「翻訳」と一致するもの
「博客」と呼ばないで!中国ブロガー「博客」呼称騒動――博客中国 vs CNBlog
『ウェブログ超入門!』にも書いたが、中国ではブログ/ブロガーを「博客(Boke=ポーカー)」と呼ぶ(中国語でbokeはボケではないので注意)。ハッカーが「黒客」というのと対比された表現だ。ところが、ここに来て「俺は博客じゃない!」と主張する騒ぎが大きくなった。「I'm not Boke」ちまちまボタンまで登場し、大変な騒ぎになっている。
しかし、これは単なる呼称問題ではない。中国ブログ界の2大勢力の論戦なのである。「博客」の名付け親で『博客』という本も書いている「博客中国」主催者・方興東氏と、それに対抗するCNBlogの主催者zheng氏・Isaac Mao氏の対立だ。
博客という訳語にはこれまでも議論があったが、今回は方氏の雑誌インタビュー記事にzheng氏とMao氏自身が反応したというトップ同士の正面衝突。その直前に「博客」表記を欧米に紹介した記事が登場していたことも、この騒ぎに火を注いだ。つまり、「博客」派・博客中国 vs アンチ「博客」派・CNBlogという背後関係を読み取る必要がある。
しかし、これは対岸の火事ではない。方氏はもともとオープンソース運動やクリエイティブ・コモンズを絶賛する情報開放主義者である。オープンソース志向のブロガーは日本でも多い。
一方で、方氏はブログを既成メディアに対抗する存在と位置づけているが、今回の流れでは「他人の記事を無断転載しすぎ」と批判されている。メディアへの敵対意識と、必要以上に多い長文転載といえば、木村剛氏を彷彿とさせるところもある。
また、この批判の中では「サービス側がユーザーの著作物を勝手に利用する」ことが明確に否定されており、これは最近の日本ブログサービスにおける著作権規定に関する騒動と共通している。
あるいは1年前に散々言われた「ITゴロ」「ブログゴロ」といった批判にも似たところがある。中国博客騒動は、決して他人事ではないのだ。
今回は非常に長くなるが、この「博客」騒動関連記事を時系列順に翻訳して紹介する。
「よろしかったですか」の歴史と心理的背景を探ってみる
ファミレスやコンビニでよく使われる「ファミ・コン語」の中でも特に違和感のある「よろしかったですか」について、ウェブ上で見られる情報をまとめてみた。特に「北海道方言起源説」を中心に、どのような心理でそれが受け入れられるに至ったか、そしてなぜ反発を受けているのかについて考えてみたい(今回の前半は引用中心だが、後半には私の考えがまとめてある)。結論は「店員の側の押しつけ敬語」ではないかということである。
Excite エキサイト翻訳の「珍訳」対応表
エキサイト翻訳の中国語翻訳に日本語を放り込んでおいて中→日翻訳をするととんでもない訳語が出てくる、という話題が一部で盛り上がっているようだ。例えば、「ハードディスクドライブ」を中→日(日→中ではない)で翻訳すると、なぜか「玉を振ってしようがなく奴隷の朝の兵の玉を犯して牛乳を沸かしたときにできる膜をまねる」と出てくる。これについてブログ等で取り上げられた実例を列挙した後、その仕組みに迫ってみたい。
著作者人格権:何が問題で、どう書くべきか?
Livedoor Blogの著作権条項改訂から始まった「ブログの規約における著作者人格権規定」の問題。前のエントリー「LivedoorBlog以外にも権利侵害規定!ブログ著作権規約を全チェック」が長くなってきたので、前エントリーは一覧と規約抜粋のみとし、著作権について考える内容を書き直すこととした。合わせて、「どのように書くなら問題がないのか」といった点についても追記している。
LivedoorBlog以外にも権利侵害規定!ブログ著作権規約を全チェック
ブログサービスを使って自分の書いた記事を、自分が自由に使えない? そんなサービスを使う気になりますか?
