「言葉」と一致するもの

文を作るには楽しんで苦しむべし。嫌がって苦しむなかれ。

 楽しんで苦しめば才能は進む。いやいや苦しめば、苦しみがいは少ない。楽しむということは、実に苦に耐えるからなのである。「好きこそものの上手なれ」ということわざは、簡単な言葉で深遠な道理を見抜いている。好きというのは、すなわち、楽しんでことに当たるということにほかならない。

 わたしの知っている某富豪は、かつてわたしに対して、

「自分のようなものはすでにそれなりの財産をなしたのだが、それでもこつこつと商業に従事している。君は、わたしのことを、金を求めて飽きることのない者のように言うかもしれないが、まったくの偽りなしに言おう。わたしはすでに今もっている富以上の金銭は必要ないので、金銭を得ることはそれほど欲していない。ただ、商業に従事して、利益を生み出すのを見るのが面白くて、老いや死が迫っているというのも忘れてしまっているだけなのだ」

 と語ったことがある。その言葉は決して飾り立てたものではないと信じただけでなく、いかにもそんな調子でことに当たっている人だからこそ、一から立ち上げて百千万の富をも手に入れられたのだと感じた。

 以上、述べてきたところをまとめるならば、「楽しんでことに当たる」というのが成功の秘訣だということになる。どうか、実用的文章を書く人、すなわち一般の人には、楽しんで文章を書いてもらいたい。いやいや書くのではなく書いてもらいたい。作文についての議論を提示する前に、まず熱心に希望することである。

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権利は愛することができる。義務はいとわしい。

 楽しんでことをなすのは、権利を行使するわけである。いやいやながらことに従うのは、義務でやるわけである。一方は自分の花畑を耕すのであり、もう一方は負債を帰そうとするのである。

 権利でやることは苦も快であって、義務でやることはどれも苦である。義務ならとうてい耐えることができないことでも、自分の権利でやるとなれば、人はずいぶんこれに耐えるものである。

 霜・雪の早朝、寒さが厳しいときであっても、狩猟家などはそれを恐れることがない。ふだんは少しの労働にも耐えられぬ御曹司であったとしても、氷を踏み、風をついてかけずり回るのが珍しくも何ともない。

 この道理が表裏をなして、人間の真の勇気の有無を生じ、そしてその勇気の有無の結果が、人々の履歴を光明と暗黒に分けるのが世の常である。

 どの道でも、どの技芸でも、卓越した人は、多くは自分のなすべきことを権利として楽しんでやっている人で、地平線以下の人は、多くは自己のなすことを義務としていやいややっている人である。目を上げて世間を見、歴史をひもといて過去を見たならば、この事実が火の如く明らかであると感じない人はいないだろう。いやしくも世の文明に利益を与えた人は、たいてい、権利として楽しんで、自己のことにあたった人ばかりである。

 富士山や立山や御嶽山に登る者は、みな息も絶え絶えに苦しみながら登るわけだが、夏休みの娯楽として自分の権利として登るがゆえに、ふつうの人も楽しんで登山する。「お前、富士に登れ」「立山に登れ」「御嶽山に登れ」などという命令を受けて、そして義務として登るものとすれば、どれだけの人が登ることができようか! 途中から下山してしまうのはもちろんのこと、第一歩が縮み、筋骨が萎えて、何合目にもいたらぬうちに止まるであろう。

 文明史を飾っている発明家や学者や事務家は、だれもみな厳しい峰を踏破し、艱難を冒した人であって、涙と汗をもって自己の一代記を書きあげたものである。しかし、それはちょうど、富士に登り、御嶽山に登り、立山に登る人が必ず汗をふるい、息を切らせるのと同じである。また、登山者が苦しみながらも自分を奮い立たせるものが心の中にあるように、自ら喜びの思いを抱き、自分の権利として自分のなすべきことをやったのだということは、まったく疑いのないことだ。

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上位100ウェブログを片っ端から紹介するよ 2005/1/1 RSSフィードメーター版

 こんにちは。日本を代表するブログ検索、未来検索livedoorでもblogWatcherでも検索できないので、この「絵文録ことのは」はブログじゃないんだなと思っている松永です。わらい。泣いてへんもん!

