Yahoo!ブログは新たな「Y!転載厨」を生むか

 日本最大のポータルサイトYahoo!で、Yahoo!ブログがスタートした。Yahoo!の検索カテゴリと同じカテゴリ分けがあることから、Yahoo!ブログ記事と検索をリンクさせることも視野に入れているのだろうか。

 まあそれはともかくとして、このYahoo!ブログには恐ろしい機能がついている。とりあえずどの記事でもいいので個別の記事を見ていただきたい。タイトル、日付、本文、コメント、トラックバックときて、ページの一番下の方に「この記事のURL」があり、その右端に「傑作」「転載」ボタンがある。

 Yahoo!ブログを開設しているユーザーがログインした状態でこの転載ボタンを押すと、なんとその記事がまるまるすべて自分のブログに転載されてしまうのだ!

2005年2月 3日10:57| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ, 著作権| by 松永英明
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 転載された記事には、タイトルが「[転載]タイトル」となり(どうやら「転載」とつくのはyahooブログ表紙の新着等のみの模様)、本文はそのまますべてが転載されたものだけ、最後に「○○から転載」とリンクされるようになっている。追記とかコメントを入れようと思っても、ボタンを押した途端に「転載」されてしまって新記事が完成してしまう。他人のブログの転載ばかりやる奴が出てくるのは時間の問題だ(現在のランキングトップも、中高生が目立つのが不安材料)。

 これは、NAVERブログで大問題になった「スクラップ機能」の再来ではないか(NAVER Blog転載対策室など参照)。

 「週刊!木村剛」では、他の人のブログ記事を紹介するのに、ちょっとしたコメントと転載もとリンクを付けて、そしてほとんどまるごとの全文転載をしてきたことが激しい反発を受けた。このブログでも以下の記事がある。

 今回のYahoo!ブログは、そのような「まるごと転載」をさらに推進するものだ。そして、これは著作権を無視したブログを野放しにすることとなるだろう。

 たとえば、テレビ番組の画面キャプチャを公開しているサイトがある。これはすでにテレビ局の著作権を侵害しているので、完全に違法だ(クレームがつかなくても)。ところが、こういうキャプチャブログがYahoo!ブログに進出したとしよう。これは素敵だと思ったお子様方が次から次へと「転載」を繰り返す。その結果、元ブログが削除されても、著作権違反のキャプチャ画像がYahoo!じゅうにあふれかえってしまう。

 もちろん、宣伝・広告として活用したいならそれでもいいかもしれないが、そういうものはえてして転載してもらいたくてもしてもらえないものだ(笑)。

 というわけで、Yahoo!ブログでちょっと試しに作ってみたのは、「転載!木村剛」というブログだった。こんな記事を書いてみて、それから自分で転載してみた。

2004.03.16 blogの未来は参加者が創る[ゴーログ]

それでは、「週刊!木村剛 powered by ココログ: blogの未来は参加者が創る[ゴーログ]」の全文転載をお楽しみください。

(以下、ひたすら全文転載。略)

という内容である。木村剛氏は週刊!木村剛 powered by ココログ: 「月刊!木村剛」が進み始めましたで、

① 原典が、無料で不特定多数に制限なく開示されているネット上の文章であり、

② その原典を明示し、「リンク」が明示的に張ってある場合であって、

③ その文章をネット上で無料で不特定多数に対して制限なく開示している場合

には、「(全文引用に近い)転載」を認める

と明記しているが、この条件については完全にクリアしているのだから、文句を言われる可能性はゼロのはずである。そして、それをさらに「転載」されまくったとしても、何ら問題はないだろう。

 ところが、残念なことに、Yahoo!ブログではタグが使えないようで、表示がめちゃくちゃになる。wiki記法というのもあるのだが、入れ子ができないので引用内引用ができない。ということで、「転載!木村剛 powered by Yahoo!ブログ」は断念し、削除してしまった。まだβ版ということなので改善されるかもしれないが、タグが使えるようになるだけではなく、「転載」機能をなくすことを希望したい。

