「商売」と一致するもの

学費支援プラットフォーム「studygift」で思う、善意の仕組みと大学の意味

かつてpaperboy&co.を設立し、現在はいろいろな事業を立ち上げる支援者としての活動を中心としている家入一真さん(というのがわたしの認識である)。氏が率いるteam liverty が立ち上げたサイト「学費支援プラットフォーム studygift」がいろいろと議論を呼ぶこととなった。そして間もなく活動中止・全額返金に至った。

studygift表紙

わたしの感想は、結論からいえば「提示された理念・理想は素晴らしい。が、その方法論ならびに直接的なスタッフの動機は是認しがたい」というものである。

わたし自身が大学生のときには極貧生活を送り、結局その結果として中退に至ったという経緯もあり、決して他人事ではなかった。家入さんがそういう学費支援システムを作りたいと表明したときにはわたしもfacebook経由で大賛成の意を伝えた。だが、その結果は非常に残念なものとなってしまった。できる範囲で最大限に協力したいと思っていたわたしが、実際のサイトを見て寄付をしなかったのだ。

今回の件でのいろいろな議論はあるが、その議論には深く立ち入らず、わたし個人の興味と関心に基づいて、以下の点について述べてみたい。1)わたし自身の大学時代の体験。2)studygiftにわたしが寄付しなかった理由。3)理念と目標と動機と方法を別に考える。4)あまり論じられていないこと:「四年制大学→新卒採用」という枠組みを絶対視することへの根本的疑問。

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グルーポンおせち事件を反面教師として「クーポン提供者」の姿勢を学ぶ

バードカフェがクーポン共同購入サイト「GROUPON」で売り出した「謹製おせち」が遅配した上、内容がスカスカだったという「グルーポンおせち事件」について、ネット上ではすでにいろいろな意見が交わされている。中には「返金して社長が辞任したんだからこれ以上叩くな」といった意見も見られる。それどころか「すでに解決したに等しい問題」というような乱暴な議論も見られる。

しかし、この事件について改めて考え、学ぶ必要はあるだろう。ここでは、クーポンを提供する側の倫理あるいは戦略といった観点で、バードカフェは何を勘違いしていたのか、グルーポンを利用する「クーポン提供者」はどういう姿勢で臨むべきかを述べてみたい。

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「自炊の森」に見る「自炊」の問題点

「自炊の森」という、店内コミックや同人誌をその場で電子書籍に「自炊」できる、自炊機器レンタルスペースが27日にプレオープンしたという(店内の漫画を「自炊」するレンタルスペースが仮オープン、裁断済み書籍を提供、ネット上は懸念の声多数 AKIBA PC Hotline!)。しかし、このサービスについては議論が高まっている。

私自身もこのサービスは著作権法的に「クロ」と考える。そもそも、私は「自炊」という行為に懐疑的ではあるが、自分が所有している本をどういう形にアレンジしようと、それはその人の勝手である。それを業として電子化するという時点で非常に怪しくなってくるし、さらに「自分が購入したのではない本」をスキャンさせて金を取るというのは、以下でも述べる理由により、完全に真っ黒だと思う。

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第一回電書フリマ( #denf717 )で考えた電子書籍の未来つれづれ

電書フリマ会場前看板2010年7月17日、第一回電書フリマが開催され、わたしも「電書」を1冊出品した。フリマ全体での出品総数は64点、それを渋谷コラボカフェ・吉祥寺「四月」・京都白梅町の3か所で「対面販売」するという独特のシステムで、総売上点数は実に5206冊に及んだ。会場は人が入りきれないほどの大盛況で、いろいろな課題をあぶり出しつつ、今後につながる成功を収めたと思う。

先日訪れた東京国際ブックフェア/デジタルパブリッシングフェアで見聞きした内容とも絡め、今回の電書フリマで思ったことをまとめておきたい(なお、ブックフェアのレポートは電子書籍は波紋を生む「一石」となる « マガジン航[kɔː]に掲載されています。こちらも一読を)。

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「英語公用語ではなく多言語化」はなぜ激しい反発を受けたか――「英語《だけ》ではだめ」再論

前回の文章「「英語を公用語化」する企業はグローバルを履き違えている。必要なのは多言語化[絵文録ことのは]2010/06/30」は、livedoor BLOGOSにも転載され、多数の反発を受けた。感情的な反発や誤解・誤読も非常に多く見られたが、「事実上の世界標準語である英語ができなければ世界のビジネスで生き残ることはできない」「英語が最も効率的・現実的」という考え方が世の中ではむしろ主流なのだろう。

