結核経験者から見たハリセンボン箕輪はるかの結核感染

ハリセンボン箕輪はるかさんが肺結核に感染しており、しばらく入院・休養することが報じられた。

わたし自身が結核によって入院加療を行なった経験からすると、病気そのものもつらいが、それ以上に周囲から隔離されること、そして、一般的な結核への無知からくる不用意な言動が一番つらかった。わたしの場合は今年3月の診断によって、投薬期間終了後2年の観察期間も終了し、保健所にも報告完了しているが、完治と認められるまでは非常に長く感じた。

箕輪さんには、完全に治癒するまで薬だけは絶対に欠かさず飲んで、一刻も早く復帰できるようになってほしいと思う。

結核にかかって最もつらいのは、病気そのものというより、周囲の目である。「感染源」として排除・排斥されることがもっとも精神的ダメージとなる。だから、報道なども慎重に行なってほしい。間違っても「感染パニック」などという言葉は使ってほしくない。

以下、この件について詳細に述べてみる。

2009年4月 8日11:18| 記事内容分類:医療・健康, 日本時事ネタ| by 松永英明
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パニックにならないで

箕輪さんはセキがでている状態で舞台に立ったりしたということで、空気感染の危険性があるとされている。そのため、共演者や舞台を見に来た人たちに検査を勧めているようである。これ自体は正しい対策であり、少しでも接触の可能性があれば検査しておくことをお勧めする。

ただし、パニックになる必要はない。最も接触時間が長い相方やマネージャーは発病していないと報じられている。感染力は案外弱い方だったのではないか。客席にいただけで感染する可能性は低そうだ。箕輪はるかさんから大量結核患者が出るという事態は考えにくい(ファンの間に結核患者が続出して箕輪さんが疑われた、という経緯ではないし)。わたしの場合はセキ・タンがまったく出ないタイプで「排菌していない」と診断されたが、箕輪さんの場合もあまり広がりはないだろうと思う。

2か月の入院、その後投薬治療と報じられている。おそらく、多剤耐性菌ではないと判断されたのではないだろうか。中途半端に勝手に投薬治療をやめてしまい、その結果結核菌が薬に耐性をもってしまう「多剤耐性菌」だとこわいが、2か月の予定ということは、悲観しなくてよいと思う。箕輪さんは治る。

ただし、半年くらいまでのスパンで入院期間が延びることはありえるかもしれない。結核では、排菌がなくなれば退院できるし(逆にいえば、排菌している間は退院できない)、退院の条件はここ数年で非常に緩和されつつあるけれども、なかなか退院の時期のめどは立ちにくいようである。早く仕事に復帰したいだろうけれども、ハリセンボンの実力なら半年くらいのブランクは乗り越えられるはずだ。気長に治療に専念して、確実に治していただきたい。

天皇陛下は、「私自身、かつてストレプトマイシンやヒドラジッドなどの新薬の恩恵に浴したものの1人です」と述べられた。

それにしても「CM自粛」などはやりすぎだ。こういう過剰反応はやめてほしい。何が「お客様の心情」だ。

お笑いコンビ、ハリセンボンの箕輪はるか(29)が肺結核で入院したことを受け、相方の近藤春菜(26)と出演中の栄養調整食品「クリーム玄米ブラン」のCM放送自粛が7日、決まった。製造元のアサヒフードアンドヘルスケアをグループに持つアサヒビール広報によると、8日から自粛する。CMはハリセンボンとモデルのマリエ(21)が期間限定ユニット、マリセンボンを組み出演していた。

 同社は「はるかさんご本人の体調と、お客さまの心情を勘案して当分の間、自粛することに決めました」と話し、ホームページには「1日も早いご回復をお祈りします」とアップした。CM撮影や会見で、はるかと接触した同社社員はいるが、感染の兆候がある人はおらず、健康診断を受けた社員はいないという。

結核で一番つらいのは、排除・排斥されること

首都圏が"はるか感染"ショックに見舞われた!

