幸福実現党の研究(8)衆院選得票数・得票率の分析

GIGAZINEなどで、今回の衆院選についての幸福実現党得票数の集計が出ている。いずれも都道府県・市町村ごとの政党得票数という観点で、GIGAZINEの場合は特に信者数を知りたいということのようだ。

この研究では、得票数だけではなく得票「率」もチェック、信者数だけでなく「なぜその選挙区は得票数/得票率が高かったのか」を検証していきたいと思う。また、幸福実現党に敗れた候補、選挙協力は実際に効果があったかどうかについても分析した。

幸福実現党の得票数まとめについては、幸福実現党 - 閾ペディアことのはページの最後のリンクを参照してください。

2009年9月 3日13:12| 記事内容分類:幸福実現党の研究| by 松永英明
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(1)新型インフル/(2)オバマ守護霊/(3)ノストラダムス/(4)憲法試案/(5)金正日守護霊/(6)主要政策/(7)活動年表/(8)得票数・率/(9)陰謀説/(10)ゆくえ

基礎的な事実

今回の衆院選では、幸福実現党は比例代表合計459,387票、小選挙区合計1,067,357票を得ている。2009年8月31日のプレスリリース「幸福実現党 総選挙の結果を受けて」では、「今回、小選挙区で107万票の得票を頂くことになりました。しかしながら」……とだけ書かれており、信者数をさらに正確に反映していると思われる比例代表合計「約46万票」という数字については触れられていない。

私は、幸福実現党の「党」としての支持票はやはり46万票という数字を元に考えるべきだと思う。小選挙区は、以下で指摘するとおり、信者か否かという要素以外のものが混入しているからである。

得票数と信者数の関係

さて、GIGAZINEでは「得票結果を見ることによって間接的かつ大雑把ではあるのですが「自分の住んでいる地域に幸福の科学や創価学会の信者がどれぐらいいるのか?」を推測することが可能です」と記している。

また、幸福実現党も上記プレスリリース中で「また、選挙区によっては、母体である幸福の科学の信者数にもはるかに届かない得票数もあり、信者の信仰と政治選択に分離があるものと思われました。」と記している。

いずれもその背景にあるのは、「幸福実現党に投票するのは、大半が信者であって、それ以外の人たちがいくらか上積みされる」という、ごく常識的な判断だろう。そして、「得票数から信者数(強勢)の実態がわかる」という判断である。

その上で、GIGAZINEでは、創価学会や共産党と比較する形で幸福の科学の信者数を推定しようとしており、幸福実現党の選挙後のプレスリリースでは「また、選挙区によっては、母体である幸福の科学の信者数にもはるかに届かない得票数もあり、信者の信仰と政治選択に分離があるものと思われました」と、信者でも投票しなかった人がいるので得票数は教勢を反映していないように主張しており、信者数が小さく見られないように腐心している。

GIGAZINEでは得票数が以下のようにまとめられている。

幸福実現党:45万9387

公明党:805万4007(公明党のサイトによると党員数は40万人

日本共産党:494万3886

Wikipediaによると、公明党の党員数は「426,837(2006年政治資金収支報告書)」、日本共産党の党員数は「党員約40万4,000(内、党費納入者推定26万1,900)(2006年1月現在)」とのことなので、ここでは共産党を党費納入者推定数で計算してみる。では、公明・共産の党員数と得票数の比はどうなっているだろうか。

  • 公明党:党員数の約18.9倍の得票、得票数の約5.3%が党員数
  • 共産党:党費納入者の約18.9倍の得票、得票数の約5.3%が党費納入者数

となって、どちらも見事に同じくらいの数値が出てくる(疑わしいと思う方はぜひ検算していただきたい)。おおざっぱに言えるのは、「公明党や共産党といったイデオロギー/宗教政党において、実質党員の約19倍の票を得ている」ということである。共産党においては、党員ではなくても自民も民主もいやという層が共産票を投じることがあるし、公明党においては、党員以外の信者もいるだろうが、それ以上に知り合いに片っ端から声をかける選挙運動もあって、やはり党員以外の票をかなり獲得しているといえる。

