ココログはなぜパワーがあるのか

今月初めにNIFTYのユーザー対象に、ココログのサービスがスタートした。そしてここ数日、ココログからのトラックバックやコメントの多さには目を見張るものがある。ココログの底力おそるべし。NIFTYユーザー以外にも開放されることが決まったが、少し思うことを書いてみたい。

2003年12月14日01:38| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ| by 松永英明
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現在、当サイトへのトラックバックの半分近くが、ココログからのもののように思う。もちろん、それは当サイトが「ウェブログ初心者向け情報」を意図的に流していることも大きく影響しているとは思うが、それだけでは「なぜココログか」という答えにはならない。なぜなら、新規ブログとしてはDoBlogやシーサーブログもあるが、ユーザー数を考慮にいれたとしても全然勢いが違う。

その理由は簡単だ。そもそも、NIFTYをプロバイダーとして使っているユーザーには、「パソコン通信」時代から練り上げられたツワモノが多く含まれているはずである。彼らはニフティ・フォーラムという戦場で鍛えられた「自己表現能力」や「他者の意見へのツッコミ欲求」が非常に高い人たちだ。そのニフティのツワモノたちが、「HTMLファイルを作って、リンクを修正して、アップする」という手間がかからず、しかも他者に「うちでこんな記事書いたよ」とお知らせする機能のついた「ココログ」というツールを与えられたらどうなるか。結果は目に見えている。ニフティ・フォーラムからインターネットに舞台を広げたパワーブロガーへの転身だ。

ニフティのユーザーというのは、もちろんネットに興味があるという程度にはパソコンの技能もあるだろうが、しかし、プログラマーやIT関係者といった「技術方面」の人たちは一部で、むしろ表現そのものなどに興味を持つライター属性の人たちが多いのではないかと思う。ここでいうライター属性というのは職業のことではない。仕事でメールのやりとりの必要があってニフティを使うようになった営業の人や、事務職の人なども含めて言っている。つまり「ツールそのものよりも、書く内容やコンテンツが気になる!」という人たちだ。私自身もそれに近い(確かにツールはいろいろ設置してみたりするけれども、自分が表現するのに必要な機能がほしい、という動機が強い)。

ココログの登場は、私も予想していなかったが、非常に大きな流れになる可能性があるように感じる。それはニフティ・ブロガーたちのパワーにすべてがかかっている。日記系の人たちが、他人とつながることにあまり興味がなく、ただ書ければいい、ということであまりブログに移行しないのとは対照的に、他人に突っ込みたくてしょうがないニフティの人たちは、案外ブログ・スタイルに向いているように思えるからだ。


さて、ニフティユーザーでもないし、今更ココログを使おうとも思っていないのだが、社長自らブログをやっていらっしゃるのは非常に好ましいと思うので、ココログについて、もっと面白くなりそうな提案をしてみたい。今のココログだけでは、せっかくのニフティ者たちを生かし切れていないと思うからだ。

まず、ニフティ伝統の「フォーラム」をブログに移植し、シスオペさんを管理人にした「フォーラム・グループブログ」を立ち上げる。シスオペさんはそのグループブログに、議論の中心となるテーマなどを書き込む。そして、そのフォーラムの参加者(もちろんニフティ内部に限定する必要はない)は、コメントなりトラックバックなりで反応を示すようにする。短いコメントは直接グループブログに投稿し、長いコメントは自分のココログなり他のブログなりで書いてトラックバックするようにするといいだろう(通常のページに書いて、グループブログ上から送信可能にしてもよい)。その際、トラックバックとコメントは分けず、当ブログのように、時系列順に並べるといいと思う(すっきりコメントプラグイン参照)。その方が議論の流れがはっきりするからだ。また、フォーラム・グループブログは、フォーラムごとに一つより、部屋ごとに一つずつあるといいかもしれない。投稿が少ないところならカテゴリごとに分ければいいかもしれないが。

こうしてニフティ・フォーラムがインターネットに舞台を移すことによって、様々な話題についてある程度まとまった議論のポータル・サイトが登場するのではないか、と思う。

この仕組みの構築そのものは、スクリプト的にはたいした手間ではないはずだ。ただし、運営上の問題として、既存のユーザー専用だったサービスをどの程度開放するかという問題は残ると思う。このあたりを解決し、ネタふりのシスオペさんとパワーユーザーの人たちに加えて一般ネットワーカー/ブロガーとの間で知識の交換が起こるようになれば、これは面白いことになるのではないか。

海外では、Slashdotはグループブログと呼ばれているが、日本では単なる掲示板と思われている。掲示板と個人ブログの間に、ニフティ・フォーラムから生まれたグループブログが登場すればどうなるか、楽しみである。以上、提言終わり。


