「コミュニケーション」と一致するもの

「今年の漢字」の「絆」の原義は「束縛」「しがらみ」

2011年12月12日、日本漢字能力検定協会は恒例の「今年の漢字」を発表した。今年の漢字は「絆」だという。同協会の公式サイトの解説によれば、それは人と人との絆、チームワークとしての絆など、非常に美しく好ましいものとして扱われている。

しかし、「絆」という漢字、「きずな」という和語の原義を調べてみると「動物をしばる綱」であり、「束縛するもの」というネガティブなイメージの言葉である。それがいつから美しく優れた美徳として扱われるようになったかはよくわからないが、原義で解釈するとこれも今年の世相に合っているように思われる。

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【書評】鈴木妄想『新大久保とK-POP』★★★★★

鈴木妄想著『新大久保とK-POP』(毎日コミュニケーションズ/マイコミ新書)を編集部から献本いただいた。非常に興味深い内容で、最後まで一気に読み切った。

本書はタイトルどおりK-POPから入って、新しいタイプのコリアンタウン化している新大久保を題材に扱っている。私自身がライフワーク的なテーマとして関わっている「アジアンポップス」と「場所論」と「多文化共生」が存分に盛り込まれていることもあって、まさにこういう本を待っていましたという内容である。

ここ数日の「フジテレビ韓流ゴリ押し」問題とも絡み合うという意味ではタイムリーとも言えるが、それ以上に新大久保・K-POPを論ずるときに欠かせない一冊として長く参照されることになるはずである。ちょうど森川嘉一郎『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』がアキバ論で必須の文献となっているように。

以下、自分の興味に引き寄せての感想である。

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2011年の統計からみるスマホの将来:docomo圧勝?

スマートフォンはどれくらい伸びるのか、伸びないのか。日本独自の進化を遂げたがゆえに「ガラパゴス携帯=ガラケー」と呼ばれる従来型携帯がスマートフォンに制圧されるのは近いのかまだ先なのか。

そういうことをデータに基づいて検証したいと思って、先週、携帯3社に対して「従来型携帯とスマートフォンの契約者数について、性・年代別の統計資料はありませんか」という問い合わせを行なったところ、三社横並びで「そういう資料は提供していない」との回答だった。

さらに検索してみたところ、1か月前に博報堂の関連調査機関が出した報告がちょうどぴったりのものだった。博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が6月15日に公開した「メディア定点調査2011」である。

この中で「スマートフォン所有状況」の東京・大阪・愛知・高知の4か所の比率(抜粋編に掲載)、同じく2010年との比較と性年齢別比較(ニュースリリースに掲載)のグラフが表示されている。

このグラフからは「スマホは20~30代ビジネスユーザー中心」という現状が読み取れるように思われる。それは、すべてのガラケーがスマホに入れ替わるのはまだもう少し先、ということを暗示しているように思われる。

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第14回「日本語教育と音声研究会」レポ:声優・若本規夫氏の操る声の秘密

2011年2月26日、早稲田大学にて第14回「日本語教育と音声」研究会(戸田貴子教授 - 早稲田大学大学院日本語教育研究科)が開催された。•参加費無料・事前申し込み不要ということで、興味ある分野でもあるため初参加した。

第14回のゲストは声優の若本規夫さん。私の予備知識ではしょこたんの「スカシカシパンマン」と、「人志松本のすべらない話」「嵐にしやがれ」のナレーションの人というだけのものだったが、その独特の声色はいやでも印象に残っていた。

当日、会場はなかなかの盛況で、第一部の若本さん目当ての人がおそらく過半数だったように思われる。以下、会場にてポメラでメモした内容をまとめた。※個人のメモであり、本人の発言そのままではないことをご了承ください。

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【書評】『グループアイドル進化論』:アイドル語りを誘発する本

マイコミ新書編集部より献本いただいていた『グループアイドル進化論――「アイドル戦国時代」がやってきた!』を何度か読み返している。「現場系」すなわちイベントに積極的に通うファンの立場からの視点として興味深い。ただ、私の思うところとはちょっと違うところもあるので、そのあたり含めて書評としてみたい。

グループアイドル進化論 ~「アイドル戦国時代」がやってきた!~ (マイコミ新書)
「グループアイドル進化論 ~「アイドル戦国時代」がやってきた!~ (マイコミ新書)」
 [新書]
 著者:岡島 紳士,岡田 康宏
 出版:毎日コミュニケーションズ
 発売日:2011-01-25
 by ええもん屋.com

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ウィキリークス・アサンジ氏の「強姦」容疑は「コンドームなしセックス」が口実

「英警察当局は7日、強姦(ごうかん)などの性犯罪容疑でスウェーデンから逮捕状が出ていた内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ容疑者(39)を逮捕した」(時事ドットコム:アサンジ容疑者を逮捕=性犯罪の疑い、ウィキリークス創設者-英警察)と報じられている問題だが、アサンジ氏の「強姦」疑惑は、スウェーデン当局によって「性行為の後半にコンドームなしの状態があった」ことを「同意なしの性行為を強要した」というふうにこじつけたものである、ということがアサンジ側弁護士によって主張されている。

その原文を見つけたので全訳しておきたい。今回は大手メディアによって「弁護側はこのように主張している」という部分がほとんど報じられていないので、資料として提示するものである。わたし自身の主張は一切含まれていないし、事実関係も判断する立場にない。

