「真実」と一致するもの

なぜ日本人はよく自殺するのか

香港「明報」10月18日号の「好書搶読」(良い文章を争って読む)コーナーに、ライター湯禎兆氏の「日本人為什麼愛自殺(なぜ日本人はよく自殺するのか)」という文章が掲載されている。これは、青木雄二、柳美里、岡田尊司らの見解を紹介する一方、酒井法子が自殺したというデマが流れたことや硫化水素自殺などのタイムリーな話題も取り上げている。経済的理由のみならず、「武士道精神」「著名人への自殺を期待する大衆」「自己愛型社会」などの社会的・文化的な要素も指摘されている。

そこで独自にこの文章を翻訳してみた。

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映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」試写会:★★★★★

2ちゃんねる掲示板投稿がもとになった映画「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」の試写会に呼んでいただいたので、先月末に観てきた。

「平成の蟹工船」みたいな見方もあるようだが、同じように劣悪な労働環境を扱っていても、「蟹工船」とは大きな違いがあるように感じた。いわゆる「プロレタリア文学」的な「階級闘争」ではなく、「個々の成長」によって問題を解決するという非常に現代的な流れを描いている。それは、いわゆる労働運動家や活動家にとっては物足りない解決策だろうが、私にとっては非常に好感のもてるものだった。

娯楽的な映画としても楽しめるという意味で、これは観て損のない映画だと思う。以下、感想。できるだけネタバレしないようには努めたが、気になる人はご注意ください。

映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』

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幸福実現党の研究(1)幸福の科学と新型インフルエンザ

宗教団体「幸福の科学」が「幸福実現党」という政党を結成したというニュースが流れたのは2009年5月末のことだった。そこで、この政党は一体何を目指しているのか、どういう政策を掲げているのかということを知りたいと考えた。

幸福実現党はどのような理念を有しているのか。批判するにせよ賛同するにせよ、まずは知ることだ。自分の価値判断はそれからでも遅くはない。というわけで、まずは彼ら自身の書いていることを読み、そしてどのような思想であるかを把握しようと考えた。第三者の分析より、まずは彼ら自身の言葉を彼ら自身の解釈で理解する必要がある。結論から言えば、幸福実現党は極めてエスノセントリズム的であった。

この幸福実現党の政策を踏まえた上で、現在の世論の趨勢に加え、さらにその選挙戦略(ドクター中松の擁立、出馬するしないが二転三転している状況など)を考えると、幸福実現党はおそらく一議席も獲得できずに終わるだろう。その後、どうなるのか。「真」「正」を掲げる宗教団体が母体であり、その教祖自ら出馬したにもかかわらず落選した場合、教団信者の思考としては「社会が間違っているから落選した」という結論に至るのは必然である。それは、幸福の科学がこの社会に牙を向く第一歩となりかねない。

これより数回に分けて、幸福実現党の研究を連載する。前半で思想・政策、次いで行動・戦略を扱う(一般的な報道等では、行動・戦略に偏りがちだろうと思う)。できれば、言葉尻ではなく、全体の流れをつかんで読んでいただきたい。

なお、この文章の書き手の「過去の経歴」的なものをあげつらう個人攻撃も各方面から行なわれるだろうと想像されるが(その中には真実ではないことを含む名誉棄損等もあるだろう)、ぜひそのような行為には荷担されないよう、読者の皆さまには強く要望したい。また、私は自民党・公明党・民主党・社民党・共産党その他含め、一切の支持政党を有さないことを明記しておく。

第一回は、幸福の科学の思想をざっくりと分析する。

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初の「軍艦島上陸ツアー」参加記録(前編)グラバーと「端島」

軍艦島ツアーに行ってきます[絵文録ことのは]2009/04/24」で書いたとおり、軍艦島上陸が解禁され、その最初のツアーとなる軍艦島上陸ツアーに参加してきた。

結果から言えば「波が高く、軍艦島には上陸できなかった」のだが、NPO軍艦島を世界遺産にする会の坂本道徳理事長(6歳から19歳まで実際に軍艦島で生活していた)の事前解説ならびにクルーズ同行が非常に意義深く、上陸できなかったことを差し引いても充分に満足できる内容であった。逆に言えば、坂本理事長の話抜きで上陸できたとしても、ここまでじっくりと軍艦島(端島)について知ることはできなかったと思う。

いずれまた上陸には挑戦してみたいが、今回のツアーについてのレポートを記すことで、観光としての「軍艦島上陸」の難しさ、そして軍艦島(端島)とは一体何なのかについて考えたことを伝えられたらと思う。

gunkanjima0 軍艦島全景(野母岬から)

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2009年の「ことのは」は相変わらず由来・起源を探求します

