「真実」と一致するもの

「はてな」はウェブ上のシステム手帳になりえる。そして「はてな記法」の秘める可能性について。

 伊藤直也さんの「はてながこだわるWebサービス提供の本音」( CNET Japan)は、表現そのものは技術者向けの専門的なものになっていたが、興味深く読んだ。勝手に要約すると、これからのウェブサービスに必要なのは、自分たちの開発したシステムを外部からも活用できるようにし、その結果、そのサービスのサイトが他のサービスのプラットホームとして使われるようになることではないか、というようなことになるのだと思う。とにかく使わせた者勝ち。

 このあたりと絡んで、「naoyaのはてなダイアリー - 隠さなくていいものは隠したってしょうがない」といった記事に絡んでいって、「たとえその情報が開示されたとしてもそう簡単に真似できるものではなかったり、真似したからといってうまくいくものでもない」というフレーズが出てくる。そして、デファクト・スタンダードになるようなものは、情報公開しても耐えられるし、むしろ使ってもらって利益を還元してもらえる、という考え方が根底にあることがわかる。

 この発想には共感を覚える。そして、「はてな記法」の秘める潜在能力についてちょっと書いてみたいと思う。今回のエントリーは見出しごとに独立したまとまりのないエントリーになってしまったがご了承を。

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「電車男マーケティング」――フィクションを流行らせて既成事実化する巧妙な戦略

 電車の釣り広告じゃなくて吊り広告が映画&テレビ版の「電車男」の宣伝で埋め尽くされていた。いよいよ映画版も公開である。

 フィクション「電車男」が、なぜここまで売れたのか。それは、念入りな仕掛けがあったからだ。そして、「電車男」が売れたからということで安易にネットのコピペを本にしたり、「ブログの書籍化」ブームが始まりかけたものの、それらがことごとくコケているという現実。それは、「電車男」が売れた背景にある仕掛けをしなかったからだ。

 今回のエントリーは、「読者を突き放す書籍『電車男』には「編集」がない――「電車男」は読者参加型恋愛シミュレーションゲームのリプレイ [絵文録ことのは]2004/12/17」の続編に当たるが、論じてみたいポイントは少し違っている。それは、フィクション「電車男」に見るマーケティング戦略である。

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伝統主義的な新教皇(ローマ法王)ベネディクト16世(ラツィンガー枢機卿)は元ヒトラー・ユーゲント不良隊員だった

 教皇ヨハネ・パウロ2世の後継者として、ラツィンガー枢機卿が選ばれ、ベネディクト16世と名乗ることになった。この人物についての詳細な経歴がWikipedia英語版に掲載されていたので、これを翻訳して公開する。Wikipediaの原文はGNU Free Documentation Licenseのもとで公開されており、この訳文も同様のライセンスが当てはめられる(詳細はリンク先参照)。ただし、この訳文に関しては、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにおけるby-sa(著作権者表示―二次的著作物の同一条件許諾)を適用させていただくこととする。

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人民日報の論説で「愛国の表現方法には理性が必要」、反日デモの暴動をたしなめる

 またもや売国奴どもが幼稚な利敵行為をやっているわけだが。

 こういうことをやるから中国で「李外交部長は日本政府に、中国の駐日機関と在日中国人の安全確保を厳正に要求(严正要求日政府确保中国驻日机构和在日中国公民安全 )」などと報じられてしまうのがわからんのだろうか。

 日本でも中国でも、愛国を振りかざして暴力を揮うバカは全員釣魚島に押し込めてバトルロワイヤルさせたらどうだろうと思ってしまうが、人民日報でも「愛国を表現するときには理性を忘れるな」という論説が発表されたので、全文訳して載せておく。

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中国の巨大反日サイト「中国918愛国網」の声明「抗議デモは日本の民衆ではなく政府と右翼へのもの」

 中国の反日サイトとしては、「爱国者同盟网(愛国者同盟網)」と「中国918爱国网(中国918愛国網)」がある。その中で、「中国「愛国者同盟網」サイトまでもが過激な行為を厳しく非難、デモにも疑問の声 [絵文録ことのは]2005/04/13」という記事ですでに報じたように、過激な行動については愛国サイト運営側からも否定する声明が相次いで出されている。

 その中で、中国918愛国網に日本の報道関係者への呼びかけが投稿されている。彼らの主張内容についてはそのまま受け入れられないとしても、冷静かつ戦略的な態度は正しく評価すべきではないだろうか。そして、我々がどのように「反日デモ」に対して反応するかということも、またじっくりと考えるべきポイントであろう。というわけで、以下に引用する。

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[バ科事典]徳川家康と書いてオダ・ノブナガと読む指輪の魔王が開いたオダ幕府はコナミで堺衆を滅ぼした