一部では「スウェーデンではコンドームなしでセックスしたら強姦とみなす法律がある」というように誤解されているようだが、そんなことはない。スウェーデン当局が、「コンドームが破れた」あるいは「二度目の行為で着用しなかった」ということを根拠に「不同意の性行為」である=「強姦である」との主張のもと立件しようとしている、というのが弁護士の主張である。

#(追記)「コンドーム着用を拒否してセックスしたならふつうに強姦じゃん」というツイートがあったが、アサンジが「着用を拒否した」という事実は記されていないし、女性側からも主張されていない。一方で「Wikileaks創設者のアサンジ氏をレイプ告発した美女の正体はCIA関係者?」という記事もある。真偽は不明(かつこの記事で「スウェーデンではそういう法律がある」というのは誤り)だがハニートラップの可能性も疑われる。

#(わたしに対する人格攻撃が始まっているので否定するために追記)コンドームは避妊対策としては不完全で、性病対策としての意味が大きい。もちろん、一人の固定された相手に限定されない性行為を行なう場合につけないのは最低だというのは言わずもがなの大前提である(男の側から言っても、はらませる危険性と性病の危険性を考えればつけないのは「恐怖」)。その上で「アサンジの性行為の時点で非着用であること含め同意があったと考えられる」。行為中あるいは行為後に女性たちがアサンジに不満を述べたとか拒絶したのにやられたという事実は確認できない。ここポイント。

軽はずみなSEX その落とし子が減りますように
――川村かおり「39番目の夢」

なお、ウィキリークスについて思うことは改めてブログ記事化したいと考えている(ウィキリークスの英雄視も敵対視も危険だと考えている)。

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「英語公用語ではなく多言語化」はなぜ激しい反発を受けたか――「英語《だけ》ではだめ」再論

前回の文章「「英語を公用語化」する企業はグローバルを履き違えている。必要なのは多言語化[絵文録ことのは]2010/06/30」は、livedoor BLOGOSにも転載され、多数の反発を受けた。感情的な反発や誤解・誤読も非常に多く見られたが、「事実上の世界標準語である英語ができなければ世界のビジネスで生き残ることはできない」「英語が最も効率的・現実的」という考え方が世の中ではむしろ主流なのだろう。

しかし、わたしはそれでもやはり「英語」一辺倒の考え方にはまったく馴染めない。「英語至上主義」の声があまりにも多いことから逆に、勢い余ってエスペラントの学習を始めることを決意してしまったくらいだ。

「英語」一辺倒にはどのような危険性があるのか。それを述べておきたい。その前に必ず前回の記事を最後まで読んでおいていただきたい。

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「英語を公用語化」する企業はグローバルを履き違えている。必要なのは多言語化

ユニクロが社内の公用語を英語にするという決定を下した。これは、ゴーン社長就任以来公用語が英語となった日産、先日英語化を決定した楽天に続く流れである。おそらく、「世界市場での損失をなくすためには英語が必須」と考えて、英語公用語化を進める流れに追随する企業はこれからも出てくるだろう。

しかし、わたしはこれに異義を唱える。「英語=グローバル対応」というのは、グローバル化を理解していない。「英米ローカル=グローバル、他文化ローカル=ガラパゴス」という勘違いがその根底にある。わたしなら「できるだけ多様な第二(・第三)言語」の習得を強力に進める。「英語化」ではなく「多言語化」を強く主張する。

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しょこたん(中川翔子)がTwitterになじめない理由(附:ブログとツイッターの使い分け)

「新・ブログの女王」として有名で、「しょこたん☆ぶろぐ」では毎日数十件のブログ記事をコンスタントに更新し続けている中川翔子(しょこたん)。ところが、「つぶやき」には慣れているはずのしょこたんが、わずか15回のツイートで「両立はむりだお(・ω・;)(;・ω・)ブログでやるお」と断念した。

一部ではそれが不思議なことだと思われているようだが、実はそれほど難しい理由ではない。それは、しょこたんにとってのブログとは「生きた証を残すため」の「写メ保存場所」であり、つぶやきが流れていくツイッターは似て非なるものだったからである。

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【速報!】国語審議会、「常用文字表」にケータイ絵文字を追加

国語審議会は、2009年4月1日、日本語表記に関する大胆な変更をもたらす答申を行なった。PC・ケータイ・インターネット時代を反映し、また国際言語として日本語を進化させるための大規模な変更が盛り込まれており、すでに賛否両論の議論が巻き起こっている。

国語審議会2009年4月1日ネタ今回の答申における主なポイントは以下のとおり。

  • 「日本語常用文字表」にケータイ絵文字(第一水準、第二水準)を追加、「拡張句読点」として位置づけ、小学5年で適切な絵文字使用を学ばせる。
  • 助詞「は・へ・を」の表記を「ゎ・ぇ・ぉ」に変更。ケータイ表記を公式化。
  • 「異体字」の大幅な許容。これにより、旧字体・新字体・中国繁体字・中国簡体字のすべてを「異体字」として受け入れることが可能となる。
  • アイヌ語・琉球語を「日本公用語」に昇格。町おこしのために方言使用を積極推進。
  • 日本在住の外国人や国際的な利用のための「やさしいにほんご」の制定。「日本語は滅ぶ」論への対応。
  • 「国語」の呼称を廃止、「日本語」に統一。それに伴い、「国語審議会」も「日本語審議会」に改称。

以下、国語審議会の答申の解説である。

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