幸福実現党の研究(2)オバマ守護霊インタビュー

幸福実現党の研究第2回は、幸福の科学がオバマ大統領をどのように見ているのかについて、『オバマ守護霊インタビュー』というブックレットをもとに分析する。これによって、幸福の科学(幸福実現党)の世界情勢のとらえ方が浮き彫りになってくると思われる。

オバマ守護霊インタビュー (リバティ・ブックレット)
幸福の科学出版
「ザ・リバティ」編集部(編集)
発売日:2009-04-23

2009年8月18日10:44| 記事内容分類:幸福実現党の研究| by 松永英明
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まえおき:憶測メソッド

分析の前に、ちょっと前置きを。私は「憶測メソッド」が大嫌いである。憶測メソッドとは、「あいつならおそらく○○と考えるだろう。仮にそうだとしたら、それはこれこれこうであるからダメである」というような論の立て方である。

このメソッドを使う人は「あいつならどうせこう考えるんだろう」と思いこみ、そうに決まっていると決めつける傾向があるようだ。ところが、少なくとも私に対して憶測メソッドを使われた場合、私が考えてもいないこと、思いつきもしないことを「憶測・決めつけ」されてきた。それどころか、ほとんどすべての場合において、私の考えにまったく反するものであった。中には「あいつはこれこれと考えているのかもしれないが、仮にそうだとしたら許し難い」などと、憶測・決めつけメソッドによって断罪までされることがある。

しかも、それを読んだ人は、憶測・決めつけされた内容を事実だと思ってしまうからタチが悪い。

相手の言ったことを、相手の言った言葉によって、相手の言いたい趣旨は何かをまず相手の立場で理解する。その上で批判なり批評なりをしないと、「そんなことは言っていない」「いや言った」という不毛な議論になりかねない。だが、憶測メソッドは相手を理解することを頭から否定し、自分の脚色した「相手の意見」を叩くことになってしまうのである。

オバマ守護霊インタビューという手法

さて、2009年4月27日発行の奥付のある『オバマ守護霊インタビュー』である。これは幸福の科学の月刊誌「リバティ」に掲載された記事に書き下ろしを加えて発行されたブックレットだ。プロローグにはこう書かれている。

いったい、オバマ氏は実のところ何を考えているのか。

その疑問に、オバマ氏の潜在意識でもあるところの「守護霊」(p.7参照)に聞くという形を通じて世界でいち早く答えたのが、「ザ・リバティ」2009年1月号(2008年11月30日発売)に掲載された「オバマ守護霊インタビュー」の記事だった(本章第1章)。

世界最高の権力者であるアメリカ大統領の「守護霊」に話を聞くという驚天動地の企画もさることながら、「日本は邪悪な国であり、嫌いだ」「日本を捨て、中国を選ぶ」等、その話の内容が余りにも衝撃的だったこともあって、この守護霊インタビューは各界に大きな反響を巻き起こした。

太字強調も原文ママである。オバマ大統領本人ではなく、大川隆法氏が「守護霊」(または潜在意識)にインタビューした内容を、「オバマ氏は何を考えているのか」への答えとしているのである。

究極の憶測メソッドではなかろうか。

幸福の科学は初期にさまざまな人物の「霊言集」を刊行してきた。そして、そういった霊言が重視されてきた。ところが、後に「方便の時代は終わった」として、そういう霊言を整理した。たとえば、GLA創始者の高橋信次の霊言については1994年に絶版にしている。「ノストラダムス戦慄の啓示」については後でまた取り上げたいが、その内容についても「ノストラダムス(の霊)がそう言っただけで、大川隆法自身の言葉ではない」と後に主張するようになった。

オバマの守護霊インタビュー。もし問題が起こったとしても、「オバマ自身がそう言ったとは言っていない。守護霊がそう言ったのだ」と責任を回避できる設定ではある。しかし、この本の帯にはこう書かれている。「驚愕の"本音"が明かされる!」と。これでは「オバマは本当にこう考えている(と幸福の科学では認定した)」と受け取ってしまう。

