファン以外には通じないのが現状だ。

一方でK-POP・韓流は「多すぎる」と非難されるほどメディア展開が進んでいる。CとKの違いは何か。それは、日本市場を市場と見ているかどうかということである。

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制服向上委員会の「フジロック狂言」始末

最近、反原発を前面に押し出すことでプロモーションしているアイドルグループ「制服向上委員会」が、7月20日、メンバー公式ツイッターと公式ブログで「フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により「ステージ上で脱原発の歌は歌えない」との事で、出演出来なくなってしまいました。」と発表。

ネット上ではこの情報をもとにフジロックや「大手企業」、あるいはロックそのものを批判する論調も見られたが、一方で「制服向上委員会の言うことは間に受けない派」(宗像明将さんなど)をはじめとして、そもそもの発言の信憑性を疑う声も上がっていた。

結局のところ、そもそも制服向上委員会がフジロックに出演する話そのものが疑わしいというのがオチであるようだが、その顛末をとりあえずまとめておく。

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【書評】かじいたかし 『僕の妹は漢字が読める』:「自虐的メタラノベ」の金字塔?

書評サイト【Book Japan】に寄稿した書評を、こちらでも掲載しておく。

僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)
「僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)」
 [文庫]
 著者:かじいたかし
 出版:ホビージャパン
 発売日:2011-06-30
 by ええもん屋.com

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「災害ユートピア」と「震災ナショナリズム」

「災害時にも沈着冷静で礼儀正しい日本人」――それは実は、全世界の被災地で普遍的に見られる現象だった。

6月12日の文学フリマに合わせて作った個人誌『東日本大震災でわたしも考えた』では、ブログに掲載した記事をさらに拡張・加筆修正を加えただけでなく、いくつかの書き下ろしも入っている。その一つが『「災害ユートピア」と「震災ナショナリズム』」という文章である。

ここでは、その前半部分をそのまま掲載する(一部囲み記事や図版は省略)。

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石原慎太郎支持者の都内分布を地図化してみた

私は常々公言しているとおり、石原慎太郎4選で心から失望した人間である。今まで一度も石原に投じたことはなく、常に石原の対立候補に投じてきた。今回の都知事選では、石原は最初に消去したものの、東国原・ワタミとも消去の対象となり、結果として石原を下ろす結果にならなかったのが悔やまれる。

もっとも、石原支持は特に年齢が高くなるにつれて「盤石」の域に達していることも実感していた。

この都知事選について、遅ればせながら「石原支持」声なき声の260万票を読み解く - 話の栞というブログ記事があることを知った。ここでは「各自治体ごとの石原票をそれぞれの総投票者数で割った数字」が一覧にされている。そこで、その数字を実際に地図で色分けしてみた。

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「地震兵器」説の徹底分析と致命的欠陥、陰謀論の本当の危険

現在、陰謀論ジャーナリストのベンジャミン・フルフォード氏やリチャード・コシミズ氏などが「東日本大震災は地震兵器によって起こされた」という説を唱えており、完全に心酔した元広島県議会議員がツイッターで強く主張するなどの状況となっている。

確かに、小規模であれば人工的に地震を起こせることは事実であるが、今回の大震災を地震兵器によるものと見なすことはできない。そのことはすでに山本弘氏の詳細な検証もあるが、ここで地震兵器説そのものの問題点を指摘しておきたい。

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震災後のデマ80件を分類整理して見えてきたパニック時の社会心理

ツイッターの「東北関東大震災に関するデマまとめ」(jishin_dema)」さんが中心となって、主にツイッター上を流れるデマ情報とそれに対する分析の収集・告知が精力的に行なわれており、多くの人が情報提供や検証に加わっている。震災発生直後から1週間程度がデマのピークではあったが、現在も新たなデマは生まれつつあり、また過去に否定されたデマが生き続けているものもある。

そのツイートをもとに@omiya_fctokyoさんがTogetter - 「「東北関東大震災に関するデマまとめ」のまとめ」を作成され、わたしも気がついたら編集に参加している。

今回、この「デマまとめのまとめ」をもとに、震災発生後約1カ月間のデマ80件をピックアップ、パターン別にまとめてみた。

※この記事は震災後1か月足らずの時点でのまとめです。同年6月に発行した冊子『東日本大震災でわたしも考えた』では震災後のデマ100件の分類整理を行なっていますのでぜひこちらもご参照ください。

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キヨシロー「Love me tender」のアンサーソングとしての斉藤和義「ずっとウソだった」の無力感

斉藤和義が自らのヒット曲「ずっと好きだった」の替え歌として反原発ソング「ずっとウソだった」を弾き語りする動画がアップされ、レコード会社も本人であることを認めている(中日スポーツ:斉藤和義「反原発ソング動画」ネットで物議 所属ビクター困惑:芸能・社会(CHUNICHI Web))。

我々くらいの年代であれば、反原発ソングとして真っ先に思い出すのは1988年忌野清志郎がアルバム「カバーズ」で発表した「Love me tender」のはずだ。「カバーズ」は発売直前に発売中止が決定したことでも話題を呼んだ。そして、斉藤和義の歌はキヨシローの歌を非常に意識している。たとえば、「ほうれん草食いてぇな」は当然「牛乳を飲みてぇ」に呼応している。

「ずっとウソだった」は「Love me tender(キヨシロー)」のアンサーソングといえる。キヨシローの「静かな怒り」は、斉藤和義の「怒りの末の無力感」に受け継がれた。

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