「言語学」と一致するもの

木村カエラCMのエセ関西弁が気持ち悪い理由

木村カエラのキシリッシュCMのエセ関西弁がとにかく気持ち悪い(→CM GALLERY(CMギャラリー)|XYLISH (キシリッシュ)|株式会社 明治)。少なくとも京阪式アクセントで生まれ育った人間にとって、これは「バカにしとんのか」と生理的嫌悪感を抱かずにはいられないレベルである。中途半端に似せているがゆえに、違うところがあまりにも気持ち悪く、「ほかのガム噛んだらあかんで」と言われてもかえって「キシリッシュだけは金輪際噛んでたまるか、一生噛まんわ」と思ってしまうほどである。

なぜ中途半端なエセ関西弁が気持ち悪いのか。言語学的な分析からその理由をまとめておきたい。

続きを読む: 木村カエラCMのエセ関西弁が気持ち悪い理由

【書評】かじいたかし 『僕の妹は漢字が読める』:「自虐的メタラノベ」の金字塔?

書評サイト【Book Japan】に寄稿した書評を、こちらでも掲載しておく。

僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)
「僕の妹は漢字が読める (HJ文庫)」
 [文庫]
 著者:かじいたかし
 出版:ホビージャパン
 発売日:2011-06-30
 by ええもん屋.com

続きを読む: 【書評】かじいたかし 『僕の妹は漢字が読める』:「自虐的メタラノベ」の金字塔?

「読めてしまう」文章ネタの起源と歴史

ひらがなばかりで書かれた文章なのだが、文字の順序がでたらめになっていても読めてしまうという現象が話題を呼んでいる。

このブログでは2003年9月にこの話題を扱っていた。

「英国ケンブリッジ大学の研究結果」というのは都市伝説である。また、「語の中の文字の順序を変えても読める」というのは言語学において実証された科学的発言ではないことに注意(それっぽい実例は作れるが、それが成立する条件やメカニズムについては論証されていない)。ここでは2003年の記事をもとに再編集して新情報を追加し、この「読めてしまう」文章の起源と歴史を改めて整理しておく。

続きを読む: 「読めてしまう」文章ネタの起源と歴史

ハンコ・元号・縦書きをやめたくない歴史的な理由

ハンコ・元号・縦書きをやめよう - 池田信夫 blogを読んだ。

あまり根拠もしっかりと書かれておらず、思いつきだけで書いているのではないかという印象を受けたが、歴史的な事実関係を見ながら、何となく「やめなくていいんじゃないの?」という意見を書いてみたいと思う。

ちなみに、わたしは保守派でもなければ国粋主義者でもない。

続きを読む: ハンコ・元号・縦書きをやめたくない歴史的な理由

関西人250人に聞きました。「やが」という関西弁はほとんど使われてないんやけど。

 いわゆる関西弁の特徴の一つとして、断定の「だ」が「や」になるというものがある。「そうだ」→「そうや」、「なぜだ」→「なんでや」といった具合である。これで関西風の表記になりそうや。

 しかし、どうにも違和感があったのが、たとえば雑誌に載っているダウンタウン松本の連載記事の中で、もちろんいつもの松本の言葉に近いのだが、←今ここで使ったような「だが」を「やが」と書いていることがあったりする。それ以外にも、雑誌やスポーツ紙などで使われるメディア関西弁では「だが」が「やが」と書かれていることが非常に多い。

 そして、関西弁風のブログなどでも「やが」という言葉が使われていることがある。

 ところが、自分は「やが」という言葉を使ったことがないのである。「近いんやけど」とは言っても「近いんやが」とは絶対に言わない。そのため、「やが」というのは関西弁もどきの書き言葉ではないかと考えた。

 そこで、人力検索はてなで簡単なアンケートをとってみたんやが……(←こういう「やが」がニセっぽい)

続きを読む: 関西人250人に聞きました。「やが」という関西弁はほとんど使われてないんやけど。

極私的百科「閾ペディアことのは」のための「ことのは十進分類法」

 ふと思いついて、自分のための極私的百科「閾ペディアことのは」を作ってみた、という話は前回の続き。これはWikiPedia(ウィキペディア)と同じく「MediaWiki」というWikiツールを使っている。そのため、見かけというか操作などはほとんど同じ。ただ、自分の好みの記事をガンガン登録できるという仕組みである。