もしあなたが、あなたの守護霊にインタビューしたという内容を発表されたら、どう思うだろうか。ちょっと想像してみていただきたい。そして、それに基づいて「これがあいつの本音なんだ!」として自分への非難や批判が繰り広げられたら……。とりあえず、私自身は、全力で回避したい事態だと感じる。

しかし、本書では「守護霊はいる→守護霊と会話できる人がいる→その会話の内容は、守護霊が守護している人物の思想や行動に影響を与える」ということが前提となっているわけで、この前提を信じる人にとっては、これはまさにオバマの将来を描き出す戦慄の書ということになろう。

では、オバマの守護霊は何を語ったというのか。

オバマの守護霊の言葉

ここではインタビューにつけられた小見出しと、一部「守護霊の言葉の日本語訳」を引用しよう。

  • 経済危機を救うアイデアはない(正直言えば、(どうすればいいのか)さっぱりわからず、ただ「変化」を訴えているわけです。とにかく変化あるのみ。抜本的なアイデアがあるわけではありません。)
  • アメリカと中国で世界の方向性をつくりあげたい
  • 日本人にはイライラする
  • 「日本はある意味、アメリカの敵です」
  • 北朝鮮が日本を攻撃しても、アメリカは助けない
  • アメリカは「世界の警察」ではなくなる
  • 「富裕層は好きではありません」
  • 「黒人のケネディ」「黒人のリンカーン」と言われたい
  • 「今こそ報復の時。黒人パワーが解き放たれた」

このインタビューについて、守護霊の英語がおかしいといった指摘もあるようだが、ここではその点については追究しない。幸福の科学では、こういった「守護霊」の言葉がオバマ自身の考えとして認識されており、それに基づいて世界情勢についての考え方が作られている――ということがこの研究においては重要だと考えるからである。

日本は戦慄の「オバマ・リスク」に備えよ

第2章「オバマ・リスクに備えよ」が、この守護霊インタビューに基づく幸福の科学の公式見解といえよう。以下、見出しと強調部分を引用する。

  • オバマの「CHANGE」が日本を襲う
    • 社会的弱者の救済に身を投じる
    • 「富裕層に有利な政策に怒りを覚える」(オバマ氏が選挙戦で示した個別の政策を見る限り、マイノリティーや貧困層のために政策が組み上げられているとしか思えない。)
    • 選挙中「日米同盟重視」に触れず
    • 大統領選勝利演説で「真珠湾」に言及
    • リンカーンやキング牧師に強い思い入れ
    • オバマ外交は「日英同盟解消」の再現か
  • 日本は「専守防衛・災難対策 空母10隻体制」で中国に備えよ
    • 「台湾併合」なら沖縄の一部が中国の手に
    • アメリカ機動艦隊がやがて引き揚げる?
    • 米軍「完全撤退」の可能性に備えるには
    • 日本は世界のトップリーダーとして欧米の危機にも責任を

少なくとも幸福の科学が反オバマの立場にあり、オバマの政策が日本の安全を脅かすと考えていることが読み取れる。ここで注意したい点がいくつかある。まず、「マイノリティーや貧困層のための政策」に対して強い反発を感じていること。もう一点は、あくまでも日本からの立場として(つまり、全世界的な影響ではなく日本という一国の利益を守るという点において)オバマ批判を展開していること。私はここに、エスノセントリズムを見る。幸福の科学は世界宗教ではなく、日本というネイションに強い帰属意識を持ち、あくまでも日本・日本人の利益を図る主張を行なっている。幸福実現党は自らを「保守政党」と位置づけているが、まさにそのとおりといえる。

さて、この章にはいくつか興味深い提言がある。文意を曲げないよう、少々長めの引用となることをご了承いただきたい。

中国などの主張に引きずられた政府見解と異なる論文を発表しただけで航空幕僚長が更迭されるようでは(田母神論文事件)、中国の覇権拡張に対処することなど、到底できない。