逆に言えば、党員数の18倍にあたる非党員票を獲得している。これらの政党で、もし仮に党員がまったく投票しなかったとしても、党員数を下回る票数しか獲得できないということはあり得ない。なおやはり党員数の十数倍の票を獲得できるはずなのである。言い換えれば、信者しか投票しない、信者すら投票しない宗教政党って何なのか、という話になる。

これから考えると、比例代表459,387票の幸福実現党の場合、「得票数の5.3%が党員数」という仮想の数値を掛けてみるならば、幸福実現党の母体である幸福の科学の有権者数が推定できそうではある。その数、2万3000人。20歳以上の実質的な信徒数として見るならば、おおよそ妥当な数字のようにも思われる(1万部売れる本が極めて少ない現在、2万人が数冊ずつ購入するだけでベストセラー入りしても当然である。というか、2万部コンスタントに売れるなら、出版社としても極めて安泰だ)。

しかし、幸福の科学は「また、選挙区によっては、母体である幸福の科学の信者数にもはるかに届かない得票数もあり、信者の信仰と政治選択に分離があるものと思われました」と主張する。投票しないような信仰心の薄い信者がいる、ということを自ら認めてしまうデメリットよりも、信者数を小さく見られることが怖いようなのである。

しかし、政治団体となった以上、「政治資金収支報告書」を提出する義務がある。これによって、党費として納められた金額が記されるため、その合計額から党員数も推定できることになる(Wikipedia記載の数値はいずれも政治資金収支報告書に基づいている)。そこでウソをつくことはできないのだが、幸福実現党はどうするつもりなのだろうか。

さて、「公称1100万人」という数字について、大川隆法総裁自身が文藝春秋八月号のインタビューでこう答えている。

 ――その教団の組織力を測る指標の一つに信者数があります。いま幸福の科学の信者はどの程度ですか?

大川 ウチは会費をとっていないので、今現在の信者数を確定できないんです。何をもって信者数の基準にするかは各教団の裁量に任されていて、ウチは信者だけに渡される根本経典『正心法語』の発行部数が基準です。一九八六年から現在までの累計部数が一千百万くらいでしょうか。

23年間の累計部数(つまり、新入信者数の累計)が1100万人だというのである。この1100万人には、故・景山民夫も、今回の選挙には協力しなかった小川知子も含まれる。

そして、幸福の科学は、1995年7月に「信者数が1000万人を突破した」と公表したが、1996年に以前の「正会員」のみが「会員」とされるようになった。その後、入会制度も変わり、信者数は公表されなくなった。

また、宗教団体の信者数の定義は確かに曖昧で、熱心に活動している信者は当然として、お金だけ払ってグッズを購入するばかりの信者(金持ちがいたりする)、入信申込書を書いて手続きを終えたがその後は活動しない信者(いわゆる幽霊信徒)、以前は熱心だったが心が離れてきた信者、家族や友人に頼まれて入信してあげただけの義理の信者(会費も熱心な信者が代理で払っていたりする)……等々が「現在所属している信者」として存在する。累計1100万人が「正心法語」を受け取ったというのが水増しのない数値だとしても、今、熱心に活動する信者がどれくらいいるかを考えるなら、はるかに少ないといえよう。

そして、選挙の実態から考えると、上記のとおり、たとえ「信者の信仰と政治選択に分離がある」としても、「得票数が信者数を下回る」ということは考えにくいのである。それがありえるとしたら、よほどのトンデモ主張を行なっている意味不明系泡沫候補だけだと思うのだが……。

もちろん、逆にいえば、全国で337人の候補を擁立し、それぞれに運動員をつけられるくらいの「熱心な信者」がいることは間違いない。党員約2万3000人という上記の試算は、それを裏付けているように思われる。この党員が平均一人5万円を出せば、供託金として必要な11億円をそれだけでまかなえる(さらに立候補者の中には企業家・資産家もおり、一人で億単位を布施する例もあっておかしくない)。