しかし、わたしはそれでもやはり「英語」一辺倒の考え方にはまったく馴染めない。「英語至上主義」の声があまりにも多いことから逆に、勢い余ってエスペラントの学習を始めることを決意してしまったくらいだ。

「英語」一辺倒にはどのような危険性があるのか。それを述べておきたい。その前に必ず前回の記事を最後まで読んでおいていただきたい。

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ドロップシッピングはなぜネットで定着しなかったのか

3~4年ほど前、アフィリエイトに次ぐネットビジネスのキーワードとして「ドロップシッピング」が注目されたことがあった。当ブログでも「1ページでわかる日本型ドロップシッピングとは(ドロップショッピングではありません)[絵文録ことのは]2006/11/02」という記事を掲載している。

しかしこの記事から3年半。今、ドロップシッピングは決して流行っているとはいえない。2006年8月に、アフィリエイト業界からドロップシッピングに進出した電脳卸も、今から1年前の2009年6月末に「電脳卸ドロップシッピング」サービスを終了した。

ドロップシッピングはなぜ日本のネットで定着しなかったのか。先日のNHK番組でもあたかも詐欺商法であるかのように報道されていたが、そんな誤解さえまかり通るほど、知名度は低い。いや、実はこのシステム自体は非常によく使われている。しかし、ちょっと手軽に副業としてやれるレベルのものではなかった、というのが最大の原因だと考える。

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本気で稼ぐための「アフィリエイト」の真実とノウハウ【書評+α】

あびるやすみつさん(AbiStudio.com)から『本気で稼ぐための「アフィリエイト」の真実とノウハウ』を献本いただいた。情報商材や「確実に儲かる」セミナーなどを一刀両断しており、小気味よい。アフィリエイトに関わるすべての関係者必読の辛口アフィリエイトバイブルといえる。極めて良書だ。文句なしの★★★★★でおすすめしたい。

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下北沢再開発問題についてもう一度まとめてみる(ゼロ年代の都市計画)

前回のブログ記事「小田急線下北沢駅の新駅舎案が猛反発される理由[絵文録ことのは]2009/10/03」は、新駅舎案が出たことをきっかけに、以前から考えていたことなどをまとめてみたものだったが、ブックマークやコメントでいろいろと見えてくるものもあった。一方で、下北沢再開発問題について、いろいろと誤解もあるようなので、その辺も含めてもう一度まとめてみたいと思う。

そこそこ長文でもあるため、流し読みでそのあたりを誤読している人も多いので、再度まとめておく。また、いろいろと曲解や暴論や感情論も多いので、正しておく必要があろう。なお、長文を読みたくない方は本文最後の結論をお読みください。

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心に鎧を――《小悪魔ageha定点観測》

小悪魔ageha 7月の定点観測。

★当ブログ内絵文録ことのは:「小悪魔ageha」関連記事はこちら

※「驚きのage嬢の盛りヘアスタイルランキング」で検索してこのページへ来られた方は、「驚きのage嬢の盛りヘアスタイルランキング」元画像全集[絵文録ことのは]2010/06/17に画像を掲載していますので、そちらをご参照ください。

2009年7月1日発売

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「小悪魔ageha」バックナンバー全コンプリート!!

キャバ嬢のバイブルとして読まれている雑誌『小悪魔ageha』。GAL系のファッションで巻き髪を盛り上げるキャバ嬢スタイルを好む女のコたちが「age嬢」と呼ばれるようになるなど、agehaの独特なブランドは確立しているといっていい。

小悪魔agehaは、単なるファッション雑誌という枠にとどまらない。age嬢スタイルは確かに「巻き髪・デカ目・デコデコ」という言葉に象徴されるファッションスタイルではあるが、トップageモ(ageha専属モデル)桃華恵理(ももえり)が「バツイチ子持ちのシンママ」であることをまったく隠すことなく、むしろその経歴なるがゆえに支持されていることからもわかるように、「お水だろうと何だろうと、自分が自分らしく生きていくために、自分で選んだ生き方を貫いていく」というメッセージが発信されている。「age嬢」というのはライフスタイルとして扱われている。

「小悪魔ageha」という雑誌は、今の日本の一つの側面である。そして、age嬢的な生き方や発想、考え方に共感する女性たちは多い。その「文化」が異なるからといってバカにするのはたやすいが、それで見えなくなるものも多いだろう。わたしはagehaを定点観測してみたいと考えた。そして、今回ようやく、バックナンバーをすべてコンプリートできたのだった。

小悪魔ageha

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