「言葉」と一致するもの

京大入試を知恵袋で訊いた受験生の手口をプロファイルする

京大をはじめとする入試大学の問題を試験時間中に「Yahoo!知恵袋」に投稿して回答を募っていた事件について、京都大学は被害届を提出すると報じられた。約20年前に2回目の受験でやっと京大に入学できた自分としては、こういうことをするのが結局は自分自身のためにならないことを自覚してほしいと思う。

今回は犯人と手口を推理してみる。私の推理としては、共犯がいる。いくら何でも、会場で問題をサイトに投稿するような不審なことをしていれば、試験監督以外の一般受験者からも発見されるはずだ。

したがって、受験者が「超小型カメラなどの手段で撮影した試験問題を外部へ送信」し、それを協力者(家族の可能性もある)が入力してaicezukiのidでYahoo!知恵袋に投稿(入力はPCの可能性もある)、その回答を何らかの手段で受験者に伝えたと考える。

試験会場にて携帯で知恵袋を見るのはリスクが高いので、メールで送信したかもしれない。だが、そういうものを見ること自体がリスクだ。イヤホンも無理。となると、憶測をたくましくすれば、モールス信号を振動で伝える手段などを使って、外部にはほぼわからない状態で回答を得たのかもしれないとも考えられる。いずれにしても、会場で携帯を使っていたとは言い切れない。

そして、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトの「回答の精度」についても最後に述べる。ネット丸写しの誤答によって犯人はすぐ割り出されるだろう。

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選択式夫婦別姓議論と「日本人の姓/名字」の歴史

夫婦別姓をめぐる違憲訴訟がついに東京地裁に提訴された。

私自身は「選択式夫婦別姓」に賛成である(詳細は別稿にて述べたいが、私はさらに改姓・改名の自由を求める意見を持っており、その過程として選択式夫婦別姓に強く賛成する)。一方で「選択式」であるにも関わらず、同姓でない夫婦が生まれることを「家制度の破壊」であるととらえて反対する人たちも少なくない。

しかし、その家制度は本当に日本の「伝統」なのだろうか。私が調べた限り、そうではない。現在の戸籍制度は明治時代に民法によって作られた新しい制度だ。名前こそ「戸籍」という律令制由来の名称ではあるが、明治以前の「戸籍」の伝統を受け継ぐのではなく、むしろ明治維新後にヨーロッパ大陸法に基づいて徴税や徴兵を目的として作られた、たかだか150年の短い歴史しか持たない新しい制度であって、日本古来の伝統などとは到底呼べない。

ただ、一方でネット上では「明治以前は夫婦別姓だった」という記載も見られるが、こちらも正確ではない。

結論から言うなら、明治以前の日本の制度は「姓氏は出身氏族のものなので一生変わらないが、一家は同名字(兄弟でも分家すれば別名字)」だったのである。氏・姓・名字/苗字はすべて別のものであったが今はそれらがごっちゃになっている、という最低限の知識がそこには必要である。

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分離独立する南部スーダンの国名案は「南スーダン」で決着か

2011年1月に実施され、2月7日に最終結果が公表された南部スーダン独立に関する住民投票だが、結果としては南部スーダン独立が圧倒的多数を占めた。これにより、アフリカ53番目の国家が誕生することとなる。

そこで気になるのは新国名だ。そこで調べてみたところ、いくつかの案が出てはいるものの「南スーダン(South Sudan)」で決まりそうな雰囲気である。そこで、出ていた案の意味を調べてみた。

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【書評】『日本人が知らないウィキリークス』:サイバースペースvs主権国家の闘争

知っている人が書いているというのもあって、『日本人が知らないウィキリークス』を購入して読んだ。ネット上の感想では7人の共著者のうち一部に称賛が集まっているようだが、私にとってはどの章も興味深かった。以下、章ごとに簡単に感想を述べてみたい。

日本人が知らないウィキリークス (新書y)
「日本人が知らないウィキリークス (新書y)」
 [新書]
 著者:小林 恭子,白井 聡,塚越 健司,津田 大介,八田 真行,浜野 喬士,孫崎 享
 出版:洋泉社
 発売日:2011-02-05
 by ええもん屋.com

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ヴィレッジヴァンガードさん、期待を裏切らないで!

