フォトン・ベルトVS銀河スーパーウェーブ

フォトン・ベルトは「銀河スーパーウェーブ理論」をパクっていい加減な思いつきを加えたものだ――という資料がある。銀河スーパーウェーブ理論とは、ポール・ラヴィオレット博士(Ph.D. Paul A. LaViolette)が提唱しているもので、銀河の中心から発された高エネルギー波によって地球は周期的に大異変に見舞われるというものである、らしい(というのも日本語文献が見当たらないので自信がないのだが)。ただ、それをフォトン・ベルト理論がこれを盗用し、ゆがめていることはまぎれもない事実のようである。

2004年9月27日12:21| 記事内容分類:天文学・地学, 民俗学・都市伝説| by 松永英明
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 この理論が学会で受け入れられているかどうか、私はしらない。だが、その理論を知ったフォトン・ベルト提唱者たちが「チャネリングで教えられた」と言って、この理論に酷似する内容を語り、しかもその内容が矛盾するように歪められているのが事実のようである。つまり、スーパーウェーブ理論が正しかろうと誤っていようと、フォトン・ベルトに採用された時点で矛盾に満ちたものとなっている、ということなのである。

 以下、ラヴィオレット博士の紹介サイトから、フォトン・ベルトに関連する部分を訳してみた。

Galactic Center Disinformation

 1979年6月、ポール・ラヴィオレット博士は古代の星座のメッセージを解読し、過去、銀河の中心から宇宙線の斉射があり、その結果地球に激変をもたらしたと表明しました。翌月、博士はこの「スーパーウェーブ」理論について短い論文を書きました。1983年、4年間の博士課程研究を経て、この銀河スーパーウェーブと地球の周期的な大変動の関係についての調査論文を発表しました。この論文とその後の小論・書籍(『ビッグバンを越えて(Beyond the Big Bang)』と『炎のもとの地球(Earth Under Fire)』)で、ラヴィオレットは主張の論理的基礎を打ち立てようとしました。

 ところが、1991年以降、何人かの著者が銀河の中心からのエネルギー波がまもなくやってくるという同様のテーマについて書き始めました。彼らは宇宙人との心霊的な接触によって直接このテーマを啓発されたと主張しています。不幸にも、彼らは直感的に知った情報について、理論や観察について試すことがありませんでした。その代わり、彼らは事実の概念を空想の思いつきとごちゃまぜにし、大衆には争う余地のない事実として伝えてしまったのです。そのため、読者はこの分野における資料を選ぶときには注意深く観察しなければなりません。以下は、科学的に研究されたスーパーウェーブ理論と混同されうる現在の誤情報の例です。

1981年

 この誤った物語は、1981年シャーリー・ケンプ(Shirley Kemp)の書いた「フォトン・ベルト(photon belt)」という記事に始まります。これはオーストラリア国際UFO空飛ぶ円盤研究会誌(Australian International UFO Flying Soucer Research Magazine)12号(1981年8月)に掲載されました。そして、オーストラリアの神秘系雑紙「Nexus Magazine」の1991年2月/3月号にこの記事が転載されます。ケンプの記事は、フォトン・ベルトの源としてプレアデス星団に焦点を合わせており、銀河系の中心については述べていません。銀河系の中心の波の概念とフォトン・ベルトの概念を混ぜ合わせたのは、ロバート・スタンレーやバーバラ・ハンド・クロウなど後の人物です。フォトン・ベルトはプレアデスを取り囲むエネルギーの輪で、その外側の境界が今、ちょうど我々の太陽系に触れようとしている、とケンプは書いています。1961年にプレアデスを観測していた人工衛星によってこの存在は発見されていた、と彼女は主張します。しかし、実際にはそのような人工衛星による発見の記録は存在していませんし、当時、そのような観測のできる装置を搭載した人工衛星もありませんでした。また、地上から、また宇宙空間から望遠鏡で観測しても、現在、そのようなベルトが存在するという証拠は見つかっていません。

 さらに、この太陽系は2万4000年周期でプレアデス星団の恒星アルキオネの周りをめぐる軌道を一周し、その間に2度、フォトンベルトを通過する、とケンプは主張しました。2000年間のベルトの中の期間、それに続いて1万年のベルトの外の期間が来るというのです。加えて、太陽系がフォトン・ベルトの中に入る近い将来、現在の昼・夜の周期も終わり、2000年間絶えず続く光の期間がやってくると言います。そのとき、人類は霊的に悟りを開いた「大気人(Atmosphereans)」に変成するだろうというのです。