「livedoor Blog 開発日誌:利用規約の一部変更のお知らせ」では「利用者は、弊社及び弊社の指定する者に対し、著作権等(著作者人格権の行使も含む)を行使しないものとします」と改訂され、物議をかもしている。
そもそも、著作者人格権とは譲渡できない権利。しかし、自社サービスに投稿された人気ブログの内容を勝手にまとめた本でも出そうとでもいうのだろうか? ブログサービスの中には、著作権をまるで理解していないところが少なくないようである。
そこで今回は、著作権の規定を再確認した上で、すべてのブログサービスにおける著作権規約を全チェックしてみた。
■一覧表簡易版(下には詳細版があります)
- ★★★★★著作権は100%ユーザーに帰属
- 信州FM、ブログ通信、DI:DO、News Handler、BLOCKBLOG、のブログ、ドリコムブログ、チャンネル北国tv
- ★★★★★サービス側の著作権の範囲を明記
- Diary Note、NAVER(但し著作権侵害機能がついているのでおすすめしない)
- ★★★★☆著作権はユーザーにあることを明記の上、サービス側も利用可
- TypePad、ココログ、ウェブリブログ、So-net blog、FC2ブログ、JUGEM、MSN Spaces、はてな(★★から変更)
- ★★★☆☆ユーザーの著作権の明記はないが、妥当な表現でサービス側も利用可
- 楽天広場、AOLダイアリー
- ★★☆☆☆自分の著作者人格権が行使できない!
- livedoor Blog、gooブログ、teacup.AUTOPAGE、ジオログ、Seesaaブログ、アメーバブログ、エキサイトブログ、stylog
- ★☆☆☆☆著作権はすべてサービス側
- すくすくBLOG
- ?????規約に明記なし
- ブログ人、LOVELOG DIONブログ、Doblog、ヤプログ!、尾道blog、マイぷれす、ぶっとびねっと、関西どっとコム、SweetBox、HELLO KITTY CLUB、リンクログ、moblo、ペケログ、2log、melma!blog
※【改訂2版】一部見落としがあったので17:00に書き直しました。Typepadの規約はよくできてると思います。
※【改訂3版】ブログ規約以外のところに著作権制限規定が載っている例がかなりあること、また見落としがかなりあることがわかったので、再度チェック・修正しました。Livedoorの「補足」も追記。申し訳ありませんがよろしくお願いします。11/15 11:00
※【改訂4版】ココログを★★★★☆に追加、ジオログに追記(下記コメント欄で情報をくださった皆さん、ありがとうございます!)。また、長くなってきたので、このページには一覧と抜粋だけを残し、著作者人格権についての見解については次エントリー「著作者人格権:何が問題で、どう書くべきか?」に移行しました。Seesaaやはてなの「規約外での解説」についてもこちらにて。11/15 19:30
※【改訂5版】はてなを★★☆☆☆から★★★★☆に変更。2004-11-18はてなダイアリー■利用規約内の著作者人格権についてで、「皆様のご理解を頂くのが難しく、一方で弊社としてサービスの運用への影響は大きくないと判断しました」とのことで、著作者人格権についての字句が削除されたことを反映。11/21 15:00
「民主党=青、共和党=赤」の色分けは4年前に始まったばかり
アメリカ大統領選挙で、民主党=ケリーが勝利した州は青く、共和党=ブッシュが勝利した州は赤く塗られている図をよく目にするようになった。ところが、民主党のシンボルカラーが青だとか、共和党が赤だとかいう風に決まっているわけではない。
実は、この色分けはわずか4年前、2000年に始まったものだという。それ以前は逆に民主党=赤、共和党=青という時代もあった。そして、これはどうやらマスメディアでの「暗黙の了解」のようなものらしいのである。
先日のワシントン・ポストのコラム記事にそのあたりの事情を書いているものがあったので、翻訳してみた。
「知能指数が高い州は大統領選で民主党ケリーに投票」データの嘘を徹底解明
「DynamiteTV【海外ボツ!News】:知能指数と政治の関係」で紹介されたことがきっかけになって、日本でも「平均知能指数と大統領選挙の結果を照らし合わせた表」(出典はここ→IQ and Politics)が出回り、「ブッシュに投票する共和党は頭が悪い」という印象を裏付けるものとなっている。
