木村剛氏は「アフィリエイト」をわかっていない――ブログに向かないシステム

もう2週間ほど前の記事ではあるが、週刊!木村剛: 「週刊!木村剛」にトラックバックして、アフィリエイトでおカネ儲けしよう![ゴーログ]という記事がある。私は木村剛氏をブログでしか知らないのだが、「金融・企業財務に関する総合コンサルティング」「経済同友会企業会計委員会委員長」といったプロフィールからすると、経済のプロのようである。

しかし、この記事を読む限り、木村剛氏はアフィリエイト・プログラムがどういうものか、まったく理解していないようなのである。

2004年4月20日19:07| 記事内容分類:ウェブマーケティング| by 松永英明
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木村剛氏はこう書いている。

アフィリエイトになっておカネ儲けしようにもまずはページビューを稼がなければなりません。

 そこで「週刊!木村剛」の登場です。
 週刊!木村剛」にトラックバックしていただければ、その中から面白いトラックバックをゴーログで紹介しますから、ページビューが自然と増えます。その結果、アフィリエイトになる可能性が高まるではありませんか?!

「アフィリエイトになる」という部分は、厳密には「アフィリエイトによる収入が見込める」ということだろう。それはさておき、ここに見られるのは「アフィリエイトのためには、まずはアクセス」という見解である。

 しかし、それは事実ではない。いくらアクセスがあっても、それだけではアフィリエイト(あるいはGoogle Adsence)の売り上げは伸びないのである。
 例えば、この「ウェブログ@ことのは」の場合、週に数回といった頻度でニュースサイトさんからリンクしていただくことでアクセスが伸びる日がある。通常の2倍から3倍のアクセス数になることもしばしばだ。しかし、アドセンスの収入は決して2倍にはならない。それどころか、アクセス10倍でやっと売り上げが2倍、3倍といった程度である。

 あるいは、もう一つの例を挙げよう。「女子十二楽坊資料館」へのアクセスは、今年に入ってから毎月、じわじわと増加しつつあるものの、そんなに極端に増減していない。しかし、女子十二楽坊資料館経由でのアマゾン・アソシエイトの収入は、2月から3月前半までは異常に多かったものの、3月後半から4月にかけては激減している。
 理由は明快である。12月末にはDVD、2月末には写真集、3月初めにはオリジナルCD+DVD「輝煌」が発売され、いずれも大きな売り上げがあった。しかし、全国ツアー中の今、ネットから購入する新製品がないのが現状である。したがって、1~3月の第1四半期に比べて、4~6月の第2四半期には、アマゾンからの収入が1割程度に落ち込むと思われる。

 もう一つ、強烈な例。このウェブログでは、商品によって売れるものと売れないものが極端に違う。売れているのは十二楽坊関連とロリポップサーバーの申し込み、逆にサプリメントなどはただの一つも売れていないのだ。ちなみに私が書いた本については「数冊」という数字である(ありがとうございます!)。

 いずれも、単純にアクセスの問題ではないということがわかるだろう。だから、「ものを売るにはまずアクセス数」という思考には疑問を感じざるを得ない。もちろん、アクセスがなければ仕方がないわけだが、それ以前に必要なのは、そのサイト、そのページとぴったり合った商品があるか、ということなのだ。

 アフィリエイトについて、私はアフィリエイト、理想と現実(あるいは「いかにして余はアフィリエイターになりしか」)にて書いたことがある。ぜひ一読いただきたい。その中でも特に重要なところを再録すると、

やはり「特定の話題についての専門的でよい情報の集まっているページ」ほどアフィリエイト収入も多いという結論になる。それは「いい情報を発信すればするほど報われるシステムはないか」と考えている人にとって、福音ともいえるだろう。私はといえば、もちろんSEOなんかも考慮したりはするけれども、儲けようとしてページを作るのではなく、いいページを作った結果として儲かれば嬉しいと思う。

 要するに、こういう考えでサイトを作っているならば、「ここからリンクで飛ぶとこのサイトの作者にカネが入るのか」と読者の方がわかったときに、「まあ、この人に手数料がいくばくか入るのは納得できる」と思ってもらえるようなページとなっていくだろう。

 アフィリエイトで儲けるキモはここにある。木村剛氏のブログにトラックバックしてアクセスを稼いだ方にお伺いしたい。それはどれほどの効果が実際にあっただろうか。

 もう一つ、同じ記事で私は簡単に述べた。

ウェブログはSEO効果が高い⇒アフィリエイトでも活用できるのではないか、と考えている人がいるようだ。しかし、私は「ブログは必ずしもアフィリエイト向きではない」と考える。

 これについて、私は今も同じ意見である。そこで、もう少し詳しく書いておこう。

 まず「ウェブログでアフィリエイト」説が出てきたのは、SEOのせいだと思う。つまり、

(1)アフィリエイトで稼ぐためには、SEOは重要
(2)ウェブログはSEO効果が大きい
∴ ウェブログを使えばアフィリエイトに効果がある

という三段論法があるように思うのである。実際、SEO関連サイトが次々とウェブログを導入している。しかし、アフィリエイトとウェブログはそもそもあまりなじまないのだ。