こういうあおり方は絶対にしないでほしい。あまりにも無神経だ。

こちらの記事は落ち着いて書かれているよい記事だと思う。

mixiの結核コミュニティでもときどき取り上げられる話題だが、結核と判明したとたんに周囲の人たちの言動が豹変し、それによって傷つくということが多いようである。病気自体がつらいだけではなく、排除・排斥されるという精神的ダメージは大きい。わたしもネットで(当初、入院の必要はないと診断されていたにも関わらず)「結核ならさっさと病院に隔離されてこい」などと言われて落ち込んだものだ。

mixiでは「結核とわかったとたん、子持ちの友人から遠ざけられた」というような報告もあった。また、結核にかかることで「体調管理ができていない」と判断され、退院したときに職場復帰できるかどうかわからない状況になった、というような話もある。わたしもそれに似たような経験はしている。

子供に感染するのをおそれる気持ちはわかるが、それで友人づきあいをやめるなどというようなことは、精神的に大きなダメージだ。また、病気になったらクビというような扱いも、「できるだけ入院したくない」という感情を強め、それが逆に結核ではないかと疑ったときに検査自体をおそれる気持ちにつながる(そして悪化してから入院に追い込まれたりする)。

おそろしいのは、「結核に感染したら社会から排除しなければならない」(物理的にだけでなく、社会的に排除という発想)、さらに「一度感染したら、ずっと隔離しなければならない」という思い違いが世の中に潜在的にあることだ。簡単にいえば、「バイキン」扱いされる。そのことが精神的に最もつらいのだ。

感染した者としても、誰かに感染させていなければよいのだが、ということは一番に考えることである。だれかに感染させる可能性があるということを思うと、それだけで絶望的な、自分自身の存在が悪であるかのような思いにとらわれることもある。

すでに「感染源」となりえることは本人が痛いくらい自覚しているはずだ。そこに周囲の人間から追い打ちをかけられることの精神的な負担を、周囲の人はよくよく考えていただければと思う。

それだけではない。入院したら、それからの時間が長く感じられる。いつまで隔離されるのか。いつまでこうしていなければならないのか。出てきたらまた働けるのか。いつから働けるようになるのか。……そんな不安に包まれてすごさねばならないのだ。

結核自体は現在、薬さえ飲めば(超多剤耐性菌でない限り)治る病気である。もはや不治の病とはいえない。しかし、社会的に厳しい病気であるとはいえるだろう。

文字通りの「同病相哀れむ」かもしれないが、箕輪はるかさんには一刻も早く治っていただきたい。そして、一刻も早く、元通りに復帰していただきたいと思う。

補記:わたしの場合の治療経過

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2009年4月 8日11:18| 記事内容分類:医療・健康, 日本時事ネタ| by 松永英明
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コメント(14)

ブログ「楽しく禁煙」を開設しているものです。呼吸器内科医です。結核の治療大変でしたね。私も多くの患者さんを診ましたが、皆さんにも偏見等を持たずに接して欲しいものです。タバコと結核についてブログに書きました。よろしかったら見てください。

結核の感染を軽視しておられるようですが、それは周囲の人間の対策を疎かにし、ひいては感染の拡大を招きます。

『結核とわかった』時は、当然排菌していると考えるべきで、『子供を完治前の結核の感染者から遠ざける』のは、当たり前です。何を言っているんですか。

あなたの言動は、あなたがつらいつらいといっている状況に、箕輪さんの周りの人間を陥れようとしていることになります。

結核は、真剣に拡大阻止を図るべき、伝染病です。
感染の結果どのようなことになるのかは、あなたのご存知の通りです。

きつい言い方ですが、かわいそうかわいそうだけではどうにもならないことだということは認識するべきです。

このエントリーでは、結核の感染をまったく軽視はしていません。それは誤読あるいは曲解あるいは悪意です。
感染している可能性があれば、まず検査する。そして排菌していれば入院する。それは当たり前のことですし、それを薦めてもいます。
しかし、そこでものの言い方だとか、柔らかい接し方もあるでしょう。「子供がいるからこないでくれ」「感染しやがって迷惑だ」などといったニュアンスが出てくるのが問題です。
この記事は「パニック!」だの「CM自粛」だのといった誤った煽りをやめてほしいというのが趣旨です。騒ぎ方が間違っていると言っているのです。その証拠に、読売新聞の記事は適切だから読むように、と書いているではありませんか。
そして、匿名さん、あなたのような人がいるから、感染しても隠したいと思ったりするのですよ。「お前は病原菌、感染源、隔離されて当然」という、確かに間違ってはいないが人間扱いしない思考回路。わたしは徹底的にそういう態度を批判します。