 ブログ初心者向けに求められているのは、転載ではなく、「相手へのリンクとトラックバックを両方とも同時に自動的に本文に埋め込む機能」(ウェブリブログのブーメランコメントのようなもの)のはずである。追記:トラックバック先一覧作成機能は「トラックバック先の記事」にある模様。

 なお、ネット上の著作権については間もなく新たなエントリーを投稿できると思う。

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以下の広告はこの記事内のキーワードをもとに自動的に選ばれた書籍・音楽等へのリンクです。場合によっては本文内容と矛盾するもの、関係なさそうなものが表示されることもあります。
2005年2月 3日10:57| 記事内容分類:ブログ/ウェブログ, 著作権| by 松永英明
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転載機能、知人が自分の記事のところで「転載」ボタンを押して実験してくれたのですが、ほんとに丸ごと(タイトルごと)持ってゆく形なんですね。最初その知人が「試しに転載してみたよ」とコメント残してくれたので、なんのことかわからず訪れたら、自分の記事がそこにあり、理解するのに時間がかかっちゃいました。

単純に面白いと一瞬思ったんですが、どう使うべきものか今ひとつわからない。転載元のリンクはあるものの、一般の人は一瞬それが転載記事かどうか、よくわからないでしょうし・・・。

引用を簡単にするための機能かな?自分でそこに所感を書き加えることができるのかな?と思ったら、そういうわけでもなく。著作権のことまでは頭がまわらなかったのですが、使うのは難しいなと思いました。

転載元の立場になると、自分の記事は何度も修正加えたり、時に記事そのものを削除することもあると思うので、そんな時に瓜二つ記事がどっか自分のコントロールできないところに残ってしまうのはちと怖い。なので、毎回「転載不可」の設定にして記事を作成することになると思います。・・・というかデフォルトを「転載不可」にしておいてほしい。Y!ブログ的には、転載を推奨してるってことなんだろうなあ(その理由が今ひとつ不明・・・ブログ相互の連携をより密にする仕組み、と認識しているのかな)

Y!ブログ間でトラックバックをかけると、かけたほうにも自動的にトラックバック先へのリンクが追加されるのは面白い機能だと思いました。初心者同士でトラックバックのマナーがうんぬん・・・となるのを防ぐ目的なのかなと思いました。

ウェブログ図書館( http://library.jienology.com/ )では目下いわゆる「ブログ五紙」から主だった記事を拾っておりまして、そのため021(著作・編集)の棚などは充実の度合いを高めるに至っております。(笑
本日は転載問題に関してまた興味深い記事を上げていただきまして有り難うございます!

Yahooの利用規約を読むと7番目の項目に「ユーザーはYahoo! JAPANに対して、当該コンテンツを日本の国内外で無償で非独占的に使用する(複製、公開、送信、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案を含む)権利を許諾(サブライセンス権を含む)したものとみなします。また、ユーザーは著作者人格権を行使しないものとします。」と書いてあります。
Yahooとしては、Yahooに対して複製を許可している以上、Yahooのサービス内での転載は問題がないと言う見解だろうと思います。
ですから、Yahooブログ内での転載に問題があると言うよりは、転載を気にする人は利用しないよう自衛策を取るべきなのでしょう。

個人的には、この利用規約は掲示板やオクでの評価等を意識したもので、それをブログやホームページにまで拡大するのは、企業姿勢として問題があると思いますし、著作権意識の啓蒙やネット上の「リンク」にまつわる文化への危機を招くものと思うので、到底歓迎できるものではありません。

あと、週刊!木村剛の転載問題については、トラックバックする側が明示的に転載を許可した場合のみ、許可する方法に変更されています。
この件に関して、これ以上、問題視するのは、あまり生産的ではないと考えます。

私はヤフーブロガーじゃないんですが
ヤフーブログで画像が転載されまくって困ってます。
中高生にネットのマナーを学校で教えて欲しいものです・・・。

このブログ記事について

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