「言葉」と一致するもの

楳図かずお邸を実際に見てきた。景観上の問題は皆無だ

漫画家・楳図かずおさんの吉祥寺の自宅の「紅白しま模様」が景観上問題があるということで一部「住民」から訴訟を受けていた問題について、1月28日に「景観上問題はない」という判決が下った。

こういう問題については、実際に現場に足を運んでみるに限る。というわけで楳図かずお邸を見てきた。その感想は「楳図邸はむしろ景観に最大限の配慮を払った、すばらしい建物だ」。撮影した写真とともに報告する。

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「歴史にifはない」とはどういう意味か(歴史における「偶然」と「未練」)

「歴史にifはない」という言葉がある。歴史家が歴史上の仮定を語るとき、「歴史にifはないと申しますが……」と枕詞のように言い訳する言葉としてよく用いられるが、そもそも、なぜ歴史で仮定を語ることがいけないことであるかのように言われるのか。「歴史にifはない」と言い出したのは誰なのか、またそもそもどういう意味合いだったのか。

調べてみると、歴史学者E・H・カーの『歴史とは何か』(1961年の講演録)がその発端になっているようである。それは、近現代史において未練たらしく「こうだったらよかったのに」という思考を批判する趣旨での「might-have-been school(こうだったらよかったのに派、未練学派)」批判であった。

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アルファブロガーアワード2008 ブログ記事大賞に推薦

アルファブロガー・アワード2008:ブログ記事大賞が始まっている。

第5回目のアルファブロガー・アワードは、例年とは趣向を変えて、ブログの中の1つの記事に投票していただく「アルファブロガー・アワード2008:ブログ記事大賞」でお送りします。

2008年に書かれたブログ記事のうち、最も「感心した」「笑った」「泣いた」「勉強になった」「考えさせられた」など、印象に残ったものを1~3本選んで、推薦してください。

というわけで、2008年はあまりブログを意識して読んでいなかったのだが、とりあえず候補を挙げてみたい。

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「おばさん」呼ばわりは名誉毀損となるか

昨年末だが、レコードチャイナ:「オバサン」と呼ばれた30代女性、侮辱罪で隣人男性を訴える...というニュースがあった。

翻訳なので「大嬸(おばさん)」という語のニュアンスがよくわからない。そこで、中国語のニュースを読んでみた。

自由時報と蘋果日報の記事が見つかったが、報道内容が食い違っている。車を停めていたのが男性か女性かがまるで逆なのだ。どちらかというと蘋果日報の記事の方がきちんと取材しているように思えるので、「女性が日頃車を男性宅の前に止めていたためにいさかいが絶えず、ついに男性がおばさん呼ばわりしてしまった」というのが実態のように思われる。

また、訴えた女性によれば、大嬸というのは50~60代の田舎女性を指す言葉であるから、「わたしのように大卒でまだ30代のセレブを大嬸呼ばわりするのは公然侮辱」ということらしい。

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訳すな、構造を理解せよ、そして、とにかく長いのを読め

英語その他の外国語についての勉強法がいろいろ議論にあがっている。

わたしがこれまで語学においてやってきた方法は、「訳文を一通り読んでから原著を読む」という小飼さんのメソッドに近い。

高校のとき、英語(というより単語の記憶)が苦手だったが、『指輪物語』(The Lord of the Rings)の日本語訳を数回読んだ前提の上で、原著を数回読み通すことで、「文章中の知っている単語を眺めれば全体の意味がなんとなくつかめる」という状態になった(ちなみに『指輪物語』は大学在学中までに日本語訳・原著合わせて30回は通読した)。

また、古文については、角川文庫版の対訳付き『源氏物語』を、まず現代語訳で、ついで原文で、最初から最後まで読み通して、語感をつかんだ。漢文は、藤堂明保ほかの編集による学習研究社の「中国の古典」シリーズを読み通した。