 ブログだとある程度その時点で固まった内容であることが多いが、ウィキならいつでも編集可能。そういう意味で両方あれば便利である。

 ところで、MediaWikiが使いやすい理由として、カテゴリ分けが非常に柔軟に使えることが挙げられる。あとでいくらでも変更できるし、どれだけ深い階層でも何とかなる。この点、一応カテゴリ階層化もできるが、その分タイトルがどんどん長くなってしまうPukiWikiなどよりずっと使いやすい。つまり、カテゴリによる整理をしようと思ったら(知る限り、現状)MediaWikiが最適ということである。

 ところが、このカテゴリ分けをどうするかでふと悩んだ。ウィキペディアの分類はあまり整理されていない。そこでいろいろと考えてみたのだった。

続きを読む: 極私的百科「閾ペディアことのは」のための「ことのは十進分類法」

mixiコミュジャックまとめ(4)事件の流れと全体像

 今回のmixiコミュニティ乗っ取り事件について、コメント欄にて「mixiのユーザーじゃないひとはもっと訳がわからないと思うので、もう少し噛み砕いて、どういうことが起こっててなにが問題なのかを解説する記述を追加してくれることを希望」という要望があった。確かにそのとおりだ。

 そこでまとめようと思って少々調べてみたところ、今回の「カリスマ」グループを中心とする乗っ取り事件には、例の「三洋電機社員のプライベート写真流出事件」から始まる一連の流れがあったようなのである。

続きを読む: mixiコミュジャックまとめ(4)事件の流れと全体像

「韓国人が漢字を発明した?」論争まとめ

「漢字を発明したのは韓国人」と主張する一部の韓国人がネットで中韓対立を生み出している。この話題については日本でも

などで取り上げられるようになった。

 そこで、この騒動について、人民網に掲載された中国語記事の翻訳、ならびにこの主張のもともとの起源を探ってみた。どうやら、アメリカ・メリーランド大学に在籍する韓国系の人物が2002年8月25日にニューズグループに投稿した記事が発端のようである。

※嫌韓的あるいは韓国を嘲笑するブログからのトラックバックならびにコメントであると管理人が判断したものは削除します。この記事は民族対立を煽るのではなく、淡々と事実を探る意図で掲載しています。

続きを読む: 「韓国人が漢字を発明した?」論争まとめ

日本語ラップ問題と音節構造

 最近、「日本語はラップに向いていない」という話題が盛り上がっているようなので遅ればせながら。確かに、日本語の音節構造はあまりラップ向きではないという印象はわたしも持っている。ただし、それは日本語ラップ曲がいいとか悪いとかいうこととはまったく関係しない。ラップというのが、日本語と音節構造の違う英語から生まれたのだから、単に当たり前のことを言っているにすぎない。それから、日本語ラップはあまり聴かないので、擁護も批判もする気がないことは最初に断っておく。

 個人的には、広東語ラップがちょう気持ちいいと思っているのだが、本当に広東語というだけでカッコよく聞こえる。つまり、ラップ向きの言葉とそうでない言葉は確かにあると思うのである。もちろん、向いていない言語でラップに挑戦するのは面白いことだと思うが、生まれながらのハンデというものはあるはず。

 というわけで今回は軽く、あくまでも言語学的に。

続きを読む: 日本語ラップ問題と音節構造

「よろしかったですか」の歴史と心理的背景を探ってみる

 ファミレスやコンビニでよく使われる「ファミ・コン語」の中でも特に違和感のある「よろしかったですか」について、ウェブ上で見られる情報をまとめてみた。特に「北海道方言起源説」を中心に、どのような心理でそれが受け入れられるに至ったか、そしてなぜ反発を受けているのかについて考えてみたい(今回の前半は引用中心だが、後半には私の考えがまとめてある)。結論は「店員の側の押しつけ敬語」ではないかということである。

続きを読む: 「よろしかったですか」の歴史と心理的背景を探ってみる
2  

アーカイブ

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。
過去に書かれたものは月別・カテゴリ別の過去記事ページで見られます。