VILLAGE VANGUARD(ヴィレッジヴァンガード)という変な本屋さんがあって、本だけじゃなくいろいろと変なものを置いてあり、芸術的ともいえる絶妙なPOPコメントも相まって、わたしは一度立ち寄ってしまうと時間を食われてしまう。あのカオス状態がヴィレヴァンの味といえる。

しかし、そのヴィレヴァン全店から「エロ・グロ系のグッズやコミック」が排除されるという情報が流れてきた。ツイッターの店舗公式アカウントやmixiコミュニティ等での店員のコメントによれば、イオン某店に入っている店舗に対して「お客様」からクレームがあり、本部で検討した結果、「全店舗」において排除ということになったという。

最後まで抵抗した店長もいるらしく、またその方針に寂しさを感じているという店員のツイートも見られるのが救いではあるが、しかし、そういう「悪書」なんかも含めて「店員が自分で買いたいような本やCDや雑貨をお勧めする」のがヴィレヴァンの持ち味ではなかったか。今回の決定は、その持ち味を自らかなぐり捨てるものであるとしか感じられない。

ヴィレヴァンの一ファンとして、わたしは今回の決定を寂しく、悲しいことだと考える。そして、ヴィレヴァンさえも踏んばれなかったら、異物排除思想に基づく「清潔なファシズム」の進行をどこが止められるというのか?

VILLAGE VANGUARD この画像は、わたしが文学フリマ用に自作した「ヴィレヴァンもどきPOP用紙」に手書きしたものである。

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明治の「八百長」は「意図的引き分け」だった。板垣退助も激怒した八百長相撲

大相撲の八百長問題が発展してついに春場所は中止と決まった。角界が自力で八百長を防げないというのなら、「国技」などと称するのをやめてプロレスのような見世物と割り切ればいいとも思う。プロレスがどこまで本気か、などと「ハッスル」の試合で言う人間がいないように、スポーツではなく興業だと思えば別にどうでもよい話だ。ただ、そのためには「特例民法法人」格と「国技」の肩書きを捨てるべきである。

大相撲は国技館を出て回向院に戻ればいいんじゃないか。そもそも相撲が「国技」とされたのは、明治四十二年(1909年)に常設館が建設されて「国技館」と名付けられてからわずか百年ほどのことでしかない。相撲そのものの歴史は古くても、国技としての歴史は浅いのだから、一度返上してやり直すのもいいのではないか。

ところで、事物起源探求家としてはそういう話よりも「そもそも八百長という言葉の由来は?」「明治時代にはどのように使われていた?」ということが気になる。

八百長は八百屋の斎藤長吉が由来、という新聞記事が見つかった(ウィキペディア等では「八百屋の長兵衛」と書かれているが、新聞記事では表記が違っていた)。また、当時の八百長とは談合して勝ち負けを決めるというより「勝ち負けが決まらないように引き分けまたは預かりにするような取組をする」という意味で使われていたことがわかった。明治の相撲の腐敗批判記事は、今にもそのまま当てはまる。相撲界は100年間何の進化もしていなかった(ある意味、明治の伝統をそのまま受け継いでいるともいえる。ただしそれは悪習を、である)。

【今回の内容】

  • 八百長の語源「八百屋の斎藤長吉」と明治の用法
  • 明治・大正の八百長
  • 板垣退助、八百長を叱る
  • 明治の新聞、相撲を叱る
  • 「ポリリークス」の目的は「相撲賭博のあぶり出し」?
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「タイガーマスク運動(伊達直人現象)」の限界を超えるために

2010年12月25日、前橋市の群馬県中央児童相談所に「伊達直人」を名乗る人物からランドセルが届けられたことをきっかけに、特に2010年1月4日以降、伊達直人/タイガーマスクその他の匿名で児童福祉施設に様々な寄贈が行なわれた。この動きは「タイガーマスク運動」「タイガーマスク現象」などとも呼ばれる。1月末の現在、報道は下火となっているが、おそらくこれは「何か人のためになることをしたい」と多くの人が願っていることの表われであると肯定的に受け止めたい。