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

さて、2009年の「ことのは」(絵文録ことのは/閾ペディアことのは)は、今までと流れが変わるわけではなく、相変わらずものごとの由来・起源を探求し続けていくでしょう。一般に認識されているものごとについて、もともとはどうだったのか、言い出しっぺは誰でどういうつもりでそう言ったのか、それがなぜ今のような形にかわっていったのか、といったことを突き詰めていきたいと思います。

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もしもプログラミング言語が宗教だったら……(全訳版)

もしプログラミング言語が宗教だったら - // TODO: better nameで知ったのだが、Aegisub: If programming languages were religions...という英語のブログ記事が一部で話題になっているようだ。しかし、日本語圏で見た限り、その概要のみしか訳されておらず、詳細は原文参照というものが大半で、おもしろみがわからなかったので、全訳してみた。

なお、以下は単純な翻訳であり、訳注部分を除いて訳者の考えとは無関係である。

(※訳者補記:この記事に対して、「○○という言語の作者は○○教徒」といった下司なコメントやブックマークをつけて嫌がらせをするような下劣な人が出てこないことを祈ります)

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『恋空』とあゆの関係。(『ケータイ小説的。』の感想)

速水健朗さん(【A面】犬にかぶらせろ!/【B面】犬にかぶらせろ!)の著書『ケータイ小説的。――"再ヤンキー化"時代の少女たち』を読んだ。いろいろと示唆的な内容が多くて面白かったので、感想を書く。

ケータイ小説的。――
原書房
発売日:2008-06-09
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 ケータイ小説を読む人・書く人の姿が見えてくる

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『聖☆おにいさん』Tシャツ文字のモトネタ一覧

第2巻が出たばかりの中村光『聖☆おにいさん』が面白すぎる。Tシャツにジーンズ姿で、立川での下界バカンスを楽しむブッダとイエス。

宗教に限らず原典・原点が大好きで、一部の人には「何に対しても原理主義的」とまで言われてしまうわたしが(多少細かいところには目をつぶりつつ)大爆笑しているのがこのコミックである。とにかく面白い。特にモトネタを知っているとたまらないところが多数である。

さて、この話、毎回二人が白Tシャツやセーターやトレーナーに手書き風文字(うち3割はブッダの手作りシルクスクリーン)で登場するのだが、この文字がまたマニアックなのだ。今回は、コミック2冊分のTシャツのモトネタをまとめてみた。

聖☆おにいさん 1 (1) (モーニングKC)
講談社
発売日:2008-01-23
おすすめ度:4.5
おすすめ度3 ゆる〜く見守りたい
おすすめ度5 主よ、ブッダよ、作者に福音を
おすすめ度5 「オレ様はインテリだ!」と云う傲岸不遜なヒト。何も言わずに買え。
おすすめ度5 ブッダ!!!!!!
おすすめ度5 とても癒されます
聖☆おにいさん 2 (2) (モーニングKC)
講談社
発売日:2008-07-23
おすすめ度:5.0
おすすめ度5 めっちゃうれしい半年前倒し
おすすめ度5 大天使達は毎回爆笑なのに...?
おすすめ度5 うふふくすくすわははは
おすすめ度3 基本的には1帖に続いて良作。でも・・・・・・。
おすすめ度5 (((( ;゚д゚)))なんじゃこりゃー

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「集合知」ウィキペディアの限界と可能性(Wikipediaの役割について)

 先日、自前のウィキ百科サイト「閾ペディアことのは」を立ち上げてみた。これは、Wikipedia(ウィキペディア)と同じくMediaWikiで作られた極私的百科である。「集合知」の典型ともされるウィキペディアに対して、自分のは当然「個人のまとめ」であって、その性質は自ずから違ってくるのは当然であり、そのどちらがいいとか悪いではなく、それぞれに役割と得手不得手が出てくることになる。

 さて、ウィキペディアの運営方針をもとにして、それを少しもじるつもりで自分の運営方針を書き始めてみたところ、どういうわけか完全に逆転してしまった。そこで、改めてウィキペディアというものの存在と性質を考えてみようと思った。

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織田信長暗殺に「黒幕」はいなかった――トンデモ番組「バチカンに眠る織田信長の夢」謀略説は成り立たない

 1月29日放送予定のTBSテレビ「歴史ミステリー特別企画 バチカンに眠る織田信長の夢」は、織田信長暗殺に「黒幕」がいたことをほのめかしている。

暗殺の黒幕はあの男…残された暗号を解読せよ

信長暗殺の鍵は、バチカンにあった。

 信長への謀反、すなわち本能寺の変は明智光秀の「単独犯」ではなく、「黒幕」あるいは「真犯人」がいたという説が後を絶たない。しかし、そのいずれもが「トンデモ」であるという説を私はとる。光秀は誰と謀議を行なうこともなく、信長への謀反に最適の状況が生まれたときに、極めて素早い判断により(むしろ準備不足のまま)信長父子を攻めたのだ。

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