ついでに言えば、歴史については中公文庫の『日本の歴史』全26巻、『世界の歴史』(旧版)全16巻を通読することで、暗記ではなくストーリーとして学習した。

長編を読むのが苦手な人にはおすすめできないが、とにかく「習うより慣れよ」で暗記不要の勉強法について述べてみたい。

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ハンコ・元号・縦書きをやめたくない歴史的な理由

ハンコ・元号・縦書きをやめよう - 池田信夫 blogを読んだ。

あまり根拠もしっかりと書かれておらず、思いつきだけで書いているのではないかという印象を受けたが、歴史的な事実関係を見ながら、何となく「やめなくていいんじゃないの?」という意見を書いてみたいと思う。

ちなみに、わたしは保守派でもなければ国粋主義者でもない。

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「対馬=韓国領」という妄言はどこから生まれたか

一部の韓国人が「対馬は韓国領である」と主張している。何をどう考えても歴史的に日本の一部であった対馬を、なぜ一部の韓国人は自国領と主張するのか。どういう根拠があってそういうことを言うのか。

よくわからないので、人力検索はてなで質問した後、少々調べてみたところ、一部の韓国人は歴史書のごく一部のみを抜粋して、自分たちに都合のよい歴史をでっち上げていることがわかった。

なお、このように「ごく一部のみの抜粋(あるいは恣意的な要約)」によって、相手が言ってもいないこと、やってもいないことをでっち上げる人がまれにいるので、要注意である。

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ネットでの薬販売ができなくなる話から「総合医」「ナース・プラクティショナー」医療制度を考えてみる

2009年6月から、医薬品のネット販売が禁止されるという話が持ち上がっている。これはやはり時代に逆行する考え方であろうと思う。対面販売ではないために危険性があるというなら、危険性の低い薬だけを許可するようにするとか、やり方はいくらでもあるはずだ。あるいは薬局の利権を守るためなのかもしれないが、逆に薬局がネットに進出するべきなのである。

というわけでいろいろ考えていたら、「総合医(ジェネラル・プラクティショナー / General Practitioner)」だとか、「ナース・プラクティショナー / Nurse Practitioner」といったキーワードにぶつかった。

「初期診断(プライマリケア)」「処方権(簡単な薬の処方)」「医師への橋渡し」を、専門医の前段階で行なう人たちが必要だと考える。以下、詳細。

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田母神俊雄前空幕長の論文問題は、大東亜戦争/太平洋戦争の「密教化/顕教化言論」問題

田母神俊雄前航空幕僚長の論文「日本は侵略国家であったのか」が物議を醸している。(「日本は侵略国家であったのか」全文

この問題について、その発言が正当であるか否かという問題はひとまず措くとして、「なぜそのような発言が出てくるのか」「そして、なぜそのような発言が問題視されるのか」という点が重要だと思う。

この問題を考えるにあたって、平成10年度戦史研究発表会にて作家・保阪正康氏の特別講演「大東亜戦争・太平洋戦争はいかに語られてきたか」の内容が非常に参考になる。この講演は、先の大戦(応仁の乱ではない)を「太平洋戦争」と呼称する「顕教的な言説」と、「大東亜戦争」と呼称する「密教的な言説」が存在しているということを述べたものであった。

田母神前航空幕僚長の発言は、まさに密教的な言説そのものを代弁するものであった。そして、日本政府は自民党政権であっても「密教的な言説」を表立っては支持せず、「顕教的な言説」を建前として述べてきている(政府として、ホンネは言いたくても言わない、言えない)。それなのに田母神氏はホンネの部分をずばり言ってしまったがゆえに、(たとえ国内右派の強烈な支持があったとしても)更迭されるしかなかったのである。

今回は、平成10年度戦史研究発表会における保阪正康氏の特別講演の内容を聞き取ったメモを公開する。

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オバマ大統領の名前は「祝福・美・曲がった」を意味する

次期アメリカ合衆国大統領としてバラック・フセイン・オバマ・ジュニアが選ばれた。名前が似ているということで福井県小浜市がオバマを応援して話題にもなったが、もちろんオバマは小浜と何のゆかりもない。

そこでオバマ大統領の名前の語源を調べてみた。あわせて、オバマの父方の系譜がケニアからスーダンにたどり着くこともわかってきた。

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