特に「いわゆる派遣」にいえるかと思うのですが、
来場された方は検査してください→陽性→会社から「来なくていい」→仕事がなくなり、治療・入院する金もない→感染の恐れが考えられても、検査しない
という思考の流れに陥ることが怖いです。

まあ結核に限った話ではないのですが。

CM外しは、「仕事がなくなる」具体例を世間に見せているわけで、まあ業界が業界とはいえ社会情勢的にまずかったのではと感じました。

ところでひとつ質問です

asahi.com(朝日新聞社):はるか結核で「マリセンボン」のCM自粛 - 日刊スポーツ芸能ニュース - 映画・音楽・芸能
の文中、
>CM撮影や会見で、はるかと接触した同社社員はいるが、感染の兆候がある人はおらず、健康診断を受けた社員はいないという。

感染(保菌)と発症(発病)は違うと思っていたのですが、そうではないのでしょうか。
健康診断・医師の診察なしに「感染の兆候はない」と素人判断でも簡単に言えるものなのでしょうか。
(もし不可能なのであればこの会社の健康に対する姿勢が…)

ハリセンボンファンの方に読んでいただきたいですね。
ハリセンボンのファンの方は、結核なんて大した事がないと風潮しています。

箕輪はるかさんを擁護したいが為に、結核なんて
恐ろしい病気でも無い、病院に行かなくても良いなど
風潮しています。
こういう無神経で無責任なハリセンボンファンの人に
是非とも読んでいただきたい記事だと思いました。

今日の「バカ殿」でハリセンボンが出演する予定だったのに、
そのシーンはカットされたみたいですね。
CM自粛もそうだし、ちょっとやりすぎなのでは?と首をひねってしまいます。

>itochanさん
記事の字面だけなのでよくわかりませんが、感染していても発症しないことは多いので、接触機会が多い人は絶対に検査はすべきだと思います。発症していなければ、しばらく薬を飲むだけで済みますしね。
それにしても、(結核→一時的隔離ではなく)「結核→排除」となっている現状が怖いです。特に派遣の人とか、栄養的に問題が多いのでむしろ結核(その他の病気)になりやすい。するとまた雇ってもらえない……という悪循環は絶対に断たねばなりませんね。
そして、パンデミックが将来発生したとき、マスメディアには絶対に「適切な行動を取るように人々を冷静にさせる」役目を果たしてもらわなければならないにもかかわらず、今回の報道を見ていると一部記者にその自覚がなく、逆にパニックを煽って喜んでいる節が見られるのは、おそろしいことだと思います。
 
>結核は治る病気です。さん
もしハリセンボンファンの中に「結核なんて恐ろしい病気でも無い、病院に行かなくても良い」と言っている人がいたら、それは間違いです。「完治するまできちんと薬を飲めば」「超多剤耐性でなければ」という二つの条件があれば「以前の不治の病ではなく、今なら治る」ということであって、感染の危険性もしっかり認識しなければなりません。まあ、劇場の観客席にいたくらいで感染することはほとんどないでしょうが、結核を軽視するのは逆にまずいことです。
 
>Pさん
死んでもいない、犯罪を犯したわけでもない。白血病で入院なら絶対に、こんなことはないですね。何かがおかしいです。

出演シーンカットとかCM自粛とかはやり過ぎだし逆効果だとおもいますよね。
なんにしてもはるかさんや病気のみなさんが早くよくなってほしいと思います。

結核なんて、外国でチャラチャラやってて感染したんだろ?
「吉本タブー」でみんな言わないだけで。

CM自粛の件は、イメージによるものが大きいと思います。
病気そのもののイメージという意味ではなく、「商品は健康食品なのに、出演者は入院している。」
となると、プラスイメージに働く事は無いと思います。
もっとも、健康食品のCM出演者が皆それを利用し、健康であるという訳では無いでしょうが、
マイナスイメージにはなるがプラスイメージにはならない状況なら、
企業側とすればCM自粛するのも仕方の無い事かと。

しかし、結核自体のマイナスイメージを恐れてという面も私自身否定できません。
無知により恐怖が増幅されてしまう部分は大きいと思います。
私も、他の事も含め、より正しい知識を得る努力をすべきだと今回実感致しました。

一般の人に結核を考える機会となって,言い方は悪いがいい面もある.実際に咳が続くという症状で診察に訪れる人は増えています.