では、シーレーンを守るために何が必要だろうか。

東シナ海からインド洋、アフリカ沖、できればハワイに近いところまで制海権を取りたいというのが中国の野望だ。目標は2020年とされる。

これに対抗する手段の一つが、「専守防衛・災難対策空母」をつくることだ。10隻つくれば艦載機や護衛艦隊、人員の増強なども含めて計30兆円ぐらい。大規模な「公共投資」になるし、失業対策にもなる。もし文句を言われるようならアメリカからも購入すればいいだろう。

私は軍事問題についてコメントする知識もないので、ここは引用するにとどめるが、「災害対策」ではなく「災難対策」というのはどういうものなのだろうか。とりあえず「専守防衛・災難対策空母」というアイデア、ならびにその費用・効果等については、軍事に詳しい方に検証していただきたいところである。

また、大川隆法氏自身の言葉がここに引用されているので、こちらにも引用したい。

大川隆法・幸福の科学総裁は2008年11月1日、幸福の科学・那覇支部精舎で行われた説法「リーダーとして求められること」で、日本の役割について以下のように述べた。

「日本は戦後長らく、過去の戦争のカルマを引きずりすぎて、本当の意味で世界のトップリーダーになろうとしているのに、自分の立場がわかっていない。アジアやアフリカだけでなく、欧米にまで責任を感じないといけない時期になっている。アメリカの金融危機も、ヨーロッパのほうの危機も、あるいは、中国が今後、経済的な危機を起こしても、日本は止める力を持った国なのです。だからリーダーさえしっかりしていれば、他国の危機を救うこともできるのです。智慧を持って判断すれば、未来の戦争も避けようと思えば避けることはできるのです」

次期衆院選が年金や医療や景気対策を争点として戦われることを否定するものではないが、10年後を見通した争点を絶対に忘れてはならない。

日本、日本、日本。そして、「リーダーさえしっかりしていれば」。リーダーに最もふさわしい人物とは誰なのか、幸福の科学ではどのように考えているのだろうか。

オバマ「悲劇の転生」

第3章「オバマ「悲劇の転生」だから過大な期待は禁物だ」は、「ザ・リバティ」2008年12月25日発売号に掲載された内容である。

この内容をまとめたものとして、「バラク・オバマ氏 転生輪廻年表(霊査に基づく推定)」という表があるので(幸福の科学では「輪廻転生」ではなく「転生輪廻」と言う)、この表を引用したい。

表の項目は、時代、地域、人種、身分・職業、今世との共通性・影響、である。

  • ?:古代アフリカ:黒人:ドゴン族のシャーマン:声を駆使して聞き手を酔わせる
  • 12世紀頃:イスラム国:アラブ人:十字軍撃退の英雄:幼少時にイスラム教育を経験
  • 15世紀頃:ハワイ:ポリネシア人:先住民のリーダー:ハワイに生まれ、少年時代も過ごした
  • 16世紀:インカ帝国:インディオ:インカ最後の王:雄弁で群衆を魅了するカリスマ性
  • 19世紀頃:アメリカ:インディアン:白人に滅ぼされた酋長:白人の心をも動かす熱弁(テクムセ?)
  • 1961年生:アメリカ:黒人と白人のハーフだが黒人を自認:アメリカ大統領

古代アフリカの時代から「ドゴン族」がずっと続いていたというような認識は史実に合わないと思うのだが、それ以外にもいろいろ疑問点はある。「インカ最後の王」はアタワルパとトゥパク・アマルの二説が紹介されており、そのどちらの性質も当てはまる、という玉虫色の解説がなされている。テクムセというのはショーニー族の酋長であり、弁舌に優れていたというのだが、その「呪い」によってアメリカ大統領(白人の大酋長)が20年おきに暗殺されてきたというようなコラムも用意されている。

これらの転生については、断言・特定されているわけではないのだが、この転生を前提として記述されているのも事実である。「オバマ氏の過去世を見る限りは、今のアメリカ型文明を滅ぼすカルマを持っていると考えざるを得ないだろう。少なくともオバマ政権が長引けば、アメリカが世界唯一の超大国の座を去り、列強の時代が再びやってくる。」「つまり、オバマ氏はパックス・アメリカーナ(アメリカによる平和)の終わりを告げる悲劇の大統領になる可能性が強いと、その過去世からは推測できるということだ」

「黒人や中東出身者、アジア系(ハワイ含む)、ヒスパニック(中南米出身)、インディアンらが力を持つ国をつくる」オバマに対する警告を発する幸福の科学は、白人至上主義(つまりはエスノセントリズム)のアメリカに親近感を抱いているのだろうか?