 ウェブログは、日々更新されることを主眼に置いている。古い記事へのリンクはやがてトップページから消えていき、過去ログからのみたどることになる。
 アフィリエイトは、個々の固定されたページへアクセスしてもらうことが重要。したがって、いかにわかりやすく個別ページへ行けるかが重要。

 つまり、極論すればアフィリエイトで最も重要なのはトップページではなく個々の商品の紹介ページなのである。その商品を必要としている人のための情報ページだ。だから「静的なサイト作り」が効果的なように思う。
 一方、ウェブログは確かに個別ページのSEO効果も高いとはいえ、そのキモは最新記事にある。もしこの違いを踏まえずに単純に「ブログでSEOでアフィリエイト」と言っていても、決してアフィリエイトの売り上げは伸びない。

 そこで、ブログを使ってどうやってアフィリエイトしていくかということについては、以下の方法があると考えている。そして、やってくれる人さえいれば確実に儲かるアイデアも持っている(がここでは秘密だ)。

【その1】データベース型のブログに改造する  ブログ記事の新着順にはこだわらず、データベース化して、カテゴリー別に商品を表示させることを最優先にする。MovableTypeなどを徹底的にカスタマイズすること。私のサイトで言えば「女子十二楽坊資料館」や「ジェームズ・アレン・ネット」のデータベース部分のようなスタイルとなるだろう(これは別にアフィリエイトに特化しているわけではないが)。
 この場合、アフィリエイトのためのサイトならば、1つの記事には1つの商品、あるいは類似商品のセットを紹介するのがポイントだ。

【その2】ブログに向いたアフィリエイト商品を紹介する  「はじめてのウェブログ」ではウェブログ入門書がちらほら売れている。当たり前だが、読者が買いたくなるものを紹介するのがアフィリエイトの鉄則。
 また、このウェブログなら、実際にこれだけのサイトを運用できているという実績がものをいうので、ロリポップ!レンタルサーバーへの誘導は非常に効果的だ。
 書評ブログでアフィリエイトをやろうというなら、橋本大也さんや松岡正剛氏くらいの情報量がほしい。単にタイトルとリンクだけでは誰も買わない。
 で、もう一つ。ウェブログの「情報の速さ」を活かした商品紹介というのが考えられる。ここはちょっと手の内を明かさないことにするけれど、協力者がいれば確実にボロ儲けというアイデアはある。特に主婦または無職で、ヒマだがマメで根気があってアフィリエイトの利益を山分けしたいという方がいればご連絡を(笑)。

 というわけで、木村剛氏のキャンペーンは「ちょっと浅い」という印象があったので長々と(本の原稿の草稿も兼ねて)書いてみた。

【広告】★文中キーワードによる自動生成アフィリエイトリンク
以下の広告はこの記事内のキーワードをもとに自動的に選ばれた書籍・音楽等へのリンクです。場合によっては本文内容と矛盾するもの、関係なさそうなものが表示されることもあります。
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Amazonのアフィリエイトで小遣いを稼いでいるので、とても興味深く読ませていただきました。
確かにBlogの空気にあった商品を紹介するのは重要だと思います。
俺もラグビー関連のCDを紹介したところ、一年間ずっと売れ続けたと言う経験があります(未だに売れているし…)。

何故か匿名投稿になってしまいましたが、No.1のコメントは俺のコメントです。
すみません。

私はあのエントリーはみんなで楽しむための「企画物」と理解していました。

「アフィリエイト」という興味を引く話題をエサにTBを55も集め、TB元のサイトから新たな話題を収集し、記事にする。
TBしたほうも自分の事が話題として取り上げてもらえ、さらに「売り上げ」などではなく「ページビュー」という分かりやすい数値で「ゴーログ」効果を確認し、楽しむ。
目標も「ブログだけで食っていこう」と煽っておいて、現実を見て「ココログ費用をまかなえるようになればいいですね」とオチをつける。
結果は非常に大きな反響があり、「企画」という観点からは大成功と言えるでしょう。

「アフィリエイト」を主眼に捉えると「浅い」とも思えますが、アフィリエイトを素材とした「企画物」と捉えると「深い」と評価できると思います。

「まあ、この人に手数料がいくばくか入るのは納得できる」と思ってもらえるようなページ もしくは人間性ですね べんきょうになりました。

あのエントリでのアフィリエイトのくだりは冗談半分だと思うんですけど、いかがでしょ。

なるほど、こうして有名人のネタにマジレスしてアクセス数を稼ぐ方法もあるわけですね。

アフィリエイトの意味を正しく使っているのは寧ろ木村氏のほうだといっておこう。
まぁ木村氏の発言を一部しか抜粋していないあたり、
ただのアクセス稼ぎだな。
なんだかんだいってアクセスありきだからな。
しょうがないやつだな。

あのー、ものすごく勘違いしている人がいるようですが。
このサイトは現状以上のアクセスはむしろこわいんですけどねえ。すでにアクセス集中でサーバーを一回追い出された「前科」もあるくらいで。
そういう妬み僻みの発言は今後削除しますのでよろしく。

