「わかる」と一致するもの

レッドブルとアップル「直訳CM」の致命的欠陥(「授ける」と「させる」の言語機能の解析)

最近、海外商品について直訳のメッセージで宣伝するCMがいくつか見受けられるが、それを見聞きするたびに気持ち悪さを感じていた。その筆頭がアップルとレッドブルである。

その気持ち悪さについて、日本語学的に分析すると非常に興味深いことがわかる。それはこの二つのCMの言葉が、英語の単語をそのまま日本語に置き換えているがゆえに意味が変わってしまっているということである。特に「授ける」と「させる」という日本語の「機能」に無頓着であることが致命的な欠陥となっている。

前回のブログ記事(木村カエラCMのエセ関西弁が気持ち悪い理由[絵文録ことのは]2012/02/29)に引き続き、今回もCMの言葉を解析してみた。

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木村カエラCMのエセ関西弁が気持ち悪い理由

木村カエラのキシリッシュCMのエセ関西弁がとにかく気持ち悪い(→CM GALLERY(CMギャラリー)|XYLISH (キシリッシュ)|株式会社 明治)。少なくとも京阪式アクセントで生まれ育った人間にとって、これは「バカにしとんのか」と生理的嫌悪感を抱かずにはいられないレベルである。中途半端に似せているがゆえに、違うところがあまりにも気持ち悪く、「ほかのガム噛んだらあかんで」と言われてもかえって「キシリッシュだけは金輪際噛んでたまるか、一生噛まんわ」と思ってしまうほどである。

なぜ中途半端なエセ関西弁が気持ち悪いのか。言語学的な分析からその理由をまとめておきたい。

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恵方巻商戦2012コンビニ8社全比較分析(附:コンビニ売上高グラフ)

当サイトではこれまで「恵方巻」の起源と歴史について扱ってきた( 恵方巻 - 閾ペディアことのは)。

これに加えて2011年の恵方巻商戦の状況などを加えた記事を、第12回文学フリマで発行した冊子『事物起源探究2011』に収録してある。

今回はこの事物起源探究2011に掲載した調査から1年を経て、2012年のコンビニ8社の節分恵方巻商戦を定点観測的にまとめてみた。 恵方巻2012ちらし全

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ことのはAmazon売上ランキングから見る2011年

当サイト経由のAmazon売上ランキング(2011年1月1日~12月31日)をジャンル別に紹介します。『災害ユートピア』が売れるなど、この一年間の当サイトの傾向がわかる内容になっています。

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文学フリマでのサークルスペース・ディスプレイ・デザイン

文学フリマは非常にシンプルなイベントである。文学というタイトルではあるが、実際には広く「文章系同人」のイベントととらえるのがよいだろう。いわば文フリ会場は「ロゴススフィア」といえる。

あるいは紙の本の愛好者の集まりでもある。そこで表紙デザインを含めたレイアウト、装丁といったものも「表現」の一環として捉えられている。あえてシンプルにして文字の力を強調する人もいるし、一方でフルカラーの凝った表紙を作ろうとする人もいる。わたしも以前は一色刷だったが、前回・今回はフルカラー表紙にし、今回はついにイラストを描いてもらった。

そんななかで、わたしはおそらく少数派だと思うのだが、与えられた長机の上の空間、すなわちサークルスペースのディスプレイ・デザインについても非常に凝りたくなってしまうのである。本をよりよく見てもらうためにはどうしたらよいか。手に取るためには目に入らなければならない。

おそらくわたしが文フリに参加しているのは、書き手でもあり、編集者でもあり、デザイナーでもあるだけでなく、棚の見せ方に工夫を凝らす書店員としての意識もあるのだと思う。

以下、今回のレイアウトに至る経緯である。

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世田谷弦巻の「ホットスポット」現地報告(蛇崩川の谷さんぽ)

世田谷区弦巻の区道の一部から高い放射線量が検出され、一時はホットスポットではないかと疑われた。しかし、夕方になって「家の床下に置かれていた段ボール箱の中にあった瓶から極めて高い放射線量が検出された」と報じられた。結局、原発によるものではなかったわけだ。

しかし、そのことが判明する前にわたしは現地に向かっていた。現場に着いたのは午後五時過ぎで、夕方の報道はまだ見ていなかった。とりあえず、現地の様子を地理的な関心も含めて報告しておく。