 さて、それはともかく。2003年末には「blog of the Yeah!2003ノミネート96ブログ全チェック!!!」などという馬鹿なことをやったわけですが、それから約1年、やっぱりブログ総ざらいチェックというのはあった方がいいかと思って勢いでコメントつけてみます。知らないブログを旅してみたい。日本のどこかにわたしを待ってるブログがある。

 チェック元はRSS フィード メーター - 昨日のブログ RSS フィード ランキングの1月1日のデータをもとにしています。このランキングについては、

☆のランキングは、RSS フィードの購読者数と、他の RSS フィードからそのサイトに張られているリンクの数とで計算されています。

計算方法は秘密ですが、「たくさんの人に読まれている」「あちこちの ニュースで話題になっている」と、人気度が上がります

(RSS フィードメーター - feed meter について)

ということで、このシステムで取得されているブログに限定されますが、ネットに詳しい人が見ているブログがランキングしているのではないかと思われます。ということで、人気100ブログを一気にレビュー!

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ブログ・オブ・ザ・イヤー2004ことのは杯

 賞金も賞品も何もありませんし、名誉でさえもないかもしれませんが、勝手にブログ・オブ・ザ・イヤー2004ことのは杯を公開します! 言うまでもなく独断と偏見にて。というか、あまりブログ限定でもないですが、まあ適当に。

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ブログ五紙に認定(笑)附:表と裏/エキサイトブログニュース

 出会い系オタで有名な栗先生から「ブログ五紙」に認定されました(´ー`)y-~~

ちなみに「ブログ五紙」とは今作った言葉で、紙面の都合上略称で敬称略だと、極東、絵文録、ARTIFACT、隊長loves木村剛の五つを指すといわれています。いずれも下手にトラバっくれたりコメントしたりすると長文が返ってきて大変なことになりそうな怖い人たちです。

 うしし(´ー`)怖いぞー(´∇`)怖いぞー

 つーか、「五紙」はどれも長文系かつ構いたがり、扱うジャンルは広めだがビジネスには直結しない、独自観点のはっきりしているブログという感じかなあ。で、隊長×木村剛はすでにカップリング決定なのね?わらい。

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木村剛「転載こそネット流」理論は完全に破綻――隠された「安倍ぬすみ主義ジャイアニズム」

 だから、そういう書き方がいやらしいと言ってるんですよ、木村剛さん。

 週刊!木村剛 powered by ココログ: 「引用」は「リンク」に対する冒涜なのか?において、私が先日書いた「木村剛氏の「ブロガーとしての資質」を問う――自分のものとして取り込みたがる人々」記事に対応すると思われる「反論」が掲載されているが、その書き方は前回指摘したいやらしい方法をそのまま踏襲している。

 「読者の利便を優先」したいという木村剛氏は、「こうした手法に反対の方々も少なくないようです」「ネット界の重鎮の中には、「ネット社会に対する冒涜」と捉える方もいらっしゃるようで、ネット界もなかなかに難しいものだと感じさせられる今日この頃です」と書きながら、そういう風に「反対」している人たちが誰なのか、具体的にどのようにとらえられているのかということについては、お得意の「全文転載」どころか、リンクも出典の提示もまったくしない。この「謎めき系」のいやらしい書き方について、「先日のエントリー「トラックバックからの転載」に木村剛氏が反応したわけだが(笑わせんなヴォケが!)」でも「なぜ本文中にその旨の言及が全くないのか疑問です」と記されている。

 まあそれはともかく、木村剛氏のコメントは真っ正面からの問題提起に答えていないどころか、完全に論理破綻したひどいものなので、以下に再反論しておきたい。

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ネット世論・ネットのトレンドを生み出すアルファブロガー

 FPN - ニュースコミュニティ- 日本のアルファーブロガーを探せ2004という企画が始まっている。アルファブロガーとは、ブログ界の世論に大きな影響力を与える少数のパワーブロガーのことのようである。

 今回はブロゴスフィア(ブログ界)において影響力を持つ日本のアルファブロガーについて考えてみたい。

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読者を突き放す書籍『電車男』には「編集」がない――「電車男」は読者参加型恋愛シミュレーションゲームのリプレイ

 今さらであるが『電車男』を取り上げる。結論から言えば、書籍『電車男』は最低の手抜き本である。こんな素敵な担当編集者をけなすことになるのは極めて心外であるが、しかし、こんないい加減に作られた本も珍しい。