 タイトルからしてすでに意味不明ですが、「[バ科事典]日本について外国人はこう思っている!(かもしれない)」が好評なようなので、同じくウソばっかりの百科事典「Uncyclopedia」から、オダ・ノブナガ、オダ幕府、コナミの3項目を訳してご紹介します。

 なお、人名にデタラメな漢字・ひらがなが当ててあるので、そういうところだけはアルファベット表記を残してあります。

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Livedoorホリエモンは現代のトリックスターであり、「既成秩序の破壊」がその役割である。

 経済のことは全然わからないので、Livedoorがこれで終わりなのかどうか、よくわからない。だが、ホリエモンこと堀江貴文氏の行動を人文科学的に見てみると、これは「トリックスター」そのものではないかと思えてきた。

 トリックスター・ホリエモンの使命は、既成秩序の破壊である。壊すだけしかできないのではなく、壊すことだけが使命なのだ。新しい秩序を生み出すかどうかは別として、壊して壊して壊しまくれ。それがホリエモンの存在意義なのである――と思う。

 だからもっとシッチャカメッチャカに暴れてもらえれば面白いな、と。もっとも一緒に仕事をしたいとは思わないので、擁護でもなければ批判でもなく、単に「与えられた役を演じていただきたい」という程度の考えなのだが。

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中国留学生がアメリカ・フィラデルフィアを感動させた一幕の「不倫の恋」

 妻とともにアメリカに渡った中国人留学生が、アメリカ人の女の子と「重婚」するという事件があった。だが、それは『失楽園』『愛ルケ』などとはまるでかけ離れた美しくも悲しいストーリーで、その留学生も「重婚」「文書偽造」について無罪判決を下されたのだった。

 中国のネット界ではちょっとした話題になっているこの「美しい不倫物語」を人民網から全訳しておとどけする。

 ただし、これは「中国ではこのように報道された」という事実のみを伝えるものであり、このストーリーが実際にあったかどうかなどについては未検証である。もし英語での現地報道などソースをご存じの方がいれば、ぜひご教示願いたい。

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ブログという「対等な立場のコミュニティ」に上下関係はそぐわない

 Proving grounds of the mad Internetというブログのmakiさんからいくつかのトラックバックがあった。主に木村剛関連で書いた記事へのトラックバックである。ただ、makiさんの議論はプログラマー的で一見論理的に見えるものだが、整理の仕方に違和感を感じる部分があり、また、わたしが「木村剛が嫌い」だから叩いているかのような誤解があるようなので、反論をしておこう。「ゴーログがよくない」のではなく、「ゴーログの思想が変」と言ってるのである。

 著作権については別記事を書いている途中なので、「Proving grounds of the mad Internet: セマンティック・ウェブの失敗とブログ司会者の必要性」の後半、ブログにおける「司会者」について、まずまとめておきたい。

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「博客」と呼ばないで!中国ブロガー「博客」呼称騒動――博客中国 vs CNBlog

 『ウェブログ超入門!』にも書いたが、中国ではブログ/ブロガーを「博客(Boke=ポーカー)」と呼ぶ(中国語でbokeはボケではないので注意)。ハッカーが「黒客」というのと対比された表現だ。ところが、ここに来て「俺は博客じゃない!」と主張する騒ぎが大きくなった。「I'm not Boke」ちまちまボタンまで登場し、大変な騒ぎになっている。

 しかし、これは単なる呼称問題ではない。中国ブログ界の2大勢力の論戦なのである。「博客」の名付け親で『博客』という本も書いている「博客中国」主催者・方興東氏と、それに対抗するCNBlogの主催者zheng氏・Isaac Mao氏の対立だ。

 博客という訳語にはこれまでも議論があったが、今回は方氏の雑誌インタビュー記事にzheng氏とMao氏自身が反応したというトップ同士の正面衝突。その直前に「博客」表記を欧米に紹介した記事が登場していたことも、この騒ぎに火を注いだ。つまり、「博客」派・博客中国 vs アンチ「博客」派・CNBlogという背後関係を読み取る必要がある。

 しかし、これは対岸の火事ではない。方氏はもともとオープンソース運動やクリエイティブ・コモンズを絶賛する情報開放主義者である。オープンソース志向のブロガーは日本でも多い。

 一方で、方氏はブログを既成メディアに対抗する存在と位置づけているが、今回の流れでは「他人の記事を無断転載しすぎ」と批判されている。メディアへの敵対意識と、必要以上に多い長文転載といえば、木村剛氏を彷彿とさせるところもある。

 また、この批判の中では「サービス側がユーザーの著作物を勝手に利用する」ことが明確に否定されており、これは最近の日本ブログサービスにおける著作権規定に関する騒動と共通している。

 あるいは1年前に散々言われた「ITゴロ」「ブログゴロ」といった批判にも似たところがある。中国博客騒動は、決して他人事ではないのだ。

 今回は非常に長くなるが、この「博客」騒動関連記事を時系列順に翻訳して紹介する。

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