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金沢「モスク計画に住人反対」記事読み比べ

石川県金沢市若松町に県内初のモスクが建設される計画について、住人が反対しているというニュースが各紙によって報道されている。しかし、その記事のニュアンスが紙面ごとにかなり異なる。

そこで、今回は各紙の記事を読み比べてみることとした。もちろん、それだけで何か真実がわかるというわけではなく、実際に取材しなければ真相はわからない。これはその前段階としてメディアリテラシーの実践として受け止めていただければ幸いである。

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杉並の里子死亡事件を契機に知っておきたい里親制度

数日前に、杉並で里子として養育していた女児に暴行を加えて死なせた、という事件が報じられたが、これに絡んで里親養育制度について少しまとめておきたい。東京都の場合、里親には大きく分けて二種類ある。養育家庭(ほっとふぁみりー)と養子縁組里親である。いずれも東京都児童相談所が担当しており、趣旨は共通している。

今回の事件の場合は養育家庭だったようだが、養育家庭ならいつでも撤回することができる。里親をしていた女性は、自分ではこの子を育てられないと思った時点ですぐに児童相談所に相談すべきだった。問題は「なぜ相談しなかったのか」であって、里親・里子制度そのものを疑問視すべきではない。

なお、わたしは「子供の養育は実親(実母)だけに負担させるのではなく、社会全体がバックアップして育てるべきだ」と強く信じている。特に少子化対策というのであればなおさらである。

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ツイッターの日本語ハッシュタグはなぜ大喜利化するのか(序説)

ツイッターではこれまで、#のあとに半角英数をつけると「ハッシュタグ」として認識され、それをクリックすると同じ話題のツイートが一覧できるようになっていた。たとえばPerfumeの話題なら #prfm というようにある程度決まっている。また、「仮面ライダーOOO」がうっかり#oooを使おうとしたらそれ以前からOpenOffice.orgで使われていたので変更したというような小事件もあった。

2011年7月13日、日本語ハッシュタグが使えるようになった(Twitterブログ: #日本語ハッシュタグ)。ハッシュタグの前後には空白または句読点を入れれば、日本語で書いた「#地震」がハッシュタグとして認識される。

ところが、おそらく誰も想定していなかった事態だろうが、それ以来、日本語ハッシュタグが大喜利ネタになるという現象がみられた。人によってはタイムラインが日本語ハッシュタグ大喜利に埋め尽くされている場合もあるようだ。「#名作のタイトルに団地妻をつけるとロマンポルノになる」など、ついつい大喜利に参加したくなるネタが続出している。

では、なぜ日本語ハッシュタグは大喜利化するのか。それを言語的な観点から考察してみた。ただし、まだ研究のとっかかりであるため、「序説」とした。

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日本市場へ売り込むK-POP&韓流、売り込まないC-POP&華流

「フジテレビの韓流推し」が話題になっているが、逆の視点から見てみたい。それは「売り込む側の論理」である。

わたしは以前から中華圏(台湾・香港・大陸)の音楽、いわゆるC-POPのファンである。日本でも知名度の高いビビアン・スーも好きだが、GLAYとも共演した実力派ロックバンド五月天(MAYDAY)、女性ロック歌手としては日本含むアジア全域のトップクラスと断じたい張惠妹(Amei、音楽劇トゥーランドット主演)、トップアイドルユニットとしては台湾のS.H.Eと香港のTwins、さらに王心凌(シンディ・ワン)やガールズバンド櫻桃幫(Cherry Boom)、そして日本で活躍するalan(レッドクリフの主題歌で有名)などを聴いている。

といっても日本では、上記に挙げた中ではビビアン・スーとalan以外は知らないという人が大半だろう。だが、中華圏でこれらの名前を知らない音楽ファンはいない。日本で中華圏の歌手の名前が出てくるとしたら、テレサ・テンと欧陽菲菲と王菲くらいで、崔健やケリー・チャンまで知っている人はかなり詳しい部類に入ってしまう。韓流に対して「華流」という言葉も一応あるのだが、ファン以外には通じないのが現状だ。

一方でK-POP・韓流は「多すぎる」と非難されるほどメディア展開が進んでいる。CとKの違いは何か。それは、日本市場を市場と見ているかどうかということである。

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