この「好意」をよりよい形にしていくために、いろいろと考えてきたことをまとめてみたい。

※なお、アフィリエイト関連で仲良くさせていただいているあびるさんが「お願いタイガー! - 福祉施設への寄付マッチングサイト」というサイトを開設した。興味深い試みだと思うので同時に紹介させていただく。

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2011ウェブ虚業御三家の一「ペニーオークション」は一刻も早く規制を!

2011年現在の「ウェブ虚業御三家」(と私が勝手に名付けたもの)は、情報商材、クーポンサイト、ペニーオークションである。その中で、ペニーオークション(あるいは激安オークション、新感覚オークション等と呼ばれる)が問題となっている。

よくご存じない方は以下の私の解説をお読みいただきたい(ウィキペディアより詳しく書いてある)。

結論からいえば、ペニーオークションというのは「入札するごとに手数料を取られ、落札できなくても返ってこない」という仕組みであり、よく調べてみれば、平均すれば負けることが確実なギャンブルである。また、ここでサクラを使っている可能性も指摘されており、もしそうであれば利用者は落札不可能なのに手数料だけ取られるわけだから、極めて詐欺的であるともいえる。

ところがこのブラックな仕組みに進出している大企業がある。サイバーエージェント系「カイドキ」、ぽすれんによる「GEO(ゲオ)オークション」、「DMM.com ポイントオークション」などである。

私はできるだけ迅速に(情報商材と並んで)ペニーオークションに関する調査と規制に行政が取り組む必要があると考えている。

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「自炊の森」に見る「自炊」の問題点

「自炊の森」という、店内コミックや同人誌をその場で電子書籍に「自炊」できる、自炊機器レンタルスペースが27日にプレオープンしたという(店内の漫画を「自炊」するレンタルスペースが仮オープン、裁断済み書籍を提供、ネット上は懸念の声多数 AKIBA PC Hotline!)。しかし、このサービスについては議論が高まっている。

私自身もこのサービスは著作権法的に「クロ」と考える。そもそも、私は「自炊」という行為に懐疑的ではあるが、自分が所有している本をどういう形にアレンジしようと、それはその人の勝手である。それを業として電子化するという時点で非常に怪しくなってくるし、さらに「自分が購入したのではない本」をスキャンさせて金を取るというのは、以下でも述べる理由により、完全に真っ黒だと思う。

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ウィキリークスの本当の「恐怖」――情報の受け手のリテラシーが問われるとき

前回の記事(ウィキリークス・アサンジ氏の「強姦」容疑は「コンドームなしセックス」が口実[絵文録ことのは]2010/12/08)に引き続き、ウィキリークス(Wikileaks)についての私の考えをまとめてみたい。

ウィキリークスの登場で、これまで機密であったものが機密でなくなる、といった部分は二次的な要素であると思う。問題は、ウィキリークスを「英雄」視あるいは逆に「極悪人」扱いするという点にある。つまり、わたしたち情報の「受け手」の側のリテラシーが極めて重要になるということだ。

たとえば「ウィキリークスの情報流出に各省庁戦々恐々」というニュースに対して「じゃあ漏洩しているのは本当の情報なんだ」という反応が見られた。これはリテラシー的には極めてまずい態度である。「各国政府がウィキリークスを圧力によってつぶそうとしている」は「ウィキリークスに載っている情報は真実」とイコールではない。しかし、それが混同される危険性がある。

わたしたちがウィキリークス(あるいは公安調査庁/公安警察情報流出や尖閣ビデオ問題)に対してどのようにとらえるか。特に「暴露する側は常に正しく正義、暴露される側が何を言ってもそれは言い訳」(あるいはその逆)というような受け取り方は決して正しい態度とは言えないことを、当たり前のことではあるがしっかりと押さえておきたい。

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