同じような症状があれば受診を!

記事に一通り目を通させていただきました。
まったくその通りです。

私には結核感染経験は今のところないのですが、今回の騒動で、日本人の結核知識の少なさとマスコミの浅薄さには本当にびっくりしました。
今まで新聞の医療記事(確か読売だったように記憶しています)やTVの特集でも現代の結核事情について報道されたことがありましたし、先日の天皇陛下のご発言もありましたから、我が家では世間が何をそんなに騒いでいるのかわかりませんでした。
「え、休養とって完治するまで根気よく薬飲めばいいだけじゃん。まあ隔離はされるから色々つらいだろうけど、ちゃんと薬飲み続けさえすれば治せるんだもんね」って。

治せる病気で公共の利益のために動くべきマスコミがパニックだのショックだのと、まるで小学生のように騒ぎたてて、いったい何を考えているのでしょうか。真っ先にすべきことが他にあるでしょうに・・・。
結核とはどういう病気でどのように治すものなのか、この情報を冷静に流すのが筋であり、道でしょう。これで『報道』とはよく言ったものです。

また、ひとりひとりの意識が大切だとも感じました。
ネットなり地域の保健所なり調べる手段はいくらでもあるのだから、何も怯える必要はない。パニックにならず、冷静に動くことの大切さを噛みしめました。

正確な知識を得ずに人を排斥したり、感染して薬を中途でやめてしまう方がずっと恐ろしい。人の苦しみを他人事のように感じ、「自分と家族だけは無事で」などと考えていては却って何も守れないことを、はっきり気付かされました。

生半可な知識でおびえ騒ぐだけで終わりにし、物事に対する正確な知識を持たないなんてことをしていては、いつまでも先に進めないままです。
ささやかな行動ですが、私ももう少し結核のことを深く勉強します。購読紙(残念ながら朝日ではありません)にも意見など送ってみますね。

長文になってしまいすみませんでした。

1つラッキーなことが結核にはあって、将来ガンにかかりにくいんだそうです。

はじめまして
すばらしい記事,私自身,この2年間で2度の発症と長期入院を繰り返し,非常につらい思いをしています.読みごたえもあり,非常に同意いたします.私が感じたとことはすでにほとんど記事に書かれておりますが,もうひとつ懐疑心と憤りを感じたのは保健所の対応です.

厚生労働省の決まりだと思うのですが,発症者との濃厚接触者は,その感染の可能性と発症予防のためにQFTの血液検査を行います.しかしながらその検査日は「排菌者との最終接触日よりおよそ2ヶ月後に検査を行うとする」と決められています.じつはこれが落とし穴で,別居する家族のようにその数か月前にも接触していた際は,その接触日が考慮されず,発症日が明確にわからない場合は早急に検査を行わないと危険な場合があるにもかかわらず,保健所はかたくなに2ヶ月経たないと検査を行いません.そのおかげで身内に2次感染による発症者が出てしまいました.私の排菌が確認されてすぐQFT検査を行ってくれれば予防内服で発症を抑えられたものを...

そして2回目の発症の今回も,ほとんどの保健所が同様の対応を行い,中には接触から5ヶ月後に血液検査を行った自治体もあります.仮に感染していた場合,5ヶ月も経つと発症に至ります.保健所がそのような対応をしている限り,日本の結核感染者は増え続ける一方だと痛感しました.

機会があれば,この現状を厚生労働省に訴えてゆきたいと思います.

長文申し訳ございません

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このページは、松永英明が2009年4月 8日 11:18に書いたブログ記事です。
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