しかし、この情報は嘘だ。「Richstyles!: 米大統領選の投票者とIQの相関はデマ情報」で鋭く指摘されている。
先日、木村剛氏が中越地震でのマスコミの振る舞いについての「噂」情報を、検証することなく「真実」としてブログに書いた騒動があったが(木村剛の「マスメディアへの対抗意識」は時代錯誤。中越地震マスゴミ批判記事を検証する参照のこと)、今回のブログ界でのデマ流布と共通するのは「自説を強化する情報は検証することなく、真実・事実として広めてしまう」傾向があるということだ。木村剛氏にとって、中越地震被災地でのマスコミの傍若無人な振る舞いを描いた情報は「おいしい」ものだったし、「ブッシュに投票するなんて頭悪いんじゃないの?」と思っている人(まあ、私もそう思ってるんだが)は「民主党に投票した州はIQが高い」という表を見ると「やっぱり」と思ってしまう。
そこで「ちょっと待てよ」と思えるかどうかが「メディアリテラシー」を発揮できるかどうかの境目だ。特に自分にとって都合のいい情報、おいしい情報のときほど疑ってかかる必要がある(都合の悪い情報、嫌な情報ならどうしたってあら探ししたくなるものだからね)。
今回は、Richstyles!さんで紹介されていた「検証サイト」のブログ情報を全訳してみることとする。
非常に大量のデータであるが、じっくり読んでいただきたい……というところで最初に警告しておく。読めばわかるとおり、この著者Steve Sailer氏は明らかに共和党支持的論調でこの検証を行なっている。つまり「間違ってたじゃん!」とこの情報を真実として流すならば、今度は共和党のプロパガンダの片棒を担ぐことになってしまうわけだ。さあ、あなたのメディアリテラシーはいかが?
- special thanks to 渋谷系@はてな
- http://d.hatena.ne.jp/bmp/20041109
- http://d.hatena.ne.jp/bmp/20041110#1100084873
- http://d.hatena.ne.jp/bmp/20041111#1100113237
- ↓ここ以下すべて元ページの翻訳であり、訳者の見解ではありません。
泥棒の語源(滝沢馬琴のヨタ話)
泥棒、ひるとんび、スリ、護摩の灰、かどわかし、ばかす・ばかされる……といった言葉の語源・由来について、滝沢馬琴がいろいろヨタ話をしています。『燕石雑志』という本の一部ですが、その中で友人にツッコミを入れられたりもしていて、何だか面白い。そこでこの「泥棒」ネタの部分を訳してみました。
悪魔の辞典の愛国心
アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』には、愛国者・愛国心は以下のように定義されている。
【PATRIOT】愛国者
(名詞)一部の利益が全体の利益よりまさるように思ってしまう人。政治家のいいカモ、征服者の手先。
【PATRIOTISM】愛国心
(名詞)自らの名声を輝かせたいという野望を持つ者の火種となる燃えやすいゴミ。
ジョンソン博士の有名な辞書では、「愛国心」は「ならず者の最後の拠りどころ」と提議されている。賢明ではあるがよろしくない辞書編集者に対して、払うべき敬意は払いつつも、それは「最初の」拠りどころであると具申させていただきたい。
確かに、一部の偏狭な自称愛国者の中にはこういう人もいるようだ。よりによってうちのブログを荒らす頭の悪い愛国気取りの中国人も含めて。ただし、愛国心のすべてがこんなものではないと信じたい。
私が「国」という枠組みについて何か言うとしたら、この江戸時代の米沢の明君・上杉鷹山の言葉「伝国の辞」をおいてほかにはない。
こういう明君のもとにあれば、私ももう少し「国」という枠組みに対して関心を持てたかもしれない。
- 国家は、先祖より子孫へ伝え候国家にして、我私すべきものにはこれなく候
- 人民は国家に属したる人民にして、我私すべきものにはこれなく候
- 国家人民の為に立たる君にて、君の為に立たる国家人民にはこれなく候
これからいくつかの記事で、愛国関連の先人の言葉を翻訳して載せたりすることにしようと思っている。
トリビアの語源は「3つの道」
今日の雑学:triviaの語源の逆遠近法的解釈の試み(0x0a by SUZUKI, S. V)で「トリビア(trivia)」の語源についてのちょっとした調査が載っていたので、ネットでもう少し調べてみた。どうやら、「トリビア=無駄知識」という意味にたどり着くまでには2つの経路があったようである。