 太陽系がプレアデス星団を周回しているとか、特に恒星アルキオネを周回しているというような部分については、不条理といえます。プレアデスは牡牛座の方向、太陽系から400光年のところにあります。つまり、その軌道は約2500光年の長さがあるはずです。わずか2万4000年の期間でこれを一周するには、太陽系は銀河の中を光の速さの10分の1以上のスピードで移動しなければなりません。これは、地球が太陽の周りをまわるスピードの1000倍です。もし、これが本当であれば、視差効果のために星座の形が人の生涯のあいだに目立って変化することでしょう。そういう事実はありません。また、重力作用によってこのようなスピードで軌道を移動するとしたら、アルキオネは太陽の10億倍の重量を持たねばなりません。それは、この銀河の核に匹敵する重さです。実際には、太陽系やプレアデスの恒星がアルキオネの周囲の軌道を巡っているという証拠はまったくありません。フォトン・ベルトという概念全体が不条理に思われますが、あまりにも多くの人々がこの考えに参ってしまい、現実の一部として認識してしまっています。ケンプの論文については、クレア・ウィリアムズの批判が参考になります。

1991年

 1991年の夏、ロバート・スタンレー(Robert Stanley)は「フォトン・ゾーン――地球の未来は輝く("The Photon Zone: Earth's Future Brightens")」という記事を「Unicus Magazine」で発表しました。この記事は、フォトン・ベルト概念を銀河の中心における爆発の概念と結びつけたものです。この爆発はラヴィオレットの銀河スーパーウェーブ理論と非常に似ていますが、科学的な基礎もなければ、観測もなされていません。「フォトン・ゾーン」がこの銀河の中心から放射される過剰な光子(フォトン)のベルトまたはドーナツ型のものであり、「太陽系の水平軌道に対して90度直角に回転している」とスタンレーは言います。

 スタンレーは、ラヴィオレットの科学論文をちゃんと読んでいないようです。論文では、銀河の宇宙線スーパーウェーブが銀河の中心から放出されている証拠について書いています。そして、それぞれ見かけ上動いているスーパーウェーブの殻は、銀河の中心から同心円状の電磁放射の輪を形成します。これは銀河の平面に乗っかっています。そして、スーパーウェーブは外部に広がっていくのです。この放射地帯を「フォトン・バンド」とか「フォトン・ベルト」と呼ぶことはできるかもしれません。このスーパーウェーブ放射の輪の一番近いものからやってくる放射は、一番近いところで、おうし座から7000光年離れた方向からやってくるように見えるだろう、とラヴィオレットは示しています(つまり、プレアデスから6500光年離れたところ)。そして、その放射は反対方向、銀河の中心(さそり座の方向)に向かっていきます。それは我々から一番遠いところでおよそ3万光年先にあります。つまり、フォトン・バンド理論は、観測上の証拠が何もなく、スーパーウェーブというものに興味を持った人たちを混乱させています。

 スタンレーは、このフォトン・バンドは銀河の中心から放射されたものだといいますが、それは動かない地帯であるという矛盾した概念も示しています。シャーリー・ケンプの言ったことの多くを採用して、スタンレーは、フォトン・バンドが太陽系の近くにあり、この太陽系がここを定期的に通過しているといいます。その結果、2万6000年の周天円型軌道を太陽系が進行しているということになります。B・H・クロウ(B. H. Clow)は著書『プレアデス銀河の夜明け(The Pleiadian Agenda)』で、スタンレーがこう述べたと引用しています。恒星アルキオネを巡る「2万6000年の銀河軌道上で、この太陽系は、銀河のこの地帯[フォトン・ゾーン]に1万1000年ごとに入り、それから2000年間通過します」と。しかし、太陽系がアルキオネを巡る2万6000年の軌道上にあるという天文学上の証拠は何もありません。銀河系の中心(いて座 A*)を巡る太陽系の軌道は1周約2億年であり、銀河の中心はプレアデスとは反対側のいて座・さそり座の方向にある、という証拠があります。