いずれにしても、幸福実現党は「信者数」を下げないように必死になっているのである。なぜそんな数字にこだわるのだろうか。

ブックマークコメントに関して

このページへのブックマークコメントで、幸福実現党が創価や共産のような「19倍」もの得票を得たとは考えにくい、という意見がいくつか見られた。「信者以外にはほとんど投票するまい」と考えることも確かに可能なのだが、その政策が一定の右派の共感を得るものであったことなどを考えると、信者以外の得票も皆無ではないと思われる。

もちろん、これを厳密に調べることは不可能なので、信者数は比例代表得票数の19分の1の2万3000人を下限とし(もっとも、私はこの程度か、せいぜい数倍程度だろうと思う)、比例代表得票数の46万を上限とする範囲内に納まるとしておこう。それでも、「公称1100万人」とは大きな隔たりがあることには違いない。

得票数・得票率が高かった選挙区の特徴

さて、幸福実現党の得票率は、比例区で0.51%〜0.87%だった。供託金没収ラインが10%であることを考えると、1%に満たないというのはまさに泡沫政党、「諸派」とくくられても仕方のないレベルである(マスコミが報じてくれなかったから、と言い訳しているが、逆に熱心な信者が1100万人いればマスコミのネガキャンなど関係なく得票できるはずである)。

一方、小選挙区ではもう少しばらつきがあり、0.5%〜5.3%の得票がある。

  • 幸福実現党2009衆院選小選挙区 (得票数順) (得票率順)

  • 平均値(得票率を合計して288候補で割る):1.57

  • 平均値(報道された小選挙区の有効投票数7058万票で幸福実現党得票数合計を割る):1.51
  • 中央値(メディアン):1.5%
  • 最頻値(モード):0.5%以上1.0%未満

ヒストグラムを書いてみると、少し右にゆがんだ分布を示す。

幸福実現党衆院選小選挙区得票率

得票率でいえば0.5%〜2.0%の区間が中心である。逆に、3.0%以上の得票率を得た選挙区は、何か特異な条件があったと推定される。

では、得票率上位から見てみよう。

  • 兵庫9区 12,033 5.3% 高木義彰

得票率でも得票数でもダントツのトップ。幸福実現党小選挙区候補のエースである。兵庫9区(明石市、洲本市など)は、自民党・西村康稔(前、外務政務官)が議席を守った。対抗馬は国民新党・宮本一三(元文科副大臣)。そして高木候補の3人の戦いであった。ここで注目したいのは、民主党候補が出馬していないことである。

  • 栃木3区 7,024 4.7% 斎藤克巳

得票率2位は栃木3区(那須塩原市、矢板市など)。ここは、みんなの党・渡辺喜美代表と、斎藤候補の一騎打ちとなり、全国でも珍しい「みんなvs幸福」選挙区であった(共産党あたりが候補者を立てればよかったのに)。「みんなの党」に入れたくない有権者の票が流れてきたと思われる。

  • 群馬5区 9,406 4.4% 生方秀幸

得票率でも得票数でも3位なのが群馬5区(渋川市の旧市部、富岡市など)。臨月選挙で故・小渕恵三首相の娘、自民党・小渕優子(少子化担当相)が圧勝した。対抗馬は社民党の土屋富久、そして幸福・生方である。ここも民主党が出馬していない。

  • 茨城6区 10,082 3.7% 鈴木俊博

得票率4位、得票数では2位(1万票越え)の茨城6区(土浦市、つくば市など)。民主党新人・大泉博子が自民党前職・丹羽雄哉に勝利。そして幸福・鈴木。ここは正直、これほど得票した理由がよく見えない。

  • 埼玉11区 8,948 3.7% 黒田嘉寛

得票率5位、得票数6位は埼玉11区(秩父市、本庄市、深谷市など)。無所属(元・自民党、郵政造反派)の小泉龍司が自民党前職・新井悦二に圧勝。ここは無(元自民)・自・幸の三つどもえで、民主党が立候補していない。