圏外からのひとこと にてこの記事が取り上げられています。
http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20040421#p04 これは面白いのでまた取り上げるかも。

べつに妬み僻みではないよ。
同程度のアクセス数がある場合、専門性の高いほうが多くのアフィリエイトを得られる、とこれは当然ながら同意。
ただここで誤ってはいけないのは、はじめにアクセスありきでなければ、
いかに専門性が高かろうともアフィリエイトされないよと、
そういうことを書いただけだな。
べつにそれ自体は健全な商行為(商行為が二の次、三の次であれ)であり、
なんら恥ずかしがることはないぞ。
所で、商行為が目的でなく結果としてあるはずなのに、
アクセスがこれ以上いらんとはどういうこっちゃ。何のためのページだと。
と、これは削除かねぇ。

アクセスこわい については過去記事読んでください。まあそういう経緯もあるので、わざわざアクセス乞食みたいなことをするつもりはないですよというだけの話。

あと、アフィリエイトされない、というのは変でしょう。ある商品を紹介するのと引き換えに、その商品が売れたときに紹介料をもらう、という契約をするのがアフィリエイトであって、その売り上げがあるかどうかという用語ではないはずです。

木村氏に対して”「アフィリエイト」をわかっていないという”ウェブログ@ことのは”さんの言葉は、まだアフィリエイトに取り組んで間もない方だと思うので、やや手厳しいすぎる言葉かと思われます。わかっていないで当然ではないでしょうか?

よってそのタイトルからアクセス稼ぎというブーイングも出るのもある程度理解できます。

ただ、後半の”ブログでのアフィリエイト”に対する見解は全くその通りで、この辺は今きちんと”業”として稼げているアフィリエーターにも納得のご指摘かと思われます。たしかに向いていないのは”業”としているアフィリエーターからすればすぐにわかるところ。

アフィリエイトってのは英語なんざんすがねぇ。
言わずもがな動詞でござんして、プレイすると同様の使い方をされたと。
>まだアフィリエイトに取り組んで間もない方だと思うので
ところがどっこい有名人、賛否両論あるけどね。ご本人は"アフィリエイト-プログラム"の収益なんか求めておらんよ。
ブログがビジネスになるかどうかなんてもう結論がついたようなことを実験してるのかもしれないし、馴れ合ってるだけかもしれない。

ところで、雑誌などの媒体でもって情報発信をされる方は、基本的に一方向の情報配信となる。
ところが、インターネット上、さらにはブログという媒体、これは双方向である。
どうやら、数多くいるものかきの中で、インターネット上で配信したがために、
おや、こいつは実はおかしいやつなんじゃないか、なんてのが露見してスタンドポジションをなくした方も多々居られます。
そういった中で、木村氏がおかしくなるかならざるかが、見所だったわけであるわけですが、まぁもう山場は越してしまったかなといった感じかな。
だから、今頃になって目立ちたがり屋が出てきたかなといった印象。でもって、ついつい首を突っ込んでしまったよ、悪い癖だね。
さて、寝るか。

affiliateは「提携する」という意味であり、「アフィリエイト・プログラム」は「販売店(広告主)」と「その商品の広告を載せるサイト」との関係において「提携する」ものです。つまり、売り上げがあろうとなかろうと、提携した段階(つまり登録をした段階、あるいはサイトに商品紹介リンクをつけた段階)で「アフィリエイトになっている」わけです。
木村氏は「アフィリエイトになる」を「収益が上がる」という意味で使っているので、正確ではないとここでは述べています。「アフィリエイトとして成り立つ」ならいいと思いますが。

木村氏は経済の専門家らしいので、そのような方がアフィリエイト=アクセスというような態度を示されると影響が大きいのではないか、と感じたのがこの記事の執筆動機です。アクセスさえあればいい、というような見方への違和感がすべてですね。

そういうわけで、この記事の趣旨について、「アクセス稼ぎ」「目立ちたい」などというような本筋からずれた幼稚な見方をしつこく持ち出されるのはうんざりで、アフィリエイトで実際に売り上げを出すにはどうするかという点についての自分の意見を述べているだけなのに、斜に構えた視点から邪推されるのは、正直うざいです。
「木村氏がおかしくなるかならざるか」とかいったウォッチャー的視点は、はっきりいってどうでもいいのでよそでやってください。議論の本筋(つまりアフィリエイトにおいて、アクセスより重要なものがある、という話)ではなく、有名人の動向や無名サイト(ここ)の動向に首を突っ込むことからは、建設的な話にはなりません。
そもそも、記事を書くこと自体について「アクセス稼ぎ」「目立ちたい」というような動機しか想像できないのが私には不思議でなりません。

そういうわけなので、この記事についてはしばらくコメント欄を閉じ、トラックバックだけを受け付けることにします。

最後に一言。ウォッチャーうぜえ。

このブログ記事について

このページは、松永英明が2004年4月20日 19:07に書いたブログ記事です。
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