Blog of the Yeah!の会場でDoBlogの方々とお話ししたことはレポートにも書いた。そのとき、こんなことを話した。
「MTとはてなで書いてるんですけど、その二つで書く内容がずいぶん変わってくるんですよ。MTは一つの記事を書くのに気合いがいるので、簡単に追加できない。はてなは逆に、一行コメントでも簡単に書ける。内藤さんが「Yeah!参加者はトラックバックして」と言っていたが、ただそれだけのためにエントリーをMTに投稿するというのはつらい。しかし、はてななら「今から行ってきます」も可能。そんなふうに、ツールごとに特性、使い分けが出てくると面白い。DoBlogさんならこういうことを表現するのにいい、とか、ココログならこう使うのに便利、とかいった特色が出てきて、使い分けが可能になれば、いろいろなサービスが出てきても面白いことになると思います」
壇上で外山さんが言っていたが、「ブログというのはいろいろなツールの集合」という話があった。別に新しく出てくるのがブログだろうとwikiだろうと、あるいは改造型掲示板だろうと何でもいいのだが、自分の表現したいスタイルにぴったり合いそうなツールが出てくれば、私はそれを使う。それだけのことである。今はMTの表現スタイルが便利だから使っている。ツール組の方々は、そのへんのニーズに応えていただけると嬉しい。

ツールがいくら可能性を秘めていても、それが活用されているかどうかは話が別だ。可能性を論じる前に、実際にやってみるべきだ。クリエイティブ・コモンズも、広がらないと言う前に実際にそれを適用した作品を作ればいい(だから私は下手の横好きで、トラックバック解説Flashを作って、CCライセンスをつけてみたわけだ)。アフィリエイトが儲かるか儲からないか、議論する前にやってみればいい。私の経験から言うなら「ブログは必ずしもアフィリエイトに最適なツールではないが、使い方によっては面白くなる」(詳細はまた今度)。まあそれはおいといて、今、いくつか考えていることがあるので、そのうち実際にやってみようと思っている。

そして、自分が暖めているアイデアは、自分だけでは実現しきれないものも多い(思いつきだけの野郎だ。笑)。なので、私の考えていることが面白いと思ってくださる方がいれば、ぜひ協力していろいろやっていきたいと思っているので、気軽に声をかけてください。よろしく。

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2003年12月14日01:38| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ| by 松永英明
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Blog@アイオワ: パソ通者からパワーブロガーへ、ワシも、、、。_| ̄|... 続きを読む

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去年の今日、12月2日は、ココログサービススタートの日。ココログは今日で1周年 続きを読む

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授賞式お疲れ様でした。大仏さんちのムービーを拝見したのですが、松永さんのお顔がハッキリ分かりませんでしたっ!残ねんっ!

本題ですが、今年の初めの頃にニフティのあるシスオペのグループの方々からFlashで何かコミュニケーションが出来ないかのようなお話があり、メールで色々と遣り取りをしたのですが、その内容が掴めずMacromediaさんを紹介するにも取りとめがなくて尻切れに成っていました。その後に別段気にもせずで時間だけが過ぎ夏頃からWeblogと知らずに私は「関心空間」を使い遊んで居ましたが、今一シックリ来ない日々が続き11月に入りWeblogの記事をネットや雑誌で読み興味を持ち始め今日に至っております。

CorelDrawという元々ニフティのフォーラムから外に出たF-Graphic言うMLの関西忘年会での話で、Weblogをニフティも始めるようだが一般に開放しないとこれからのニフティは無いと言うような話をしていた矢先の12月17日から250円で非会員も"ココログ"が使えるとニューニュースを見てやっぱりニフティは遣ってくれましたねっ!ビッグローブはどうするんですかねーっ!?

何か纏まり無くダラダラ書いてます。ご免なさいねっ!

松永さんの言われるようにニフティはパソコン通信の頃(私も95年まではニフティの会員でした。)のあの勢いがニフティに出ると楽しいWeblogがドンドン出てきそうで楽しみです。関心空間のようなテーマ出しをシスオペがすれば関心空間など問題にならないようなコメントやトラックバックが付き色々な広がりを生むように思えます。

2004年のWeblogはもっと面白くなるでしょうねーっ!

(^^)/デハデハッ!

この記事に激しく同意しました!!私はニフティーサーブ時代にパソ通をはじめて、GUI環境になってホームページ作ったりしてましたが、ココログでブログに開眼しました。ココログはそういうニフティの歴史から出てきた必然の結晶だと感じています。眠っていたニフティ魂を呼び起こされた会員も多かったんじゃないかと思います。まだまだ先発ブログから見ると機能不足などもありますが、ニフティ社長の意気込みも相当あるようですし、フォーラム系の人々からのアイデアもものすごい勢いで出てきていると思うので、ココラーとしては益々楽しみです!

でも最初にブログに接するときに参考にしたのは、こちらの入門記事でした。ほんとに参考になりました!

ニフティ者ジジイとして非常に同感です。
RSSリーダーが、また非常に大きいですね。
懐かしい気がしました。

グループブログも面白そうですね。

ココログに何故パワーがあるのか・・・
その謎が見事に表現されていらっしゃって、
とても面白く読めました!

このブログ記事について

このページは、松永英明が2003年12月14日 01:38に書いたブログ記事です。
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