  • 大阪6区 9,087 3.6% 上杉智子

得票率6位、得票数4位は大阪6区(大阪市旭、鶴見区、守口市など)。民主党・村上史好が接戦で公明党・福島豊を下した。他に共産党・矢野博之、そして幸福・上杉。ここは自民党が出馬していない。

  • 埼玉14区 8,993 3.5% 谷井美穂

得票率7位、得票数5位は埼玉14区(三郷市、八潮市、幸手市など)。民主党元職・中野譲が自民党前職・三ツ林隆志に勝利。そして幸福・谷井。ここも茨城6区と同様、勝因がよく見えない。

  • 東京25区 6,673 3.3% 小鮒将人

得票率8位(得票数だと22位)は、東京25区(青梅市、福生市、羽村市など)。自民・井上信治が圧勝、あとは国民新党・真砂太郎、共産党・鈴木治、無所属・鈴木泰、そして青梅市議会議員(民主)から国政に転じた小鮒将人である。ここも民主党が出馬していないが、もともと青梅市議としての「地盤」「実績」もあることを考えると、得票率はこれでも少なすぎるように思える。民主党・国民新党から出馬した経験のある無所属・鈴木泰の3分の1しか取れずに最下位というのは、ちょっと伸び悩みすぎではないか。こうなるともはや、幸福実現党の政策そのものが支持されていないと考えざるを得ない。なお、同じく現職議員として、福井3区北野光夫(越前市議、副議長。元自民党)が4,058票/2.6%、福岡5区鵤卓徳(大野城市議会議員)が5,139票/1.8%。地方議員とはいえ、市議がこの程度というのはどういうことか。

  • 愛知5区 8,042 3.2% 吉田知子

得票率9位、得票数10位は愛知5区(名古屋市中村、中川区など)。民主党前職・赤松広隆が圧勝、自民党新人・寺西睦、幸福・吉田が挑んだ。勝因がよく見えない選挙区。

  • 熊本4区 6,668 3.2% 河野一郎

得票率10位は熊本4区(天草市、宇土市など)。自民党・園田博之が国民新党・松永真一に圧勝。そして幸福・河野。ここも民主党が出馬していない。

  • 茨城2区 7,125 3.1% 中村幸樹

得票率11位は茨城2区(鹿嶋市、潮来市、神栖市など)。民主党新人(元大洋村長)・石津政雄が自民党前職(元財務相)・額賀福志郎に接戦で勝利(額賀は比例復活)。そして幸福・中村。理由は不明。

  • 愛知11区 8,326 3.0% 中根裕美

得票率12位、得票数7位は愛知11区(豊田市の旧市部など)。民主党・古本伸一郎が自民党・土井真樹に圧勝。そして幸福・中根。ここも理由は不明。

以上、幸福実現党が候補者を立てた288小選挙区の得票率上位12選挙区(3.0%以上)である。すべてに当てはまるわけではないが、幸福実現党の得票率が高かった選挙区の中では「民主党または自民党が候補を立てなかった選挙区」が多くみられる(ただし、民主または自民が候補を立てなかった選挙区なら幸福実現党の得票率が高くなるというわけではない。逆は真ではない)。

この法則に当てはまるのは、兵庫9区(自国幸)、栃木3区(み幸)、群馬5区(自社幸)、埼玉11区(無自幸)、大阪6区(民公共幸)、東京25区(自国共無幸)、熊本4区(自国幸)の7選挙区。逆に当てはまらないのは、いずれも「民自幸」パターンの茨城6区、埼玉14区、愛知5区、茨城2区、愛知11区である。

おそらく、今回は政権選択選挙ということで、民主か自民に入れようと思った人が多かったが、それが出馬していない場合、国民新党や公明党には入れたくないと考えた人が、消極的選択肢として幸福実現党に入れたのではないだろうか。