日印同盟・日露協商

第4章「日本は「日印同盟」&「日露協商」で乗り切れ」は、12月25日発売号に掲載されたという。日米同盟に頼れないとなれば、インドとの軍事同盟と、ロシアとの協商関係が選択肢として浮かび上がってくるという。

幸福の科学は外交において「日本のシーレーン」を死守することを重視している。そのため中国を敵視する一方で、インド洋の防衛においてはインドとの軍事同盟を主張するわけである。

また、ロシアに対しては、「中国の覇権主義」への対抗上、強い結びつきが必要であると説いている。「2012年ごろには実質でアメリカの軍事費を上回る中国に、日本がどう対処するか。「国家の存亡の危機」という大局から考えたときに、領土返還は諦めないにしても、それ以外の部分でロシアと緊密に協力できる関係を築くことのほうが重要だ」という。この「領土は確保しながら、仮想敵国に対抗する」という極めて自国中心主義の政治的な(人種や国家の枠組みを超えた普遍的価値観を主張するタイプの宗教ではないことを明らかに示すような)主張が書かれている。

「中国を包囲し自由と民主主義を浸透させる大戦略を」という見出しからは、幸福の科学がどこまでも中国(中国共産党の中華人民共和国)を徹底的に仮想敵国=悪としていることがうかがえる。

第5章「オバマ政権のこれからと「敗戦宣言」」は、オバマ就任後の記事である。ここで、ヒラリー・クリントン国務長官が日米同盟重視を発言したことに「安堵」している。しかし、一方で就任演説を「金融とイラク戦争の「敗戦宣言」だった」と結論づけているのである。

第6章「オバマ氏が目指すアメリカの「日本化」計画」は、このブックレット出版時の書き下ろしで、オバマ就任後3カ月後の情勢からの分析であるが、ここで大川隆法氏の言葉が引用されている。

幸福の科学の大川隆法総裁は近著『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』の中で、こう指摘している。

「初の黒人大統領として、これまで差別されてきた国民、黒人階級の引き上げをすることは、やはり、彼にとっての天命でしょうから、当然、行うことになるでしょう。そうすると、日本のような標準化した国、『平均的に"誰もがそこそこ成功できる国"をつくりたい』ということが目標になるはずなのです。本人も自覚していないでしょうが、オバマ大統領の理想は、基本的には、「アメリカを日本のような国に持っていくこと」なのです」

ここで挙げられている「日本化」は4項目だ。

  1. 日本的な平等社会を実現する
  2. 不良債権処理は日本がモデル
  3. 環境技術で日本に追いつけ
  4. 日本のお家芸の「対話外交」「核廃絶」を採用

「第1章のインタビューで、オバマ氏の守護霊は日本への嫌悪をあらわにしたが、嫌えば嫌うほど、その相手に似てしまうということなのか」という、憶測メソッド全開の結論が記されている。その背景には、日本至上主義が見え隠れする。そして、「オバマ政権がもたらすチェンジと、ゆっくりと進む日本のチェンジによって、もしかしたら、どこかで日米の立場が逆転することになるのかもしれない」と締めくくられている。

この本は、全体として、現在の幸福の科学/幸福実現党の世界情勢についての見方をよく示していると思う。ただし、北朝鮮に対する考え方は、本書にはほとんど記されていない。仮想敵国はあくまでも中国である。「北朝鮮のミサイル」を政策の最重要課題に掲げる幸福実現党の選挙戦略については、また別の資料に当たらねばなるまい。

研究の次回記事では、「ノストラダムス戦慄の啓示」の内容を検証し、このエスノセントリズム的な思想が1990年代から幸福の科学では一貫していることを示したい。

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2009年8月18日10:44| 記事内容分類:幸福実現党の研究| by 松永英明
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