 「電車男」のストーリー自体はどうでもいいし、それがフィクションだろうとノンフィクションだろうと私には興味がない。今回は著作権の問題もとりあえずどうでもいい。単に「まとめサイトをプリントアウトしただけ」という部分が問題だ。

 これは書籍を作るのに欠かせない「ライター」と「編集者(エディター)」の役割のうち、エディターの要素が欠落した本ということだ。以下、詳細に述べてみたい。

電車男
電車男

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木村剛氏の「ブロガーとしての資質」を問う――自分のものとして取り込みたがる人々

 「週刊!木村剛」で活躍中の金融サービスコンサルタント木村剛氏は、「ブログをマスコミに対抗するカウンターメディアにする」という野望を抱いてブログ啓蒙活動を続けている。しかし、その主張に私は違和感を感じてきた。対マスコミ姿勢については木村剛の「マスメディアへの対抗意識」は時代錯誤。中越地震マスゴミ批判記事を検証するに書いたとおりである。

 そして、昨日公開したエントリー「博客」と呼ばないで!中国ブロガー「博客」呼称騒動――博客中国 vs CNBlogにおいて、一部の中国ブロガーから激しく攻撃されている方興東氏の状況を見て、木村剛氏の問題点が私の中で整理された。

 私は、木村剛氏に対してマスコミで挙げられた金融政策上の疑惑などについては興味がないし、経済にはうといのでまるでわからない。木村氏の疑惑について紹介するトラックバックがあったが、読んでも事実関係がわからないのでスルーしていた。また、下記のような切込隊長と木村剛氏のやりとりについても、その本質は経済関係の疑惑なので、つっこめない。

 しかし、木村剛氏のブロガーとしての資質について、私はツッコミを入れずにはいられない。

  • 安倍ぬすみ主義・ジャイアニズム――必要以上に長い転載(リンクの価値を損なう)
  • 恣意的謎めき系――反対意見へはリンクも引用もしない(一方的な意見)
  • 負け犬の遠吠え――マスコミに対する激しい敵愾心と的はずれな批判
  • 読者をバカにしたプロパガンダ――自信と余裕のない書き手

 大きくまとめるとこの4点において、私は木村剛氏はリーディング・ブロガーたる資格を失っていると考える。以下、詳細。

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「博客」と呼ばないで!中国ブロガー「博客」呼称騒動――博客中国 vs CNBlog

 『ウェブログ超入門!』にも書いたが、中国ではブログ/ブロガーを「博客(Boke=ポーカー)」と呼ぶ(中国語でbokeはボケではないので注意)。ハッカーが「黒客」というのと対比された表現だ。ところが、ここに来て「俺は博客じゃない!」と主張する騒ぎが大きくなった。「I'm not Boke」ちまちまボタンまで登場し、大変な騒ぎになっている。

 しかし、これは単なる呼称問題ではない。中国ブログ界の2大勢力の論戦なのである。「博客」の名付け親で『博客』という本も書いている「博客中国」主催者・方興東氏と、それに対抗するCNBlogの主催者zheng氏・Isaac Mao氏の対立だ。

 博客という訳語にはこれまでも議論があったが、今回は方氏の雑誌インタビュー記事にzheng氏とMao氏自身が反応したというトップ同士の正面衝突。その直前に「博客」表記を欧米に紹介した記事が登場していたことも、この騒ぎに火を注いだ。つまり、「博客」派・博客中国 vs アンチ「博客」派・CNBlogという背後関係を読み取る必要がある。

 しかし、これは対岸の火事ではない。方氏はもともとオープンソース運動やクリエイティブ・コモンズを絶賛する情報開放主義者である。オープンソース志向のブロガーは日本でも多い。

 一方で、方氏はブログを既成メディアに対抗する存在と位置づけているが、今回の流れでは「他人の記事を無断転載しすぎ」と批判されている。メディアへの敵対意識と、必要以上に多い長文転載といえば、木村剛氏を彷彿とさせるところもある。

 また、この批判の中では「サービス側がユーザーの著作物を勝手に利用する」ことが明確に否定されており、これは最近の日本ブログサービスにおける著作権規定に関する騒動と共通している。

 あるいは1年前に散々言われた「ITゴロ」「ブログゴロ」といった批判にも似たところがある。中国博客騒動は、決して他人事ではないのだ。

 今回は非常に長くなるが、この「博客」騒動関連記事を時系列順に翻訳して紹介する。

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