なお、衆議院比例代表:幸福実現党得票率 [2009年 第一位 徳島県]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性によれば、比例代表では徳島県を中心に西日本で高い得票率を示している。一方、小選挙区は上記のとおり、北関東や愛知県に上位得票率の選挙区が多い。このズレについても精査が必要だろうと思われる。

追記

コメント欄で「得票率が理由不明で高い候補のなかに、若くて美人やイケメンはいませんでしたか?」という指摘があった。

茨城6区鈴木俊博候補(35)は若さ、埼玉14区谷井美穂(44)・吉田知子(63)・中根裕美(35)候補は女性、が売りになった可能性はある。ただし、茨城2区中村幸樹(45)候補は正直よくわからない。元陸上自衛隊(二等陸尉)という経歴が目を引くが……。

ただし、今回多数擁立された中で、女性候補・若手候補も多数いたが、必ずしもそれが得票に結びついているわけではない。竹内まりやの妹・中岡陽子候補など。判断は保留したい。

最下位ではなかった選挙区の特徴

幸福実現党の小選挙区立候補者の大半は、最下位で落選している。順位として最も高かったのは栃木3区でみんなの党・渡辺喜美代表と一騎打ちになった斎藤克巳候補だが、二人中二位で落選である(しかも得票率は4.7%)。

しかし、最下位ではなかった選挙区もある。それは、筋金入りの泡沫候補が立候補したためとしか言いようがない(逆に言えば、幸福実現党は全選挙区に最弱の泡沫候補を送り込んだといえる)。以下、「幸福実現党より下が多い」順に挙げてみる。

  • 東京1区 2,718 0.9% 田中順子 9人中4位

元日本テレビ「ニュースプラス1」キャスター。民主党・海江田万里と自民党・与謝野馨の実質上の一騎打ちに、共産党・冨田直樹、そして4位が田中順子(得票率0.9%)。以下、(元)証券会社社員・無所属・野沢哲夫、元衆院議員秘書・無所属・黒沢武邦、日本スマイル党・マック赤坂987票、世界経済共同体党・又吉光雄(唯一神又吉イエス)718票、無職・無所属・前田禎信(652票..."アニメ政策"訴えた38歳無職男の自爆選挙 - 社会 - ZAKZAK)と続く。マック赤坂、又吉イエスよりも得票するとは正直意外だったが、泡沫候補の中では最上位ということで、健闘したといえるかもしれない。しかし、アニオタ無職の4倍しか取れていないともいえる。

以下、いずれもブービーとなるので、立候補者数の少ない選挙区順(その中では得票率順)に挙げる。

  • 千葉13区 4,293 2.1% 石井裕朗 4人中3位(元富里町議・橘謙造に166票差で勝利)
  • 熊本5区 2,723 1.5% 南政宏 4人中3位(森海党代表・長友清冨にダブルスコアで勝利)
  • 東京11区 6,853 2.5% 前田浩一 5人中4位(フリーウェイクラブ党首・和合秀典に約3倍の得票数で勝利。ちなみに日本新党・有田芳生が敗北した選挙区で、民主が出ていない=得票率アップ?)
  • 神奈川14区 2,713 1.0% 石川雅士 5人中4位(電気設備業無所属・吉田隆則に1000票差で勝利)
  • 神奈川11区 2,375 0.9% 鶴川晃久 5人中4位(会社員無所属・岩田吉喜に500票差で勝利)
  • 愛媛1区 1,666 0.6% 谷村耕治郎 5人中4位(元塾講師無所属・郡昭浩に1000票差で勝利)
  • 東京2区 1,924 0.7% 加藤文康 6人中5位(無職無所属・千葉潤に200票差でかろうじて勝利。なお、4位の写真家・田中博子にはダブルスコアで敗北)

小選挙区で幸福実現党よりも得票できなかった候補は、以上12人のみである。ただし、幸福実現党は下を見て喜ぶべきではないだろう。

自民党支援は果たして役に立ったか?