 古代ヒンドゥーの天文学者は、太陽は銀河の「大中心」を2万4000年周期で出たり入ったりすると説いていましたが、これは「軌道」というよりは振り子運動に似ています。もちろん、古代人がアルキオネなど考慮していたこともありませんし、いて座A*を銀河の「大中心」とみなしていたというわけでもありません。「Earth Under Fire」に書いたように、銀河の核・いて座A*に対して周期的な放射状の動きをしているならば、スーパーウェーブは太陽や惑星に対して潮汐力を及ぼすはずです。


1994年

 バーバラ・ハンド・クロウ(Barbara Hand Clow)のチャネリングによる本『プレアデス銀河の夜明け(The Pleiadian Agenda)』は、銀河の中心起源説と組み合わせて、さらにフォトン・ベルト神話をプロパガンダしました。しかし、この場合、クロウはラヴィオレットの概念について知っていたのです。1991年8月、ラヴィオレットは自著『ビッグバンを超えて(Beyond the Big Bang:後にWarriors of Creationに改題)』の原稿と、その続編『火のもとの地球(Earth Under Fire:後にAstrology Decodedに改題)』の第1章と概要をクロウに渡していました。これは、当時ニューエイジ本出版社「Bear and Company」社の副社長編集者であった彼女を信頼して送ったものです。1万3000年前、地球は銀河の中心から発された「ゾーン」あるいは「ベルト」状の放射の影響を受け、それを銀河の「スーパーウェーブ」と呼んだラヴィオレットの1979年の理論について詳しく書いたのが、これらの文章でした。この作品を読んだ後、クロウは両書の修正版を出版することに大いに関心を示しました。特に、銀河スーパーウェーブについて書いている2冊目について。しかし、1991年11月、ラヴィオレットはこの出版社をやめ、クロウの出版の申し出を断りました。

 数カ月、1992年、クロウはアルキオネ星系に住んでいると思われるプレアデス星人の占星学者サティヤ(Satya)という存在と霊的チャネリングを始めたと言います。それから数年経った1994年、クロウは『プレアデス銀河の夜明け』のチャネリングを始め、1995年に出版しました。奇妙にも、その本はラヴィオレットのスーパーウェーブ理論と非常に似た概念を示していました。銀河の中心から発される「フォトン・バンド」は、約1万3000年前に地球に伝説に残る破滅的な激変を引き起こした、と書いているのです。このような概念を最初に提示したのはラヴィオレットであり、クロウはラヴィオレット博士の本を以前に読んでいたにもかかわらず、クロウ/サティヤはその論文について本の中で一切触れず、この話題について扱っている1983年から1995年に至るラヴィオレットの科学論文や『ビッグバンを超えて』についてもまったく言及していないのです。その一方で、クロウ/サティヤはシャーリー・ケンプのフォトン・ベルト論文とロバート・スタンレーのフォトン・ゾーン論文に言及しました。興味深いことに、クロウに以前内緒で原稿を渡したのと同じ年の夏にスタンレー論文は発表されています。そして、それは上記のとおり、ラヴィオレットのスーパーウェーブ理論と似たものなのです。

 スタンレー同様、クロウ/サティヤは動かないフォトン・バンドの中に地球が入ろうとしていると書き、この出来事を来たるべきニューエイジの全地球的な霊的転換という枠組みに押し込めています。しかし、『プレアデス銀河の夜明け』では、ところどころ銀河の中心についての考え方に混乱が見られます。フォトン・バンドはプレアデス星団のアルキオネから来るものとしており、それはいつも「フォトン・バンド」放射の中にあると書いているからです。この部分で、銀河の中心と反対側の地球の方向から来るフォトン・バンドについて書いています。それゆえ、スーパーウェーブがやってくる方向と正反対の方向に向かっていることになります。ラヴィオレット理論では、プレアデスの方角ではスーパーウェーブ事象地平線(放射ゾーン)は、近づくどころか遠ざかっていくことになっています。

 誤情報が最もうまく働くのは、標的としている考え方に非常に近いけれども歪められた考え方を広めるときです。そのとき、混乱状態が生まれます。フォトン・バンドという推測は、この目的を非常によく果たしています。ちょうどこのころ、他のチャネリング系の著書が出版され、同様の「フォトン・ベルト」について描写し、このような考え方についてのウェブページも多く登場しました。不幸にも、これらの文献は教育的ではなく、銀河の中心から来る銀河エネルギー波から、プレアデスに意識をそらすことによって一般に混乱を生み出す可能性を秘めているのです。

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