幸福実現党が支援し、対立候補を立てなかったのは12選挙区、そのうち10選挙区で明確に幸福実現党は支持を表明した(残る2選挙区では支持を明確化されたくなかったものと思われる)。得票率順に挙げると以下の10候補が「幸福実現党系候補者」として挙げられる。

  • 山口4区 121,365 64.3% 安倍晋三 自民:当選(63,000票差)
  • 福岡7区 128,137 55.0% 古賀誠 自民:当選(23,000票差)
  • 福井1区 78,969 50.0% 稲田朋美 自民:当選(6000票差)
  • 岐阜5区 100,931 46.8% 古屋圭司 自民:小選挙区落選・比例復活
  • 神奈川2区 132,270 46.5% 菅義偉 自民:当選(500票差)
  • 東京10区 96,739 43.3% 小池百合子 自民:小選挙区落選・比例復活
  • 神奈川1区 117,840 41.9% 松本純 自民:小選挙区落選・比例復活
  • 北海道11区 89,818 40.9% 中川昭一 自民:落選
  • 東京3区 121,699 38.8% 石原宏高 自民:落選
  • 大阪17区 36,650 17.1% 西村真悟 改革:3位落選

小選挙区で勝利したのは、10人中わずか4人。残り6選挙区では落選したのだから、幸福実現党が候補者を立てていたとしても結果には影響しない。

さて、小選挙区で勝利した議員であるが、トップ安倍晋三元首相(64.3%、次点と63,000票差)、二位の古賀誠(55.0%、次点と23,000票差)の二人については、幸福実現党(最大でも12,000票)の支援は別に必要なかったと考えられる。

逆に、僅差で勝利したのが神奈川2区・菅義偉。民主・三村和也に548票差でかろうじて勝利している。神奈川では、幸福実現党は7区7,731票を筆頭に、最低でも12区2,056票を獲得しているので、もし神奈川2区で幸福実現党が立候補していたら菅義偉は小選挙区で敗退していた可能性が高い。

評価が難しいのは福井1区の稲田朋美で、2位とは6000票差で勝利している。富山・石川・福井の北陸3県で見ると、幸福実現党の獲得票数は4,058票(福井3区)〜1,684票(富山1区)。幸福実現党が支援しなかったとしても、ギリギリで勝利できた可能性が高いが、かなり微妙な数字だとはいえる。

ということで、大目に見積もって2人の自民党議員(菅義偉、稲田朋美)が「幸福実現党の選挙協力がなければ当選しなかったかもしれない」と考えられる。しかし、幸福実現党が支援したということで逆にマイナスに働いた要素もあると考えられるので、評価は非常に難しい。

いずれにしても、以前の自公協力のように「公明票がなければ自民は勝てない」というようなレベルの力がないことは明らかである。

幸福実現党の研究シリーズ一覧

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さにぃさいどの悠々自適 - 幸福実現党の逆ブースト (2009年9月 5日 08:53)

絵文録ことのは 幸福実現党の研究(8)衆院選得票数・得票率の分析 から。 そして青梅市議会議員(民主)から国政に転じた小鮒将人である。ここも民主党が出馬... 続きを読む

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愛知5区吉田知子候補について
私の勤務先が愛知5区のなかにあるので、毎日ポスターを見ていたのですが、ポスターを見る限りでは、ごくごく普通のおばさんなのです。赤松宏隆、寺西睦が男性なのに対し、「唯一の女性候補」。これは影響しなかったでしょうか。
得票率が理由不明で高い候補のなかに、若くて美人やイケメンはいませんでしたか?

美人・イケメン得票の可能性については追記で少し検証してみましたが、よくわからないというのが結論です。

茨城の場合は、知事選で保守分裂したってことが少なからず影響したと思いますよ。仮に自民県連から幹部級を一本釣りすれば、得票はもっと多くなっていたかも知れないし。それから茨城2区、百里基地の所在地で尚且つ民間共用化に向けて工事の真っ最中です。

このブログ記事について

このページは、松永英明が2009年9月 3日 13:12に書いたブログ記事です。
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